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肛門科

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大腸肛門病センターを開設しました(PDF:475KB)

概要・治療方針

肛門外来では、肛門疾患の代表である【いぼ痔(痔核)】【切れ痔(裂肛)】【穴痔(痔瘻)】はもちろんのこと、便秘下痢便失禁(便が漏れる)など排便機能を評価・治療する外来を兼ね備えています。直腸肛門機能は、内圧・直腸感覚閾値測定、排便造影(デフェコグラフィー)、ダイナミックMRI等で評価しています。また、便失禁の治療として仙骨神経刺激療法(SNM)も行っています。年間約200件の肛門手術と約80件の大腸癌の手術(70%は腹腔鏡下手術)を行っています。

図 SNM(仙骨神経刺激療法)
日本メドトロニック社提供

 

日本大腸肛門病学会認定施設

 

外来診療体制表

 

医師紹介

氏名 松田 直樹 役職 大腸肛門科顧問
学歴 東京慈恵医科大学 昭和42年卒 専門 肛門科
学会
資格
所属学会 資格
日本大腸肛門病学会 専門医・指導医・特別会員
日本臨床肛門病学会 監事
大腸肛門機能障害研究会 世話人
氏名 鈴木 卓 役職 参与
学歴 京都大学 昭和49年卒 専門 肝胆脺を中心とした消化器外科一般
学会
資格
所属学会 資格
日本外科学会 専門医
日本消化器外科学会 認定医・指導医
厚生労働省 臨床研修指導医
氏名

川島 市郎

役職 副院長・外科統括科長
学歴 福井大学 昭和62年卒 専門 大腸・肛門病を中心とした消化器外科一般
学会
資格
所属学会 資格
日本外科学会 専門医・指導医
日本大腸肛門病学会 仙骨神経刺激療法講習会修了
日本臨床外科学会  
日本ストーマ排泄リハビリテーション学会 評議委員
日本緩和医療学会 認定医・研修指導医・プログラム責任者
日本がん治療認定機構 認定医
厚生労働省 臨床研修指導医
関西STOMA研究会 世話人
氏名

岡本 亮

役職 非常勤
学歴 滋賀医科大学 平成14年卒 専門 大腸・肛門・排便機能などの骨盤外科診療一般/腹腔鏡下手術
学会
資格
所属学会 資格
日本外科学会 専門医
日本大腸肛門病学会 専門医・仙骨神経刺激療法講習会終了
日本消化器病学会 専門医
日本肝臓学会 専門医
日本静脈経腸栄養学会 認定医
日本病態栄養学会 病態栄養専門医、NSTコーディネーター、指導医
日本外科代謝栄養学会  
日本癌治療学会  
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
厚生労働省 臨床研修指導医
日本女性骨盤底医学会 経膣メッシュ手術講習会修了

 

 

いぼ痔(内痔核 血栓性外痔核 脱肛 肛門ポリープなど)

肛門疾患で最も多いのがいぼ痔です。排便時の出血、脱出(排便のとき腫れ上がる)痛みなどの症状で受診されます。重いものを持つ仕事、長時間座位の姿勢が、症状悪化と関連があります。内痔核は痛みが少ないのが特徴です。内痔核の治療にはALTA注射(ジオン注®)があります。ALTA注射は痛みが軽く、土曜日の日帰り治療が可能です。

中国生まれのALTA注射(ジオン注®) 

内痔核治療法研究会のホームページを参照
ALTA注射は中国生まれの治療法で、主成分はアルミニウムカリウム・タンニン酸です。ALTA注射は透析患者、妊婦、授乳中の方には使えません。ALTA注は内痔核(痛みを感じない部分)に直接注射することで引きつれをおこし、余分な血管(静脈瘤)を閉塞させ、いぼを縮小させます。治療後は痛みなく帰宅できます。週末の土曜日に治療しても、週明けの月曜日から通常の勤務が可能です。

切れ痔(急性裂肛 慢性裂肛)

切れ痔は女性に多く、硬便がでた時に、痛みと紙につく程度の出血で発生する急性裂肛は、肛門の外傷です。肛門は唇ほど脆弱で、拭きすぎや洗いすぎが大敵です。切れても通常、数日で治癒しますが、慢性化すると、肛門が狭くなる(肛門狭窄)場合があります。一旦狭くなると切れやすく、またひきつれて狭くなるという悪循環に陥ります。重症の方は薬だけでは改善せず、手術が必要です。手術は肛門拡張術(LSIS)と肛門皮膚移行術(SSG)があります。狭窄の程度や肛門括約機能(しまり具合)などで術式を選択します。腰椎麻酔で1-2泊の入院治療が必要です。

温水洗浄便座症候群(温水洗浄便座の過剰使用が影響する肛門周囲炎)

肛門周囲皮膚は唇ほど弱く、傷つきやすくできています。また、便が通過して腸内細菌が常に付着する場所でもあります。肛門周囲皮膚には皮脂を栄養源として善玉菌が常在し、悪玉菌から皮膚を守ってくれています。この大切な皮脂は洗いすぎにより失われ、善玉菌が住みにくくなります。このことが、肛門周囲のかゆみにつながる場合があります。洗いすぎによって弱った肛門周囲皮膚は、傷つきやすいのです。
「温水洗浄することは肛門にとって良いこと」と思い込み、信頼しきっている方が温水洗浄便症候群になりやすいように思います。使いすぎにはくれぐれも注意が必要です。

穴痔(痔瘻)

男性に多く、突然、肛門周囲が腫れ、痛みと熱がでます。この症状は肛門周囲に膿が貯まっ出るため、肛門周囲膿瘍といいます。誘因は過労、ストレス、酒の飲み過ぎ、下痢などがあげられます。肛門が傷み、細菌の侵入を許し、抵抗力が落ちた時に発症するわけです。
放置すると死亡する場合(フルニエ壊疽)がありますので我慢せず、肛門科を受診してください。受診されたら、局所麻酔で皮膚を切開し、貯まった膿を出します(切開排膿)。排膿直後から症状が劇的に改善します。肛門周囲膿瘍は一度、処置すれば70%の人は治癒します。残りの30%の方は、同じ場所に再び膿がたまります。この状態を痔瘻といいます。痔瘻は腰椎麻酔で1-2泊の手術入院が必要です。手術の方法は、重症度によって異なります。単純にトンネルを開放切除する手術、トンネルにゴム紐を通してピアスの様にし、2-3ヶ月かけながら徐々にこのゴム輪を締めつつトンネルを開放するシートン法という方法もあります。痔瘻の部位、重症度、患者の肛門括約機能(主として絞める力)に応じて手術法を選択します。
~痔瘻は慢性化すると癌になる ~
10年以上にわたり、肛門周囲から膿が出ている状態を放置すると癌(痔瘻癌)が発生します。痛みが軽いからと軽視せず。根治手術が必要です。痔瘻癌になってしまうと、100%肛門を取り除き、人工肛門を造設します。

便失禁

便が意図せず漏れてしまうことを便失禁といいます。高齢者(65才以上の男性の8.7%,女性の6.6%)に多くみられます。肛門のしまり悪くなると発生しやすいため骨盤底筋体操で改善する方もいます。しかし、多くの方は、薬が必要です。便失禁で悩む方の70%は、ポリカルボフィルカルシウムという薬で症状が改善します。便の性状を変化させることで漏れにくくする薬です。副作用も少なく、長期間のみ続けても腸を傷めることはなく安全です。便失禁は高齢者みんなの悩みです。諦めずに一度、肛門外来を受診し、相談してみてください。

 

最後に
痔の症状は、出血、痛み、腫れ、かゆみ、便が下着につく、膿がでるなど様々です。
最後に注意していただきたいのは、痔の症状と大腸がんの症状は非常に似ているということです。「がんだから痛みが出る」と思いがちですが、完治する大腸がんは痛みません。早期癌はほぼ100%無痛です。出血していたけど痔だと思って放置し、便が出にくくなってから発見された時は、人工肛門が必要な場合もあります。大腸癌は比較的治りやすい癌です。早期発見されれば、腹腔鏡手術で1-2週間の入院で治癒が期待できます。大腸癌は乳がん同様年々増加しています。女性の癌による死因の1位は大腸癌です。大腸癌検診は早期発見に有効で、この死亡率を下げることができます。毎年、大腸癌検診(便の検査)をうけていれば、まず、大腸癌で命を落とすことはありません。しっかり検診をうけてください。