耳鼻咽喉科は、耳、鼻、口の中、のど、首と扱う領域が広い診療科です。各領域の疾患について適切な診断を行い、必要に応じて近隣の医療機関と連携を取りながら治療して参ります。
耳だれ、耳痛、耳の痒み、難聴、めまい、耳鳴、顔の麻痺などが代表的な症状です。病気によっては、手術加療を要する場合があります。治療困難な難聴(加齢による難聴など)については、補聴器の導入や調整をさせて頂きますので、一度ご相談ください。
〈主に施行している検査〉
純音聴力、ティンパノメトリー、アブミ骨筋反射、語音聴力、DPOAE、ASSR、耳管機能
赤外線フレンツェル眼鏡、重心動揺、電気味覚、自記オージオメトリー、SISI、補聴器特性測定
補聴器適合、音場閾値
鼓膜に穿孔があり、耳だれや難聴を来します。炎症を繰り返すようであれば、手術にて感染部位を清掃し、穿孔した鼓膜を張り替え、自覚症状の改善を図ります。
種々の原因で鼓膜の一部が陥凹し、そこに鼓膜由来の皮膚が貯留した状態を真珠腫と呼びます(真珠の様な白色塊となるため、そう呼ばれています)。真珠腫は周囲の骨を破壊しながら、耳の奥の方へ緩徐に進展し、場合によっては頭蓋内にも進展します。稀に内耳(蝸牛、三半規管)を破壊したり、頭蓋内で感染を起こし、重篤な症状を来すこともあります。早期の段階であれば、定期的な外来受診により進展を防ぐことが可能ですが、ある程度進展したものについては手術加療が必要となります。手術では、真珠腫の摘出と破壊された耳小骨などの再建を図ります。術後は再発のリスクがあるため、定期的な外来受診が必要となります。
ある日突然起こる、原因不明の難聴です。
現在、確立された有効な治療はないとされておりますが、以前から発症早期(約2週間以内)のステロイド投与が難聴の改善に繋がるとの報告があり、多くの施設で標準治療として採用されております。当科でも適応症例に対してステロイド投与を、原則外来通院で行います。ステロイドの副作用により全身状態悪化の恐れがある症例については、入院管理の上で加療してまいります。
反復する回転性めまいに加えて、難聴や耳鳴などの症状も伴います。内耳の中のリンパ液の過剰生産や吸収障害により、内耳がむくむ(内リンパ水腫と呼びます)ことで症状を呈すると考えられていますが、詳細な原因については未だ不明です。治療は利尿作用のある内服薬の服用などで改善を図ります。また生活習慣の改善(睡眠不足、運動不足、脱水が良くないと言われています)も促して参ります。
顔の半分が動かなくなる病気です。単純ヘルペスウイルスが関与するとされるベル麻痺と、水痘帯状疱疹ウイルスが関与するとされるハント症候群に大別されます。ともに発症早期のステロイド加療が麻痺改善に繋がりますが、改善率が高いベル麻痺とは異なり、ハント症候群の場合は残念ながら治療後も麻痺が残存する可能性が高いです。突発性難聴と同様、原則外来通院でステロイド加療を行いますが、全身状態により入院管理をさせて頂くこともあります。誘発筋電図(ENoG)の振幅が10%以下の予後不良例では顔面神経減荷術を行います。
鼻水、鼻づまり、くしゃみ、くさい匂いがする、匂いが分からないなどが代表的な症状です。必要に応じて血液検査、CT、MRI検査などを行います。保存的加療を基本とし、病態に応じて手術加療も提案させて頂きます。当科では対応が困難と判断した場合は、近隣施設と連携し加療を進めさせて頂きます。
花粉症などの季節性に症状を呈するもの以外に、ダニ・ハウスダストなどにアレルギー反応を起こし、一年を通して鼻炎症状を来すこともあります。ご希望があれば、何に対してアレルギーがあるか血液検査で評価することも可能です(RAST検査)。一般的な内服、点鼻薬による治療でも症状の改善が乏しい場合は、手術加療にて症状の改善を図ります(後鼻神経切断術、粘膜FF甲介骨切除術)。
左右の鼻を隔てる鼻中隔は、骨と軟骨で形成されています。これらが弯曲することで、鼻腔が狭くなり鼻閉を呈します。また弯曲の凹側の鼻粘膜(下鼻甲介粘膜)が代償性に肥厚することで鼻閉が増強されます。投薬加療で自覚症状が改善しない場合は、手術加療にて鼻中隔を矯正し、肥厚した下鼻甲介粘膜を縮小させることで鼻閉を改善いたします(鼻中隔矯正術、粘膜FF甲介骨切除術)。
鼻の奥は洞窟のように広い空間になっており、総称して副鼻腔と呼ばれています。副鼻腔に炎症を来し、粘膜肥厚、膿の貯留、ポリープの形成などを来した状態を副鼻腔炎と言います。少量マクロライド療法(少量の抗菌薬を長期間内服します)にて改善することもありますが、内服加療では改善が見込めない症例では、内視鏡下鼻・副鼻腔手術(ESS)にて病変の除去を行います(内視鏡下手術の為、歯ぐきを切開したり、顔に傷は作りません)。昨今、「好酸球」という白血球の一部が関与する、難治性の慢性副鼻腔炎が増加しています。これを好酸球性副鼻腔炎と言います。好酸球性副鼻腔炎は、ステロイドの全身投与に良好な反応をみせることが知られていますが、その副作用の観点から濫用はできません。副作用の少ない、ステロイド点鼻薬や抗ロイトコリエン内服薬にも反応することが知られていますが、その効果は限定的なものです。その為、原則ESSによる病変の除去が必要ですが、ESS施行後の再発率も高く、術後の薬物加療などの定期的な管理が重要となります。
のどの痛み、発熱、飲み込みにくい(嚥下機能障害)などが代表的な症状です。ファイバースコープ、血液検査、CT、MRI検査などを施行いたします。
感染による急性炎症性疾患については、内服もしくは点滴による抗菌薬加療で改善を図ります。症状が強く、日常生活を送ることが困難なようであれば、入院管理にて加療することがあります。喉頭蓋(喉ぼとけの当たり)に強い炎症を来すと、喉頭蓋がむくんでしまい、空気の通り道が狭くなってしまいます。その結果、窒息に至り最悪の場合は致死的になることがあります。当科で緊急気道確保の対応が困難な場合は、近隣施設へご紹介させて頂くことがあります。
年間を通して頻繁に扁桃炎を繰り返す状態です。手術にて口蓋扁桃を摘出することで、再燃のリスクを低下させます。
高齢化が進む中で、現在嚥下機能障害(飲み込む機能)が注目されています。嚥下機能を評価する方法の一つとして、耳鼻咽喉科が普段から使用している経鼻ファイバースコープを用いた、嚥下内視鏡検査(VE)があります。嚥下機能障害が疑われる方にはVEを施行し、今後の食事の仕方や食形態について検討していきます(ただし外来通院での嚥下リハビリは行っておりません)。専門的な評価や、嚥下改善手術などの外科的加療が必要な場合は、専門的な施設へご紹介させて頂きます。
腫瘍性病変については、当科にて組織生検(病変の一部を採取します)を行い、病理検査にて診断いたします。悪性腫瘍や手術加療が必要な疾患であれば、適切な近隣施設へご紹介し治療を受けて頂きます。
しこりが触れるなどが代表的な症状です。
甲状腺、耳下腺、顎下腺、頸部リンパ節の病気により頸部にしこりを触れることがあります。超音波で病変を見ながら針を刺して細胞を吸引する検査(FNA:穿刺吸引細胞診)を施行しており、必要に応じて細胞を採取し、癌などの悪性の病気か否かを判断いたします。悪性腫瘍や手術加療が必要と判断した場合は、適切な近隣の施設へご紹介させて頂きます。
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氏名 | 佐藤 宏昭 | 役職 | 耳鼻咽喉科科長 | |||||||||||||
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学歴 | 昭和57年・京都大学卒 | 専門 | 耳科学・聴覚医学 | ||||||||||||||
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氏名 | 大八木 誠児 | 役職 | ||||||||||
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学歴 | 平成23年・兵庫医科大学卒 | 専門 | 耳鼻科一般 | ||||||||||
学会 資格 |
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