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京都民医連中央病院報

病院報 2010年夏号 Vol.28

野崎 明

野崎 明

外来化学療法って?

内科 野崎 明

2010年4月よりお世話になっております腫瘍内科の野崎と申します。腫瘍内科という単語に聞きなれない方が多数おられると思いますが、一般的に化学療法(抗がん剤治療)を中心にがん治療にたずさわる内科を指します。もともと消化器内科を専門としていましたが、消化器がんの化学療法を担当するうちに一度は集中的に勉強しないといけないと思い、日本で抗がん剤治療件数が一番多い東京の癌研究会有明病院の化学療法科で抗がん剤治療を学んできました。そこでは消化器がん以外に肺がん・乳がん・悪性リンパ腫など多数のがん患者さまを診る機会を得ました。

 

なぜ外来化学療法なのか

年々、がんの患者さまは増えています(図1)。そして、近年の医療技術の進歩、新薬の開発に伴い進行がんの患者さまでも元気な期間が長く過ごせるように、また昔なら治癒を目指せなかった患者さまが治癒を目指せるようになってきました。昔の抗がん剤は副作用が強く、長く入院で行うのが主流でしたが、近年は副作用が少ない割に効果のある抗がん剤が、また副作用を和らげるための薬の開発もすすみ外来管理がしやすくなってきたのも事実です。

がんの診断がついて抗がん剤治療が必要と言われたときに、ずっと病院に入院しながら抗がん剤治療をしなければならない時代は終わりました。入院していては自分の好きなように生活することができません。今でも一部入院が必要な時ももちろんありますが、多くの方は外来通院で治療を受けて帰られます。通院の合間にもちろん仕事や旅行(タイミングを合わせて毎月韓国に行かれていた患者さまもいました)、趣味や家族の団欒等大切な時間を過ごされている患者さまも多数おられます。

図1
なぜ外来化学療法なのか1

図2
なぜ外来化学療法なのか2

抗がん剤治療の役割

抗がん剤治療には大きくわけて次の4つがあります。①術前化学療法(主に乳がんで行う場合に乳房温存の割合が高くなる、切除不能であった大腸がん肝転移などが手術可能になる等)、②術後補助化学療法(ほとんどすべての固形がん:手術単独では再発するが化学療法を行うことで完全治癒を目指す)、③放射線化学療法(食道がんにおいては手術の代替選択肢になりえる、治療効果の増強)、④根治切除不能な進行・再発がんに対する緩和的化学療法(生存期間の延長やがんに伴う諸症状の改善)などがあげられます。

例をあげるときりがないのですが、たとえばリンパ節転移陽性のHER2陽性乳がんの方に現在の標準治療はAC-タキサンといった抗がん剤治療半年にハーセプチン1年を追加する治療を行いますが、手術単独であれば1000人再発する患者さまのうちこの術後補助化学療法を受けられると644人の方が再発を免れることができます(図2)。この事実を知っているのと知らないのとでは大違いで、日本全国では未だに適切な標準治療が行われていない病院があるのも事実です。少なくとも当院ではそのようなことがないように、むしろよりよい医療が提供できるようしっかりとした体制を整えていきたいと思います。

がん治療には適切な連携が重要

がん治療には多くの人が関わります。診断をする内科医だけでなく手術を行う外科医、治療に放射線照射を必要とする場合には放射線科医、がんに伴う苦痛がある場合は緩和ケアの専門家、こころの負担を和らげる精神科医、外来通院が困難な場合往診をしてくださる地域の先生方、もちろん医師だけでなく看護師や薬剤師などの各専門スタッフが皆で総力をあげていかによりよい医療を提供できるか密な協力が不可欠です。腫瘍内科医はただ抗がん剤治療をするだけの医師であってはなりません。残念ながら当院には放射線照射設備がありませんが必要な方には紹介をして治療を受けていただいています。2011年には緩和ケア病棟も開設しますので十分ながん治療を提供できる様、体制が整っていくものと思われます。

外来化学療法センターの開設

今まで述べたように、現在の抗がん剤治療は外来通院で行うのが主流です。今のところ、太子道診療所の処置室を使って外来化学療法を行っていますが、やはりアメニティーが十分とは言えません。このたび中央病院急性期医療の強化計画の一環として中央病院1階の一部を改築して2010年秋に外来化学療法センターを設けることとなりました。

がん専門病院の良いところを取り入れて、患者さまが安心して快適な外来化学療法を受けられるように配慮させて頂きました。まだまだ不十分な点もあるかとは思いますが、よりよい医療が提供できるよう取り組みますのでお気づきの点があればご意見を戴ければ幸いです。皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。

「奧入瀬」 photo 西田 修
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