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第七十六回 倫理委員会 議事録

日時 2017年12月7日(木)18:30~20:25
場所

京都民医連中央病院西館会議室

出席者

外部委員 小原克博委員長、原昌平副委員長、勝村久司委員、広瀬東栄子委員

病院委員 川島市郎副委員長、垣尾匡史委員、冨田豊委員、平田恵美委員
事務局  藤﨑智、丸山俊太郎
オブザーバー 川原初恵、松原為人、松本孝

欠席

岩橋多恵委員、関谷直人委員、井上賀元委員、ファム・グェン・クィー委員

議事

 

議事(1)「第75回倫理委員会議事録確認」

 

議事(2)「同種骨移植の開始について」

小原 ただ今より第76回倫理委員会を開催させていただきます。メールで連絡がありましたように、予定していた事例検討は省略します。議事録についてはいつのようにご確認いただきたいと思います。
今日はまず、前回もやりました(2)の「同種骨移植の開始について」ということで、前回の議論でご依頼したことの報告とその議論から始めたいと思います。では、よろしくお願いいたします。

松本 前回、倫理委員会で同種骨移植について基本的には承認していただきましたが、院内での運用規定と同意書について確定してから、正式に承認していただくということで、院内で議論してきました。その中で、臓器移植学会で臓器移植・組織移植全般についてのガイドラインを制定していて、法に基づく臓器移植にあたらない骨移植などについても明確に規定され、整形外科学会も骨移植のガイドラインを改定されていて、当院でもそれに従って運用していかなければならないだろうという指摘を受けました。それに基づいて移植の準備委員会を2回開催して、いちばん大きなことは、前回出来た同種骨移植の運用をする委員会の上に、組織をいただいてそれを提供するまでの全般を運用する、いわゆる組織バンクを作って進めるべきだろうということで、急いで議論をしまして、資料B①の「ヒト組織バンク委員会規程(案)」が作られることになりました。それと今日の資料には後に、提供側と手術を受ける側の「説明・同意書」と「同種骨移植準備委員会報告」を添付しています。

垣尾 前回にお出しした日整外会の指針は2003年の改訂が最後で、日本臓器移植学会のガイドラインもよく似ていますが、こちらは平成22年とか23年が最終の改訂でしたので、最新のこの領域のガイドラインということで、これに準じてウチの方も組織を構築していこうということで、ディスカッションしていたということになります。前回はもう一つ、同意書を仕上げるということと、途中で委員の方から「骨を採る人と手術する人は一緒か」という発言が出たのを覚えていまして、確かにそこはきちっと切り分けた方がいろんな面で良いかなということで、他施設の状況とかを見て、院内でドナー側を扱うポジションと、レシピエントに提供する側を分けて構築した方が良いかなということで、こういうのを作りました。
資料B①から見ていただきたいのですが、当病院内のヒト組織バンク委員会を今回創設しようということです。第1条は「この委員会は医療安全委員会の下に設置する」ということで、第2条(目的)としては「これまで廃棄処理されていた組織を、将来の組織移植用として保存管理を行う」というようなことです。第3条(運営の本方針)としては「日本組織移植学会のガイドラインに準じて行っていく」ということで、1)から7)は、ガイドラインに書いてあるものをそのまま載せたものになります。P2の第4条が構成で、委員長は医者ですね。ここで感染症の問題が大きなことになるかと思いますので感染症科の科長、あと、手術室の科長、臨床検査科の科長とか、そういうメンバーから構成するということになっています。第6条の開催は月1回を予定しています。第7条の業務として通常予定されているのは、組織を採取したり提供したりする判断を行ったり、採った組織の保存時の品質管理をする。あと、ドナー・レシピエント及び扱う職員の感染症発症のフォローアップを行う。それから文書の作成や、通し符を振るといった実務が入ってくるので、保存リストの作成。それから個人情報の管理、ドナー・レシピエントへの各種説明、手順等の作成も含まれます。第8条(報告)ですが、委員会の業務については医療安全委員会へ毎月、報告するということにしています。第9条(監査)は、年に1回、倫理委員会に提示して、監査を行っていただく形にしようと思います。以下は、通常に書かれていることかなと思います。このようないわゆる院内の組織バンクを、整形外科とは独立した形で設置して、補わせていきたいというふうに考えています。
それから資料B②~③は、前回の宿題になっていました説明・同意書で、中央病院で整えている書式に合わせて作らせていただきました。まず、B②はドナー用で、「骨組織等提供についての説明・同意書」という題名になりますが、「4.作業の必要性・目的」では、「摘出された骨組織を保存することで、将来それが~使用できる可能性があります」ということです。で、5.で実際の作業のことを簡単にサマライズして書いております。これで説明して同意書をいただくのは、基本的には整形の医師ではなくて、そことの利害関係のない者ということで、今はまだコーディネータという者がいないのですが、将来的にはコーディネータみたいな職種を作って、その方が説明しに行く形を想定しています。
B③はレシピエントに対しての説明・同意書になります。これは脊椎の手術時に移植されますが、脊椎手術の同意書は別個で取っていただくので、同種骨移植の手術についての範囲の同意書になりますけども、内容的には特別的なことは書いていなくて、この間、ご提示させていただいた日本整形外科学会から出されていた同意書の内容をウチの順番に並び替えて、そのまま提示しているだけで、特別なものは何も入れておりません。P6の10.は、他の方法との比較もできるようにした方が良いかなというところで、これも日本整形外科学会でも書いてあった文ですけど、同種骨だけではなく、自家骨や人工材料を使う方法もあるというような説明も入れさせていただき、「全国に3ヵ所だけ、死体から採った骨を利用する手段もある」というようなことも書かせていただいております。そのような情報提供をすべてした上で、最終的に同意をいただくというような書式になっております。
そこまでが前回の宿題で考えてきた内容で、別冊の資料B⑤からは、組織移植学会の各種ガイドラインが入っております。最初は組織バンク開設においての指針で、P11からは、組織を利用する医療行為の安全性確保の仕様に関するガイドラインです。基本的にこれらを参考して今回の規程を作り上げたということになります。P39からは、ヒト組織を利用する医療行為の倫理的問題に関するガイドラインもこの団体が出しておりますので、それも入れさせていただきました。説明は以上です。

小原 ありがとうございました。前回、論点に関してはかなり議論していまして、それを踏まえてまとめていただいたものになっていますので、今の説明を踏まえてあらためて、文書がこれで適切かどうかのご確認、及び質問をよろしくお願いします。では、外の方が考えていただいている間に、私の方から質問させていただきます。
まず、この説明同意書は整形の医師以外の者が説明にあたるということを言われましたけれども、それが可能な態勢になっているのですか。

垣尾 ドナー側についてはそうしようということになっていまして、組織バンク委員会のメンバーが基本的に説明しに行くことを想定して、この委員会を作った形になっています。

小原 主治医以外の方が委員会から選ばれて行くということですか。

垣尾 そうです。緊急とかの場合に整形の先生から一声、患者さんに声を掛けていただくことはあり得るとは思いますが、正式な同意書を取りに行くのは、利害関係のないメンバーになると思います。

松本 準備委員会でも議論したのですけど、現実には来られた日とか翌日に手術を受けられる緊急の患者さんもいるので、そこまで他のメンバーが、ということまではできないと思うのですが、主治医から少しお願いをしておいて、照会しておいて、とりあえず骨頭を処理して保存させていただいて、日を置かない内にメンバーが正式にお願いに行くという形も一部にあるのが、現場サイドでは現実的だと思います。人工関節の手術の場合は十分に日がありますから、先にメンバーへお願いすることは十分可能だと思います。

小原 それから、資料B③の10.ですけど、他の手術法についても記されているのですけど、今回は同種骨移植をメインにこれが作られていますが、患者さんによっては自家骨あるいは人工骨というオプションもあるわけですね。その場合にはこれと同様の同意書を作らなくて良いのですか。

垣尾 自家骨移植とかは今までもされていたと思いますので、通常の手術の同意書の中で大丈夫だと思います。

小原 それはすでにカバーするものがあるということですね。
では、ちょっと表現上の問題で、今の10.には「他の検査・手術・治療がある場合には、その内容及びメリット・デメリット」と書かれているのですけれども、これは「ある場合」ではなく、実際に同種骨移植以外もあるということが書かれているので、表現としては「他の検査・手術・治療の内容及びメリット・デメリット」にした方がスッキリするのではないですか。

垣尾 そうですね。どこか抜けないように書式の定型文として1.から11.までの項目があって、そこにそれぞれの手術とか検査とかをはめていくという形になっているだけなので、そこを修整するのは全然かまわないです。

小原 テンプレート的に入れてあるということですね。「ある場合・ない場合」という場合はこういう書き方で良いと思うのですけども、この場合は、続く文章で明らかにあることを書いてあるので、変えた方が良いですね。

原 細かいところですけど、ドナー側の同意書で「作業」という言葉がありますけど、このジャンルではこういう言い方をするのですか。医療界ではあまり使わない気がするのですけど。

垣尾 いや、基本的に説明・同意書というのは、今まで検査か手術か医療ということがほとんどでしたが、今回は今まで扱っていない領域のことで、そのどれにも当てはまらないのでどの言葉が良いかなと迷っているとこなので、何か良い案をいただければそれに替えたいなと思うのですが。

松本 前回の原案では「作業…」というようなタイトルは何もなくて、ご同意いただきたい事項ということで、骨頭のことをというふうに、同意をお願いする内容でした。いろいろ知恵を絞っていただいて「作業」になったのですが、確かに「作業」はあまり良くないかもしれないね。

松原 「作業」という言葉に抵抗感があるのでしたら、「作業名」はこれだとしている「摘出骨組織等の保存」ということを、以下の全部の「作業」のところに当てはめるというのはありかもしれませんね。ちょっと冗長ですので、少し略してとか…。

松本 「骨組織保存の必要性」、「骨組織保存の具体的内容」…。「作業」は使わない方向で…。

原 「処置」と言うと、少なくとも業界的には医療行為になりますものね。

松原 強いて言えば「処理」。

松本 確かにちょっとねぇ。

小原 「処置」はやっぱり具合悪いですか。

松本 「処置」は、患者さんに対して医学的には取り出すことが処置ですが、取り出したものをどうするかというのがこの行為の中身なので、僕は「事項」しか思いつかなかったです。

垣尾 血液で言ったら献血行為みたいなところですから、それに値するのは何になるのかな。

松原 院内の議論では上がってこなかったと記憶しているのですけど、いわゆる骨頭を摘出してそれを作業に回し、同意は後日という話が今出たのですけど、その間に処理へ回すということを、いわゆる非同意でやって良いのでしょうか。本来なら摘出された組織は適切に廃棄するということが、法的な前提ではないですか。それだったら、例えば大腿骨頭の摘出をした時に、そういった処理に回すことがあるという同意をあらかじめ取っておいて、実際に組織として活用するかどうかという時点で、この同意という順序を採る必要はないでしょうか。

松本 仮同意と言うか、口頭でとりあえず「正式にお願いするまでは冷凍させていただきます」というお願いはしておきますし、通常も廃棄するまでは日にちがあるので…。

垣尾 インフォームドコンセントのテンプレートが運用されていますので、そこに整形科の先生から口頭でお話しいただいた内容を書いてもらったら、電子カルテ上に記録は残ると思いますけども、それぐらいでどうでしょうか。最初から説明同意書的なものが要るとなると、もう一工夫しないといけないことになるかなと思います。

原 骨を余分に取るということがなければ、そんなに問題ではないとは思いますが、臓器の場合でも基本、使う場合は同意を取りましょう、使わなければ廃棄しましょうという場合が多いと思います。タイミング的に直ちに求められているわけではないと思うので、事後的に同意を得れば、それで良いのかなと思います。

小原 事後的に保存の同意を得る場合でも、手術の直後に保存をしているということですよね。

垣尾 その時に加熱滅菌して冷凍保存しないと、組織が不安定になりますので…。最終的に同意書をいただいた段階で不同意であれば、その時に消却させていただくということにはなると思います。

勝村 同種骨移植をやっていなかったら、すぐに廃棄しているのですね。

松本 その日か、次の日か…。

勝村 これをやるからこそ、承諾を取る前に、承諾を取れたら使うためにやるのですよね。大きな問題ではないから後でも良いのではないかと言いだすと、そもそも…。さっき別の所でやってきたのですけど、「インフォームドコンセントを後付けでやるというのは、医療安全を徹底していない」と話していたのですが、大変さがけた違いになるのならそれでも良いですけど、前に同意書を取るのは物理的にそんなに困難なのですか。

垣尾 利害関係のない人が説明しに行くことになりますので、緊急の時とかに対応するのはなかなかハードルが高いということと、医療安全との関連ですが、それをだれかに提供するところが入ると、かなり医療安全的なところがありますが、これはあくまでも取って保存するところまでなので…。

勝村 勉強会みたいなところで、大学とかでインフォームドコンセントをちゃんとやっているつもりでも、患者は手術が終わってから書いておいてと言われたとか、そんなあり得ない話がいっぱいあると聞いたので、ふとそう思ったのです。

垣尾 そうですね、手術とか診療なら、それはもうダメです。

小原 原則はもちろんこれも事前なんですよ。我々が問題にしているのは緊急の場合のことなんですね。

勝村 そういう物理的なことがあれば、全然良いと思います。

松本 緊急時でも最低、整形医から手術の説明はするわけなので、「手術の時に骨頭を取り出すのですけども、他の人のために使わせていただきたい。ただ、僕が直接に同意をいただくわけにはいかないので、後日、第三者が正式にお願いさせていただきます」という説明を付けることにしています。

原 あまりここにこだわると、手術そのものの説明とか同意の方が基本的には大事なので、あまり余分なことをむげにやらない方が良いのではないですか。

松本 回答をもらうまででもないので、一声掛けるという程度です。

垣尾 現実的にそういう緊急例があって、もし不同意であった時でも、加熱滅菌・保存するのに一定の費用は掛かりますので、これは病院持ち出しになりますが、それはもう込みでスタートしたいなと思います。

小原 前回にちょっと議論になったのですけども、冷凍保存する設備はもう整っているのですか。

松本 冷凍庫は買うだけです。

垣尾 一応、常務会決裁も通ったような気がしますので、OKになればいつでも買える状況にあります。

小原 もう一度B②に戻りますが、見慣れると「作業」でも良いのかなと思いますね。読む人が大きな違和感を感じる表現だと問題があると思うのですが、病院ではこういう言葉を使うのだと思って読めば、さほど大きな問題がある言葉ではないので、これに代わる名案がなければ、これでも良いかなという気がするのですね。

松本 良い言葉が見つかれば、勝手に換えても良いのですか。

小原 それは一応、諮っていただいた方が良いですけども、しかし、これでスタートしてもよろしいですか。

勝村 なんとなく違和感はありますね。だから、良い案があれば…。だけど、「作業」とかいうように言い換えなければいけないのですか。フルネームにするとか…。保存するということですよね。

垣尾 3.以降の「作業」は、具体的に「摘出骨組織等の保存の実施予定日」というような形にすれば良いと思いますけど、2.だけが…。

松本 もう一度、原案を言いますけど、2.は「ご同意いただきたい事項」で、それが「摘出骨頭の保存」ということで、3.は「実施予定日」で、後は「骨組織保存の必要性」とか、「作業」を全部「骨組織保存」に書き換えると、違和感が減るのではないでしょうか。

勝村 そっちの方が自然な気がします。しゃくし定規にしなくても、あくまでも患者に伝える文章ですからね。

松本 そうですね、そこはそう変えさせていただいて…。

小原 これになんで違和感を感じるかと言いますと、「作業」という言葉がずらずらと続くので、それに圧倒されるというところかありますから。それをうまく書き換えていただくだけで…、

原 「保存」とか「保存手順」とか「手順」という言葉は使えるかもしれない。「作業」が絶対に出てきてはダメということはないと思いますけども。

垣尾 なるほどね。

冨田 「作業」そのものは作業療法という言葉が医学界ではありますけど、ガイドラインではねぇ…。

松本 ちょっと違いますね。

垣尾 だから、2.の題名だけは元々のやつに換えさせていただいて、後のやつは実際の「骨組織の保存」というような言葉を使いたいと思います。

小原 そういう形に書き換えていただければ良いと思います。全体を見ていただいて他はいかがですか。

松原 前回は出ていないので、議論になったかどうかは分からないのですが、ドナーの方に諸検査を行うわけではないですか。この諸検査はもちろん保険診療じゃなくて、病院の持ち出しで行うわけですが、検査自体が医療行為になりますので、その結果について説明するという義務が発生しますが、検査を受けることで知りたくない事実を知ってしまう可能性も生じるわけなので、そこに関する合意というのは必要ではないでしょうか。

垣尾 諸検査のことは11.の「その他」で、「諸検査が必要になる場合がありますが」ということで、必要負担の問題と、個人情報・プライバシー保護は厳守するということは書いてありますけど、献血の時にはどこまでの情報をもらえるのでしょうか。

松原 HIVはやっぱりかなり機微な問題だったので、今はもう採れるようになっていますけど、以前は説明・同意の下でしか検査自体が行えなかった。

冨田 結果を、例えばお聞きになりたい場合にはお知らせし、聞きたくない場合はそのままにするという、そんなことではダメなんですか。

小原 この場合の検査で上がってくる情報って何があるのですか。

垣尾 基本的にいわゆるHIVとか肝炎関係は多分、手術を受けられる時点で採ってはるかなと思うのですけど、それ以外の特殊検査ということになると、B⑤のP18~19に書いてあるような感染症関係の検査が想定されると思うのですけど、狂牛病は残念ながら検査では一般的になかなか採れなくて…、

松本 …検査で分かることではなくて、リスクを除外するために渡航歴とかを調べなければいけないので…。追加の検査では成人T細胞白血病とHTLV。検査ではそれだけですね。

垣尾 先ほどの提案みたいに、「お聞きになりたい方は提供します」という文言を追加すればと思いますが…。

小原 これには「諸検査等が必要になる場合がありますが」とあるのですけど、必要でない場合もあるということですか。しない場合があるとしたら、その判断基準はどこにあるのですか。

垣尾 今、分かっている病気に関しては多分、ここに挙がっている分になるので、多分、しないという選択肢はないだろうと思いますけど…。

松本 挙がっている分は必ずします。ここに出ていない検査としては、骨組織を処理した時に出てくる液を細菌検査するのですよ。そこで何か出てきた時、患者さんに説明しなければいけないかは、摘出後に紛れ込んだものかもしれないし、ちょっと微妙な問題があります。

小原 その時に出てくる検査の結果というのは、通常の血液検査では分からないようなものが出てくる場合があるということですね。

松本 細菌検査ですから、可能性はあります。何が出てくるか分からないから、それが果たして病原性のあるものか、患者さんから出てきたものかも証明できない。

勝村 これは、提供しなかったらやらない検査ですか。

松本 そうです。提供していただいた骨を対象にするものです

勝村 提供されたからこそ、次の人のためにやらなければいけないけど、本人のためにはやらない検査ですね。

松本 そうです。意味がない検査です。

原 そうすると、それも含めて同意にしておくか、「必要な場合は別途、検査内容の説明・同意をいただきます」というふうな内容をここに入れておくか。

勝村 その検査結果は、場合によったら本人がそれを知ることで、本人に影響する内容はあり得ないのですか。

松本 それはゼロではないので、それはしなければいけないでしょうね。細菌が出ても、患者さんに元々あったかもしれないし、なかったかもしれない。この内容をまず説明して、どうするかということになるでしょう。

勝村 では、一連の手続きの中で「必要になる場合がある」じゃなくて、必ずあることになりますよね。

松原 手術関連に含まれるものは全然そのままで良いと思いますけど。

松本 これは多分ガイドラインを決めた時に、どこまで検査をするかはかなり自由にというか、厳密でなかったので、こういう書き方になったと思いますが、当院では検査をしますから、この表現は「検査をします」と書いた方が良いですね。

垣尾 そうですね。で、具体的にATLとか白血病とかの検査も、今、分かっている分に関しては書いた上で、同意をいただくという形にして、「結果については、もしご希望でしたらお伝えします」という書き方に…。

原 ちょっと別なことですが、ドナー側の説明・同意書の中に「提供しない場合も不利益がない」ということを明示した方が良いのかな。あぁ、一番下にありますね。でも、これはどうなんですかね。

松本 同意のチェックの後で、「同意を拒否されても不利益はありません」というのは、どの同意書にも書いてあることですね。

松原 P3の7.につながるところがこれではないですか。まさか「提供される方の骨はていねいに切り取りますけど、そうじゃない人は雑に切り取ります」というわけじゃないのは決まっている。

原 明示をした方が良いとは思いますけど、末尾にあるのだったら、それはそれで良いと思います。

勝村 これは必ず「診療上の不当な扱いを受けることはありません」なんですか。「診療上の不当な扱いも受けないし、不利益もない」ということと、何かちょっと違うみたいに感じます。

原 「不利益」とした方が良いとは思います。「不当な扱い」というのはかなり強い不利益のように感じます。

松本 ちょっと検討しているのですけど、コーディネータあるいはそれに代わるような第三者が同意書をいただくではないですか。「その同意をいただいた人間以外は、その患者さんが同意されたかされていないかも分からない。だから何のブレーキもありません」というぐらいの方が、いちばん良いのじゃないかと思います。

勝村 いや、「同意しなくても良いですよ」と書いているけど、病院から頼まれている感があるのに断るわけだから、病院から「不当な扱いを受けない」というのと、そういう関係性とは別に、例えば、やっておいた方が検査をいろいろやってもらって教えてもらえるといった、自分にとっての絶対的な不利益がないということで、「不当な扱いを受けないし、不利益も受けない」と並記した方が良いですね。「診療上の不当な扱いを受けることはありません」では、「拒否しても病院は冷たくしません」というふうに僕は読みますよね。

垣尾 両方の表現を並べてという形で書くということですね。

小原 では、「診療上の不当な扱いや不利益を受けることはありません」で良いですか。

原 順番は逆で「診療上の不利益や不当な扱い」です。診療以外でも不当な扱いを受けることはあり得るので…。

松本 診療上の不利益や、診療以外のことも含めて不当な扱いを受けないという意味ですか。では、この間に読点でも入れて区切った方が良いですか。

原 別に続けたら良いと思いますけど、一般論で言うたら、医療内容で損しないかという診療上のことがまず基本であって、待遇とか、お金とか、それ以外のことが不当な扱いということですが、理論的にはあり得るので。

松原 先ほど「この人がドナーであったことが、他のスタッフには分からない」という表現がありましたけど、それは不可能ではないですか。同意書が入っちゃいますから、診療に関係する人にも分かりますね。それはもう業務上の情報収集の扱いの範囲で、守秘義務が発生することにはなりますけども。

松本 この同意書が、電子カルテに保存されるべき同意書かと言うと、別にしておくべきではないですか。

原 保存すれば良いのではないですか。匿名性を確保する必要性があるのは、レシピエントサイドとの関係でしょ。医療機関の中では基本的にはかまわないので良いです。

松本 そうですね。かまわないですね。分かりました。

垣尾 先ほど言われた「不利益」のことなんですけど、同意しなかった時の不利益はほぼないのですけど、ちょっとだけ気になったのは、「同意して不利益が」ということも含めて言われたのかなと思ったのです。ふだんやらない検査を追加でやるので、それによって例えば陽性が出た時に、知りたくもない情報を知れてしまうという不利益は、確かにある可能性があるので、この文言はどこかに入れさせていただいた方が良いですよね。

小原 もしそれを入れるとしたら、どこに入れますか。

垣尾 6.とか、11.の「その他」とか…。その点については、今初めてそう思ったので、どこに入れたら良いか分かりかねます。

松原 文章の流れからいくと、11.しか入りませんね。

松本 「検査を行います。結果については適切にお知らせします」。

垣尾 それによって不利益が生じることについては、どう表現したら良いのかなと思ったので…。

原 検査に伴う不利益ですか。

垣尾 さっき言ったように、白血病ということが分かってしまったり、他のいろいろな感染症が分かってしまったりすることはゼロではないのですね。

小原 骨頭を取り出す手術をする前に血液検査とかいろんな検査をしますよね。白血病なんかはそこの段階で分かるのではないですか。

垣尾 分からないこともあると思いますね。

松本 でも、分かってしまう場合もありますね。その場合は良いのですけど。

小原 その時には分からなくて、この特殊な時に初めて分かるという場合もあるということですね。

垣尾 キャリアだけで発症していない場合とかもあり得ると思うので、その表現をどうすれば良いのか…。

冨田 さっきの話に戻りますが、結果をお聞きになりたいか、そのことを明示されたらどうでしょうか。

垣尾 そこで担保されますからね。

小原 いや、なかなか微妙で、患者にとって知りたくないような情報を医師が知り得た場合に、患者が聞きたくないと言っていたら、教えなくても良いというふうに考えるのか、あるいは、医療上で知り得た情報を開示する責任があると考えるのかで、やっぱり違うわけですよ。ですから、求められなければ例えば白血病であったとしても教えないとは、簡単に言いきれないと思うのですよね。患者が求めなかったとしても知らせることによって、事後的な治療でもし改善するものであれば、望まなかったとしても教えるべき情報になりますよね。

冨田 例えばゲノムの検査の時に、それがあり得るわけですね。ただ、患者にとっての生命リスクにかかわるものを知ってしまった場合にはそれを伝えることも含めて、選択肢を考えないかんということですけどね。そうでないものは伝えないということですね。

小原 例えば白血病が、前の検査では分からなかったが、この時に初めて分かったという場合はどうですか。伝えなくて良いですか。

松原 おそらくこの検査の範囲で白血病が分かるとしたら、もう末血の白血化ですから、必要な検査の中で分かった異常値なので、それは医療行為として説明する義務が発生すると思いますよ。ここでいちばん問題になるのは、オペでは絶対に検査しないHTLV-1ですよね。これに自分が感染していることが分かったら、大半は親からですので、やっぱり「えっ!?」という話が出てくる場合もあると思いますね。オペ以外に採る検査としてはこれだということと、ガイドラインに書いてあるように、もし症状がある場合に別途の検査が発生する可能性があるじゃないですか。そういったものに関しては別途の説明になりますが、「手術に必要な検査以外ではこれを採ります。その結果に関しては基本、お知らせします」と言ってしまった方が良いかもしれません。嫌だったら、これに同意されなかったら良いわけでしょ。

松本 そうですね。やる検査をハッキリした方が良いですね。こっちがお願いしなくても、手術になるとたいがいの検査をしますので、それこそ癌が見つかる場合もあるし、ひどい糖尿が見つかる場合もあるし、知りたくないことを知る機会はいっぱいあるので、ここで発生するものを限定して…。ATLだけですか。

松原 ガイドラインに書かれていた検査の中では、それだけだと思いますね。

勝村 「11.その他」が良いのかどうか分からないですけど、今、お話しされたことが全部、分かりやすく載っている方が良いと思う。「同意していなかったらやらなかったこういう検査をやります。その検査はレシピエントのためにやるのだけど、結果においてはこういうことが分かる可能性もある」と思っておられるのなら、そのことを書いておかれる方が良いと思います。

小原 「お伝えすることもあります」みたいな感じで書いた方が良いということですか。

原 「検査結果は原則としてお伝えします」で良いでしょう。

松本 そうですね。「それで同意していただけますか」ということですね。

原 検査項目をこの文章の中に入れる方法もありますけどね。

垣尾 項目は一応、今、具体的に分かっているのは入れようかなと思っています。

原 検査と質問もありますよね。

垣尾 そうですね。

勝村 どんな検査をするか具体的に入れて、その結果、こんなことが分かるかもしれないということが、もし今、具体的に分かっているのなら。それも書いてあった方が良い。

垣尾 項目を挙げるとこまでは多分、説明同意書の範囲に入れ込めると思うのですけど、それぞれの病気がどんな病気でとかいうところまで説明しだすと、とても納まらないようになってしまうので…。

勝村 そこはリーズナブルな方が良いですね。

小原 「原則としてお伝えします」ということだけをしっかりと入れておいていだければ、大きな問題はクリアできると思います。他はいかがですか。

広瀬 この骨移植を受ける方というのは、年齢とかそういうのもあるのですか。

松本 受ける側は、手術に耐えられる範囲であれば問題ないです。ドナー側も、骨折とか人工関節の手術を受けられる範囲であれば良いのですけど、極端に骨が弱い方の場合は、最初にお願いしない場合もあると思います。

川島 説明・同意書の2.の「作業名」をどう言い換えるかという話ですが、同意書なので、「同意いただきたい事項」というのはおかしくないですか。そもそもconsentとdefeasibleの中立で提示するべきものを、「同意いただきたい事項」と書くのは、今の時代に合わないのではないかな。

松本 どうしたら良いですか。

川島 ここは「作業名」で十分だと思いますけど。

松本 「作業名」以外の適切な言葉はないですか。

川島 できるだけ中立で提示する場合は事象ということになるので、「作業名」で良いと思いますけど。

垣尾 2.だけを「作業名」という言葉を残させていただいて、後は先ほど言った具体的な名前に換えさせていただくので良ければ、それでもかまわないのですが。

小原 それで良いと思います。1ヵ所ぐらい「作業名」とあってもそんなに気にならないですが、これは繰り返すので、どうしても気になったのですね。

垣尾 分かりました。では、そうさせていただきます。

小原 他はどうでしょうか。

松本 準備委員会の議論で補足なんですけど、前回の倫理委員会で「家族に提供したりとか」という議論があったのですけど、物理的にも家族のための保存というのはあり得ないという、つまり、ドナーとレシピエントの匿名性を保つためにもあり得ないということで、結論付けています。それから、「脊椎の手術を後で受けたいから」という、ご自身のために骨を保存したいということはあり得ますが、骨の提供ということにあたらないので、今回の手順では該当しないということです。ただ、ご自身のために骨を保存するかについては、すぐに結論を出さないで、どういうことが必要かを検討することにしました。つまり、今回承認いただくことの中に、ご自身のための骨保存は含まないということで良いですね。

小原 今のドナー説明・同意書の中では、それが特に除外されているというふうに読めないのですけど…、

松本 ですから、同種骨移植にはあたらないということです。

小原 例えば、ご自身のために提供したいという意思を持った方が現れた場合に、これを使っていただくことはできないのですか。

垣尾 管理の問題で、採って、滅菌して、保存して、最終的にはだれから採ったかという情報が基本的に表に出ないような形にしたいなと思っておりますので、冷凍庫もその人用に特別に枠を作って、そこに保存するとかいうことになると、けっこうそこでミスが起こったりということがあるかなと思うので、将来もその道がないということではないですけど、現時点ではちょっとやめておいた方が良いかなとは思ったのです。

松本 あった方が良いとは思うのですよ。例えば3年後に手術を受ける可能性が高くて、たまたま骨の摘出をする機会があったら、本人のために保存すれば、他人さんの骨よりはもちろん良いわけですから、したいとは思いますけど、今言われたような問題とか、他人さんに提供する場合は検査費用を病院が負担しますけど、ご自身の骨に関する検査費用をどう考えるのかとか、具体的に考えることがいっぱい増えてしまい、今回は見送ります。

垣尾 とりあえずスタート時には外させていただいて、もし将来、そういう希望がたくさんあるのだったら、もう一回ちょっと、機械の使い方なども含めて練り直した方が良いかなと思います。

小原 分かりました。それは、これまでのご経験からいって頻繁にあり得ることですか。

松本 そういうことが必要な患者さんは年に数人はおられると思うのですけど、どこの病院でもやっているとは聞きませんし、やる場合にどういうことが必要かとか、ちゃんと検討しないと言えないので、今回は含めなかったということです。

小原 ということは、それに該当する患者さんがいた場合に、病院側から「ご自身の3年後の手術のために、今、保存した方が良いと判断されます」みたいなことは言わないということですね。

松本 言わないです。言わないけども、「骨をいただけますか」という話はするし、骨を使う時には「他の人の骨を使いますか」という話でスタートするということです。

勝村 自己輸血みたいに、他の人の骨を使うよりは自分の骨を使った方が、予後は良いわけですか。

松本 そうです。細胞が死んでいるとはいえ、自分の骨の方がずっと安全性も適合性も高い。ただ、エビデンスがなく、どこかでやっているという話は聞かないので。

原 それを別に否定しなくても、ここの対象にしないということを書いておけば良いのではないですか。今回の提案は自家移植ではなくて、他人との関係ですよね。

勝村 今までは冷凍庫がなかったから、そういうこともできなかったけど、これからはできるようになるということで、そういうニーズもあり得るということですね。

松本 技術的にはそうですし、ニーズもあり得ます。

小原 ニーズが仮にあったとしても、病院側が言わない限り、患者さんがそういうことを申し出るということはないでしょうから、それはやっぱり病院側の判断が必要ですよ。

原 そら、手段があるのだったら、説明する義務があるのではないですか。

小原 そうですが、説明する義務があると考えるのも含めて、病院側がそれを判断しないと…、

原 それでは患者への情報提供として不十分だと思います。

小原 ではどうしますか。そういう可能性があって、設備があって…、

垣尾 今言ったように、スタート時点で同時にやると、それこそ医療安全的に、そこを切り分けて処理できるということが非常に不安なので、現時点では止めさせていただいた方が良いかなと思います。

原 なんで止める必要があるのか、ちょっとよく分からないです。現実的にできないというのなら分かりますけど、手段はあるのだけど、ややこしいから止めておくというのは、私は具合が悪いと思います。それは具合が悪いのですが、医療行為として別途扱いにして、「自家移植は今回のこれからは外します」と書けば良いのではないですか。

松本 同種骨移植の範ちゅうではしません。ですが、そういうことが実現するように…。

小原 もしそうであれば、それをどこかに明記しておいた方が良いのではないですか。

垣尾 4.のところに「同種骨移植」という言葉を入れさせていただいていますので、「自家骨移植を想定しているものでありません」という言葉を入れさせていただいくとしたら、4.の最後ですね。

小原 それはあった方が今のご意思が明確になると思います。

原 そして、自家のものがもしも実際にできるというのであれば、他人に提供する話とは性質がずいぶん違うので、それはそれで医療行為としてやったら良い話であって、ただ、技術的にできないというのなら、できないという話になりますけどね。

小原 ただ、今の話では技術的にできるということですからね。

松本 できるというか、本当にして良いかという確証は全くないということですね。

小原 それは医学的なエビデンスがないから、まだしたくないということですか。

松原 取り違いがあるとか、いわゆる余分な障害が幾つもぞろぞろとしていて、管理上で想定されるリスクが大きいのです。

松本 どこかで安全にたくさん行われているというのもないので、やるからにはもうちょっと調査して、現実性がないとできません。

原 それはできる態勢がないというのだったら、「そういう方法もあるけど、今はできる態勢にありません」という説明をすれば良いのではないかと思います。

松原 ちょっと気になるのは、もし「オレは3年前に大腿骨を置換してもらって、その時に預けた。今度はオレの骨を使ってくれ」と言われた時に、それを許してしまえば、レシピエント側のオペの時にドナー情報を知り得ることになる。

松本 ですから「返還いたしません」と明記してありますし、分からないとなっています。ようするに、当院からどこかの骨バンクにお預けしたのと同じ形になっています。

松原 そこの原則は徹底してもらいたいですね。

小原 ではそうしましょう。だいぶ時間を掛けましたが、どうでしょうか、他にありますか。

原 ヒト組織バンク委員会の監査は、委員会規程第9条では「倫理委員会が監査を行う」となっていますが、一般的な話だったら良いのですけど、基本的には公平性の問題と安全性の問題というのが中心なのかなと思うのですけど、ここで監査できるかなという若干の疑問を感じます。

小原 ここでいわれている監査というのは、具体的な内容としてはどういうものが挙がってきそうですか。

垣尾 具体的にはなかなか難しいのですけど、倫理的にきちっと運用されているかというようなチェックになるかなと思います。安全性とかに関しては毎月、安全委員会へ報告となりますので、一応そこでチェックが入るということになると思うのですが、さっき言われた自家骨等、決め事というのがきちっと守られているかどうかとか、そこらへんのチェックということになるのかなと思います。具体的な手技に関しての監査が安全委員会では不十分だということであれば、別に監査委員会を持った方が良いのかもしれないですけど、そこまでするとかなりおおごとになるのかなと思ったのです。

小原 毎月行われているのがヒト組織バンク委員会で、そして医療安全委員会に毎月、報告するということですね。それを中心に1年間の経過をまとめたものを、倫理委員会への報告と監査が行われるということですね。

原 報告していただけるのは良いと思うのですけど、監査に値することができるかというと、ちょっと無理があるのではないかな。もし倫理委員会に持ってくるのだったら、特命の委員みたいなのを決めてとかいうやり方はあるかもしれないけど、資料とかを見ながらやるのが監査であって、報告を聞いて「それで良いです」というのは監査ではないと思います。

小原 それでは実態は報告ですね。第8条にある報告と第9条の監査というものの意味が違うのかどうかですね。

松原 手順の監査機構は院内にもあるわけなんですが、いわゆる倫理的な評価というのは、そこではなかなか難しいのではないか。

松本 移植学会の必要要件の中に「採取を行った適否に関する調査・審理を行う倫理委員会が設置されていること」があって、その委員には「倫理・法律面の有識者、科学面の有識者、市民の立場の人が参加していること」ということが書かれていて、中央病院の倫理委員会と性格が全く一緒というわけではないですが、求めている倫理委員会を当てはめると、この倫理委員会になると思います。ただ実質的に、適正に運用されているかの監査ということになると、別の機関が良いかもしれないね。ここのガイドラインに従えば、監査は第三者的にしっかり行うけども、その報告は必ず倫理委員会にしなければいけない。

小原 その場合の監査は違う外部に委託するということですか。

垣尾 当初はそういう案も出ていたのですけど…、

小原 仮にそういうふうな手順にするとした場合、委託できるような外部の組織ってあるのですか。

垣尾 組織バンク自体を本当にきちんと施設内の作業でできている施設自体がそんなにたくさんはないのかなと思うので、そこに手慣れた方をお呼びしてくるというのは、けっこうハードルが高いかなと思うのです。

原 「準備会報告」の中だと、同種骨医療監査委員会というのは外部委員を頼んでやることになっています。

松本 それはやることが決まっています。医療安全委員と、丸太町病院でたくさんやっている先生に一緒に入っていただいて、監査をします。

垣尾 実際の医療についてのテクニック面とか、そこらへんの監査は、具体的な外部のドクターに来てもらってしてもらうというのは、また別個で作る予定にはしているのですが、あくまでもドナー側の方のチェック、あるいはレシピエントに払い出すまでの段階のチェック機能で、ガイドラインでもP6の8.で「事業を行うには~監査を定期的に受けていること」が要求されていますので、どこかで監査をしてもらわないといけないことにはなるのです。それが、だれが適切かどうかはちょっと難しいかなとは思うのですけど。

勝村 その監査をするために、具体的にどんな資料を見て監査するというイメージなんですか。

垣尾 実際には、例えば年間どれぐらいの件数のドナーがあって、どういう数の払い出しがされてとか、そういうような数字上のことを報告して、チェックしていただくことになると思うのですけど、個別の事例を出して、それが倫理的に良かったかというようなとこまでは、ちょっと想定はしていないです。

小原 もし個別ということなら、1年に1回では済まないですね。

勝村 公平性はどうやって監査するのですか。

小原 そもそもここに書いてある「技術の的確性を中立的な立場から、監査を定期的に受けている」という場合には、ここで求められている監査というのは、主に技術面のことじゃないのですか。

原 「供給の公平性」のことを言っているのですね。

垣尾 そうですね、それを受け取って、どういう基準でどういうふうに出したかというようなところの公平性という意味になると思うのです。一つにはそれがあるので、組織バンクは公平性を考えて作った組織なのですけど、それでも院内の組織なので、外部の方からのチェック機能があった方が良いかなという意味にはなります。

小原 ただ、現実にはそれに該当する外部機関が明確な形で存在しないということですね。そうなるとスタート時点としては、現実的に運用できる範囲である程度の妥協はやむを得ないと思うのですよ。

原 移植医療監査委員会というのは、公平性の部分は無理で、主に安全面しかできないということですか。

松原 公平性というのは、供給の公平性なので、ウチの場合は1対1ですから、公平性も何もないと思います。

松本 ここで言う公平性はそうではなくて、どの骨を選ぶかとかで骨のくっ付き度が違う。つまり、ここでいちばん問題になるのは、例えば村上医師が「この人にこの骨がいちばん良いから使おう」ということなので、10個か20個かある骨から無作為に…、

垣尾 それはできないような仕組みになっていますが、そこまでの報告書を作ったら…、

原 報告書を作ってもらったのを見ましたというのは監査とは言いません。基本的には元のものを見ないとできないから、それはやっぱり個別事例を見ないと監査というのには値しないのです。

垣尾 ここでは年に何百人ってやるわけじゃないですから、こういう手順で提供を…、

原 組織バンクという名称と分けなあかんのですか。私の印象では、同種骨移植医療監査委員会で公平性の部分も安全性の部分も含めてチェックすることで、監査を1つにして、倫理委員会はその監査結果も含めて報告をいただくというようなもので良いかな。抽象的な倫理の議論をしても、あまりそういうことを求められているわけではないので。

松本 それで全部がクリアできるのではないですか。

垣尾 そうですね。同種骨の実際の委員会の方で全部を含めて監査をしていただいて、その報告を上げさせていただくということで…。

原 もしくは、そこに何か外部ドクター以外の要素がいるというのやったら、そこの委員としてだれかを加えるというのは、あっても良いかもしれません。具体的な医学的な部分を含めて検討しないと、妥当かどうかという話は見えないのだと思います。

垣尾 分かりました。

小原 それでは第9条で書かれている「監査」は、第8条との関係は難しいのですけど、「報告」に置き換えた方が良いでしょうね。倫理委員会に報告してもらうというのはもちろん大事だと思うのですけどね。ここに「監査」を残した方が良いですか。

松原 「監査委員会で監査をして、倫理委員会に報告」ですね。

小原 そういうような形にしていただいたら良いですね。では、そういうふうな文言に書き直していただけたらと思います。

松本 今は骨移植だけですけど、羊膜を含めて、多数の組織移植が発生したら、それぞれについて全部、監査内容を倫理委員会に報告するということで良いですね。

垣尾 当初の流れどおり、倫理委員会への報告も一応第9条の中に含めてしまって、「監査を行って、倫理委員会へ報告する」で良いですか。

小原 良いと思います。だいたい大きな問題は議論できたと思いますので、あと、検討してきたものをていねいにまとめていただいて、文案を完成していただければと思います。
それで、ちょっとお尋ねしたいのですけど、これはかなりいろんなところを手直ししていただく必要があるのですが、2月1日に予定されている次の委員会より、もっと急いでほしいというご希望ですか。論点はだいたい整備されましたので、お急ぎの場合は最終案をメール会議で確認させていただいて、それで承認ということにすることもできますし、どちらがよろしいですか。

松本 訂正するのは同意書とこの委員会規程ですので、できたらメールにしていただきたいと思います。ただ、どなたから異論が出たら、もう一度次回の委員会でさせていただいたらと思います。

小原 大きな異論が出た場合にはもちろんメール会議というわけにはいかないのですけど、今日に議論した範囲を反映したものをご確認いただいて、同意が得られれば、それをもって承認ということにして進めていただくということでよろしいですね。では、文章が出来次第、また皆さんの方に回してください。お願いいたします。議事の(2)はこれで終了させていただきます。

では、「(3)その他」の「①臨床研究一括倫理審査委託報告」について、まずご説明をお願いいたします。

 

議事(3)その他(「臨床研究一括倫理審査委託報告」「臨床研究迅速審査報告」「治験審査委員会報告」)

冨田 ①と③をちょっと先に…。①については、野崎先生の前の2012年に承認をいただき、すでに終了している臨床研究がありまして、患者さんの臓器の試料を採っているのですけど、それに新しい染色検査を上乗せして再評価をしたいという、京大がセンターの多施設共同研究の提案でした。ただ、引き続きという考えなので、迅速審査は必要ないだろうという判断で、そのままパスということになっています。
③の治験に関しては資料Dで、3演題がこれまでどおりに動いていて、特に大きなトラブルは今のところありません。よろしいでしょうか。
で、②は臨床研究迅速審査に関してのことで、「医学系指針:人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に関して」という標題の資料Cを付けていますが、ウチの病院で臨床研究の申請に対して迅速審査をしていただいている先生方もおられますが、全く関与していない方もおられるので、ちょっと説明を付け加えるという意味で付けた簡単なメモになります。これを読みながら説明していきたいと思います。
ウチの内部から出てきた臨床研究の申請をする場合に、どういうことに気を付けて書いたら良いでしょうかという相談が、研究部あてにちょこちょこあるのですね。それには、病院の過去のデータをまとめたいというパターンが、ちょこちょこと最近、出だしています。で、いちばんの議論になるのが、インフォームドコンセントいう倫理指針の大きな項目で、インフォームドコンセントの中で同意取得をするのに3種類ほどのパターンがあります。1つは文書で同意をいただくパターン、2番目に口頭で同意を得て記録をする、3番目は1・2と少し趣が違うのですけども、情報公開をして研究対象者本人の拒否権を保証することで、これを俗にオプトアウトと言います。
第12章の「1 インフォームドコンセントを受ける手続き」という項目の最初が「(1)新たに試料・情報を取得して研究を実施」で、新規に研究をしたいという場合には、侵襲を伴うか・伴わないか、あるいは介入を行うか・行わないかというようなことで、侵襲を伴う場合には文書同意が要りますが、侵襲を伴わない場合には口頭での同意ないしはオプトアウトというやり方で良いでしょうということが、倫理指針には書いてあります。
今回は、今日に結論という意味ではなくて、ご意見をいただきたいなというのが(2)のところで、「自らの研究機関において保存している既存試料・情報を用いる研究」、つまり、過去のカルテデータをまとめるというイメージですね。その場合にどういうことが指針に書いてあるかと言いますと、まず人体から取得した試料を用いる場合、つまり、患者さんの組織とか血液ですが、病院にはだいたいこれがあると思いますけども、そんな場合には「文書ないしは口頭によるインフォームドコンセントを受けて記録を作成」と最初に書いてあるのですけども、「ただし」とあって、「次の場合には当該手続きを行うことなく既存試料・情報を利用できる」とあります。どういう場合かというのには3つのパターンがありまして、1つは匿名化されている場合。2つめは、過去に同じような研究ですでに同意を得ていて、その延長線上みたいな場合ですね。3つめは、当該研究について研究対象者、つまり患者さんに通知し、あるいは公開をしており、研究の実施について研究対象者か参加拒否できる機会を保証するというオプトアウトの場合。この3つのパターンの場合には、インフォームドコンセントを一人一人から取ることはしないでも、研究のまとめはできますよというふうなことが書いています。人体から取得した試料を用いない場合も、基本的には同じようなことが書いてあります。
それで1番下のところですけども、ご意見をいただきたいなと思ったのは「本院での後ろ向き観察研究実施時のインフォームドコンセントに関連して」なんですが、我々研究部としても、尋ねられた時に「どんなふうに書こうか」と答えを出せなくて、ちょっと迷うところがあったりしまして、1つは、過去の病院のデータをまとめる場合に「オプトアウトを原則としてまずやりましょう」というふうにして良いかということなんですね。で、実際にどんなふうにこれをやるかと言うと、研究課題ごとの通知を、1つは病院のホームページに掲載する。あるいは、これはまだやっていないのですが、院内掲示というのがいちばんよく推奨されているやり方で、その他にも伝えられるやり方があれば考えてほしいということなんです。あと、ちょっと付け加えになるのですが、過去のデータを集めるわけなんですけども、例えば了解を取るため、一人一人が外来受診あるいは入院された時に了解を取っていくというふうなことを、電カルを使ったシステムでできないかということがあるのですけども、診療情報部の担当の方に聞いてみたのですけども、実際にはなかなか難しいかなと言われています。3番目に、研究対象者への個別の通知が可能なのは、具体的に考えますと、少人数であるとか、あるいは特殊外来に来られている患者さんなどの場合は、担当医が決まっていますので、可能かもしれない。ですから、研究対象者への個別の通知は、その他にもあるかもしれませんが、そういう特別な条件があれば可能かなということで、いわば特例的なことになるかもしれません。あとは、匿名化が実際上は可能かどうかで、ここの病院では実際にはまだやっていないですけども、これの可能性は考えてみる必要があるから、今後の検討課題だと思ってます。
ようするに、病院データを基にまとめてやるという場合に、インフォームドコンセントをどうするかという問題で、過去10年間となると、中には亡くなっている方もありますし、よその病院に行かれてしまっている場合もありますし、なかなか全員にインフォームドコンセントを取るのが難しいという場合、情報を公開して、私のデータを使ってほしくない患者さんがありましたら、連絡していただくとそのデータを除くというオプトアウトも、倫理指針の手順になっているのですけども、それを原則としていって、特殊なケースで条件が合えば、一人一人にインフォームドコンセントを取るという、そういう考え方で相談に乗って良いかということですが、今日に結論が出なくても良いので、ちょっとご意見がいただけましたら、迅速審査とかをお願いする時なんかに、相談があれば、申請内容をまとめてもらう時にそこらへんを参考にしてもらいたいなと思います。

原 みんなは分かったのかなという気がするのですけど、あまりいろんなことを言うと、分かんないと思うのですが、要は、試料の場合も同じですけど、診療記録のデータだけを使う場合を考えたら良いと思うのです。過去を調べる疫学的な研究の時に、本来、臨床試験の原則はインフォームドコンセントなんだけど、そうでなくても、拒否できる機会を提供すれば認められるという話ですね。オプトアウトという方向は認められているけど、インフォームドコンセントを採ってはダメ規定できないので、どういう考え方にしますかというお話だと思います。だからどちらかと言うと、オプトアウトのやり方の方が中心になると思いますね。
多分、この間、私が担当した迅速審査の関連で出てきている話と思うのですが、この時に私は、過去の記録を基にした研究に関して、少し注文を付けました。ホームページ掲載だけで良いというやり方は、実際問題としてそれを見る人はほとんどいなくて、掲載していますよという研究サイドのアリバイ作りみたいな形にするのはあまり望ましくはないです。インフォームドコンセントと拒否できる機会の提供は違いますので、拒否できる機会の提供でかまわないと思いますけど、手立てはもうちょっと工夫した方が良いのではないですか。院内での掲示もした方が良いし、分かっている患者さん、今掛かっている患者さんとかが、その記録を調べる過程で分かるのだったら伝えたら良いと思います。同意を得るという意味じゃないですよ。拒否ができますよという意味です。それがものすごく大変だという場合、そうとう不特定になる場合は難しいでしょうし、すでに掛かっていない人や亡くなった人まで追いかけろという必要もないとは思います。ただ、倫理的な問題が発生するリスクは小さいからオプトアウトでも良いでしょうという考え方、これはバランスの問題なんですよ。必要な手順とその倫理的なリスクみたいなもののバランスの問題なので、労力がそんなに大変なことでないのであれば、やった方が良いではないか。

冨田 ですから、オプトアウトという考え方が元々分かりにくいかなと思いますけど、いろんな手段でお知らせし、それに対して、自分が対象者ということが分かった場合に、「私のデータは遠慮してください」と言う機会を設けるというのが基本ですね。ただ、インフォームドコンセントで一人ずつ同意を取るということを確かに否定はしていないので、より濃密な合意が取れればいちばん良いのですけども、非常に手間が掛かり、不確実でもあるので、いろいろやり方を考えていたのですよ。実際問題は、ちょっと昔の患者さんになると生存も分からないということになりますし、ですから、外来とか入院に掛かられた時が一つのチャンスで、掛かられたら伝わるようなやり方というのが一つなんですね。ただ、それも実際はどういうふうにするのか、少人数であれば集中的にその人が来そうなところになんとかやるか、メールで送るという考え方もあったのですが、ちょっとリスクがあって、届いたかどうかフォローもしなければならないし、手間がかなり掛かるので、ちょっとできないかな。
結局、病院に掛かられた時に伝わるようにするのですけども、少人数あるいは特殊外来という場面を考えますと、担当医1人が決まっていますので、その人が意識してもらえれば、患者さんが来た時に伝えられますが、不特定多数の担当医ということになると、実際問題、無理みたいですね。電子カルテを使うのも、一人一人の担当医は自分が関心のある情報だけを見てしまい、余分な情報を出していても気が付ないことが多いので、不確実ですと事務方に言われました。

小原 ちょっと確認したいのですけども、今すでにある既存の試料とか情報に関しては、十分なインフォームドコンセントを取っていない場合があると思うのですが、これから残り得る試料とか情報はどうなんですか。

冨田 これからという前向きの場合は、インフォームドコンセントがベースになると思います。

小原 これから残っていくようなものに関しては心配はないわけですね。

冨田 それは話がまた別になります。研究が前向きの場合は、協力を頼んでということになりますが、今はもう過去の、しかも研究ではない診療録からまとめようという場合、必ずしもそういう行為というのは、研究だけでなくて、通常、診療行為として自分の領域をまとめるということもよくやっていることなんですけども、そのデータを研究に流用させてもらう場合、インフォームドコンセントもしくはオプトアウトが必要になるのです。

小原 実質、インフォームドコンセントは無理だと思うのですよ。仮に1000人が対象となる情報や試料があった場合、手を尽くしたけど10人ぐらいしか確認が取れませんでした。しかし一応、情報は提供しているから、もうオプトアウトの方針で進めさせていただきますと考えて、進めていくのかどうかということですよね。

冨田 インフォームドコンセントそのものを否定はしていないので、やっても構わないのだけど、結局、実行するのが難しいというのが現実で、特殊な場合は別かもしれません。

小原 ただ、できないことを前提の上でこれをやることが、倫理的に正しいのかどうかと判断せざるを得ないと思うのですよ。ですからいちばんの目的は、そうすることによって得られる医学的な利益というものが非常に大きいという、そういうふうな対価とのバランスだと思うのですよね。オプトアウトの問題でよく出てくるのは臓器移植の問題ですけども、臓器移植の件数が多い国々の多くはオプトアウトを使っていますよね。明確に「私は提供しません」と言っている場合はもちろん取らないけれども、意思表示をしない限りはもらいますみたいなことは、イタリアとかスペインとか他の国々ではなっていますので、ドナーの件数を増やすというような医学的な目的がある場合、オプトアウトが正当化されるわけですよ。そういう十分な対価があって初めて、オプトアウトというのが倫理的に正当化されるので、聞きたいのはそこですね。

冨田 ですから、これからの治療の選択という前向きの場合は、今回は全く想定していなくて、後ろ向きのすでに終わった診療に関してのデータ…、

小原 それは膨大なものがあるので、それを有効活用することによって、何か医学的な知見が高まるとか、そういうめどを立てるということですね。

冨田 めどが立つかどうかですが、そういう知見を得たいという時のベースに、オプトアウトで広報と拒否の機会を持ってもらうというのは、確かに少し建前があるのも事実なんですが、原則としてすれば倫理指針は一応OKということにはなっていまして、連絡が取れるところは個別の問題として知らせるということは、もちろん否定するつもりはないので、どこまで可能かを少し考えてもらうということでよろしいでしょうか。

小原 現状の日本でこういったことに関する議論というのは、何か指針みたいなものは出ているのですか。だいぶ前になるのですけど、保存された血液なんかのデータが本人の同意を得ないままに二次的、三次的に使われたみたいなことが、事件になったこともあったと思うのですけども、今問題になっているようなオプトアウトを前提とすれば、こういった議論が正当化されるとか、OKですよみたいな指針というか…。

原 これがそのものではないですか。

小原 この指針というのは、日本の医学界の一般的なものなんですか。

冨田 この指針は政府の…。

小原 ということは、これで良いということですか。

原 厚労省と文科省の指針ですから、法律じゃないけど、医学研究に関してはこの指針でいっていて、今おっしゃっているのは、その中でインフォームドコンセントではなくてオプトアウトで許容される場合がありますよと決めているわけですから、それはそれで良いので、今は、その具体的なやり方の運用の話なんです。

小原 その程度ね。

松原 例えば検体を採取する時に、「こういったことで利用する可能性があります。拒否される方はおっしゃってください」というのはあり得ると思いますけど、ずうっと以前に取ったもので、ポーンと張り出して「その検体を使います」なんていうオプトアウトは存在しないのではないでしょうか。

原 いや、一般にされています。

冨田 されているというか、今年の3月から試料は禁止になったのです。

松原 あともう1点。匿名化されているの主語は「研究結果が」ですか。それとも研究者が検体にアクセスする時の匿名化という意味ですか。

小原 普通に読むと、試料が匿名化されているという意味ではないですか。

原 試料ないしはデータ。

冨田 外に対してということです。非常に限られたデータを集める、ないしは、例えばここで言えば診療情報ですが、どうしてもデータベースには触れますから、そこから出る場合に匿名化するという意味です。

松原 院内で診療の一環の中でやる分に関しては、匿名化というのは基本的にできないですから。

冨田 ただ、それに新しく番号を付け替えてしまうというふうな作業を含めてですけども、担当医あるいは研究者には…、

原 診療記録の世界を想定したら無理ですね。診療記録ではなくて、過去の研究を使ってまた研究しますという場合じゃないですか。

冨田 それもありますし、現在そこにあるカルテデータから個人情報を全部消して、外向けには分からないようにして提供するのも匿名化です。

小原 実際にこの病院で求めておられるのは、そこのことを言っているわけですか。

冨田 いや、今回、匿名化は全然問題に入っていないです。オプトアウトを原則としつつ、インフォームドコンセントをしてはいけないということではないので、情報を伝えるというのは、個別の条件で考えてできる範囲で対応して良いということを、過去のカルテデータをまとめて研究したいというスタッフが出てきた場合、「そういう構えでやりましょう」と言えば良いのかなというふうには思っています。

勝村 同意を取るという方法が無理の場合、拒否がなければ同意したという扱いにするという話だけど、現実問題としたら、拒否する機会を本当に与えているかということで、人数規模やどれだけ逆上るかによって変わる話だとは思うけど、ホームページに公開するだけだったら、だれも見ていないということと、3つの段階があると思いますけど、資料Cの1番下の「本院で…」の1~4に書かれている趣旨は、この指針と同じで良いかと言っているのか、この指針とは違ってこのへんを独自にやって良いのかと言っているのか、そこが良く分からない。

冨田 指針の言っている範囲がどの程度かというのもありますが、結局、研究でまとめるテーマというのはいろいろで、きれいに指針どおりにはそろいませんから、具体的な相談があったのがちょうど良い機会かなと思ったので…、

勝村 1番下の1の「オプトアウトを原則として良い」というのは、指針と一緒ですね。ただ、ホームページと院内掲示だけで十分なのかとか、ケースバイケースと思うのですという話なので、そういう意味では2~4も、オプトアウトという拒否する機会を与えるということをやるという意味なのか、ここに関しては同意を取るという趣旨で書かれているのか、そのへんがよく分からない。

冨田 指針の中でも(2)のところなんですけど、インフォームドコンセントを否定していないのです。

勝村 だとしたら、3段階ある議論をもっと整理すべきだと思うのですよ。1つはインフォームドコンセントで同意を取ることができるのだったら取るという話と、同意が取れないのだったら、拒否をしていないという場合はOKにするという話ですけど、この2~4で気になるのは、オプトアウトの機会があるということを伝えられているかどうかに非常に不安があるので、研究対象者が少人数の場合は別途、同意を取るために通知をしてあげるという趣旨で書かれているのか、通知ができちゃうのだったら同意を取ってしまうこととイコールなのか、イコールじゃないのか…。後ろ向きだったらオプトアウトでも良いと思うのですが、オプトアウトの際にどれほど周知する努力をするかという3つめの論点が…。

冨田 そこのところは、4は別なんですけど、2~3は現在の具体的な状況を書いたつもりなんですけどね。

勝村 2~3はオプトアウトの手法について書いているのですか。

冨田 そうじゃないです。オプトアウトは1だけなんです。元々の倫理指針がオプトアウトに関してちょっとファジーなところがあるのですよ。だから2~3は、どこまでが必要かを倫理委員会として判断されるかなということで、個別の…、

原 2~3は別にインフォームドコンセントとは限らないじゃないですか。オプトアウトの方法としてそういう場を使うというのはありなんじゃないですか。

冨田 私自身がインフォームドコンセントの意味かなと理解して、研究の実行を伝える機会として、こういうこともとらえるべきなのかな、そこまで考えなくても良いのかなというふうに思いながら…。

原 一般論として、何とも言い難いというのが私の結論でもあるのですけどね。まず、個別の研究の規模によりますよね。大きなデータの場合もあるでしょうけど、「10人だけです。それが、過去に逆上る研究として意味があるのです」ということで、連絡が取れるのだったら、取ったら良いし、10人だったらインフォームドコンセントでやったら良いかもしれない。10人でも連絡が付かない人がいるというのなら、その分はオプトアウト対応をすれば良いのです。で、オプトアウトという時の機会の提供の方法も、そのものによるのだろう。

冨田 では、個別の条件を考えて、個別に議論すれば良いというふうに理解しておけば良いわけですね。

勝村 僕も個別に議論すれば良いという意見なんですけど、この論点整理の中でオプトアウトとした時に、ホームページと院内掲示以外の…?

冨田 これは一応、倫理指針でも一つの具体的なやり方として提案してあるので、それを書いてあるのです。

勝村 2~3がいわばインフォームドコンセントという意味だったら、オプトアウトの方法についてはホームページと院内掲示しか考えていないことになるのですが、これもケースバイケースで…、

冨田 これのやり方はちょっと改善するつもりです。

勝村 このやり方が気になる論点でもあるかな。

冨田 それも含めて今後また検討するつもりです。

小原 これは今日に結論を出すわけではないので、今のようなご意見を踏まえて、個別に対応をしていくということで、よろしくお願いいたします。

はい、では報告は以上で終了いたしましたが、他はないですね。次回は2018年2月1日となっていますので、ご予定ください。では、これで第76回倫理委員会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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