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第七十八回 倫理委員会 議事録

日時 2018年4月5日(木)18:30~20:55
場所

京都民医連中央病院西館会議室

出席者

外部委員 勝村久司委員長、原昌平副委員長、岩橋進委員、関谷直人委員、藤田みさお委員

病院委員 川島市郎副委員長、垣尾匡史委員、冨田豊委員、山本美佳委員
事務局  影山大悟、藤﨑智、丸山俊太郎
オブザーバー 川原初恵、平田恵美、松原為人
(事例報告関係者)長谷川美智子、山田あや、小川純子、山田晃代
(臨床研究申請関係者)古板規子、植松理香、佐々木恵林、日比麻有

欠席

岩橋多恵委員、井上賀元委員

議事

 

議事(1)「委員の交代

勝村 第78回倫理委員会を始めさせていただきます。議事の(1)は「委員の交代」ですが、私の委員長就任の他、新たに着任された方がおられますので、最初に、藤田先生から順にごあいさつをいただきたいと思います。

藤田 京都大学iPS細胞研究所におります藤田みさおと申します。勉強しているのは生命倫理ですが、元々は病院で臨床心理士をしておりましたので、実は病院の中を懐かしく感じております。しばらく臨床を離れておりましたので、また勉強をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

岩橋進 友の会からやってほしいと言われまして、広瀬さんに代わってやらせていただくことになりました。中央病院には健診で5年間、医局事務で2年間、京都民医連かみの診療所で12年間やってきましたが、議論とか検討ということはあまりしたことがないので、着任して任務を遂行できるか分かりませんが、よろしくお願いします。

山本 この4月から副看護部長になりました山本です。よろしくお願いします。今まで現場で倫理とかに直接いろいろ直面するところがあったのですけど、会議に参加させていただくのは今回が初めてなので、いろいろ勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

勝村 簡単に私から自己紹介をさせていただきます。勝村といいます。ずっと医院をさせていただいたのですけど、前回、小原先生が退任されるにあたって委員長に指名されまして、ちょっと荷が重いのではないかと思ったのですが、お断りするのもと思い、ついつい引き受けてしまいましたので、皆さんに支えていただきながら、最低限の役割を果たすことができればと思っています。私は大阪で高校の理科の教師をしていまして、いろんな医療関係の市民グループにもかかわって活動させていただいているという立場です。よろしくお願いします。

 原昌平といいます。本職は読売新聞の大阪本社の記者です。だいたい医療とか福祉関係を20年ぐらいやっております。現体制の倫理委員会は最初からかかわっています。よろしくお願いいたします。

関谷 関谷です。小原先生とでこぼこコンビでいてたのですけど、小原先生がいなくなっちゃって1人になりました。同志社大学の神学部というところで実践神学を教えています。サンフランシスコで4年、ハワイの病院でも少しチャプレンという病院付き牧師をしていたこともありまして、現在も学生を連れて京都の北の方の病院に毎週、学生と患者さんとの面接教育を取り組んでいたりしています。現在もハワイにおける多文化共生でのケアについての研究を科研でやっているところで、ここには勉強で来ているようなものですから、お役に立てればと思っていながら、なかなかうまくできないのですけども、よろしくお願いします。

垣尾 垣尾といいます。院内の方の委員にあたっております。元々循環器内科をやっておりまして、今は医療安全管理担当の副院長をやっております。これからも頑張ってやろうと思います。よろしくお願いします。

冨田 冨田といいます。臨床検査科におりまして、主に院内での臨床研究申請の窓口ということで、こちらの先生方に審査をお願いしている立場です。よろしくお願いいたします。

松原 院長の松原です。オブザーバーでの参加です。7月からですので、もうちょっとで1年に手が届くところになりますが、完全に全時間帯は参加できないケースもあるのですけど、参加させていただきます。非常に興味深く参加させていただいております。

川原 医療安全管理者をしています川原と申します。オブザーバー参加で勉強させていただいております。よろしくお願いします。

 

議事(2)「第77回倫理委員会議事録確認

勝村 どうもありがとうございました。外部委員、病院内部委員、オブザーバーという形で、それぞれかかわり方があるのかもしれません。今日は来られていない方もおられますが、よろしくお願いします。

では、議事(2)の前回の議事録の確認ですが、資料Aですね。これに関して何かご意見がございますか。特によろしいですか。では(2)は承認したいと思います。

 

議事(3)「事例検討

事例1検討しました。

 

議事(4)「臨床研究通常審査」

では次は4番目の「臨床研究通常審査」ということで、説明をよろしくお願いします。

古板 中央病院産婦人科医師の古板と申します。資料Cの当院の臨床研究等申請書の方をご覧ください。研究責任者は綾部の京都協立病院の玉木医師ですが、今日は私が代理で説明させていただきます。
課題名は「無料低額診療による患者支援の健康影響に関するコホート研究」です。この研究を計画した経緯ですが、京都民医連では研究センターを立ち上げようというプロジェクトが進んでいまして、そこに各院所の多職種が集まっています。研究センターでは、京都民医連で行っている日常の取り組みをしっかりデータとして蓄積し、発信していこうという目的がありまして、最初に取り組むテーマとして無料低額診療を選びました。
無料低額診療というのは、経済的に困窮していて医療に掛かれない方を支援する仕組みで、患者さんは医療を受けても窓口での支払いが無料になるか、低額で済みますから、医療機関は収入が減りますが、その分、固定資産税を免除される制度になっています。この制度自身は以前からあるのですけれども、資料によると今、この制度で医療をしているのが全国で647施設ぐらいありまして、その内の3分の2ぐらい、404機関が民医連の組織です。京都民医連で無料低額診療を行っているのは30施設ぐらいなんですけれども、民医連全体の無料低額診療の患者数の3分の1が京都という状況で、全体で見ても、実施数は京都民医連がかなりの割合を占めています。
実際にどのような患者が無料低額診療制度の適用を受けているのかという、その生活背景とか疾患とかいうのはほとんど報告されていないのと、この制度を受けて患者さんの健康度が改善したかどうかという、効果の判定というのも全くない状況です。そういう背景があって、この研究の計画を作ったのですけれども、研究の内容については、資料CのP5以降が実際の研究計画書になります。P6の真ん中あたりから研究の目的を書かせていただいていますが、医療低額診療を希望される方や実際に適用された方は、どのような方たちなのかというのを実態調査するということ、もう1つは、この制度を受けて健康度が改善したかどうかという、健康アウトカムへの影響を明らかにすることとの、2段階です。
主な対象施設は、京都民医連中央病院と太子道診療所、綾部の京都協立病医院を考えています。で、1年間にこの制度利用を希望してソーシャルワーカーへ相談された方を対象とします。これまでのデータからいくと、400例以上が1年間に申請をしていますので、相談に来られる人全体を含めると、500例ぐらいを目標にしています。相談に来られた方には、この制度の適用には生活保護の基準の150%といった経済状況の審査基準がありますので、それを評価できるように、経済状況や就労状況などの背景を調査することになります。この調査は通常の業務でされることですが、この研究としては、P20~21には社会的なつながりとか家族の状況の調査票、P22~23の健康関連QOLについての質問票がありますが、こういうアンケートに書いていただく予定にしています。それを聞いて、無料低額診療に掛かられる方の背景や疾患などを調査しようとしています。また、この制度を受けた方をフォローアップして、それでどれぐらい疾患が良くなったのかという、前向きの調査をしていきます。ただ、前向きの調査をするには、この制度を利用される方の疾患や背景がかなりバラバラですので、フォローアップしていくのは糖尿病患者さんに限定することを考えています。で、3ヵ月毎に1年間、血液データや通院状況などを把握して追跡していくのですが、無料低額診療の適用になられた方もいれば、相談に来られて適用にならなかった方もおられますので、その両方の方のフォローアップを行って、どのぐらい差異が出るかを調べていこうという計画にしています。患者のフォローアップですが、血液検査などについては、この研究のために新たにするのではなく、通常の診療で行われるもののデータを拾って収集する方針にしています。で、半年後にQOLの調査票をもう一度取ることを考えているのですけど、これは患者さんに新たにお願いするものになります。
もう1つの資料Cには、「日本プライマリ・ケア連合学会研究助成申請書」と、厚労省の社会福祉推進事業の補助についての資料がありますが、この研究はそちらの方に応募をしています。概要は以上です。

勝村 ありがとうございました。では、質問なりご意見なりをお願いします。

藤田 対象者についてお聞きしたいのですけども、この研究では無低診を受けられる人だけを対象にするだけではなく、目的の①に書かれているのも、②に書かれているのも、無低診の適応があるかなと、ソーシャルワーカーさんと面談した人を全部含めるということですね。で、その中で実態調査というのは、無低診を受けた方と受けなかった方の背景を比べるというものなのか、それとも、全部を引っくるめてどういう背景があるのかを調べるのですか。

古板 全員の調査しますが、適用になられた方とならなかった方の比較をするというよりは…、

藤田 そうだとすると、「研究の目的は2点である」と書いておられて、1点目の「無料低額診療の利用者の疾病や経済状況以外の社会背景を明らかにする」ということは、引っくるめてしまうとできないのではないかしら。

古板 そうですね、分けて考えることになると思います。

藤田 そこは分けるのですね。では、2つめの効果評価研究に関しては、糖尿病の患者さんを無低診群とそうでない群とを比較するということですけど、それを比較して結果に差が出たとしても、無低診による効果なのか、無低診を受けなかった人の健康状態や経済状況が良いから出た差なのか、評価ができないのではないかしら。元々の経済状況が違えば健康状態もおそらく違うでしょうし、周囲からのサポート状況も違うでしょうし、栄養状態も違うとすると、2つのグループを比較して差が出た時に、何で差が出たのかということをどのように評価するのかということです。

古板 ヘモグロビンA1Cの数値なんかを調査で抽出しようと思っているのですけれども、この時に不連続回帰デザインによる評価を考えています。資料のP10に図がありますけれども、所得の高い低いという経済状況によって、元々の糖尿病のコントロールの状態が変化していると予想されますが、ある所得のラインより低い方は制度の適用になって、ラインを超える方は制度外の通常診療になるので、数ヵ月後にA1Cの値を見た時に、もし、制度の適用によって差が出るとしたら、直線的に表されるはずの所得との計算値が、この過渡期のラインのところでズレてくるのではないかという疑問です。

 だから、元々の経済状態が悪い人は健康状態も悪くなることが予測されるのだけども、このラインでギャップがあるのは、無低を利用したら、利用しない元々の所得水準が高い人よりも、状態が改善しているという逆転現象が起きるのではないかという仮説ですよね。

古板 利用することによって健康の改善度が大きくなるのではないかと…。

勝村 対象者は、無低の新規適用の可能性があるのではないかと医療機関が判断し、NSWとの面談を行った者だけが対象ということなんですね。

古板 そうですね。多くのケースは、経済的な不安などを口にされ、ケースワーカーのところに来ていただくという経路ですけれども、他には、ご自身で医療費の支払いが厳しいと感じて調べられ、直接、相談に来られる方もおられるので、この書き方はちょっと正しくないです。

勝村 経済的な困窮状態にも程度がありますけども、生活保護を受けていたら無低には大抵ならないのですか。

古板 そうです。そういった方は別の支援になります。

勝村 実際にコントロールで分けるのは、相談に行って無低になった人とならなかったを比較するのでしょ。数的には少ないことはないのですか。どのくらい困られている人はいるのですか。

古板 中央病院・太子道診療所を合わせて新規に無低の適用になる方が400名ぐらいおられ、実際は適用にならない人の方が少ないのです。

植松 ほぼ通りますが、前年度は100名ぐらいが対象から外れておられるので、新規で言うたら、相談は500名よりもっとたくさん来られるので、100~200名は外れていかれるのかなと思います。

勝村 では1年の期間としたら、400人ぐらいと100~200人の比較をする研究ということになるわけですね。

松原 対照群は、収入で引っ掛からないとか、無低を断られる方というのは非常に少ないと思うのですけど、生保がスッと取れた人も同じように入るし、収入が上の人でも生保基準に合って生保が取れた人も入るし、無低でつないで生保に持って行った人も入るし、今後に進めようと思っている44条・77条のいわゆる保険料の免除といったものも含まれるので、対照になっていない可能性があると思う。

古板 いろんなパターンが考えられると思います。相談に来られて、この経済状況だったら生活保護ということで無低の適用にならない方もおられますが、そういうのも含めて、相談に来られた方が最終にどのような結果になったのかというあたりは記述しようと思っています。

勝村 では、無低にならなかった人の中に生活保護を受ける人もいるのだったら、その人が受ける医療のスタンスは無低と同じではないですか。それを比較して何の意味があるのかということです。

古板 なので、生活保護を受けるようになった方は、今回のフォローアップの対象から外れると思います。

 生活保護は何で比較対照から外した方が良いのですか。

古板 3群で比較するというのはありかなとは思うのですが、今回は無料低額診療のあるなしで調査しようと思ったので、生活保護の方を直接比較することは考えていなかったです。

藤田 それは書いてありますか。

冨田 生活保護を外すということも確か書いてあるはずですけどね。臨床研究部であらかじめ申請書を少し整理させてもらった時に、皆さんがお気付きのところへんは確かにいろんな問題がありそうで、ちょっと気になっていたのですね。1つは、無料低額診療の利用者だけが対象なのか、それとも、MSWへ紹介された段階なのかという、対象がどこかという問題があるのですね。それから効果評価研究のところですが、P10の図で回帰直線がここでズレているという、これでどういうふうに証明できるのかというのがよく分からないのですが、計画者の主張では、先ほども当落の話が出ましたけど、無低と通常を分けるラインの前後で機械的に分けたら、バイアスは無作為に分けたことになりそうだから、バイアスはあまり気にしないで良いのじゃないかという解説が載っていたと思います。ただ、ちょっとここにも問題がある。それから、今のは2群間の比較になりますけど、3群間の比較の話も出ましたね。つまり、説明をもう少していねいにしてもらわないと、対象がちょっとハッキリしにくい。それから比較の仕方が分かりにくい。ただ、回帰直線を使うやり方はあまり詳しく説明されてないですけど、このプランを作られた方は、そこに何か新しい工夫があるのですね。

古板 この研究は東大の博士課程の西岡医師と、その教室の近藤准教授が協力してくださっているのですけど、西岡先生の方から提案があった解析方法です。

冨田 P9の下の方にその解析を不連続回帰デザインと書いていますけども、もしそれが使えない場合には、反復測定分散分析を使うとしてありますけれども、このへんの方法論も、本当はどうするのかなということがちょっと分かりにくいので、このへんの説明をもう少し付け加えた方が良いかなという感じもします。

勝村 この研究は、無低になった人と無低にならなかったから医療を受けるのを控えてしまった人との比較かなと思うと、そうじゃないというわけですね。

古板 通常診療群の中には医療を控えてしまった方とか…、

勝村 控えてしまった人はキャッチできないですよね。

古板 数値はキャッチできませんが、通院状況は確認しますので、記述的なところで差が出るかと思います。

 病院に全く来なくなったら把握はできないけども、負担が重いから頻度が減るレベルの人はキャッチできるだろうということですね。

勝村 誘った以上はその人も入っているわけですか。

 一応、研究参加ということですが、コホートはないということで、追いかけられなかったら、脱落したという話になろうということですね。

古板 そうなりますね。

松原 さっきの振り分けの説明だと、相談に来られていわゆる収入基準に合致したら、無低に結びつくわけじゃないですか。この2群に振り分けているのは、相談に来た時点の収入がほとんどを占めるということになるですね。だから、その線よりちょっと収入が良い人の分で治療を受け続けている人と、収入がより低いために医療費の補助が入った人を比較して、どうこうという話になっちゃいますが、それを求めているわけですよね。

古板 現実世界ではそうせざるを得なかったのですけど…。

松原 今回はすぐに無低に結びつけたようですけど、例えば、1年とか2年とかそれ以上ずっと貧困困窮の状態でずっと治療をなんとか受けてこられた方が、無低に結びついたことで治療努力が改善するとか、そういうのを見ることはできないのでしょうか。
もう1点だけ良いですか。言い方は悪いのですけど、無料低額診療というのは一定、社会にとっては必要悪なんです。本来ならちゃんと生活保護とかそういう形でつなげるべきものを、つなげないのを保つために、そういう制度を利用するということになるわけなので、逆に、こういう研究がされることによって、無低のままで行っちゃう。無低からは何らかの形で卒業してもらわないといけないです。収入を上げるようなことをするとか、生活保護に結びつけるとか、そういったとこへの影響がちょっと出ないかというのが、僕としては若干危惧します。

 ただ、生活保護になるべき人が無低にとどまるという話にはならないのではないですか。

松原 収入は低くても拒まれるとか、財産があるとかいうことで、生活保護が取れないケースもあります。

古板 生活保護基準以下の方も、生活保護を受けずに無低診だけ受けておられる方も実際におられます。

 生活保護が、資産問題とか車を使える使えないとか、そういうことを含めていろいろ不当に制限されているようなケースはあるにはあるそうなんですけど、ただ、無低で対応したら生活保護は要らんという議論になるかと言うと、あまりそれにはつながらないだろうと思います。

松原 生活保護になんとかつなげていくというモチベーションを少し下げるかもしれないということですね。

 医療側がですか。医療側は…、

植松 それはないですね。ほぼ全員がワーカーの手を通りますので、積極的に制度へはつなげていこうとはします。無低診は病院の持ち出し制度になるので、使える制度は、それこそ44条につなげたり、生活保護につなげたり、努力はしますので、そこのモチベーションが下がるということはなく、逆に燃えますけどね。

松原 京都民医連の無低は長いと言われているじゃないですか。例えばよその都道府県なんかは民医連でも厳しいものがありますよ。できるだけ期間を短くするように努力をする。

岩橋進 1割減免・2割減免・3割減免というのは今もありますか。

植松 もうなくなりました。法人が上限額を下げたので、分ける必要がなくなった。

 最近、変えたのですよね。

植松 4月1日から上限額を150万円にしました。

 前はいくらでしたか。

植松 170万円。で、その前が190万円で、最初は200万円だったのです。

 ちょっと厳しく適応範囲を絞ってきているということですね。ただ、将来的に無料低額診療が理想的な制度という話ではなく、スッと利用できるものでもないですし、本来、生活保護じゃない形で、医療制度の中で生活困窮者の自己負担を減らすというやり方もありでしょうし、もっと言えば、困窮者に限定しないような医療費の負担減というのもありと思います。ただ、医療費の負担が健康に影響しているということを言いたいわけでしょう。負担軽減をすることによって健康状態が良くなるんだよということが研究の目的ですよね。

古板 そうですね、この制度の効果というのを…。

勝村 救急的に命を守る非常に大事な制度で、こういうことがきっかけで生活保護にもつながっていくみたいな制度なので、長期にうんぬんということとは別にして、一時的にはすごく必要なものです。で、ご努力いただいていることを、より意味があることをアピールすることで、もっとそれ広がっていけばということが真の目的という趣旨で、今ご意見が出ているのは、この設計でそれがきちんとできるかどうかということですね。

佐々木 対照群の話のことで、この研究にかかわる者と今、電話で話をしましたが、この資料CではP8の上の方にありまして、MSWのところへ相談に来た内で「無低診の適用とならず、かつ生活保護などの他の社会保障制度を活用しなかった者を通常診療群とする」と文章化されていることを補足させていただきます。

勝村 ありがとうございます。これは、無低診の適用にならなくて、生活保護も受けず、通常診療を1年間受けたということは、その人が支払っているでしょう。僕は高校の大学予約奨学金制度の担当をしていて、そこでよく言われているのですけど、所得の数学と貧しさって比例していないのですね。生活保護を受けているけども資産があったりする親戚からいろいろ援助してもらって大学に行く場合もあれば、所得があるように見えるけど、ギャンブルとかアルコールに依存している家族のため、本当に悲惨なことになっている子どももいて、そういう事例は例外的というより、そもそも所得の数字は貧困の深刻さと比例関係がないのではないかと思うぐらいですよね。今、給付型の奨学金は非課税世帯だけが対象になっていて、2万円か3万円ぐらいしか出ないのですけど、それだけでは同志社大学とかは行けないわけですね。普通、同志社へ行こうと思えば追加で貸与型の奨学金を8万円ぐらい借りなければ大学に行けないのに、それは要りませんという非課税世帯が幾つもあるのです。つまり、自分で大学に行く費用をなんとかできるのですね。一方で、8万円ぐらいを借りている生徒は多く、非課税世帯ではないけれども借りなければ大学に行けないのです。全然、所得と合わないという実態を、学生支援機構とか教育委員会が主催する説明会などで、高校現場の人権担当の教師とかが何度も訴えたりとかしているので、そんなことも考えると、こういう設計だけで十分に意味を見いだせるのかと思ったのですね。

古板 そういうのも含めて、相談に来られた方の背景とかを分析すると、そういう背景が見えてくるかもしれませんね。今まで無低診の調査はほとんどない中ですので、一回、全体的なところを見て、そこから新たな課題が幾つか生まれてくるのではないかなと思っています。あと、先ほど松原先生の方から「前後の比較」も言っていただきましたが、その検討も最初は行っていたのですけど、やはり無低診のあるなしで前後比較の比較もしないといけないだろうということで、今のアイデアに落ち着きました。

冨田 これは時間軸で見る調査ではなくて、どっちかと言うと横断的な調査になるのですね。

古板 そうですね。その時点、その時点での差を見ていくということにはなります。

冨田 傾向がつかめれば、次は時間軸でということになるかもしれないけど、その前の段階ですね。

垣尾 こういう解析の仕方をやったことがないので、中身はちょっと分からないのですけど、今ちょっと見させてもらうと、プライマリ学会に東大の先生が応募されるやつのサブアナリシスみたいな形ですよね。で、題名がほとんど一緒なので、サブアナリシスという意味なら良いのですけど、別立てでするのだったら例えば「糖尿病患者における」とかが題名に入っていた方が良いのかなと思ったりしました。あと、冨田先生に聞きたいのですが、糖尿病に限ると3分の1ぐらいになってしまうのですけど、統計学的なパワーは大丈夫なんですか。

冨田 私は統計学を知らないです。元々、ちょっと解析の仕方が分からないので、回帰直線を使って段差ができるというのを解析すると、どうなるだろうかと…。

古板 応募がちょっと前後してしまいましたが、研究の主体はここの出している研究で、その中のデータを…、

垣尾 プライマリケアは、糖尿病と限らず全部をレジストリにエントリーすることになっているのね。民医連内のやつは糖尿病患者さんに絞るという形にしてあって…。

冨田 プライマリケアでは血糖やヘモグロビンA1Cを測るのではないのですか。

垣尾 A1Cを測るのですけど、糖尿病患者に限らず、全部を測るということになっているみたいなので…。

勝村 P11の下に書いてある「この研究がプライマリ・ケア連合学会の事業に応募中である」はイコール?

冨田 これは研究助成を受けるための…。

松原 そういうことなんですね。別研究が動くのではないのですね。

古板 協議委員会に提出するにあたって、図や説明を分かりやすく書き換えた部分があるので、違う点がありますが、研究は1つです。

垣尾 でも、対象は糖尿病患者に絞ってありますね。

 解析方法に関しては、東大の近藤先生がちゃんと見てはると理解して良いですか。

古板 はい、連絡を取りながら進めています。

 健康格差の関係で言ったら、ダブル近藤が第一人者だと思うので、それで統計学的な解析が見込めるということであれば、ある程度は信頼して良いと思う。

冨田 願わくば例えば、方法論のところに、これまでに研究責任者が実行した業績があると、この方法論は使えるなとなんとなく分かるのですけど、ちょっと特殊ですよね。ようするに、何か解説を付けてもらうか、引用文献を教えてもらえると良いのですが。

 縦軸が変化量だから、グラフではA1Cが下がってくるというベクトルみたいなものを縦軸にしているということにはなるのでしょう。グラフ化したら、実際の矢印はそれぞれの人について存在するのだけど。

佐々木 先ほど論議になっていました対象のことですが、プライマリケア連合学会の方の申請者の西岡先生にできれば説明に来ていただこうと思っていたのですけども、今日はこちらに来れなかったので、電話でやり取りさせてもらっていたのですけども、対象が違うようにデザインされているかについては、研究自体は全く同じものになっていますということだったので、プライマリケア連合学会の研究とこれは全く同じものと理解していただきたいと思います。

勝村 はい。この臨床研究は次回、2ヵ月後の承認でも大丈夫ですか。

佐々木 テンポで言いますと、プライマリケアと結果がまだ出ていない厚労省の関係もあるので、そこに書いてあるところのプランで言いますと、できれば確認いただければ、そのまま研究として話が進められるかなということです。ここの京都のメンバーだけでなくて、近藤先生とか東大の先生なんかにもかかわってもらっていまして、このやり取りに、先生がここに来て説明させてもらったらもっと良かったのですけども。

勝村 6月7日では遅いということですか。

佐々木 こちらの思っていた日程では遅れてしまうような形になります。

古板 患者のエントリーを7月1日からを目指していたので…。

松原 研究の方法論に終始したような議論になりましたのは、多分、我々が十分に理解できていないことで時間が掛かってしまったようなところがありますが、例えば倫理的事項とかデータの扱いとかに関しては、サッと読みましたけど、あまり大きな問題はないようなので、もし通せるのであればどうしたら良いかな。

勝村 冨田さんからもあったように、若干、検討しても良いのではないかという意見もあったりしたので…、

冨田 例えば、今日出た問題点に関しての説明を6月までの間にメールでご連絡して、で、「こういうふうにチェックします」あるいは「改善します」、「説明します」というやり取りを少ししてというのではダメでしょうか。

勝村 次回が無理だったらメールでやる形だとは思いますが、目的とか意義に対して意見が出ているわけではないのだけども、設計とかいうことに関して、貧困度の問題も出てきているわけだから、次回をしないままの承認も合わないので、どうしましょう。今日の議事録なんかを見ていただいて、メール等で回してもらって、メール上で承認という形の手続きにしていきましょうか。そういう感じで良いですか。

関谷 けっこうです。

 良いとは思いますけど、論点をハッキリさせておかないと、何をすれば良いのか分かりにくいのではないかなと思う。研究デザインの問題として、これで統計学的に本当に検出できるのですかと…。検出できないなら、検出できないのも研究結果として別にありとは思うのですけど、研究デザインとして妥当かというところが、もう一つ得心がいかないという感じなんですかね。

勝村 …と言うか、いろいろ質問が出て、理解はされているのですけど当事者ではないから、「多分、こうだろう」という感じしかできない状況になっているところもあると思いますので、今日に出た回答を聞いて、実はよく分からないな思っているところが僕もあるので、今日に出てきた質問に対して、西岡さんとかの話とかを含めて回答をいただく中で、理解が深まっていくかなぐらいの感じかなと思うのですけど。

 メールで分かるような説明をしていただくということで、あとは特に異論がなければ、それで承認という形で良いとは思いますけど、論点をもうちょっと整理しないと分かりにくい感じがして…、

冨田 論点としては、1つは対象をもうちょっと整理していただいた方が良いかなということですね。それと、方法ですか、それがいちばんのキモかと思うのですけど。

勝村 計画書の中で目的の説明がP6の8行ぐらいだけなので、文章として少なすぎ、対象者についてもP6からP7にかけてぐらいだから、そこに質問が集中していたと思います。「どういう対象にしたらどんな同意書を取るべきか」とか「どういうふうに貧困状況を把握して」ということにもなるわけです。患者側もなかなか重たい協力をすることになるので、どういう設計でアウトカムにどう差が出るかということに対して、素人感覚でどうなのかという発想はある意味、すごく大事だと思うので、そのあたりですね。

藤田 研究計画書で言いますと、個人情報の保護と資料等の保存についてのことなんですけど、どういった資料が共同研究者の東京大学に行くのか行かないのかということを、明確に書いていただけると良いなと思います。例えばカルテの情報が行くのかとか、質問用紙に答えた数値だけが行くのかとか、そういった具体的なことについて、審査の判断ができるように書いていただけると、よろしいかと思います。

 そうはならないかもしれないが、個人的には生活保護群というのをやったら、生活保護の方が効果があるというような結果にもつながる可能性があるかなと…。生活保護を受けていない世帯というのが、社会保険の負担とかを含めていろんな意味で厳しいので…。

勝村 とりあえず、今日に出た一連の意見に関して、キャッチボールする中で返してもらうことで理解して、メールでもう1回、送り返すことがあるかもしれませんけど、いつが最後の締めなのかをそちらで逆算していただいて、メールを回すという感じでよろしいか。ではそういう形でお願いします。

 

議事(5)「その他 ①臨床研究迅速審査報告、②治験審査委員会報告」

では「その他」の①と②の報告をお願いします。

冨田 迅速審査は資料Dですが、この間に1件をしました。先ほどと似たようなテーマですが、別の部署から出ています。それから、治験に関しては資料Eですが、これまでと特に変わりなく3種類の薬についての治験が2月、3月と続いています。今のところ特に大きな問題はありません。以上です。

勝村 はい、よろしいでしょうか。最後に今後の日程ですが、偶数月の第1木曜日になります。では、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

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