倫理委員会・臨床研究

Home > 倫理委員会・臨床研究 > DNARガイドライン

DNARガイドライン

DNARガイドライン

平成29年2月2日
京都民医連中央病院
京都民医連中央病院 倫理委員会

 

当院のDNAR指示の決定に関する基本方針 注1)注2)
1)「患者の生命活動」を大切にする。
2)「患者の意向」を尊重する。
3)集団的に決定する。

DNAR指示が出された場合の留意点
DNAR指示が出されたことを理由にして、
それまでの治療やケアが控えられてはならない。


  • 注1)この基本方針は全てに優先するものであり、このガイドラインにのっとった対応ではうまく解決できない問題に遭遇した場合、この方針に立ち返って判断することが必要である。
  • 注2)三つの基本方針の間で対立が生じる場合がある。たとえば、治療者が患者の生命活動を大切にしたいと考えていても、患者が「早く死なせてほしい」という場合などである。その場合でも、この三つの方針の一つを切り捨てて問題を早く解消しようとするのではなく、三つの方針の調和を図るべく努力を続けなくてはならない。

 

1.趣旨

このガイドラインは、当院入院中の患者に出されるDNAR指示の倫理的妥当性を高めるために、基本的な指針を示すものである。

注)このガイドラインは、当院の終末期医療全体に関する倫理的な方針ではない。また心肺蘇生法開始後に下される、施術中止の判断に関する倫理的な方針でもない。

 

2.対象

このガイドラインの対象は、当院入院中の患者とする。

注)外来管理中の患者は、このガイドラインの対象としない。

 

3.対応原則

入院中の患者が心肺停止状態に陥っていることが発見された場合、病態に応じて以下の原則にのっとって対応する。

心肺蘇生不能例注1):心肺蘇生法を実施しないことを原則とする。

不能例でない場合:心肺蘇生法を開始することを原則とする。ただし「有効なDNAR指示」が出されている場合は、開始しないことが許容される。

注1)心肺蘇生不能例:心肺蘇生法を開始しても、効果が全くないことが明確である場合。たとえば死後硬直などの死体現象がすでに始まっている場合。

 

4.「有効なDNAR指示」を出すための手順

「有効なDNAR指示」を出すためには、1.医師の判断、2.多職種の同意、3.患者の意向の確認の三つの条件を満たす必要がある。

この条件を満たさない場合、DNAR指示は無効である。

 

条件1 医師の判断

患者が「心肺蘇生法不開始が許容される医学的要件」を満たしている、または約一ヶ月以内に満たされる可能性が高いと推測される状態にあることを、初期研修医を除く複数の医師によって確認する。

ただし夜間帯や休日など医師体制が手薄な中で判断を下さなければならない場合には、医師一名のみの確認でもよいこととする。この場合72時間以内に、他の医師によってこの判断の妥当性を確認する。

心肺蘇生法不開始が許容される医学的要件

注)「短期間」が示す期間は、患者の状態によって期間の長短が異なるため一概に規定することは困難であり、医学的常識に即した判断であればよいものとする。ただ目安として記すならば、1か月以内の期間を想定する。

 

条件2 多職種の同意

当該患者に関与する多職種(最低でも医師、看護師を含む)の合議によって、DNAR指示を出すことの妥当性を確認する。

 

条件3 患者の意向の確認

患者の意向を確認する。患者の意思決定が可能であればAに、可能でない場合はBに従って確認する。

A 患者の意思決定が可能な場合

1)患者と家族(または代理人)へ説明する。この際、主治医注1)と看護師注2)同席にて説明を行う。

注1)主治医の役割
DNAR指示に関して十分な説明を行う。

ここで説明されるべき情報とは、現在の病状、推測される予後、心肺蘇生法に関する一般的情報(手技、効果、副作用など)、DNAR指示の持つ意味、DNAR指示が出された場合でも、それを根拠として通常医療の手控えを行うわけではないことの説明、取り消しについての説明などを含む。

注2)看護師の役割
患者の立場に立って、心理的サポートを行うよう努める。

2)十分に話し合った上で患者の意向を確認し、カルテに必ず確認内容を記載し患者の意向表明書を記入していただく。

3)患者の意向がDNARを希望されるものであれば、主治医がDNAR指示を出す。

 

B 患者の意思決定が可能でない場合

1)家族(または代理人)へ説明する。この際、主治医と看護師同席にて説明を行う。

2)家族(または代理人)と十分に話し合った上で患者の推測意思を確認し、カルテに必ず確認内容を記載し、患者の意向表明書を記入していただく。注)
注)その際、患者の過去の言動や、過去の意見表明(当院で全入院患者に配布する「私の考え」)などを考慮に入れて確認する。

3)推測意思がDNARを希望されるものであれば、主治医がDNAR指示を出す。

 

◆ 電子カルテ上のDNAR指示の記載

1)病棟師長は、意向表明書をもとに次のすべての手順を満たしていることを確認する。
① 複数の医師による医学的要件の確認
② 多職種の合議によるDNAR指示への同意
③ 患者または家族によるDNARの意向表明

2)主治医か担当医または主治医・担当医の指示に基づいて病棟師長が、電子カルテ上のDNAR指示欄にチェックを入れる。

3)患者または家族の意向が、心肺蘇生の実施、または条件付きの実施である場合は、その内容を、主治医が電子カルテの予想指示欄に明記する。

 

5.有効なDNAR指示が出されている患者が、心肺停止した際の対応

有効なDNAR指示が出されている患者が、心肺停止状態に陥った場合、その患者が「心肺蘇生法不開始が許容される医学的要件」を満たしていれば注)、心肺蘇生法を開始しないことが許容される。

注)患者が心肺停止しても「心肺蘇生不開始が許容される医学的要件」を満たしていない場合(たとえば予期しない窒息による心肺停止など)には、蘇生の可能性がある場合は、心肺蘇生を開始する。

 

6.DNAR指示の妥当性の確認

1)指示が出されている患者に関わる職員は、常に患者の状態や意向の変化に目を配り、指示の妥当性を確認する。

2)主治医及び病棟看護師は指示が出された日から毎週定期的に、指示の妥当性を多職種病棟カンファレンスで再評価し、その評価内容をカンファレンス記録としてカルテに記載する。

注)カンファレンスで確認する内容
①適切に手続きがされているか、「患者様の意向表明書」を確認する。
②病状に変化はないか ③患者、家族の意思の変化 ④CPR以外の必要な治療やケアに差し控えはないか

 

7.DNAR指示の取り消し

医師の判断、多職種の同意、患者の意向、の一つでも条件を満たさなくなった場合には、病棟カンファレンス及びその他の開かれた場で集団的に議論し、無効と判断された場合は速やかに主治医がオーダーを取り消す。この際、取り消し理由をカルテに記載する。

 

8.DNAR指示の安全性、倫理性の確保のためのチェック

8.1 職員の任務

1)当院職員はこのガイドラインを熟知した上で、運用しなくてはならない。

2)このガイドラインに添わない不適切なDNAR指示が出されていることを知った場合には、病棟師長または医長に報告する。

 

8.2  主治医の任務

1)当該患者の主治医は、患者の状態と意向について十分な注意を配り、DNAR指示の妥当性について常にモニターする。

2)DNAR指示を許容する条件を満たさなくなった場合には、早急にDNAR指示を取り消す。

 

8.3  当該病棟師長の任務:(病棟カンファレンスの運営、患者・家族に対するケアの質の評価)

当該患者が入院している病棟の師長は、DNAR指示が出された患者を把握し、毎週の定期の多職種カンファレンスで経過や妥当性を確認する。オーダーの妥当性に関する悩みや運用上の問題が生じた場合(例えば患者・家族間や家族の中で意見が対立している場合や、医療スタッフの間で意見が分かれる場合など)は倫理委員会に報告し、中立的な第三者の意見を聴取しながら議論を進める。

 

8.4 診療情報管理課の任務

各病棟のDNARオーダー数、オーダー率(DNARオーダー患者数÷入院患者数)を毎月、病棟委員会に報告する。

 

8.5 院長の任務

不適切な事例の主治医に対して、指導など必要な介入を行う。

 

 

 

京都民医連中央病院 倫理委員会委員名簿(平成29年2月2日現在)

委員長 小原 克博 同志社大学神学部神学科教授
副委員長 原 昌平 読売新聞大阪本社編集局編集委員
副委員長 川島 市郎 京都民医連中央病院副院長
委員 勝村 久司 医療情報の公開・開示を求める市民の会事務局長
委員 広瀬 東栄子 京都中右京健康友の会
委員 岩橋 多恵 京都第一法律事務所弁護士
委員 関谷 直人 同志社大学神学部教授
委員 東 正一郎 京都民医連中央病院参与
委員 冨田 豊 京都民医連中央病院臨床検査科長
委員 井上 賀元 京都民医連中央病院臨床研修担当医
委員 那須 徹也 京都民医連中央病院救急総合内科
委員 平田 恵美 京都民医連中央病院看護師長

 

 

関連データ

 

ページの先頭へ

京都民医連中央病院

〒604-8453 京都市中京区西ノ京春日町 16-1
電話:075-822-2777 ファクス:075-822-2575