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第五十九回 倫理委員会 議事録

京都民医連中央病院

日時 2014年10月23日(木) 18:30〜20:20
場所

京都民医連中央病院西館3階

出席者

外部委員 小原克博委員長、原昌平副委員長、岩橋多恵委員、広瀬東栄子委員

内部委員 川島市郎副委員長、井上賀元委員、内田寛委員、冨田豊委員、那須徹也、東正一郎委員、平田恵美委員

事務局 影山大悟、根石明彦、丸山俊太郎

オブザーバー 川原初恵、寺前八重、吉中丈志、名嘉山一郎、深見知之

欠席

勝村久司委員、関谷直人委員、富永愛委員

 

議事

議事(1)「内部委員の就任について」

議事(2)「第58回倫理委員会議事録の確認」

小原 ただ今より第59回倫理委員会を開催させていただきます。議事に従って「(1)内部委員の就任について」ということで、新しい委員の方、自己紹介を宜しくお願いいたします。

那須 この度、委員に成らせていただきました那須という者です。当院内科で3年目をやらせていただいています。普段の業務を振り返ることは忙しくてなかなかできない面もありますが、倫理的なことについて勉強させていただきたいと思いますので、お願いします。

小原 お願いします。では次の(2)は、前回の議事録が資料Aとして付いていますけれども、既にメールで送らせていただいた内容ですので、ご確認いただきまして、何かあれば後ほどにご指摘いただければと思います。
では続きまして、「(3)事例検討」ですが、資料Bのご説明をお願いいたします。

議事(3)「事例検討」

※事例1例検討しました。

議事(4)「家族性腫瘍関連遺伝子検査について」

小原 では、次に前々回からの引き続きになりますが、「(4)家族性腫瘍関連遺伝子検査について」ということで、資料C1、C2は以前にお配りしたものと同じですが、それをご覧いただきながら、特に前回は遺伝カウンセラーに関しての問題が議論されましたので、その点を中心にこの件のご報告とご説明をお願いします。

名嘉山 乳腺外科の名嘉山です。前回は、「発端者については治療方針を徹底するには遺伝子検査が必要になってくるので、それは当院で行っても良いのではないか。ただ、遺伝子異常があるかどうか分からず、発症していない血縁者については、遺伝カウンセリングを行うのがベストではないかということで、非発症者の方々についての道筋を付けなさい」というご指示だったと思うので、京都府立医科大学の遺伝子診療部だったと思いますが、滝先生という方とお話をさせていただきまして、現状を意見交換させていただきました。
府立医大でもやはり、突発的にご本人だけが来て「乳癌の身内がいるから調べて欲しい」という人から、実際に乳癌に罹られた方からスタートしてというところまで、様々だそうです。で、「当院の乳癌患者さんで遺伝子異常が見つかったという方について、血縁の方をそちらにご紹介申しあげて、お願いしても良いでしょうか」ということは快くOKになり、その時に遺伝カウンセリングの手順も回していただけるということでした。
ただ最近、問題になっていますのは、乳癌になった人がBRCA1/2の異常はないという診断が出ても、実際に家族性の蓄積が多い家系では、発症していない人に遺伝子異常があることもあり、もう一つは、遺伝子異常があるという情報を患者さんが自分の治療方針のために調べた時に、その遺伝情報を血縁の者に教えるかどうかで、アメリカではいくつかの裁判例があるようですが、教えないといけないという判例もありますし、個人の情報なので感じやさん本人の判断に委ねられたら良いという判例もあって、結論が着いていない状態です。来月の第3週の土日に開催される遺伝性乳癌・卵巣癌のコンソーシアムに学習会がありまして、そういったことも議題になるのではないかということですので、それに参加しようと思っています。
そういう法的なことを含めた結論を待ちつつ、とりあえず、家族性乳癌・卵巣癌症候群の疑いが高い方について、ご本人が希望される場合、治療内容の一環として遺伝子検査をお勧めして、希望される方には受けていただくという方針にさせていただきたいと思います。また、非発症者の方については、ご希望があれば府立医大の方に紹介させていただくという流れで、判断をしていこうかと思っています。

小原 ありがとうございました。前回に話題になったことを受け止めて、ご報告をいただきました。今の説明の中にありました近親者に対して情報を開示するしないに関しては、資料C2の日本医学会のガイドラインにも、明確な形で記されていないということなんですね。では、この病院でこういったことを始めるとすると、どのように患者さんに指示することになりそうですか。何も言わないで、ある人は家族に言うかも知れないし、ある人は言わないかも知れないという形で、当事者任せにするのか、あるいは、この病院として何か方針を作っておいた方が良いというのか、その点についてはどうですか。

名嘉山 現状としては、個人情報というところからまだ一歩を踏み出せていないという状況なので、他施設の状況を見ましても、やはりご本人の意思にまず委ねるということになるかなと思います。後は、その家系の中での立ち位置がすごく問題なようで、自分がご高齢で身内の方も高齢化していて、卵巣を取らなければいけないということがないような人もいれば、若年で発症されてやはり小さいお子さん達の将来も考えてというところもあるので、ご本人の考え方が家系の中の立ち位置でずいぶん変わってくるという、アドバイスもいただきましたので、一概に「こうだ」ということを言いづらいということが現状としてあるようです。

小原 ご本人が近親者に話されるかそうでないかということに関しての、前提となる知識については、遺伝カウンセラーの方がきちんと情報を与えて下さると、理解して宜しいですか。

名嘉山 そうです。それと、遺伝子検査にはそういう内容が含まれていますので、こちらの方で検査をする時にも、十分に説明した後で検査を受けていただくことになると思います。

 府立医大に紹介するとおっしゃいましたが、府立医大にはカウンセリングの態勢があって、それを遺伝カウンセラーさんが行うという意味ですか。

名嘉山 はい、そうです。

 それで対応できると…。まぁ、行くかどうかはご本人の判断だと思いますが…。

川島 遺伝子異常がある場合、「子供さん達に伝えた方が良いのではないか」ということは言うわけですか。

名嘉山 そうです。2/1の確率で遺伝することや、病気とか遺伝子の状況、遺伝形式とか、そういったことはお伝えして、その上でどうされるかはご本人にお任せしますが、家族でそのリスクにどう向かい合っていくのかを考えていただくことになると思います。あくまで治療の一環で…、つまり、多発するとかいうことで「全部を取っておいた方が良いのではないか」とかいうように、ご本人の治療選択の上で問題にならないために遺伝子検査をするケースがあるということで、今回の場合も、癌ではなく治療の対象として考えていない方については、こちらから踏み込んでいくところまでは難しいのではないかということは、以前からのご指摘でしたので、それは、ご家族の方を含めて、遺伝カウンセリングとして相談に行っていただくという形にしたいと思います。

川島 予防医学みたいな視点になってしまうので、「一応、お勧めはするけど」ということですね。

名嘉山 そうですね。だから、その受け止め方がどうかというあたりが難しいのだと思うのです。

 カウンセリングの部分は、未発症の人はもちろん、発症者も保険が効かないということですか。使えそうな感じはないですか。

名嘉山 ないですね。

小原 前にも聞きましたが、このBRCA1/2の検査自体は幾らかかるのでしたか。

名嘉山 発端者の場合は24万円ですけども、発端者の方の遺伝子異常の場所が分かっている場合は、検査がずいぶん簡単になりますので、その1/4ぐらいの価格でご家族は調べられるということです。

吉中 保険診療が使えないというのは、要するに先進医療とか予防的なものだからということですが、他の遺伝疾患で使えるのもありますよね。

 いや、検査は使えないでしょうけども、カウンセリングって使えないのですかね。

吉中 使えないですね。病気の治療ということではないですから、診療報酬に載っていないです。

小原 BRCA1/2の検査に関して現状は、ファルコバイオシステムズが全てを行っているということですが、アメリカなどではもう複数あるようなので、今後に競合他社が出てくるみたいな動きはありますか。

名嘉山 それはあります。

小原 ちょっと気になるのは、前にテレビでコマーシャルを出して問題になったことがありましたが、これは多分、薬事要項で定められていると思うのですけれども、コマーシャルでそれを使うのに誘導するのを禁じられているのですね。それを、まさにアンジェリーナジョリーの事件の後に、ファルコがコマーシャルを出して、結果的に「関心のある方はこちらに…」みたいな形で誘導したということで、ちょっとした問題になったことはありますが、今は多分、落ち着いていると思います。

平田 発端者の方に検査をされるということですが、それで遺伝子を持っているということになったら、その後の治療はどういう感じでされるのですか。

名嘉山 一つは、同側の乳癌でも多発しやすいので、部分切除ではなくて全部を取った方が良いのではないかということ、対側の方も発癌するリスクが相当高いと言われていますので、予防的に乳房を取ったらどうかということになると思います。で、同時再建をするかといった選択肢もどんどん出てきますので、ご本人を悩ませる問題にはなると思うのですけども、何もない状況ではないので、そこまで調べるということを、今の乳癌治療の中では情報として提供しないといけないということになりつつありますので、その上で、もし検査を受けられて、そういう異常があった場合は、やはり予防的にどこまで進めていくのかということになりますね。例えば、この間テレビでやっていましたけども、「赤ちゃんにお乳をあげたいから、片方の乳房は失っても、片方は予防的切除ではなくて残したい」という方もいらっしゃいます。ですから、ご自身の将来的な部分、例えばその方の場合は卵巣癌になるリスクも40%ぐらいありますから、どの時期に卵巣も取ろうかということになるわけですが、やはり子供のことだとか、2人目、3人目の子どもが欲しいかどうかとか、状況に応じてということなりますが、「こうしておいた方が無難ですよ」といった情報を提供するためには結構、有効なツールなのかなと思います。具体的には、乳房切除の方法をどこまで拡大するかということと、卵管も含めた卵巣の摘出をどの時期に考えたら良いのかということですね。特に卵巣癌の場合は、検診が殆ど役に立たないと言われていますので、6ヵ月毎にMRIを撮って、CA125という腫瘍マーカーを測っていても、出る人は出ると言われていますので、リスクが高い人は、何かの病気があれば倫理的に問題がなく摘出することができると思うのですけども、なかった場合には多分、中村先生も「倫理的にどうしたら良いのか」と考えられると思いますが、その遺伝情報が分かった後の選択肢は、特殊な治療ということではなくて、患者さんの持っている情報の中にも加わって来つつあると思います。ただ、こちらもちゃんとした情報提供ができるようにしていった方が良いかなと思います。

平田 癌でない部分を摘出することになってしまうと、今はまだその部分に関する保険は効かないですね。

名嘉山 そうです。だからやっている施設でも全例、倫理委員会に相談された上で、承認するかどうかですね。

小原 発症前の切除というのは、国内ではまだされていないのですか。

名嘉山 いや、されています。件数の実数は捉えられていないのですが、学会で「ウチの病院でもやりました」というのが、この間の乳癌学会でもありましたし、乳房オンコプラスティックサージャリー学会という乳房再建の専門学会でも、予防切除が報告されています。聖路加とか昭和大学とか、東京の方ではずいぶん手が着けられているのですけども、関西では北野病院が1例を行ったというのを、この間の京滋乳癌研究会で発表されました。卵巣については、去年の段階で国立の岩国医療センターで1例、院内の倫理委員会を通して女性の方の卵巣切除を行ったという報告がありましたけども、乳癌関係の方よりも婦人科のサイドの動きが遅いみたいで、40%と数字が低いこともあるのですけども、年齢とか家族の状況であるとかいうことで、なかなか踏み込めずにいるという状況があるようです。

小原 切除例は増えてきているとは思うのですけれども、この1〜2年の話ですよね。

名嘉山 はい、全くその通りです。

小原 今は乳癌の検査を若い人に対して積極的に勧められていて、一般的な方法はもちろん認知されているとは思うのですけれども、今後は遺伝子検査などもそういう一般的な説明の中に入ってくるような…、

名嘉山 いや、もう入ってくると思います。拾い上げの網が、40代であるとか、両側にあるとかで、家族歴でもそれぐらいのところで拾い上げなければいけないとなっていますし、「女性ホルモンにも反応せず、HER2タンパクという特殊なタンパク質も細胞の表面に出ていなくて、抗癌剤しか効かないというタイプの乳癌の場合も、リスクが高いので、そういう人が家系にいる場合は拾い上げなさい」ということで、かなりチェックした方が良いのではないかということで、家族歴とか家系の中についても踏み込んで問診を取るべきという立場にだんだんなりつつあります。それで、今後は当たり前にやらければいけない内容になっていくと思います。

小原 恐らくアメリカがいちばん先を行っていると思うのですけども、ヨーロッパとか他の国での大きな動きというのは分かりますか。どういう方向にあるのですか。やはりどんどん進んでいる方向で行っているのか、あるいは国によっては慎重になっているところがあるとか、そのへんの情報ってありますか。

名嘉山 ヨーロッパの方は、イギリスの動きしか分からないですけども、イギリスはやっぱりアメリカ同様の動きになりつつあります。それと、この間の乳房オンコプラスティックサージャリー学会には、韓国や香港、シンガポールからも参加があったのですけども、そこでも予防的切除の後の再建をどうするかというのが議題にされていたので、日本と同じぐらいの関心度で高まりつつあると思います。

小原 だいぶ状況が見えてきたと思いますが、今日にこの件についての倫理委員会としての結論を出したいと思います。遺伝カウンセラーについては府立医大との連携の中で責任を持って紹介できるということですので、前回での懸案事項についてはクリアされたかなと判断します。それから、今の一般的な乳癌検診に、今後はこういった遺伝子検査も加えられていくだろうという時勢のことを考えても、対応しておいた方が良いかなと思いますので、いかがでしょうか。もうちょっと慎重にした方が良いという意見があれば、検討はいたしますけれども、ございますか。宜しいですか。はい。では、特にご異議がないようですので、この件を倫理委員会として承認したということで、宜しくこの後はお願いいたします。ありがとうございました。

名嘉山 ありがとうございました。

議事(5)「終末期の苦痛緩和を目的としたセデーションに関するガイドラインの改訂について」

小原 では、議題「(5)終末期の苦痛緩和を目的としたセデーションに関するガイドラインの改訂について」ということで、資料Dをご覧下さい。これは改訂案ということで、今までのものとの比較で下線などを引いているところを中心にご説明いただけると助かります。ではお願いします。

川島 前回、改訂案を紹介させていただいたのですけども、成文していなかったので、成文した形で今回、提案をさせていただきます。改訂理由は前回も説明させていただいたのですが、緩和医療学会の方でもガイドラインが出され、それが改定されたということもありまして、中央病院のガイドラインは元々、一歩先を行っていたのですけども、学会の改訂に合わせて、現在やっていることに不都合なことはないのか…、今は使っていないようなものを前回のものではやってていないかということを中心に、改訂させていただいています。
概ね中身は一緒なんですけども、下線のところが改訂した部分です。P5の4.の手順2.の[2)セデーションに関する説明を行い実施の同意を行う]という項の、A:の[4.患者の希望が確認できた時点で、セデーション実施の同意を得て、それを記録する。同時にDNAR指示を出し、同意を得る。〜]の下線部分がなかったのですが、実際にこういう手順を踏んでやっていますので、現状に合わせたということです。P6のB:の3.も同じように[DNAR指示を出し、同意を得る]というのが付け加えられています。
[手順3.セデーションの実施]の[4)鎮静薬を選択する]ですが、前回のガイドラインに載せていたものから、学会が提唱する第二選択薬のプロポフォールを、当院でも第二選択薬として提案させていただきました。それに合わせてP7の6)にプロポフォールの実際の使い方が付け加わったということです。
また、P8の一番下の[☆治療抵抗性判断のためのチェックリスト]は、学会のガイドラインでも提案されましたので、それを参考に検討することにしようということで、P12〜13にこのチェックリストを載せています。
後は、患者・家族の方に対する説明文が必要ではないかということで、P9〜10にQ&A方式でセデーションに関する説明を載せています。
P11が説明同意書になりますが、言葉の使い方で、[3.セデーション中、配慮させていただくこと]と換えていまして、何を[配慮]に換えたのか忘れましたが、きつい表現だったのを柔らかくしたのではないかと思います。で、[5.セデーションで使用する薬剤]では、プロポフォールが前回の薬から換わっています。そして[8.セデーション中の呼吸停止、心停止への対応]ですけども、これはDNARのことで、[効果の期待できない心肺蘇生は控えさせていただいております]というのが付け加わっています。
改訂した中身は以上です。P14以降は参考資料で、学会の出している説明文例なども載っています。

小原 ありがとうございました。まず、P9〜10にあるQ&Aの部分は患者・ご家族にどのタイミングで渡すのですか。同意書を渡す時に一緒にセットで渡すものですか。

川島 同意書と同時でなくても、そういう提案をした段階で出したいと思います。

小原 それからP11の追加の[効果の期待できない心肺蘇生は控えさせていただいております]というのは、だいぶ前に作りましたDNARに関してのガイドラインと、内容的には一致しているということで宜しいですね。

川島 そうです。

小原 では、今のご説明に対するご質問があれば、どうぞ出して下さい。今、変更点を説明していただきましたけれども、主には現状に合わせるための追加修正であるということをご理解いただければと思います。

 質問はないのですが、P11の[配慮させていただくこと]というのは、基本的に内容とは合わないのですが、「起き得ること」とか「生じること」とか、そういう意味合いですかね。

川島 実は、「ここの表現がきついのではないか」ということで、そもそも改訂案が出されたのですが、ご遺族から「セデーションをして良かったのかどうか」という後悔を示された理由となったのが、この中身です。セデーションのマイナスの面で、「セデーションをすることによって、例えば呼吸抑制が出て余命が短くなったのではないか」と後悔されたということでしたので…。ただ、「セデーションをするにあたって、常に我々がこういうことを気にしながらやっているのです」ということを伝えないといけませんので…。前は「副作用」という表現だったと思うのですが、そういう表現ではちょっと拙いのではないかということだったと思うのですけど。

小原 ここに書いている[配慮]というのは、病院側が配慮しているようなことですね。

岩橋 後半の部分についてのことですね。[呼吸抑制]だったら[〜呼吸状態を十分に観察し、適切な薬物使用を心がけます]という部分のことだと思います。

川島 要するに、「副作用」という表現がどのように伝わるかという…。

小原 ただ、項目に挙げているのが[意識低下]と[呼吸抑制]なので、内容を要約して見出しに付けるとするならば、「セデーションによって以下のような症状が起こります」ぐらいのことですね。[配慮させていただく]となると、なんかちょっと合わないような気がするのですけど、「次のようなことが起こるので、それはどうぞご理解下さい」ということで良いのではないですか。

川島 このあたりのことは、我々の感覚よりも、受け取る側にとってどういう言葉が素直に入ってきて、重く感じないかということで、成文させてもらった方が良いと思いますけど。

小原 原さんなら、もし3.に見出しを付けるとするならば…。ちょっとこれでは…、

 …合わないと思います。「何が起きるか」とか、そういう意味合いのことで良いと思います。

川島 通常、説明同意書で治療する場合、「副作用」とか「偶発症」といったことを記載しないといけないことになっていて、その内容ですけど、「副作用」とか「偶発症」という言葉がちょっときついのではないかと…。

小原 「副作用」はちょっときついかも知れませんね。

 意識低下なんかは副作用というより主作用ですよね。

小原 「セデーションによって以下の症状が起こります」ぐらいで良いのではないですかね。

川島 意識低下は目的でありながら、あって欲しくないことなんですよね。微妙なところですけども…。

小原 ただ、主であれ副であれ、セデーションによって起こることに違いはないですね。

岩橋 ただ、どう見てもこれは適正な表現で書いておかないといけませんね。意図的に意識を低下させるというのが、どこまでのレベルになるのか分からなかったから、「こんなつもりではなかった」という、患者の身内の方からの反応があったのだと思うので…。でもそれは、苦痛緩和で選択する場合に非常に高い確率で起こる状態ということになれば、説明をして、「意思疎通が全くできなくなるよりは、苦痛を我慢してもらう方が良い」という選択をしたかどうかという話になります。

川島 「コミュニケーションができなくなります」というニュアンスのことなんですけども、4.でセデーションを[深い眠り]と[呼びかけに反応する]に分けて書いてありますが、呼びかけに反応する程度にやろうと思ったけれども、実際は結構コミュニケーションがとれないぐらいにやってしまう可能性もあるなと思って…、

冨田 例えば「以下の症状に配慮させていただきます」というようなニュートラルな表現はダメでしょうか。

 これを変えようと言った理由は、これを見てちょっと躊躇する人がいたというようなことだろうと思うのですが、同意書のこの部分がセデーションのハードルを高くしているので、もっとハードルが低くなるような書き方にしたいということではないですか。でも、言わなければいけないことですからね。

 配慮というような言葉も入れたいということでしたら、追加という形で「セデーション中に起こること、配慮させていただくこと」というように、並列的に両方を書いてあれば…、

小原 「こうなります」ということと「心がけます」ということで、両方が含まれていますからね。それでいきましょうか。「セデーション中、起こること・配慮させていただくこと」で良いですか。ではそのように修整をするということで、あと、全体はいかがでしょうか。宜しいですか。

 今回の分は結構なんですが、対象なんですけど、悪性腫瘍以外のターミナルセデーションの必要性ということは、現状ではどうですか。

井上 一応、今は結構あるのですけども、呼吸器疾患・心疾患のターミナルのところは多いのかなと思います。

岩橋 前に検討した中に、それに近いようなものがあったような気がします。

川島 そうなんですけど、回復不可能かとか、余命の予測とか、そのへんが非癌性疾患の場合は難しいので…、

 現場では、あまり現段階でそれの追加を検討するという感じではないと…?

川島 このセデーションに付け加えるという考えはないのですけども、非癌患者でありますとか、高齢者の終末期でありますとか、そういう議論を一方では進めていまして、事前のアドバンスケアプランニングですとか、元気な時から、例えば友の会の方々とそういう話し合いを持っててとか、そういう動きができないかとは思っていまして、そういう中で検討する中身ではないかなと思うのですけども。

 「これは終末期だ」とかいう判断自体が難しいというのは、おっしゃる通りと思うので、ターミナルではない形のセデーションで行こうということであったら、ターミナルではない形のものも作られたら良いと思います。

小原 ターミナルではない場合のセデーションってあり得るのですか。

 それはあり得るでしょ。それが前提になっているのでしょ。そんなにやらないですか。

井上 胃カメラの時の一時的な鎮静なども含めればもちろんありますが、ターミナルというのが両者を含めたものであるとするならば、基本的にはあまり考えない。

小原 Q&Aの2つめにも、[鎮静を本格的に開始したら、そのまま眠るように苦痛なく寿命を全うしていただけるように祈っております]と書いていますので、やっぱりターミナルを前提にしていると思うのですよ。

 それはターミナルセデーションだからではないですか。

川島 ターミナルではないセデーションというのは、一時的なことを言っているわけですね。一時的なセデーションは、治療を安全に行うためとか、目的を明確にしてやられることはありますが。

 苦痛緩和を目的にしてやられることはあまりないのですか。

川島 苦痛緩和を目的に一時的なセデーションをするというのは、何らかの治療手技が苦痛であってとかそういうことはもちろんありますけども、それを苦痛緩和と言うのであれば、手術もある意味そうです。

小原 拡大解釈をすれば、日常的に何でもセデーションになっちゃいますけど、とりあえず今回は改訂に議論を集中したいと思います。現状に合わせる形で一部改訂したいということですが、これで宜しいでしょうか。はい。では、改訂案は承認ということで宜しくお願いいたします。
では、(6)は「臨床研究迅速審査について」で、資料Eが付いてはいるのですけども、ご説明いただけますか。

議事(6)「臨床研究迅速審査について」

冨田 一応、現状を知っていただくというだけの意味で…。

小原 現状、迅速審査はやっていますけれども、今日に新しい提案とかではなくて、現状をシェアしてみたいということで、いずれは抜本的に考えないといけないよという、課題共有ですね。

冨田 基本的には、迅速審査に関わっていただく外部の倫理委員の方が、位田先生と一家先生がお辞めになられまして、これまで4人にお願いしていたのが半分になられて、ちょっと負担かなということで、それに関して吉中院長とは「増やすということも考えないといけないな」とお話はしたのですけども、それが一つ。
それから、もう少し先の話ですが、迅速審査のあり方を含めてですけども、またご相談しないといかんかなということも考えています。

小原 資料Eの「疫学研究に関する倫理指針」との関係を説明していだけますか。

冨田 ガイドラインに関しては疫学研究も臨床研究とは同じですが、特にこれを配った意図は…?

根石 意図はですね、一応、迅速審査が「疫学に関しての〜」ということになるのですけども…。院内での臨床研究が今から積極的にやっていこうとしている時に、外部委員の先生方も少なくなっているので、負担になっている部分を少し軽減できないかなと…。そういう中で「全例に付議を出して迅速にしなければいけないのか」という議論もありまして、臨床研究部として大元の臨床研究に沿って共同としてやる場合には、もう少し簡便に院内で処理できることもあるのではなかろうかということなんですが、ガイドラインに沿ってきちんとしないといけないということで、これが今のガイドラインです。今後の答申も出ているのですけども、「臨床研究は全例、倫理委員会の付議にかけて、迅速審査であろうが、本審査であろうが、きちんと議論しないといけない」という中身で書かれていることもあって、現状でのガイドラインを参考にということで用意させていただきました。

吉中 これは平成14年ですが、これを含む医学研究のガイドラインが取りまとめ中なので、院内で学習会をすることになり、12月25日木曜日に取りまとめの責任者が府立医大から来ていただけますが、現状を一つにしてスタートしますというパブリックコメントも回っていますので、どのようになるのか踏まえておきたいと思います。
それで、先ほどの迅速審査の外部委員の先生方の件ですが、現在は実働が勝村さんと原さんだけなので、岩橋さんや関谷さんに枠を拡げていくのが第一選択ということで、それを審議していただかないといけないかなと思うのと、一方で、倫理委員が減っていますから、倫理委員として補充して増やすのか、あるいは、迅速審査のための外部委員みたいなことを、特に科学性の担保というあたりのことができる人をということもあって、京大の社会医学関係のところなどに頼むという選択肢はあるのかどうかというあたりも、ちょっと検討していただきたいなと思っています。

 迅速審査専門の委員ですか。

小原 今日に結論を出さなければいけないことではなく、今のような課題を踏まえていただいた上で、少し意見交換をしたいと思います。
現状では件数が比較的多いのですけれども、外部委員に関しては原さんと勝村さんのお二人に全部行ってしまって、私ももちろん最後にチェックはするのですけれども、毎回、きちんと見ていただいていて、すごい負担をかけているなという思いは強くあるのですね。原さん、そのへんは実際にはどうですか。

 きちんと見ると言ったって、ものすごく厳密にはなかなか見れないというか、吟味しきれない部分はありますけど、私自身はそんなに負担な感じはしませんけど。そら、それなりになんか引っ掛かるところがあるのはありますので、この程度のものを任せるのであれば…。

小原 そうですか、そう言っていただけるとちょっと気が楽になります。

冨田 一つに付議不要というのは、今の厚労省が研究の指針を準備中ですけれども、そこでのコメントでは、付議不要をどちらかと言うと少なくする方向で考えているようです。その趣旨は、倫理委員会があらゆる申請に対して重くのし掛かるというのとはどうも違って、これから研究が活発になって件数が増えてきた場合に、やはり正式な研究に対しては倫理委員会が目を通していますよというのがあった方が、研究の正しさへの担保ができそうだからという意味で、あった方が良いのではということだと思うのです。ただ、我々のように研究機関でないところで、実は最近、リサーチマインドの裾野が広がってきて、これまでの出してこなかったスタンスから、少しずつ出かかっているのですが、そういう団体の場合、こちらの教育もまだ十分ではないということもあるかも知れませんけども、いろんな手続き・組み立て…、研究のデザインから始まって、形式的な備え方とか、いろんな部分に未熟なところがあります。でも、少し広がっているので、結果的に押さえつけないように、できるだけ出すような方向にしていきたいですね。
迅速審査を審査していただく委員はなかなか大変だと私も思っていたのですが、倫理委員会の関わり方を減らすという方向ではなしに、担保しながら、なおかつ上手く引き出していくために、個人的には例えば、幾つかの段階に分けて、これは割と簡単に済ませられるというものはもうちょっと少ない人数で回し、これまでのような迅速審査も通常通りにやるという格好で、迅速審査のあり方をちょっと工夫していくようなこともこれから相談したいなというふうに、院内では言っていたのですね。今日、話すつもりではなかったのですけれども。

小原 分かりました。そのあたりはもうちょっと詰めていただいた上で案を出していただいた方が、多分、議論しやすいと思います。でも、方向性はなんとなく分かる気がしますね。研究の裾野が広がり、研究が増える。それにどう対応するかということは、現実に考えるべき事柄ですから。

 今のやり方よりも簡単な迅速審査って、どんなイメージですか。

冨田 今は2人で必ずやるということになっていますけども、例えばどちらか1人でやるというやり方も…、これは個人的な考え方です。

 1人でやる場合、通すということは、何か問題が起こった時には「あいつが通してしまった」という責任を負うことになるので、安直に通すわけにはいかないということにもなって、かえって1人にしない方が…。

小原 心理的な負担はありますよね。

冨田 ただ、その判断を今は2人で見てもらうということになりますので、もう一つ別のやり方を設定するとすれば、それをあらかじめ付議不要を判断している人に判断してもらうと…。もちろん付議不要も残ると思いますが、少し…、

 今おっしゃったような意味では、例えば申請書は、今の形式では内容的にちょっと不備な印象はあります。だから、その様式を変えるのか、様式とは別にチェック項目みたいなものに、臨床研究部のところで「この点はどうだ」みたいに記入をしていただくというやり方はありかなと思います。その方が問題点の有無がハッキリするので、「研究資金はどうだ」とか「同意書のこういう点はどうだ」とかいうことがあると思います。

小原 それはある程度、類型化はできると思います。私も見るのですけど、同意書なんかで、患者さんが実験に関わることなのに、利益・不利益のあるなしがすごく曖昧な場合があるわけですよ。それで、利益のあるなしをきちっと明示されているかどうかというチェック項目を作るとか、それだけでもだいぶいろいろな問題が回避できると思いますね。

冨田 こちらもずっと経験を積んできましたので、申請書を作る段階で、そこらへんの審査と言いますか、指導と言いますか、改定をしないといけないと思います。

小原 今日は特に何も決める必要はありませんので、今言われたように近い将来、具体的な案を出していただきたいと思いますし、院長が言われたように、委員の補充も問題解決の一つにはなりますので、複数の方法を進めながら、より拡大する研究の裾野に対して、対応できるような態勢を作っていきたいと思います。今日は現状をシェアしていただきたいということで、議題になりました。はい、どうぞ。

吉中 今やっている臨床研究でもそうなんですけども、親委員会があって、その元に分担研究をするというのが基本的に多いわけですから、本格的な問題はないという時に、倫理委員会も、親の倫理委員会があって分担研究者の倫理委員会があるということで、そこの関係に何もルールがなくて、実態は、審議をする時にその間のやり取りが現場任せになって、かなり往生するということも起こり、現場の負担になってしまうことが実はあるのですね。そこをどんなふうにしたら良いのかと考えても、なんともできないので、「研究やりたい人はそれぐらいの覚悟で」と先ほど言っていたのですけど、それもちょっと乱暴だと思うので…。

 この病院の分担研究者と親の研究者とのやり取りとが結構、大変ということですか。

吉中 そうです。多施設共同研究の分担研究をやるとなると、全体の中でやりますよね。そうすると、いろんな文書も全部できて来て、それを「どう改正してどうこう」って話をするのは、向こうの方ではやりにくいし通常ではない話なので、上手くいかないというか、非常に労力を取ってしまいますし、ルールがないみたいなことでやりにくい。それは制度的な欠陥でもあるとは思うのですけども。

小原 ここの倫理委員会で迅速審査をする時に、同意書の文言の修正とかが上がってきますが、それが分担研究の場合、親元に上げたり、それをどうフィードバックするかを厳密に考えると、なかなか大変ですよね。

吉中 先方の定義範囲であればと思ったりするのだけども、同意書の中身がちょっとずつ違うというのは、厳密にはそれもちょっと多分、宜しくないですよね。

 まぁ、説明書とかをちょっと補足するぐらいの話だったら良いとは思うのですけどね。研究計画そのものの話はなかなか変えにくいでしょうね。

吉中 大元の方は、やっぱり「問題も生じやすいから、ちゃんと今でも通して下さい」と言うので、風向きがちょっと今は悪いですね。「各施設では要りません」という形式でやらない限り…。

 それを解決するシステムというのがあまりできていないと思うので、やり方としたら、施設毎の倫理委員会でやるのではなくて、共同倫理審査みたいな方式でやるかしか、なかなか他に知恵は思い浮かばないですけど。

小原 ただ、親元ではちゃんと倫理審査を通過しているわけですからね。結局、それぞれの協力する施設に降りてきた段階で、また倫理委員会が動いているという二重審査になっているわけですね。そういう二重構造になっているのを完全に一元化して、親元できちんとした審査がされているという信頼の前提の下にやれれば、各病院ではする必要がなくなるのかも知れませんけど、現状、そのへんができていないと、親元としても心配なので、「それぞれでやって下さい」みたいになるでしょうし、なかなか難しいですね。

吉中 これからの流れは多分そっちの方向へ進んでいくと思うのですけど、「やらないで良い」というふうになるには、なかなかこれも大変で…。

小原 ただ、フィードバックする際に、どこまでの範囲がフィードバックされて、全体に影響を及ぼすのかというのは、なかなか難しいですね。

 ちょっと関連で、私へこの間に来た迅速審査の55番は、「このままではよう承認しません」というコメントにしてあるのですけど、ちょっとご意見を聞いておいた方が良いかなという気がします。研究そのものはそんなに難しくなくて、「あるタイプの栄養剤をやった方が、褥瘡が治りやすいのではないか」という比較研究で、ブラインドにはしないのですけど、ランダム化して割り付けするというものなんですけど、引っ掛かったのは研究資金の出所が「栄養剤はメーカー」と書いてあるのですね。メーカーと書いてあるのだけど、「では研究主体はどこですか」と聞くと「責任の医師だ」とおっしゃる。

冨田 私が審査したわけではないのですけれど、研究資金は実質的にはこちらに来ないと思います。で、この食品の実物がこちらに来て、それを使って、報告書を書いて出すということになると思います。多施設共同の場合の多くは、資金が動くとしたら中央だけで、ここにはお金が降りてこない。ただ、そういう中央に行く資金は、プロトコルに書かれないことが多いのです。それでこちらも困るのですね。そういうのが確かにありまして、それをどう扱うのか。我々もそれを知らなければならないもんだということにはなるのですが、それが明らかになるということは難しいかなと…。

 いや、「だから委託研究か」と聞くと「委託研究ではない」というお返事なので、委託研究でなかったら大枠では自主研究という形になるが、自主臨床研究にして表向きはメーカーが出てこないというようなものは拙いのではないですか。前の時もそういう理由を出しましたが、研究助成とか別途奨学金という話があるとか、メーカーがお金を出しているのなら、メーカーが委託してやるという方がスッキリする話なんですよね。

冨田 この件も原さんに見てもらう前に、「プロトコルに関していろいろ質問があるが」という話をした時に、先に向こうの方から「変えません。このままで、そこの倫理委員会で受けるかどうかを聞いて下さい」という話だったので、ちょっと変えようがないことなんですね。

吉中 ディオバン事件では、奨学助成金といった明確でないお金としてメーカーが大学に寄付して、必要な研究費として配分されるみたいな話がありますよね。まぁ、委託研究ということもアリですよね。それをハッキリさせれば良いことだと思うのですけれども…。

小原 原さんは、その構造自体が問題ではなくて、ハッキリしていないことが問題だと言うのですね。

 そうなんですよ。私の立場とすれば、「メーカーからの委託研究です」という話だったら、「どうぞ」と言って通すという感覚なんですけども、実はメーカーから資金が中央施設には出ているのだけども、研究としては自主研究のような感じに映っているだけかも知れず、さらに、研究結果が発表される時に利益相反の公表がされるかどうかも分からないので、そんな曖昧なものに倫理委員会としてGOサインを出して良いのかという、引っ掛かりがあるのです。ディオバンの場合はもちろん、データの改ざんとかねつ造問題がありますけども、自主研究と称しながら、実は裏でメーカーが絡んでいました、お金も出していました、データ解析もやっていましたというあたりも問われたわけですから、どっちにしても、どういう関係なのかということをクリアにしてもらわないと、それ自体が非常に倫理的な問題があるなという気がします。

吉中 研究責任施設はどこ? どこかの大学?

冨田 大阪の病院です。

 別に「メーカーがかかわるようなものは、けしからん」ということは言うつもりは全然ないのですけども…。これに何か他の意見がありましたら、お伺っておきたいのですが…。

冨田 確かに筋から言うと、原さんがおっしゃるようなことだと思います。確かに曖昧なところは、プロトコルを読んでいても感じますので…。ただ、こちらも申請者に任せて中央との情報のやり取りをしていたので、今のような深刻な条件で情報を求めていなかったのかも知れませんので、私から確認させてもらうということで宜しいですか。ただ、向こうはプロトコルを変えないと思いますので、「メーカーとの共同研究ということなら、そのように申請書を作らせてもらいます」ということで…、

 ただ、研究計画書を変えないというのなら、それはそれでもアリかも知れませんけど、どちらにしても、誰がやる研究なのかというようなあたりと、研究資金がどういう関係になっているかということを分からないと、具合が悪いと思います。

小原 では、そのへんの確認をしていただいて…、

冨田 中央がどうなっているのかは多分、分からないと思います。

 だから私は、立場的に「分からなかったら通せませんよ」という話だと思っているのですが。

小原 では、今のご意見を踏まえて、いろいろ聞いておいて下さい。その件については、今ここでの審議ではなくて、迅速審査なので…。しかし、ここで意見交換できたことは良かったと思います。では、(6)については以上のような課題が出ましたので、それを記憶に留めて、次回以降に具体的な提案を審議できればと思います。
では最後、(7)の「その他」ですけども、「臨床研究迅速審査報告」を資料Fに基づいて宜しくお願いします。

議事(7)「その他」

①臨床研究迅速審査報告
②治験審査委員会報告

冨田 最近、迅速審査でお願いしたものは6件で、その内、54、55はまだ最終的に通っていませんが、11、56、57、58は審査が終了して、承認していただきました。その中の58はオリジナルで、こういうものがたくさん出てきてくれるのを期待しています。研究部としてはこういうのを育てていきたいなと考えています。

小原 ありがとうございました。では最後になりますが、「治験審査委員会報告」を宜しくお願いします。

冨田 資料Gです。8月と9月の分がありまして、それぞれ3種類ありますが、いずれも多発性硬化症に関係したこれまで続いてきている治験です。例えばP1のSiponimodは、多発性硬化症の中でも二次性進行型多発性硬化症という病態の患者さんに対しての新薬で、それの治験ですが、特に変わりなく進行しています。P3は前からずっと続いている再発寛解型の多発性硬化症患者さんに効く薬で、来月に治験が終了する予定になっています。P5は、多発性硬化症の歩行障害がある方に対しての、歩行障害改善を目的としたちょっと特殊な薬で、これも現在はスムーズに動いています。この3種の8月の分と9月の分の議事録です。

小原 ありがとうございました。これで予定していました議題・議事を全て終えることができました。で、次回の委員会の日程は要項の一番下に記されている通り、12月4日となりますので、ご予定下さい。はい、どうぞ。

 たまたま資料Dの最後のページを見たら、「倫理委員会事務局会議報告」がありましたが、これは何か…?

根石 紛れ込んでしまいまして申しわけありません。

 たまたま見てしまったので伺いますが、5.の「非癌患者(高齢者)の終末期ケア検討会議について」で、「高齢者エンドオブライフケアチームとして活動」というのは、どういう意味ですか。

根石 以前からDNARのガイドラインについてとか、ターミナルセデーションを議論するにあたってもそうなんですが、終末期医療を倫理委員会でも学習しながら取り扱おうという話になっていたのですが、なかなか院内の体制とか活動について議論する場所がないので、院内でそういうチームを作って検討しているという中身です。

 倫理委員会そのものではなくてということですね。

小原 宜しいですか。他に何かご質問はありますか。はい。では、今日は極めて珍しく、これぐらい早く終われるのは初めての快挙かも知れません。シンプルな議事へのご協力、どうもありがとうございました。それでは第59回倫理委員会を閉めさせていただきます。ありがとうございました。

 

 

(入力者注)

文章は全体を通して、話し言葉を書き言葉に改めたり、意味の通じにくい言葉を言い換えたり、同じ発言の繰り返しを省くなどの推敲を行い、やや要約した形になっていますが、発言者の意図を正確に伝えることを最優先にしています。