公益社団法人 京都保険会 京都民医連中央病院

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ホーム > 当院について > 病院報 > 病院報 2013年特集号 > 白血球を現場に引き出す化学走性

京都民医連中央病院報

 

1.脂質の重要性

●白血球を現場に引き出す化学走性


図16

図17

ロイコトリエンというのはこのような構造をしています。白血球(ロイコサイト)で作られて、トリエンという、科学的に言うと二重結合が3つ続くので、こういう名前が付いたのですが、どういう作用があるかと言うと、一つは化学走性、つまり白血球を現場に引き出すという作用があります。図16ではこれが赤血球で、これが血管内皮細胞。で、通常、白血球はこの血管内皮の上を回転しているわけですが、刺激が加わりますと、これがしっかりと血管内皮に粘着しまして、やがてこの内皮細胞の間隙を縫うようにして血管の外へ出ます。これを化学走性とよびます。で、実際にロイコトリエンB4という化合物は非常に強い細胞遊走作用を持っています。図17の写真には毛細血管と細静脈が見えます。無刺激の状態(0 min)だと何も見えないわけですね、赤血球や白血球は速く動いていますから。ところが、非常に低い濃度のロイコトリエンB4を組織に与えますと、2分後に血管の内皮に白血球が接着しているのが、ご覧いただけると思います。それが20分経つと、このように血管の外にたくさん出てくる、これを化学走性と言います。これは、生体を防御してバクテリアや異物を排除するという意味ではたいへんに大切ですが、体にとっては、非常に強い刺激になり、炎症となるわけです。

 

 


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