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京都民医連中央病院報

病院報 2014年春号 Vol.43

高齢者の終末期ケア検討チーム

副院長  川島 市郎

人は誰でも老い、そして死んでいく。医療現場では長い間、そんなあたり前のことから目を背け、忌み嫌ってきました。【死=敗北】といったイメージが医療人の中に根強く残っているからでしょう。私たちは、命の長さにこだわり、【一分一秒でも長く】を求めて努力を惜しみませんでした。そのため、有効とは思えなくても人工呼吸器を装着し、心臓マッサージを亡くなる全ての方に施してきました。あたかも、救命しえなかった無能さに免罪符をもらうかの如く、それは医師自身のために行う儀式のような場合もあり【患者の思い】は置き去りにされることがありました。

より長く生きることから、より良く生きること(QOL)に注目が集まりだしたのは私が医師になって間もない頃(4半世紀程前)でした。そして最近では人の尊厳に注目が集まりDignity Therapy(尊厳治療)という分野まで登場しています。人の尊厳のど真ん中に土足で踏み込む恐れを自覚しつつ、患者さまの思いをくみ取るスキルや態度の本質を見出していこうと考えています。【高齢者の終末期ケア検討チーム】でやりたいのはそんなあたりまえのことなのです。

 

チームで検討したいこと

患者さまの意思が医療に反映される仕組み作り。元気な時から自分の最期の時のことを決めておく仕組み作り。これはアドバンスケアプラニング 注1)(Advance care planning)や 事前指示 注2)(Advance Directive)と関連があります。

  • 食べられなくなった時、点滴を受けるのか、胃ろうを作るのか、何もしないのか。
  • 自力では呼吸ができなくなった時、人工呼吸器をつけるのか。
  • 心臓が止まった時、心臓マッサージを受けるのか。

こんな難しい決断を元気な時からできるようにサポートしていきたいと思っています。

 


注1) アドバンスケアプラニング(Advance care planning)

意思決定能力低下に備えての対応プロセス全体を指すもので、患者が治療を受けながら、自分に意思決定能力がなくなっても、自分が語ったことや書き残したものから自分の意思が尊重され、医療スタッフや家族が自分にとって最善の医療を選択してくれるだろうと患者が思えるケアを提供すること。

注2) 事前指示(Advance care planning)

事故や重症疾患によって意思決定能力が失われた時にどのような医療を希望、または拒否するのかを、意識が清明なうちに表明しておくこと。通常、事前指示は①リビングウィルと②医療代理人の指名からなる。

 

 

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