放射線技術課では各診療科医からの依頼により診療放射線業務を行っている部署です。各検査、装置ごとに放射線の特性や最先端機器の原理を理解した診療放射線技師が対応し、安全で正確な検査に努めています。また放射線の影響がないように、必要最低限の適正な放射線量で安心して検査を受けていただく努力を日々行っています。
その実績を認められ、日本診療放射線技師会より京都で最初の「医療被ばく低減施設」の認定を受けました。
X線一般撮影(胸部・腹部撮影、骨系撮影、歯科パノラマ撮影、骨密度測定、乳房撮影など)、CT、MRI、X線透視下での造影、血管造影(血管内治療を含む)、内視鏡的X線透視検査などの特殊な検査を行っています。検査結果はデジタル画像で出力され、院内の電子カルテシステムと連携することで迅速な情報提供が可能です。
放射線技術課では、診療放射線技師一人ひとりの能力の向上に努めています。部内の勉強会をはじめ、院内外での研修会や学会へ積極的に参加し、更なる知識や技能の向上に努めています。当院の理念である「なくてはならない病院」を目指すを目標に、親しみの持てる部門を目指しています。
医療被ばく低減施設認定サーベイヤー 1名
X線CT認定技師 2名
第1種放射線取扱主任者 1名
磁気共鳴専門技術者 1名
肺がんCT検診認定技師 1名
Ai認定診療放射線技師 1名
臨床実習指導教員 5名
検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師 3名
放射線管理士 4名
放射線機器管理士 4名
医療画像情報精度管理士 1名
放射線被ばく相談員 2名
アドバンス診療放射線技師 2名
一般撮影装置 | RADspeed Pro(島津) | 3台 |
マンモグラフィ | Pe・ru・ru LaPlus(Canon) | |
パノラマ | Hyper-G (朝日レントゲン) | |
デンタル | ALULA(朝日レントゲン) | |
透視台 | SONIALVISION G4(島津) | 3台 |
CT | IQon Spectral CT(フィリップス) | |
CT | Aquilion Serve(Canon) | |
MRI 3T | Ingenia(フィリップス) | |
MRI 1.5T | Prodiva(フィリップス) | |
心臓カテーテル | Trinias(島津) | バイプレーン |
外科用イメージ | OPESCOPE ACTINO(島津) | 3台 |
ポータブル | MobileDaRt(島津) | |
ポータブル | DR-XD(富士フィルム) |
一般撮影室では、3室に最新の撮影機器FPD(フラットパネルディテクタ)を導入し、骨、胸部、腹部、小児撮影等のX線撮影を行っています。このFPDは富士フィルム製で、従来のシステムに比べ被ばく線量を大幅に減らすことが可能になり、なおかつ画質を向上させることができました。さらに、写真を瞬時に確認できるためスムーズに撮影を行うことができるようになっています。
近年、乳がんの罹患者数は増加しており、乳がんの早期発見がより一層求められています。
マンモグラフィはX線を使用して乳房を圧迫して撮影することで乳腺の疾患を発見する検査です。特に乳がんの初期症状のひとつである石灰化を写し出すことに優れています。当院では日本乳がん検診精度管理中央機構の認定施設であり、検診マンモグラフィ撮影の認定を受けた女性技師が撮影を担当しますので安心して検査を受けていただけます。
また、2023年12月より新たにトモシンセシス撮影にも対応しております。
トモシンセシス画像とは3Dマンモグラフィとも呼ばれており、従来のマンモグラフィ同様にX線を用いて乳房を多方向から撮影し、再構成を行うことで複数枚の断層画像として奥行き方向の情報を得ることができます。トモシンセシス撮影の被ばく線量は従来のマンモグラフィ2D画像と同等の量で検査が可能となっています。従来のマンモグラフィ撮影に追加して撮影することで、正常乳腺の中に隠れていた病変の検出能に優れております。逆に正常な乳腺組織なのか病変なのかの判断が難しかった方でも病変がないと診断をつけることも可能です。
撮影方法はマンモグラフィと同様に乳房を挟み撮影を行います。
一度の圧迫で従来のマンモグラフィ画像とトモシンセシス画像両方の情報を得ることができ、撮影時間は10~20秒程度です。
マンモグラフィ
上顎下顎を含む歯列全体を撮影するパノラマ撮影と特定の歯を撮影するデンタル撮影を装備しています。
パノラマ撮影装置
デンタル撮影装置
島津製のSonialVision G4を3台駆使し、主に内視鏡検査、腹部血管造影、泌尿器科、整形外科等の検査にも対応しています。また骨密度検査やトモシンセシス、長尺撮影も可能です。
CTはX線を人体の多方向から照射して得られた情報をコンピューターで計算することによって、人体の断面画像を得る装置です。最近では断面だけでなく、3D画像を構築し手術支援にも利用します。
当院は、フィリップス製のIQonという2層検出器型という特殊なスペクトラルCTを導入しました。一般的なCTが1回の撮影に対し1種類の画像しか作成できませんが、このCTは多種の画像作成が可能です。その一つに仮想単色X線画像があります。CTで使うX線は連続エネルギーでそれぞれのエネルギーを分離できません。スペクトラルCTではエネルギーを分離し仮想的に異なるエネルギー画像を作成することができます。高エネルギーレベルではアーチファクト(偽像)の軽減、低エネルギーレベルではコントラストの向上で診断能を上げることができます。
またスペクトラルCTの特性を利用して物質弁別などの機能イメージングも可能になり、検査のレベルが飛躍的に向上しています。
2023年12月、救急室に新規CT装置としてCanon社製Aquilion Serveを導入しました。当院では2台目のCT装置であり、救急患者様を待たせることなく円滑な検査が可能となりました。素早い撮影はもちろん、800mmの大開口径であり、寝台が低い位置まで下がり、広い幅の天板により患者様の負担を軽減し“やさしい”CT検査を提供できます。
ディープラーニングを用いて設計した「AiCE‐i」と呼ばれる先進の画像再構成技術が搭載されており、高画質と低被ばくを両立させています。また、新技術「3D Landmark Scan」により正確な位置決め画像を撮りつつ横断像の情報もあり、救急患者様の次の対応を一歩早く取りやすいという特徴もあります。
CT(IQon)
CT(Aquilion Serve)
MRI(磁気共鳴画像)は強力な電磁石を使用した装置の中に入り、磁場と電波を用いて体の断面像や臓器・血管の撮影を行う検査です。放射線を用いないので被ばくの心配はありません。様々な病巣を発見することができますが、特に脳や脊髄、関節、子宮、卵巣、前立腺等の病変に関して優れた描出能があります。また、造影剤を使わずに血管の描出を行うことも可能です。
当院では2019年11月にPHILIPS社製のIngenia3.0テスラ、Prodiva1.5テスラを導入しました。従来に比べ画質も向上し、短時間撮影が可能になりました。また、2台稼働となったことで検査の予約待ちも大幅に改善されています。
強力な磁場の中で撮影するため、金属類の持ち込みは厳禁です。また、ペースメーカーを装着している方は対応型を除いてMRI検査ができません。手術等で体内に金属のある方もMRI検査ができない場合もありますので、必ず主治医にご相談ください。安心・安全な検査に努めていますので、確認作業にご協力をよろしくお願いします。
3テスラMRI
1.5テスラMRI
心臓カテーテル検査は心臓の血管に造影剤という薬剤を注入し、連続的に撮影することにより血管の性状・血行動態の診断や目的臓器の病態を診断する方法です。また検査だけでなく、カテーテルを介して血管の中から治療も行います。これを血管内治療Interventional radiology(IVR)と言い、開胸手術なしで狭心症や心筋梗塞の治療も行います。