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研究の利益相反管理に関するガイドライン

医学研究の利益相反管理に関するガイドライン

2012年3月8日
京都民医連中央病院倫理委員会

1:ガイドラインの趣旨・目的

「利益相反」(COI=Conflict Of Interest)という概念が近年、重要視されるようになった。
研究で何よりも大切なのは、科学的な公正さと倫理的な妥当性である。ところが、それとは別の利害が研究者または研究組織に存在すると、研究の過程や結論に影響を及ぼす可能性がある。

たとえば、製薬企業から多額の研究費の提供を受けている研究者や研究機関が実施した研究は、データの作成・分析・評価などの過程を通じて、その企業の薬にとって有利な結論に傾きがちになることが指摘されている。また、倫理的に見て研究を中止すべき状況なのに中止しない、資金提供した企業に不利な結論が出た場合に研究結果が公表されないといった事態もありうる。実際に研究内容や研究結果を利害によって歪める行為がなかったとしても、そうした懸念が存在すれば、研究の客観性・公正性を損なうという印象を社会に与え、研究結果の評価を左右することになる。

しかしながら、利益相反の存在が直ちに研究内容を歪めるとは言えない。また、企業や団体と何らかの関係を持った研究者をすべて排除して研究を推進することは、現実には困難である。

そこで研究者に対し、利害に関する自主的な申告を求め、それを研究計画・研究結果を評価する材料にすることによって、透明性を確保する手法が国際的に導入されている。すでにレベルの高い国際的な医学雑誌・学会では、利益相反の情報開示が発表に不可欠の条件になりつつある。

当院においても、同様の手法を採用する。

目的は、①被験者の人権擁護・安全性の確保、②研究データの信頼性の向上―――である。研究の規制を強化するわけではなく、むしろ研究を適切に促進するために、ガイドラインを設ける。

ただし当院の場合、具体的な利益相反の生じる研究計画がひんぱんに行われることは考えにくいため、独立した利益相反に関する委員会を設けることはせず、倫理委員会における審査の際、研究者が自己申告する方式をとる。

 

2:対象となる研究

当院の倫理委員会で審査を受けるすべての医学研究を対象とする。ここでいう医学研究には、臨床研究だけでなく、基礎研究、疫学研究、個々の患者の診療を目的とする実験性の高い医療行為、看護分野の研究、心理・行動科学分野の研究、社会科学的手法による研究を含む。

ただし法令、または政府の省庁の指針、学会の指針による倫理審査が求められていない研究を、この規定によって審査対象に加えるという意味ではない。

 

3:自己申告の対象者

当院において医学研究を実施しようとする責任者(以下、研究責任者という)は、審査を受ける倫理委員会に対し、利益相反の有無およびその内容を、書面で申告しなくてはならない。

  1. 申告対象となる者の範囲は、研究参加メンバー全員と、その配偶者とする。
  2. 通常の医療・介護事業に伴う取引・給付、市販後調査の報酬は除外する。
  3. 新たな研究メンバーが加わった場合、研究中に新たな利益相反が生じた場合は、追加申告する。

 

4:相手方の企業・団体

  1. 「当該研究と利害のある企業・団体」とは、医薬品や医療機器の製造・販売会社など、研究の結果によって経済的な利害が左右されると考えられる企業と、そうした企業が設立した財団・団体を指す。
  2. 公的研究資金拠出団体、患者団体、学会は除外する。

 

5:申告すべき項目および申告の基準

(以下で「企業・団体」とあるのは、当該研究と利害のある企業・団体に限る)

  1. 企業・団体における役職(顧問・相談役を含む)、および報酬・給与・賞与
    =すべてを申告する
  2. 企業・団体の株式の保有および資本関係
    (未公開を含む株式、新株予約権、出資、持分、信託受益権など)
    =公開株は時価50万円以上の場合、他はすべてを申告する
  3. 企業・団体からの研究費・寄付金
    =これらの年間合計が50万円以上の場合に申告する
  4. 企業・団体からの上記以外の給付(役務の対価を含む)
    (謝礼、講師料、原稿料、指導料、各種ロイヤリティー、融資、保証、飲食、旅行、贈答など)
    =これらの年間合計が30万円以上の場合に申告する
  5. 当該研究に関連して、企業・団体・研究参加メンバー・その家族が持つ知的財産権
    (特許権、実用新案権、それらの申請予定・使用許諾)
    =すべてを申告する

 

6:申告の対象期間と表示方法

  1. いずれも過去3年間の実績、および将来に向けた契約を対象とする。
  2. 金額は年単位で整理する。1万円未満の端数は切り捨ててもよい。

 

7:共同研究における情報提供

他の施設・研究者と共同で研究を行う場合、主たる研究施設において利益相反の申告が行われていれば、その内容を、当施設の委員会に示さなくてはならない。当院が主たる研究施設である場合は、他の施設に対して申告内容の提供を行う。

 

8:被験者への情報提供

申告内容は、被験者に研究計画を説明する際、原則として文書を見てもらう形で情報提供する。

 

9:審査担当委員に利益相反がある場合

研究計画の審査を行う倫理委員会の委員に、当該研究にかかわる利益相反が存在するときは、その委員は、利益相反の要旨を明らかにしたうえで、当該研究の審議・採決から外れる。

 

10:調査

申告に不備の可能性があると判断した場合、倫理委員会は、施設による調査・回答を求めるか、直接に関係者への調査を行うことができる。

 

11:施設の責任者の責務

施設の責任者は、本ガイドラインの内容を職員に周知し、誠実に守られるよう努めなければならない。

 

12:施行時期

本ガイドラインは、倫理委員会で2012年3月9日から施行する。

 

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