公益社団法人 京都保険会 京都民医連中央病院

検索

 

ホーム > 当院について > 病院報 > 病院報 2014年新春号 Vol.42 > 放射線科紹介

京都民医連中央病院報

病院報 2014年新春号 Vol.42

CTは急性疾患、慢性疾患を問わず有用です

放射線科紹介

放射線科科長
木村 一秀

当院では64列のCTを導入しております。
京都民医連太子道診療所のCTも2013年9月に16列へ更新いたしました。
本稿では急性腹症の患者さまの例で画像を呈示させていただきます。

 

図1は右下腹痛を訴え、腹膜刺激徴候を呈する75歳の女性の下腹部CTです。図1Aは単純CTです。図1A -aは軸位(水平)断像、図1A-bは冠状(前額)断像です。この画像は64列機器で撮像していますが16列機器でも大して遜色の無い冠状断像が構成できます。

図1Bは造影CTです。虫垂に壁肥厚・コントラスト増強を認め(図1B -bの緑枠)、これを中心に回盲部〜上行結腸吻側部に壁の肥厚も認められます(黄枠)。更に回盲部周囲には膿瘍を疑わせる被包化液体貯留も認められます(赤枠)。腹腔鏡下虫垂切除術が施行されました。急性虫垂炎が確認され、回盲部周囲は膿性腹水が充満していて腹膜炎の状態でした。 造影CTを追加すると情報が増えることが多いですが腎機能低下など造影をためらわせる患者さまの場合、単純CTのみでも急性炎症の有無など多くの情報が得られます。単純CTしかできなくても、特に放射線被曝に大きい問題の無い患者さまであればCTは極めて有用です。この患者さまのように腹腔〜後腹膜腔に脂肪の豊富な患者さまの場合は超音波検査で病変の状態が観察し難く、その意味でもCTは有用です。

図1 A 単純CT

CT画像

A-a 軸位(水平)断像

CT画像

A-b 冠状(前額)断像

 

図1 B 造影CT

CT画像

B-a

CT画像

B-b

 

図2 A 単純CT

CT画像

A-a

CT画像

A-b

図2 B 単純写真

CT画像

図2は右側腹に持続痛を訴える67歳の男性です。図2Aは単純CTです。右尿管に結石が認められます。図2Bは経過観察のための単純写真です。結石は右尿管膀胱移行部まで排石されています。一般的には右側腹痛というよりも腰痛として感じることの多い疾患であり、また緊急外科手術の適応になり難いこともあって、厳密には急性腹症でないかも知れませんが検査することによって初めて緊急外科手術の要否の分かる場合も多いです。尿管の内腔は造影CTで結石と同程度の吸収度に達し、結石の同定を阻害してしまいますから、単純CTTは必須です。

特に放射線被曝に問題があって「単純CTと造影CTとの両方は撮り難い」という場合、単純CTを選択するのが適切である場合も多いと考えます。比較的、急な症状の患者さまを2例だけ呈示いたしましたが、CTは急性疾患、慢性疾患を問わず有用です。今後も治療のための診断情報収集に寄与できるよう努めてまいります。 

読影報告書記載時の心構えといたしましては、指示医の先生が何を調べるために検査を指示してくださったかを考えるようにしております。手書きで下さいます御指示において、検査・読影に際して私どもが了解していることを期待してくださる内容に関しましては何卒、簡明な楷書で記入してくださいますようお願い申し上げます。勿論、本来の検査目的とは別に偶然みとめられる所見も重要なものは記載させていただきます。

 

 

 

Vol.42の目次に戻る