耳鼻咽喉科は、耳、鼻、口の中、のど、頸部、めまい、アレルギーの病気と扱う領域が広い診療科です。小さなお子さまからご高齢の方まで、患者さま一人ひとりのニーズに合った、適切な治療を行える地域の医療機関を目指して参ります。病気を早期発見するための内視鏡や各種検査機器、低被曝・水晶体保護CT検査などの最新設備をそろえ、適切な診断と治療を提供できるようにいたします。また、長年、専門機関で聴覚診療を行ってきた経験を生かし、きこえに関連した内耳精密検査機器、専門スタッフを整え、高度な専門医療を提供して参ります。お子さまの難聴はことばの獲得を遅らせてしまうため、早期からの治療が必要です。また、成人の難聴はコミュニケーションの障害や認知症につながるリスクがあるため、少し聞こえにくいと感じる頃からの治療をお勧めします。また、鼻副鼻腔疾患で、保存的治療や免疫治療で改善されなかった患者さまには、専門的な機器を揃えた手術加療を実施しています。お気軽にご相談ください。
純音聴力検査、ティンパノメトリー、アブミ骨筋反射、語音聴力検査、騒音下語音聴取能検査、DPOAE、ASSR、ABR、COR検査、遊戯聴力検査、自記オージオメトリー、SISI検査
補聴器や人工内耳を装用した状態での補聴器適合検査を行うことができます。検査結果に基づいた機器の調整を行います。また、当院は軟骨伝導補聴器の取扱医療機関です。外耳道閉鎖症や耳介奇形、外耳奇形の方の補聴やご相談もお受けしています。
新生児からのお子さまに必要な聴力検査が可能です。サイトメガロウイルス感染症の診断のための出生後早期の検査も可能です。新生児聴覚スクリーニング後の精密検査として、聴性脳幹反応(ABR)、聴性定常反応(ASSR)という脳波検査により、正確な聴力の評価を行っております。また、簡単にできるお子さまの聴力検査として、聴性行動反応検査(BOA)や条件詮索反応検査(COR)、遊戯聴力検査を行うことができます。事前にお電話をいただければ、検査の予約などを対応させていただきます。お気軽にご相談ください。
ことばが少ない、ことばは出ているが、言語発達の遅れや発音が気になる…などの相談や構音検査をお受けしています。ダウン症候群、口唇口蓋裂、舌小帯短縮症、ASD(自閉スペクトラム障害)、聴覚過敏、APD(聴覚情報処理障害)などの関連検査や治療を行っています。患者様の状況に応じて、言語聴覚士による言語リハビリテーションを行います。小児科、小児発達医療機関、大学病院耳鼻咽喉科や福祉医療機関、太子道診療所他精神神経科などの専門機関と連携しています。人工内耳マッピングも可能ですので、ご希望のある患者さまはご相談ください。
赤外線CCDカメラ眼振検査、重心動揺計検査、vHIT、ENoG検査などを行っています。
お子さま用の小児用ファイバースコープや、咽喉頭粘膜表層の毛細血管が強調して鮮明に観察できるNBI(Narrow Band Imaging)を用いて、病変の観察を行います。
CT検査:低被曝・水晶体保護設定を導入しています。
MRI検査: 内耳や聴神経の精密検査、メニエール病の診療ガイドラインに準じた造影検査も可能です。
先天性難聴、若年発症型両側性感音難聴と甲状腺癌(RET遺伝子)に関する遺伝カウンセリングを行い、遺伝学的検査を実施しています。当院は、「難聴の遺伝子解析と臨床応用に関する研究」の共同研究機関です。また、難聴を含む臨床症状が複数あり、検査をしても病気の原因が分からない患者様には、京都大学遺伝子診療部と連携し、未診断
疾患イニシアチブ(IRUD)のご相談をお受けしています(https://plaza.umin.ac.jp/irud/)ので、お問い合わせください。
難聴、耳鳴、耳漏、耳痛、めまい、顔面の麻痺などが代表的な症状です。病気によっては、手術加療を要する場合があります。治療困難な難聴については、補聴器の導入や調整、手術を検討させていただきますので、一度ご相談ください。
鼓膜に穿孔があり、耳だれや難聴を来します。炎症を繰り返すようであれば、中耳炎の手術加療にて感染部位を清掃し、穿孔した鼓膜を張り替え、自覚症状の改善を図ります。
種々の原因で鼓膜の一部が陥凹し、そこに鼓膜由来の皮膚が貯留した状態を真珠腫と呼びます(真珠の様な白色塊となるため、そう呼ばれています)。真珠腫は、周囲の骨を破壊しながら耳の奥の方へ緩徐に進展し、場合によっては頭蓋内にも進展します。稀に内耳(蝸牛、三半規管)を破壊し、頭蓋内で感染を起こし重篤な症状を来すこともあります。真珠腫の手術加療では、真珠腫の摘出と破壊された耳小骨などの再建を図ります。術後は再発のリスクがあるため、定期的な外来受診が必要となります。
ある日突然、難聴が発症します。発症機序は、血管障害やウイルス感染などが挙げられますが、詳細な原因は不明です。発症早期(約2 週間以内)にステロイド治療を開始することが、難聴の改善に有効とされていますので、早期の受診をお勧めします。高圧酸素治療は、近隣の施設と連携しております。
反復する回転性めまいに加えて、難聴や耳鳴などの症状を伴います。内耳のリンパの過剰生産や吸収障害による「内耳のむくみ(内リンパ水腫と呼びます)」が原因と考えられていますが、詳細な原因は不明です。治療は、生活習慣の改善(睡眠不足、運動不足、脱水の改善)を促し、循環改善や利尿作用のある内服治療を行います。重症度に応じて、中耳加圧療法を行い、難治性の場合には手術加療が必要となる場合もあります。入院中の患者様には、理学療法士、作業療法士による前庭リハビリテーションを行います。
顔の半分が動かなくなる病気です。単純ヘルペスウイルスが関与するとされるベル麻痺と、水痘帯状疱疹ウイルスが関与するとされるハント症候群に大別されます。ともに発症早期の抗ウイルス薬、ステロイドの全身投与や手術加療、リハビリテーションが麻痺改善に繋がりますので、早めの受診をお勧めします。星状神経節ブロック治療は、近隣の麻酔科と連携しております。
「鼻水・鼻づまり」「臭いがわからない」「呼吸が苦しく眠れない」「口呼吸のせいで集中できない」などが代表的な症状です。鼻副鼻腔疾患の診断のための各種精密検査(内視鏡検査、CT検査など)と手術加療を行います。当院では、最新のナビゲーションシステムを用いた鼻副鼻腔内視鏡手術を行っています。
花粉症などの季節性に症状を呈するもの以外に、ダニ・ハウスダストなどにアレルギー反応を起こし、一年を通して鼻炎症状を来すこともあります。血液検査でアレルギー抗原検査(RAST検査)が可能です。また血管拡張時に水様性鼻汁が一定時間とまらない血管運動性鼻炎があります。内服治療、点鼻薬などによる治療でも症状の改善が乏しい場合は、手術加療を行います。
左右の鼻を隔てる鼻中隔は、骨と軟骨で形成されています。これらが弯曲することで、鼻腔が狭くなり鼻閉を呈します。また下鼻甲介粘膜がアレルギー物質に反応すると粘膜が腫れ、空気の通り道が狭くなり、鼻閉が生じます。内服や点鼻薬で症状緩和されない場合は、手術加療を行い、症状の改善を図ります。
鼻の奥は洞窟のように広い空間になっており、総称して副鼻腔と呼ばれています。副鼻腔に炎症を来し、粘膜肥厚、膿の貯留、ポリープの形成などを来した状態を副鼻腔炎と言います。少量マクロライド療法(少量の抗菌薬を長期間内服します)にて改善することもありますが、内服加療では改善が見込めない症例では、機能的内視鏡下鼻・副鼻腔手術(FESS)にて病変の除去を行います(内視鏡下手術の為、歯ぐきを切開したり、顔に傷は作りません)。
また、免疫機序が関与する難治性の好酸球性副鼻腔炎は、鼻腔内が鼻茸で充満し、FESS施行後も再発を繰り返します。気管支喘息や一部解熱鎮痛剤のアレルギーを伴うことがあります。好酸球性副鼻腔炎や治療効果が不十分な鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の患者様には、IL-4とIL-13 の働きをおさえるデュピルマブ(デュピクセント®)という生物学的製剤での追加治療を行っています。
のどの痛み、発熱、飲み込みにくい(嚥下機能障害)などが代表的な症状です。ファイバースコープ、血液検査、CT、MRI検査などを施行いたします。
症状が強く、日常生活を送ることが困難な場合は、入院加療を行います。喉頭蓋(喉ぼとけの当たり)に強い炎症を来すと、喉頭蓋がむくみ、空気の通り道が狭くなってしまいます。最悪の場合は、窒息に至り致死的になることがある疾患です。緊急気管切開が必要となる場合があります。
年間を通して頻繁に扁桃炎を繰り返す状態です。手術にて口蓋扁桃を摘出することで、再燃のリスクを低下させます。
高齢化が進む中で、現在嚥下機能障害(飲み込む機能)が注目されています。嚥下機能を評価する方法の一つとして、嚥下内視鏡検査(VE)を実施し、今後の食事の仕方や食形態について検討していきます。入院中の患者様には、嚥下リハビリテーションを実施しております。複雑な嚥下改善手術が必要な場合は、専門的な施設へご紹介させていただきます。
腫瘍性病変については、当科にて組織生検(病変の一部を採取します)を行い、病理検査にて診断いたします。悪性腫瘍や手術加療が必要な疾患であれば、適切な近隣施設へご紹介し治療を受けていただきます。
しこりが触れるなどが代表的な症状です。
甲状腺、耳下腺、顎下腺、頸部リンパ節の病気により頸部にしこりが触れることがあります。超音波で病変を見ながら病変に針を刺して細胞を吸引する検査(FNA:穿刺吸引細胞診)を施行し、癌などの悪性の病気かを判断します。悪性腫瘍や手術加療が必要と判断した場合は、適切な近隣の施設へご紹介させていただきます。
氏名 | 佐藤 宏昭 | 役職 | 耳鼻咽喉科科長 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
学歴 | 昭和57年・京都大学卒 | 専門 | 耳科学・聴覚医学 | ||||||||||||||
学会 資格 |
|
氏名 | 堀江 理恵 | 役職 | |||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
学歴 | 平成23年・京都大学大学院卒 京都大学医学博士 |
専門 | 耳科学・聴覚医学・遺伝医学・小児耳鼻咽喉科学 | ||||||||||||||||||||||||
学会 資格 |
|