京都民医連中央病院研修管理委員会
Ⅲ. 選択科研修
選択研修期間中に必修科、選択必修科以外に選択できる選択科研修のプログラムは以下のとおり。
1. 整形外科研修
【一般目標(GIO)】
日常診療で遭遇する整形外科のコモンディジーズに対する理解を深め、一定の診断対処能力を身に付ける。
【行動目標(SBOs)】
1)よくある脊椎・関節の疾患の病態・診断・治療法の概要を理解する
- 変形性膝関節症、股関節症
- 腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変形性脊椎症
- 頸椎症性脊髄症、神経根症、肩関節周囲炎、関節リウマチ、痛風、偽痛風、など
- 膝の関節穿刺など一定の手技の経験
2)診断上基本の一つである神経学的な診断能力を身に付ける
- 脊髄症、神経根症、Entrapment Neuropathy(手根管症候群など)
3)高齢者によくある代表的外傷の診断と手術、リハビリ含めた経過の概要を理解する。
4)「1)」「2)」「3)」に必要なXP、MRなど画像診断について理解を深める。いうまでもないが、整形外科診断の基本は正しい病歴聴取、理学所見であり、画像診断のみにて正しい診断には至らない。
【方略(strategy)】
病棟研修:代表的疾患について担当医となり、主治医とともに診療にあたる。週一回、全医師、PT、OTによる総回診を行う。
- 手術、脊髄造影など検査も参加する
- カンファレンス:
医師による術前、術後カンファレンス
病棟でのPT、OT、看護師、MSWによる全症例カンファレンス
- 抄読会:早朝週2回、他適宜学習会を行う
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2. 泌尿器科研修
研修期間は4週間とする。
【獲得目標】
- 泌尿器科の解剖、生理を学ぶ
- 泌尿器疾患の基本的診察法・検査法を学ぶ
尿検査法、泌尿器科検査法、X線検査法、腎機能検査法、分泌液検査法
- 泌尿器疾患の診察と処置を学ぶ
副腎疾患、腎・尿管の疾患、膀胱の疾患、尿道の疾患、陰茎の疾患、陰嚢内容の疾患、前立腺・精嚢の疾患、尿ろう、後腹膜腫瘍
- 泌尿器科手術の基本を学ぶ
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3. 眼科研修
研修期間は4週間とする。
京都第一赤十字病院で行う。
【獲得目標】
- 一般医としてプライマリケアに必要な眼科の初歩的知識、及び治療技術について学ぶ。他疾患と誤診しやすい疾患、及び他領域との関連が密接な眼科疾患についての理解を深める
(1)外傷、救急疾患(緑内障眼圧上昇発作、網膜剥離、眼底出血)の診断と処置
(2)伝染性ウイルス疾患、角膜疾患、結膜疾患の診断と処置
(3)糖尿病疾患、肝疾患などと眼疾患の関連
- 外来での検査を経験し、理解する。
(1)問診、視診
(2)視力検査、屈折調整検査、眼位、眼球運動、瞳孔、簡単な視野及び色覚検査、斜照法及び微照法による前眼部中間透光検査、細隙燈顕微鏡による前眼部中間透光体検査、直像鏡による眼底検査法
(3)眼底カメラ撮影法、眼底写真の見方、眼圧測定法
- 一般的な眼科処置、救急処置を習得する。
(1)点眼、洗眼、眼局所麻酔法
(2)異物除去法、眼外傷に対する救急処置、表粒腫切開
(3)染性ウイルス疾患、角膜疾患、結膜疾患の処置
(4)コンタクトレンズの着脱、及びコンタクトレンズによる眼障害
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4. 耳鼻咽喉科研修
研修期間は4週間とする。
京都第一赤十字病院で行う。
【獲得目標】
- 耳鼻咽喉科領域の診察の基本を学ぶ
(1)解剖、生理を熟知する
(2)救急患者の対応を習得する。鼻出血、めまい、咽喉頭異物、呼吸困難など
(3)他科領域と関連ある疾患の取り扱いを習得する
(4)小児も含め、適切な問診ができる能力を養う
- 検査
外来で行いうる検査を理解し、実際に行う
耳鏡検査、鼻鏡検査、標準音検査、常用平行機能検査、臭覚検査、味覚検査、耳鼻咽喉ファイバースコピー、レントゲン検査及び読影など
- 処置及び治療の実際を学ぶ
(1)耳鼻咽喉科一般処置を習得する
(2)救急患者の診断と応急処置ができる能力を身に付ける。鼻出血、めまい、咽喉頭異物、呼吸困難など
(3)耳鼻科領域の手術の見学、助手を経験する
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5. 病理科研修
【獲得目標】
- 病院病理の意義と業務内容の理解
- 病理組織診、細胞診検体の取り扱いと標本作製について十分に理解し習熟する。
- 病理生検標本・細胞診標本の診断の実際について理解する。
- 病理切除標本について、各臓器毎の代表的病変の肉眼所見の取り方、切り出しの仕方、微視的所見の取り方を習得する。
- 電子顕微鏡、酵素抗体法、蛍光抗体法を理解する。
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6.緩和ケア科
研修期間は4週間とする。
【概要】
緩和ケア科は、緩和ケア病棟入院患者の診療を担っている。初期研修医は、1~2ヶ月間の研修期間中、緩和ケア病棟に入院している患者を上級医とともに受け持ち、緩和ケアに関する基礎的な診療能力を修得することを目標に研修する。
【一般目標(GIO)】
担がん患者のかかえる苦痛を軽減するために、患者の心理的社会的側面に配慮し、他職種と協力しながら、患者および患者家族のかかえる苦痛を評価し、緩和することができる。
【行動目標(SBOs)】
- 患者・患者家族の心理的社会的側面に配慮しながら、患者に寄り沿い支えることができる。
患者の苦痛を緩和するために、他職種スタッフの意見を聞き、協力して行動できる。
- 担がん患者の疼痛(種類・程度等)について評価できる。
- WHOの疼痛の三段階ラダーに沿った鎮痛薬の使用方法を理解できる。
- 担がん患者がかかえる疼痛以外の身体症状(呼吸困難、全身倦怠感、食欲不振、せん妄など)を認識し、対応できる。
- オピオイドの副作用に対して対応ができる。
- 患者の予後に応じた対応が適切にできる。
- 鎮静が必要なタイミングをスタッフとともに評価できる。
- 看取りに対して、患者家族に適切な配慮ができる。
- 臨終の立ち会いを経験する。
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