ホーム 当院について 病院報 病院報 2013年特集号 質疑応答
たいへん素晴らしいご講演、ありがとうございます。京都民医連中央病院の腎臓内科をやっております木下と申します。腎臓内科の分野はですね、先生がお話しされましたホスホリパーゼA2のリセッターの攻撃というのが、膜性腎症の実は原因になっているのではないかと言われているので、非常に親しみをもって聞いておりまして、とても面白かったのですけれども、一つ、脳梗塞の再灌流の時に、そのインヒビターを投与すると良くなった…、縮小というのは、どういう機構とか、そういうことって分かっておられるのでしょうか。
清水 はい。すごく重要な点ですけれども、まだ充分には分かっておりません。腎でも移植などに関連しますね。梗塞自身はもちろん絶対的 な細胞の壊死というもので、それは酸素も栄養も行かないわけだから、当然に起こすわけですが、梗塞の後の再灌流の時におそらく、多量の 活性酸素が出来、脂質の過酸化物や、あるいは今日お話ししたホスホリパーゼA2による脂質メディエーターというものが相当に出てまいりま す。それが、梗塞層を広げるのでは無いかと考えております。それで、今、ご質問の点と関連して、いちばん大切なところは、梗塞を起こして、そ の後、再灌流をして5分、10分、15分、それから2時間という間にどういう代謝物ができてくるのか、それから、どういう遺伝子がその間に発現 してくるのかというのを、健側とそれから病側とを比べて、違いを見るということで、梗塞拡大のメカニズムを解明したいとおもっております。 ネズミで言うと、再灌流後15分から2時間ですけれども、これはヒト時間だとどういう時間なのかハッキリとは分からないのですが、ある種の 非常にクリティカルな時間に起こる現象というものを見つけられたら、そこをなんとか予防したいと…。今の薬の開発とともに、そのメカニズム を見つけるということが、私たちの非常に大きなテーマです。ご質問、どうもありがとうございます。
昔、セントルイスのワシントン大学におった頃に、小野薬品の方がプロスタグランディンとかロイコトリエンの測定をされに、たくさんの人が来られていましたけれども、今日はテーマがアスピリン物語だったものですから、アスピリンに対して昔から思っている、私の心の中にある秘密をちょっと教えていただきたいのですけれども、昔、薬学部にいました時にですね、薬品化学の教授がですね、「バイエルのアスピリンというのは良く効くのだ」と、「日本でなんぼ作っても、アスピリンは効かん」…。それを我々は…、ちょうど電子顕微鏡ができた頃で、先生とあまり歳は変わらないですけれども、「結晶構造が全然違う」ということで、「その結晶構造が取れないのだ」という話をよくされていたので すけれども、今やもう分子構造は、受ける側もアスピリンもよく分かっているので、秘密は解き明かされているのでしょうか。
清水 バイエルのアスピリンというと、日本のものと比べて臨床的効果に差があると思われますか?むしろ私がお聞きしたいです。
その教授は、がんとして「絶対にバイエルのアスピリンが効くのだ」と言うのですね。
清水 答えは分からないのです。アスピリンの作用機序を考えると差が出る理由は見当たりません。ただ、薬を飲んだ後の吸収だとか、運搬などに結晶の大きさや製剤化の違いというのはあるのかも知れないなという気がするのですね。多分、検討されている方がいると思うのですが、昔からそういう噂があって、いまだにそれも噂として、都市伝説のように残っているような気がします。すみません。よくわかりません。
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