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京都民医連中央病院報

病院報 2009年夏号 Vol.24

粉瘤(ふんりゅう)【アテローム】について

鳥取 洋昭

鳥取 洋昭

外科医師 鳥取 洋昭

首や背中に黒い小さな黒点を伴ったおできができてくることがあります。これは、粉瘤(アテローム)といって、皮下にできる良性腫瘍の一種です。めずらしい腫瘍ではなく、とても一般的な皮膚にできる腫瘍です。

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物(嚢腫(のうしゅ))ができ、皮膚から剥がれ落ちるはずの垢(角質)や皮膚の脂(皮脂)が、外に落ちずに袋の中にたまってしまってできたために起こるできものです。袋状のものは毛穴の表面に栓ができた結果であったり、皮膚が内側にめくれ込んでできるものなので、袋の壁は表皮と同様の構造をしています。(下図参照)

 

粉瘤【アテロームの構造】
粉瘤【アテロームの構造】

粉瘤はからだのどの部分にもできる可能性がありますが、特に顔や首、背中などに多くみられます。

粉瘤の主な症状は、皮膚表面に数ミリ~数センチの半球状様のしこりができます。多くはその真ん中に開口部である黒点があります。普通、痛みはありませんが、細菌による感染を起こしてしまうと、赤くなって腫れて痛みを伴います。

粉瘤の内容物は自然に出てくることもあるし、気になって自分で潰される方もおられますが、内容物が外に出ると異臭を放ちます。潰すことが細菌感染の原因になることもあります。小さい粉瘤では自然に治ることもあるようです。

粉瘤の治療は、皮膚の下にできた袋自体を取ってしまうことが必要です。袋を切除しないと再発することがあります。しかし、細菌感染で炎症(赤くはれてしまっている状態)を伴う場合は抗生剤を内服したり切開排膿したりして、まずは炎症を抑えます。炎症が治まったり、そもそも炎症がなければ、手術で袋を丸ごと取ったり、表面をくり抜いてその穴から袋の壁を取ったりします。表面をくり抜いてその穴から袋の壁を取ることは、炎症が少なければ排膿切開の際に同時に行うこともあります。

炎症を起こしたり、粉瘤自体が大きくなり手術の傷跡が大きくなったりする事を考えるとある程度の大きさで切除などをした方がいいかと思いますが、良性のものなので必ず切除しないといけないものではありません。

手術の傷痕に関しては、粉瘤の大きさや炎症を起こしていたかどうか、そもそもの個人差もありますが、基本的には大きく目立つ状態にはならないことが多いようです。

当院では、太子道診療所外科外来でご相談を受け、手術治療自体は京都民医連中央病院で日帰り手術を行っています。お気軽にご相談ください。

 

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