公益社団法人 京都保険会 京都民医連中央病院

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指導医の風景

2021年12月23日木曜日

当院のブロガー

医師ブログってありますよね。

凄いブログは本当に凄くて、教科書よりも分かりやすくて、ついついお世話になっちゃいます。

うちのブロガーがこちら。

コキュトレ

教科書いらずになる、呼吸器のレクチャーブログです。

適度にキャッチーで、めちゃ分かりやすいですよ。気になった人はブックマークしてください!

2021年12月14日火曜日

医報

うちの病院は毎年、医報を出してます。

この規模の病院でこれをやってるところって、実はあんまりないはず。

去年の業績です。アカデミックな部分も活発なのが強みです。

2021年11月24日水曜日

紅葉の嵐山

すっかり寒くなってきましたね。

京都もすっかり秋模様。

うちは京都は太秦、嵐山にすぐ行ける、はんなりした場所にあります。

当直明けに、ちょっと立ち寄ることだってできちゃいます。

2021年11月17日水曜日

専門医をとる裏技

みなさん、専門医を取る時の一番のハードルは何ですか?

そう、論文ですね!

3つくらい論文がいるとかは、どの学会でもザラにあると思います。
で、実は論文を貯める裏技が、

「レターを書くこと」

です!学会によってレターは認めないところもあるので要確認です。ただ、うまくいけば業績で認められます。

先週、レターの書き方に関する、専攻医のセミナーをしました。どこかのに参加にしたとかじゃないですよ。病院内主催のやつですよ。
系列のあすかい病院の先生に講師をしてもらいました。

ワークショップ形式。全部で3グループありました。凄いのは、本当にレターを投稿すること。

後で提出するという宿題もあるのですが、3つ投稿します。

どこかアクセプトされますように!

2021年7月26日月曜日

【一問一答】民医連の勤務で気になるところ、全部言っちゃうね【再掲】

今回はまとめ記事です。公式情報では分かりにくいけど気になる、生の声を1年目研修医に聞きました。一問一答形式でお届けします!

Q:社員寮はありますか?
A:ありません。家賃補助はでます。(初期研修医は12,000円)

Q:定時は何時ですか?
A:8:45~17:15です。

Q:とはいうものの、どれくらい働いてますか?
A:早くて18時30分、遅くて20時くらいまでです。

Q:昼ごはんは食べれていますか?
A:大抵食べられます。

Q:外の病院との交流はありますか?
A:民医連の関連病院との発表会はあります。他院の先生の研修医向けの院内講演もあります。

Q:学会には参加していますか?
A:まだ参加していません。

Q:図書室はありますか?
A:医局の中に図書コーナーはあります。扱う雑誌の種類は、この規模の病院では標準的だと思います。

Q:Up To Dateは見れますか?
A:最近見れるようになりました!

Q:研修医はどれくらい治療に関わりますか?
A: 完全一人ではなく、上に相談しながらです。上級医が先に決めて後追いすることもあれば、自分で考えて上級医に相談することもあります。

Q:研修医は2年間たったらどれくらいの処置ができるようになっていますか?
A:ある程度の中心静脈穿刺、腰椎穿刺、Aline、胸腔穿刺、挿管などです。

Q:怖い先生や看護師さんはいませんか?
A:いません!でも、中にいる人間が言ってもあんまり信憑性ないですね。いや、個人的にはホントにいないと思うんですよ(汗)

Q:飲み会はよくありますか?
A:今は新型コロナ肺炎のためできないですが、研修医同士はその学年次第です。上の先生との飲み会は多分少ない方です。既婚者も多いので、新型コロナ肺炎関係なくあまりないです。

Q:体育会系の雰囲気ですか?
A:ちがいます。

Q:女性の割合は?
A:ここ数年は研修医の半分が女子です

Q:夏休みはありますか?
A:あります!夏季休暇3日+有給+土日を組み合わせて、最大9連休になります。

2021年7月15日木曜日

当直が始まりました(5月投稿分)

うちの病院では、1年目研修医の当直は5月から始まります。

さて、昨日は1年目研修医との当直でした。一晩で対応したのは17症例。そのうち、半分弱くらいは研修医にも関わって、最初に患者対応してもらいました。

一晩仕事して、積極的に関われいてて、自分が1年目の時より全然優秀ですね😃

これからも学ぶ事だらけだと思うけど、将来の優秀なドクターに向けてこちらもサポートができたらと思います!

2021年7月6日火曜日

当院のコンビニ紹介

コンビニはちゃんと大手のが入ってる?

そんな疑問にお答えします。京都民医連のコンビニ事情。

百聞は一見に如かず。こちらをどうぞ!

昭和の売店のって雰囲気のではなく、しっかり大手のコンビニです。

24時間ではないです。7時から19時(土日祝は9時から15時)です。
当直の時はお弁当は出るのですが、追加で何か欲しい時は閉まる前に行かなければなりません。

2021年6月30日水曜日

研修開始1ヶ月たって…(6月投稿分)

1年目の研修医が働き始めて1ヶ月経ちました。総合内科では、1ヶ月目のフィードバックを行いました。

社会人としても1ヶ月ってことだし慣れないことも多いだろうけど、電カルの使い方とかにもだいぶ慣れてきたかなと思います。カンファでのプレゼンも、初回に比べると型を意識したものになっています!

2ヶ月目は、自分から方針を提案したり、手技をそろそろ経験していくのが目標だそうです。この調子で研修を進めていければと思います!

2021年6月14日月曜日

医局のデスク紹介

医局の机が古くない?狭かったりしない?

今日は京都民医連の、医局のデスク事情をお答えします。

百聞は一見にしかず。まずはこちらをどうぞ。

いかがですか?ホワイトのシンプルな机です。
幅90cm。机の上に本棚を置くスペースが2段あります。

メリットは
・新しい
・キレイ
・横との間に区切りがある

デメリットは
・引き出しがない。(一応あるがものがあまり入らない)
・机の奥に変な隙間がある。

あと、足元にもモノを置くスペースが2段あります。

2021年6月11日金曜日

研修開始2週間(5月投稿分)

2週間たちました。

みなさん、どこまで成長できたでしょうか。

・オーダーなどの病棟業務
少しずつ慣れてきていて、自分自身でできる範囲が増えてきているみたいです。

・プレゼン
総合内科で毎週行っているプレゼン。主訴、現病歴、既往歴…みたいな「型」が少しずつ身についてきているように思います!

・手技
今年から、経験した手技の見える化を始めました。

青が見学したもの。赤が経験したものです。さすがにまだ経験したのは少ないですが、青のシールがついた部分は、よほど難しい症例でない限りは次回からは経験してもらいます。

まだ慣れなくて大変だと思うけど、少しずつ成長が感じられます!

2021年6月4日金曜日

【まとめ】当直のシステムとか、生の声をお届けします【再載】

さて、今回は病院公式情報では伝わりにくい、当直体制をご紹介します!

一晩の当直は、以下の4人体制。
・内科救急当直
・内科病棟当直:緩和ケア病棟、包括ケア病棟なども担当
・外科当直:救急病棟両方
・産婦人科当直
・小児科当直(拘束体制の場合もあり)

当直ではないですが、外線で相談できる消化器当番、循環器当番、透析当番、(小児科当番)、整形当番、精神科当番、緩和ケア当番があります。神経はありません。日によって救急当番に研修医が入る時と入らない時があって、研修医がいるときは彼らが最初に対応します。

内科でいうと、若い世代が救急当直にあたるとかではなく、救急当直、病棟当直両方あたります。1か月で3回前後です。

睡眠時間は日によって変わります。一睡もとれない日はほとんどないけど、荒れた時は1時間程度、平和な夜は6時間という日もあります。その中間くらいが平均的だと思います。救急は21時くらいまではかなり混みます。なので、人数に余裕があれば、21時までの当直、21時から翌朝の当直と分けています。

当直明けは12時45分まで。自分の担当患者さんをみて終わりです。明確なルールがあるわけではないですが、みんなで協力しあって当直明けは当番などが極力あたらないようにしています

2021年5月18日火曜日

【まとめ】勉強会、カンファは十分にあるの?かと言って多すぎたりしない?【再掲】

今回は、病院公式情報では伝わりにくい、研修医が関わる勉強会をまとめました。

総合内科カンファレンス
月曜 11:00~12:00
木曜 11:00~12:00
研修医は担当している患者さんのプレゼンをします。初回の患者さんはフルで、2回目以降は短縮しています。研修医1人あたり20分程度。

症例検討会
月曜 12:30~13:30
水曜 12:30~13:30
金曜 12:30~13:30
1回あたり当番の研修医が1人、救急で見たか担当している患者を発表します。

臨床推論
木曜 12:30~13:30

心電図
火曜 12:30~13:30

呼吸器レクチャー
月曜17:30~18:00、5月~8月
レントゲン、肺炎、喘息、胸水、人工呼吸器など、テーマに沿ってレクチャーをしています。

松本謙太郎先生の総合内科教育回診
毎月1回 不定期

外国人講師による研修指導
月1回(土)不定期

 

2021年5月11日火曜日

新しい研修医指導「レジデントの基本」レクチャー

今年から始めた、「レジデントの基本」レクチャー。

第1回目を火曜日に行いました。

テーマは「輸液の選び方」。プレゼンターは5年目の専攻医の先生です。

医者になってから真っ先に勉強する内容なのに、大学でこれってあんまりやらないんですよね。自分も研修医のときには「学校で教えてくれたら良かったのに」って思ってました。

研修医の最初は右も左も分からない。つまり、何を勉強していいか分からない。

全5回、このレクチャーシリーズで、キホンのキホンくらいは伝えられたらなと思います。

自分が聞いてる分には、30分で要点もまとまって分かりやすかったけど、研修医に伝わってたらいいなと。最後にはフィードバックももらわねば。

  

2021年4月30日金曜日

手技件数の見える化

医局のホワイトボードに、こんな表を貼ってみました。

縦が手技、横が各研修医。

当たってない手技がある研修医をなくすため、研修医ごとに経験した手技をホワイトボードの表に書き込んでもらいます。
総合内科で発生した手技は、基本的に当たってない研修医にコールです。

全員満遍なく、十分に手技を経験してもらいたい!

  

2021年4月27日火曜日

新たな研修医教育

今年は新たな研修医教育をいくつか始めてます。

朝のチーム回診

朝9時頃から、上級医と一緒にラウンドをします。身体所見の取り方とか、プレゼンだけじゃなくて、患者さんとの関わり方とか、1日の方針の確認とかまでできたらと思います。

 

手技件数の見える化

当たってない手技がある研修医をなくすため、研修医ごとに経験した手技をホワイトボードの表に書き込んでもらいます。総合内科で発生した手技は、基本的に当たってない研修医にコールです。

救急でのルート採血、動脈採血

ルート採血の練習の場が実は少なかったので、総合内科ローテ中に1コマつくり、救急車症例のルート採血を担当するようにしました。

 

「レジデントの基本」レクチャー

輸液の選び方とか頓用薬とか、医者になって最初に勉強する内容のレクチャーをします。最初の2ヶ月、専攻医が全5回にわたって行います。

どれも新たな取り組み。来年以降も続けられるように、修正を加えながら、いい形に作り上げたいです。

 

  

2021年4月19日月曜日

病棟デビュー

先週から今年の研修医1年目が病棟デビューしました。

初日午前からいきなり新患をカンファレンスでプレゼンで大変だったけど、上手くしてくれてました。

今年は新しい研修制度もいろいろ始めてるから、教える側も気合いが入ります。頑張っていきます!

 

2021年2月19日金曜日

コロナ禍の背後で失われているもの

先日、総合内科の勉強会で、コロナ禍の背後で失われているもの、というテーマでミニレクチャーを行いました。コロナ、コロナと医療者も含めた社会全体の注意がコロナに向いている中、通常医療がどの程度影響を受けているのかという視点です。海外の報告が中心ですが興味深い内容が多かったです。

まずは、定期予防接種への影響です。日本小児科学会のホームページでも定期予防接種の接種人数の低下の情報がありますが、世界的には1億人以上の小児が麻疹ワクチンの接種機会を逃すリスクがあると米国CDCより報告されています。

また、非感染性疾患の医療が影響を受けている国が非常に多いとのWHOのニュースもあります。これによると、高血圧への医療サービスが53%の国で影響を受けており、糖尿病は49%、癌は42%、心血管救急は31%、リハビリテーションに到っては63%の国で影響を受けているようです。また、日常病の診療における初診や初回処方を検討した英国からの報告では、糖尿病、心血管疾患、鬱や不安障害の初診患者がほぼ半減していたり、メトホルミンや低用量アスピリン、ACE阻害薬やSSRIの初回処方も30~50%近く減少しています。

悪性疾患のスクリーニングがロックダウンにより行われなくなることで超過死亡が増えるとのモデル研究も行われています。英国では乳癌、大腸癌、肺癌、食道癌合わせて5年間で3000人以上の超過死亡が生じる、米国でも大腸癌と乳癌で数千人単位の超過死亡が生じるとされています。

心肺蘇生の分野でも影響が深刻で、10篇の研究をまとめたシステマティックレビューでは院外心停止が120%増加し、AED使用例や心拍再開例が60%程度に減少したと報告されています。当院でも時々院外心停止事例の救急搬入がありますが、これまでより比較的若年者の搬入依頼も増えています。

COVID-19のパンデミックにおいて、ワクチンが重要なゲームチェンジャーと期待されていますが、こうした非COVID-19への影響も緩和されることを願っています。

参考文献
1. 日本小児科学会. 新型コロナウイルス感染症流行時における小児への予防接種について.
2. CDC. COVID-19's Impact on Measles Vaccination Coverage.
3. WHO. COVID-19 significantly impacts health services for noncommunicable diseases. (以上は全て最終アクセス2021年2月18日)
4. Williams R, et al. Diagnosis of physical and mental health conditions in primary care during the COVID-19 pandemic: a retrospective cohort study. Lancet Public Health. 2020 Oct;5(10):e543-e550.
5. Maringe C, et al. The impact of the COVID-19 pandemic on cancer deaths due to delays in diagnosis in England, UK: a national, population-based, modelling study. Lancet Oncol. 2020 Aug;21(8):1023-1034.
6. Sharpless NE. COVID-19 and cancer. Science. 2020 Jun 19;368(6497):1290.
7. Lim ZJ, et al. Incidence and outcome of out-of-hospital cardiac arrests in the COVID-19 era: A systematic review and meta-analysis. Resuscitation. 2020 Dec;157:248-258.

 

2021年1月19日火曜日

年始所感  コロナ問題で面白かった4冊 その3

共通項として考えていたのは、日本には感染症疫学の専門家が本当に不足しているということです。厚生労働省や国立感染症研究所で職員数を増やすとの情報があり、今回のCOVID-19への対応での人手不足が深刻ということもあり理解できるのですが、感染症疫学をはじめとした高い専門性を持った職員をどのくらい増やすのか、また何年がかりで何名育てていくのかの情報はありません。明確なプラン無く箱物に入る人員を増やした場合、西浦教授のように本当に必要な人材が箱の外にいると、箱の中の人間がそれを疎んじ、遠ざけ、真に必要な対策が取れなくなる恐れもあります。

先進国の知見を学び持ち帰り、日本の実情に合った取り組みを進めるのは、明治維新以来、日本の得意とするところです。その1でも触れましたが、こうした人財育成プランにかんしても、台湾などの取り組みから学んでいくべきなのでしょう。COVID-19が社会のあらゆる領域に影響を与えている今、「レイワ・リストレーション(令和維新)!!」なんて叫んでみたくなる今日この頃です。

 

2021年1月12日火曜日

年始所感  コロナ問題で面白かった4冊 その2

まだまだ面白い著作がつづきます。

2冊目には、村中璃子「新型コロナから見えた日本の弱点~国防としての感染症~」(光文社新書)を挙げたいと思います。「10万個の子宮」でも知られる著者は医師かつジャーナリストであり、今回のCOVID-19パンデミックにおいても、多角的な検討から学び取れることが無数にあります。WHOの初動に疑義を呈するあたりは勿論のこと、感染症学が敗戦国や植民国における支配者の学問であるとか、バイオセーフティレベル(BSL)4施設問題をめぐる混迷の話、2014年からのエボラウイルス病の流行の際に他の国々が軍を伴う支援を展開してウイルス検体を必死になって集めている中、日本が国際的ウイルス共有ネットワークから仲間なずれとなっていた話など、感染症対策は‘学’だけでは成り立たないことがひしひしと伝わってきます。時々変な閑話休題が入ったり、ここぞというところで「~だろうか」という推測になってしまうのは残念ですが、それでも本書の価値は高いと思います。

経済・社会問題に関しては、クラウス・シュワブ,ティエリ・マルレ「グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界」(日経ナショナルジオグラフィック社)を挙げたいと思います。ダボス会議創設者たちの共著ですが、本書ではCOVID-19のインパクトを第二次世界大戦といい勝負と述べられています。また現代社会を相互依存、スピード、複雑性という3つの力で形作られているとしています。今回のパンデミックでは感染症、公衆衛生、経済、社会の専門家が政策決定者に助言しているが、学問の領域をまたいで物事を一歩引いて眺める視点こそが求められているものの、それは非常に難しいことです。さらに、今回のような超ハイスピードのパンデミックへの備えは大多数の国にはなく、より多くの情報や分析が得られるもののより短時間で決断を迫られています。複雑性を増した現代社会では、パンデミックの連鎖反応の果てに起こることの予測は非常に難しくなります。パンデミックの影響を、経済、社会、地政学、環境、テクノロジーの要素、特定の業界や企業、個人レベルで考察する視点は、他の本やウェブでは見られない興味深いものがあります。

最後は12月に出版された西浦博,川端裕人「理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!」(中央公論新社)です。医療従事者には必読と言って良いでしょう。「8割おじさん」こと西浦教授の取り組みを、2019年12月31日から2020年6月の「卒論」の提出まで、ノンフィクション作家の川端氏が聞き取りするという形式をとっています。西浦研究室の報告をピアレビューできる日本在住の研究者は研究室のメンバーだけとか、科学コミュニケーションで科学とは関係ない部分で足を引っ張られるとか、えぐい内容が随所に見られています。色々な分野の色々な人に助けられた、という美談もたくさんありますが、パンデミック対策のためそこにあるべき組織内で助けられたという話ではなく、つまり本来必要なはずの支援体制の欠乏ともとれます。

本書でも紹介されている「卒論」の資料は専門家有志の会のnoteにて公開されており(https://note.stopcovid19.jp/n/nc45d46870c25)、関係する医療者、特に今後感染症や公衆衛生を志している若手には是非目を通していただきたいと思います。

(つづく)

 

2021年1月5日火曜日

年始所感 「コロナ問題で面白かった4冊」その1

京都でもCOVID-19患者の増加が続き、当院でもたくさんの疑い例が受診したり、診断確定例が入院となっています。京都市全体での救急出動件数が10%以上減少している中で当院ではその影響は感じられないくらい、非COVID-19の方も多数受診され、多忙な日々が続いていました。研修医たちはCOVID-19疑い例も他の患者も分け隔てなく懸命に救急外来での診療に当たってくれており、嬉しい限りでした。

COVID-19に関してはかつてなく多量の論文やガイドラインが出版されフリーアクセスのものも多い中、日々アップデートしながら診療に臨んでいます。他方、様々な雑誌の特集や単行本も出版されており、なかなか目を通す余裕もなかったのですが、年始ともなり興味深かったものをいくつか振り返ってみたいと思います。ここでは日本語の単行本(翻訳本も含む)に限定して話を進めていきます。

まずは、野嶋剛「なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか」(扶桑社BOOK新書)を取り上げます。著者は日本を代表する台湾通で、台湾のSARS-CoV-2への対応につき多角的に検討されています。2003年のSARSへの対応の中で「台湾社会で起きたことのすべてが、今回の台湾の新型コロナウイルス対策にとって、本当の意味で学ぶべき教訓となっている。指揮系統の一本化、中央と地方の一致、対策の合理性、情報の透明化、必要な準備、法体系の整備など、SARSから得た課題を、その後の台湾は、一つずつ、マークシートを埋めるように丁寧に真摯にこなしてきた。だからこそ、「SARSの経験が生かされた」と言える資格が台湾にある」といいます。台湾では医師閣僚をはじめとして公衆衛生の専門家が重要な役割を占めていましたが、日本ではこの分野の専門家は少ないです。また、台湾では「2007年から、米CDCとの協力関係の中で、毎年五人の防疫医師を派遣し、米CDCから「エピデミック・インテリジェンス・サービス(EIS)」の訓練を受けている」といいますが、日本でもこのように優れた人材を海外留学へ送り出し、帰国後には要所要所のポストを与える取り組みを分かりやすく説明して欲しいと思います。

(つづく)

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