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京都民医連中央病院報

病院報 2010年夏号 Vol.28

パーキンソン病について 後編

神経内科 中村 慎一

パーキンソン病の検査は?

姿勢反射障害の有無を見るためにpull test という検査を行う場合があります。

この検査は、患者さまに検者の前に検者に対して後ろ向きに立ってもらい、患者さまの上体を検者の方へ強く引きます。この時に患者さまのどちらかの足が後方へ反射的に素早く出れば、立ち直り反射は保たれています。立ち直り反射が障害されていると、そのままこちらへ倒れてきます。このように、姿勢反射障害があると転倒の原因となり、パーキンソン病のやっかいな症状です。

パーキンソン病の治療は?

パーキンソン病の治療は薬による治療、リハビリテーション治療、そして外科的治療があります。ここでは主に薬についてお話します。

現在は多種類のパーキンソン病薬が発売されており、症状に応じて組み合わせて使われています。パーキンソン病の運動障害の原因はドパミンと呼ばれる脳内物質の欠乏です。そこで、その不足したドパミンを補充する治療が薬物療法の中心になります。その薬はL-ドパ製剤と呼ばれるものです。L-ドパを服用しますと、腸から血液を介して脳に入り、神経細胞の中でドパミンへ変換され、不足しているドパミンを補います。L-ドパはパーキンソン病薬の中で最も効果の大きな薬です。このため、大切に長期にわたって使いますので、軽症の方は出来るだけL-ドパは使わず、他のパーキンソン病薬で治療することが普通です。たとえば、70歳以上の高齢者や若くても認知症のある方では病気の早期からL-ドパをお出しします。一方、70歳未満の患者さまではL-ドパ投与に先立って、その他の薬(ドパミン受容体作働薬などがあります)から開始することを日本や欧米の神経学会が勧めています。ただし、それはケースバイケースであり、L-ドパを使うかどうかは患者さまの仕事や家事の不自由さと秤にかけて考えています。パーキンソン病のお薬については注意すべきとても大切なことがあります。それは、パーキンソン病の薬は絶対に無断で中断しないということです。パーキンソン病のお薬の多くは急に中止すると「悪性症候群」という重篤な副作用が現れることがあるからです。

パーキンソン病の治療には以上の薬物療法に加えて、近年手術療法も行われています。脳内の運動系の神経を電気刺激する、脳深部刺激治療(deep brain stimulation, DBS)と呼ばれる方法です。無動症や振戦に効果があるとされています。また、リハビリテーションは重要で、主に入院患者さまに対して薬物治療と平行して行われています。

パーキンソン病は厚生労働省の特定疾患に指定されています。パーキンソン病で一定以上の重症度(ホーン・ヤール分類3度以上、日常生活重症度分類II度以上)であれば申請できます。ただし、血管性パーキンソニズムなどの二次性パーキンソニズムでないことを確認する必要があり、さまざまな検査を行うことがあります。

パーキンソン病の薬物治療は現在のところL-ドパ療法に代表されるような対症療法しかありません。しかも、まだまだその効果も不十分な状況です。しかし、近年の分子生物学的な研究でパーキンソン病の原因に迫る発見が相次いでいます。近い将来には根本的な原因療法が開発されることが期待されています。

 

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