当院リハビリテーション療法課では2015年11月からロボットスーツHAL®(Hybrid Assistive Limb®)を導入しました。
ロボットスーツHAL®は身体機能を改善・補助・拡張することができる、世界初のサイボーグ型ロボットです。装着者の生体電位信号を読み取り、それに応じて下肢の動きを補助し、装着者自身の脚での歩行や立ち座りのトレーニングをアシストします。
ロボットスーツHAL®は、脊髄損傷、外傷性脳損傷、脳血管障害等、脳・神経筋系に疾患のある運動器不安定症の患者さまに対し、欧州連合全域で医療機器として用いられています。運動障害を生じた方々が装着し、立ち上がる動作・歩く動作を練習することで歩行能力がよくなることが報告され、ニューロリハビリテーションの訓練方法として注目されています。現時点では、脳卒中などの中でも中等度の麻痺が残った方において早期からロボットスーツHAL®を装着し訓練することで下肢の動きにくさが改善し、歩行練習が行えるまで回復をみたり、病状が落ち着いた回復期や慢性期の時期でもロボットスーツHAL®を用いて訓練すると歩行能力が改善することが報告されています。この効果の病態はまだ不明な点もあり、現在も解明の研究が進められています。
患者さま自身「動かそうとする意志」があっても中々実際には動かしにくい身体をロボットスーツHAL®が補助することで、「自分の身体が楽に動く」という体験は、患者さまにとって大きな喜びや驚きにつながっています。一般的に運動障害の機能回復には時間がかかり、根気よくリハビリを続けることが必要になります。ロボットスーツHAL®を装着しただけですぐ歩くことができるわけではありません。ロボットスーツHAL®を装着し訓練することで患者さま自身が目指す動きをイメージしやすくなり、より良い立位姿勢や歩行といったリハビリ効果を体感でき、リハビリを続けていく意義や意欲を高めるといった可能性も含むことがロボットスーツHAL®を用いたリハビリテーションの意味だと考えられています。当課では、現在回復期リハビリテーション病棟にご入院中の方に限り使用しています。ご質問等ありましたら、随時ご連絡ください。
患者さまからのお申し出→医師による診察→病院内検討会議・フィッティング確認
→訓練開始
訓練内容
・股関節屈伸、膝関節屈伸運動
・起立練習
・着座練習
・重心移動練習
・ステップ練習
等を行いつつ歩行練習を進めていきます。
京都民医連中央病院 地域医療連携課
TEL075-822-2830