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京都民医連中央病院報

病院報 2014年秋号 Vol.45

インフルエンザワクチン接種のおすすめ

京都民医連
太子道診療所 所長
宮岡 博之

 

今年もいよいよインフルエンザワクチンの季節がやってきます。この10数年の間にインフルエンザの診療が大きく変化しました。

治療については新しい薬も使用されるようになりました。2001年から日本でもタミフル、リレンザが使用できるようになり、それまでのアマンタジンにとってかわられました。2010年からは一回だけの使用で有効な注射薬や、吸入薬(イナビル)も利用可能になりました。

診断面でもほぼ同じ時期の1999年に迅速抗原検査キットが発売されました。その後より簡便な方法が速やかに開発され、特に国民皆保険制度のある日本で、早期診断・早期治療が確立していきました。

 

 

早期診断・治療が有効

元来健康な人に迅速検査と抗インフルエンザ薬を積極的に使用することは、先進国の中でも日本以外にはなく、世界の抗インフルエンザ薬の使用量の大半を日本で消費していたことに以前は批判もありました。タミフルに対する耐性のリスクも心配されていましたが、実際に耐性が生じたのは、使用量の少ない北欧が発端で自然耐性と考えられています。2009年の新型インフルエンザH1N1のパンデミック(世界的大流行)では米国ですら「H1N1らしい症状があれば自宅で安静」が診療方針でした。

日本の診療方針が真価を発揮したのが2009年3月メキシコでのアウトブレイクに始まった新型インフルエンザH1N1の流行= パンデミックにおいてでした。

米国ではパンデミック初期から妊婦、乳児へのタミフル投与を推奨しましたが、日本でも同様に妊婦、乳児への投与を推奨し、(異常行動が出現するとの疑いで使用を差し控えていた)10歳代の小児も含むすべての新型インフルエンザ患者に対するタミフル投与を推奨しました。流行のピークを迎えた11月頃になって、優先対象者順に不活化ワクチンを接種できるようになりました。しかし、その後は流行規模が縮小し、終息を迎えて行きました。

このパンデミックからいろいろな教訓が得られましたが、特に日本で行われていた早期治療がすぐれていたことが証明され、WHO(世界保健機関)は、基礎疾患のない生来健康な患者に対しても早期に治療することが理にかなっているとの論文を発表しました。

 

インフルエンザワクチンの積極的な接種を

このように、日本での国民皆保険を生かしたインフルエンザの早期診断、早期治療が大いに有効であったことは喜ばしいことですが、インフルエンザワクチンについては年々接種数を増加していった欧米とは逆に1994年の学童集団接種の中止を境に接種者が激減してしまい、その後高齢者死亡や乳幼児のインフルエンザ脳症が目立つようになりました。その反省から、欧米に遅れて学童だけでなく幼児、健康成人、高齢者に接種され始め、2008年には過去最高の接種量に回復しました。

季節性インフルエンザワクチンの予防効果が期待できるのは、接種した2週後(13歳未満のお子さんの場合は2回接種した後)から5カ月程度と考えられています。

インフルエンザワクチンは、発症をある程度おさえる効果や、かかっても重症になるのを一定程度防ぐ効果、また、まわりの人に感染が広がるのをおさえる効果を期待して接種します。以前にワクチン接種を受けたとき、接種後2日以内に発熱のみられた方、および全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を起こしたことがある方、鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを起こすおそれのある方などは接種を控えてください。

比較的多くみられる副反応には、接種した場所(局所)の赤み(発赤)、はれ(腫脹)、痛み(疼痛)などがあげられます。接種を受けられた方の10〜20%に起こりますが、通常2〜3日でなくなります。

全身性の反応としては、発熱、頭痛、寒気(悪寒)、だるさ(倦怠感)などがみられます。接種を受けられた方の5〜10%に起こり、こちらも通常2〜3日でなくなります。

京都民医連太子道診療所では、10月15日からインフルエンザワクチンの接種を開始します。予約は10月1日より受け付けます。積極的に接種をされるようお勧めいたします。

 

ご予約は075-822-2660

 

 

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