ホーム > 当院について > 病院報 > 病院報 2017年夏号 Vol.56 > 熱中症にかからないために
平成25年(2013年)の熱中症による全国の入院患者数は35,571人でした。また高齢者ほど熱中症発症割合が高く、地域別では関東、近畿、中部などの大都市圏で絶対数が多い結果でした。発症時期は梅雨明け後の7月中旬から8月上旬にかけてピークを迎え、発症時刻は12時および15時前後の日中が最も多いと報告されています。スポーツおよび労働による労作性熱中症は屋外での発症頻度が高く、高齢者では男女ともに日常生活のなかで起こる非労作性熱中症が多く、屋内での発症頻度が増加しています。また、重症例が多いことも特徴です。高齢者になるほど熱に対する感受性、体温調節能、活動レベルは低下し、基礎疾患を有する頻度が高いことが要因と考えられています。
熱中症では水分とともにナトリウムなどの電解質の喪失があるので、運動や作業前に水分の補給に加えて適切な電解質の補給が重要です。スポーツドリンクで問題ありませんが、塩分量は比較的少なく、糖分が多いことを認識しておく必要があります。味噌汁がミネラル、塩分が豊富に含まれており、おすすめです。また通常の日常生活における水分補給の目安は1.2リットルで、500mlペットボトル2-3本分です。こうしたこまめな水分摂取に加えて暑さを避けるための行動(外出時間を意識する)や住まい(風通しをよくする。エアコンの使用)、衣服の工夫が重要です。
副院長・救急科科長 四方 典裕