当法人、京都保健会は来春3月で60周年を迎えます。それにさきがけ、「いのちをつなぐ~無料低額診療事業~」の本が刊行されました。京都保健会は1958年からこの事業を開始し、2011年の公益法人化に伴いすべての法人医療事業所(外来から入院まで)がこの無料低額診療事業に取り組んでいます。 この本には、医療ソーシャルワーカーが無料低額診療事業を使い医療につながった事例の紹介がされています。病気になったことで経済的な負担となり苦しい生活を強いられているかが手に取るようにわかります。しかし、そのことは患者さんの心の扉を開かなければ見えてきません。繋がらないのです。あきらめないいのちと人間の尊厳、人権としての社会保障、医療人として当たり前のこととして関わった職員の努力に誇りを感じます。ぜひ読んでいただきたい一冊です。 無料低額診療事業は社会福祉法に位置づけられている制度使って行われています。しかし、全国の医療機関で実施している医療機関は全体の0.3%と少なく制度自体も知られていないのが現状です。今話題の本「下流老人」(藤田孝典氏著)の中にも、「無料低額診療施設」の紹介があり、「今後はさらに制度を使いやすく拡充し、病院数も増やしていく試みが求められる。早めに医療に結びつけないと、社会保障費のコストも増大する。」とありました。 必要な人に必要な医療の提供がわれわれ医療人の使命だと60年歩んできた歴史があります。時代時代に大きな転換期があっただろうと思いますが、この事業を行いながら「いのちをつなぐ」ことに確信をもち、次の時代を切り拓いていきたいと心新たにしました。 申し込みは、京都保健会までよろしくお願いします。 2015年10月14日 京都保健会看護部長 松浦ときえ