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第七十五回 倫理委員会 議事録

日時 2017年10月5日(木)18:30~20:25
場所

京都民医連中央病院西館会議室

出席者

外部委員 小原克博委員長、原昌平副委員長、岩橋多恵委員、勝村久司委員、関谷直人委員

病院委員 垣尾匡史委員、冨田豊委員、平田恵美委員、ファム・グェン・クィー委員
事務局  藤﨑智、丸山俊太郎
オブザーバー 松原為人、寺前八重、川原初恵、坂田薫

欠席

川島市郎副委員長、広瀬東栄子委員、井上賀元委員

議事

 

議事(1)「内部委員の交代」

小原 ただ今から第75回倫理委員会を開催させていただきます。議事の1番目は内部委員の交代ということですが、東先生、那須先生のお二方がそれぞれ退任され、垣尾先生とファン・グェン・クィー先生のお二方が新たに加わっていただくということで、ご承認いただきたいのですけど、まず新たに加わっていただくお二方に、短く自己紹介をしていただきたいと思います。垣尾先生は既に何度か倫理委員会に参加されていますが、念のためにお願いします。

垣尾 垣尾と言います。東先生の代わりに今回、入らせていただきました。東先生と同じように医療安全管理室の室長をやっておりまして、そちらの方面から見た形での意見も述べさせていただけたら良いかなと思います。ただ、倫理は初めてで分からないことばっかりなので、教えていただけたらなと思います。頑張っていこうと思います。お願いします。

クィー 私はクィーと申します。ベトナムから2002年に来まして、10年間、東京医科歯科大学で勉強させていただいた後、2013年に京都へ研修に来て、この病院では5年目になります。これまで何回か臨床研究部としていろいろ参加させていただいて、倫理委員の皆さんに議論していただいたのですけども、今回、倫理委員会のメンバーとして参加させていただき、いろいろと勉強させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

議事(2)「第74回倫理委員会議事録確認」

小原 では、垣尾先生とクィー先生に加わっていただくことへのご承認を、よろしくお願いいたします。
議事の2番目は前回議事録の確認ということですが、ご確認いただきまして、もし何かあれば事務局にお伝え下さい。
3番目が本日のメインで、資料もたっぷり付いてますけれども、じっくり説明を聞かせていただいた後に、時間を掛けて議論したいと思います。まず、ご説明をよろしくお願いします。

 

議事(3)「同種骨移植の開始について」

松本 整形外科で診療部長をやっております松本です。科長の中川と連名で同種骨移植開始を計画していまして、もちろん必要なことですけど、ガイドライン上でも「倫理委員会の承認を得なければいけない」ということなので、提案させていただきます。中身は、整形外科の専門的なことにかかわり、内部委員も知らないことがいっぱいあるので、どういうことをしようとしているのかということと、これに替わればどういうことが良くて求められているかということを説明させてもらいます。
最初に言葉の説明ですが、同種骨移植というのは、骨を体に植える時に、自分の骨ではなくて、他人から頂いた骨を移植することです。一般論で骨の移植というのはどういう場合に行われるかというのは、骨が欠損している部分に、他から骨を持ってくることで、自分から持ってくる場合もありますし、自分以外から持ってくる場合もあります。で、植えた骨がどうなるかと言いますと、骨の中にある細胞は移植しても死んでしまいますが、残った骨の基質、タンパク質とカルシウムが結合した一般に骨と言っているものが土台となって、そこに自分の骨がだんだんできてきて、周りの骨と一体になる。つまり、植えた骨と周りの骨がくっつかせるのが骨移植の目的になります。
どんな場合にやるかというのは、大体3つの場合があります。昔からよくあることは、これはスネの骨折ですけども、この場所はしばしば骨が付かないことがあるのです。数ヵ月たって、骨はできているのだけど、すき間が治らない状態が続く、いずれ、ここに骨を作る必要がないという指示を出す物質が来て、いつまでも骨が付かない状態になる。偽関節と言いますけど、こうなると骨が付かず、骨を作る能力もないので、能力のないところを削って、他から骨を埋め込むと、埋め込まれた周りから骨ができてきて、植えた骨を土台にしながら一体の骨として融合するということになります。これは19世紀からやっておりますけど、これまでやられていた手術です。
次に、近年に普及している人工関節という手術でしばしば行われます。これは股関節ですが、かなり変形しておられて、痛くて歩けない場合に、人工の関節を入れます。その時に、人工関節の土台となる骨盤部分が真ん丸い穴になれば良いのですが、すき間があると不安定ですので、骨を足します。初回の手術の時には骨頭という骨の頭の部分を取りますから、それを利用するのですけど、人工の関節が入っていて、それを入れ換える再手術の時には、骨頭がないですから、どこかから骨を植えなければいけないので、骨移植をします。今の統計では、骨の移植がいちばん必要なケースは、この人工関節再手術になります。
3番目に、近年に増えているのが、背骨がグラグラして痛みや障害が出ている場合、それを固定する時に必ず骨の移植が要ります。これは腰の骨で5つあるのですけど、1番目から2番目、3番目、4番目とずうっと傾いて曲がりながら、不安定な状態になっています。近年はそれに対して、ネジを入れて真っすぐに固定するという手術がありますけど、ネジを入れても背骨が固まるわけではないので、こういうふうに骨を置いて一塊りになるようにするのが、背骨で行われる骨の移植です。主にその3つが、整形外科で骨の移植が必要な場合です。
で、どんな骨を利用するかによって、また3つに分かれます。1番目の自家骨移植は自分の骨を植える場合。2番目が30年ぐらい前に開発された人工骨を移植する場合、そして3番目が他の方の骨を移植する同種骨移植です。
それぞれにメリット・デメリットがあって、自分の骨というのは、もちろん拒絶反応はありませんので、比較的に付きやすい。ただ、デメリットもあって、もらう骨は骨盤の後の方や横の端っこの方から一部をもらったり、スネの骨の細い方をもらったりしますけど、取ったところは当然、痛いです。もう1つは、骨盤の骨が大きいとはいえ、むやみには取れないので、取れる量に限りがあるため、たくさんの骨が要る場合、手術が制限されることになります。
2番目の人工骨は、前倫理委員の東先生が京大大学院時代の、30年ぐらい前に開発されて、だいぶ良いものができてきて、商品化もされています。骨を取らなくて良いですし、使おうと思えばいくらでも使えます。ただ人工の骨というのは、顕微鏡で見ますと、リン酸カルシウム化合物が網の目状にありまして、このすき間に毛細血管やいろんな細胞が入ってきて、いかにも自分の骨のような形になってきます。で、その細胞がこれを吸収しながら自分の骨にしていくことによって、最終的に骨が付いたということになるのです。ただ、穴がなるべく多い方が細胞も入ってきやすいのですが、穴が多いと弱く、途中でつぶれたりするということで、全体としては、ご自分の骨と比べると、癒合の率が低くなってしまいます。それと高価で、サイコロ1個分が数万円するのです。最新のはこういう構造をしていますが、これがいちばん高い人工骨です。
それらに代わる方法が、他人の骨をもらう同種骨移植で、1950年代から行われているようですが、これを今回、提案させていたただいています。移植ですからドナーとレシピエントがあって、提供していただくドナーには2種類あり、その1つに、亡くなられた遺体から採取する非生体ドナーがあります。これは欧米では50年ぐらい前から行われ、僕が医者になったころにはあたりまえのように普及していましたし、今では瓶に入れたものが商品化されています。日本では全く普及していません。やっぱり日本人の気質というか、骨も他の臓器でもなかなか提供者が現れない。かつ、手続きがすごく大変ですから、日本で今、他の医療機関に提供する形で採取されている骨バンクは、東京と愛知と熊本に各1ヵ所の3ヵ所だけなので、京都ではもちろん利用できません。
もう1つが生体ドナーで、手術の時に骨を取り出して、その骨を使わない場合がしばしばあって、それを利用させてもらうという方法があって、今は全国で300ヵ所以上に普及しています。本当は公的な骨バンクを運用して、安全な骨を大量に供給される方が良いのでしょうけど、日本の現実はそれに追い付いていなくて、各病院が生体ドナーというのを取り扱っています。で、今回提案させていただくのがこの内容です。
生体ドナーは同意が必要ですが、どなたから頂くかというのは、最も多いのは大腿骨の頸部骨折です。当院でも昨年1年間で65件の手術をしています。大腿骨の骨頭の下の頸部が折れて外れてしまっていると、普通、骨はもう付かないので、これを人工のものに替えてしまう人工骨頭という手術をします。そうすると本来の骨頭は取り出します。今まで取り出したものは、産業廃棄物の手続きをして廃棄依頼をしていたのですけど、それを移植に利用することが全国でも骨の供給源としては最も多いです。これだけあると十分に足ります。
今回、当科から提案させていただくに至ったのは、数年前から「この手術ができるようになったら良いな」というのがスタッフからも出ていましたし、いろんな病院で導入されていたのも分かっていましたけど、近年、骨を移植する手術が特に増えてきて、当院の場合は、人工関節のケースは少なくて、脊椎手術のケースが増えているのがいちばんの理由です。あと、自分の骨の取れる量は限界があるということと、人工骨の信頼性がまだ十分ではないということ。また、日本中に骨バンクが普及すれば、個別の病院でこんなことをしなくても良いのですけども、その気運がないということ。この3つの理由で提案させてもらうに至りました。
当院の中で行っている中で脊椎手術というのは、神経等の圧迫を取るために骨の一部を削る除圧という手術と、弱っているところを固める固定術の、大体2種類に大きく分かれるのですけども、固定する手術というのがだんだん進歩し、いろんな手段を使って留めたい背骨を強力に固定することができるようになりました。そのことによって、手術してすぐに起きたり歩いたりできるようになりました。手術法も進歩して、大きな傷ではなく、小さな傷で固定をすることができるようになりましたが、それを低侵襲化と言います。どの領域の手術も進んでいますけども、これで何が生まれたかと言うと、弱ってしまったり、動けなくて人の世話を受けたりという、手術で患者さんの受ける影響が減ったために、必要性が多い高齢者にも比較的安全に手術ができるようになりました。そのことでこの手術が増えてきているのです。このように椎間板の横に窓を開けて骨移植するのですね。
ちょっと歴史を言いますと、昔は神経の周りを削って症状を緩和する手術が1つと、背骨の横を削ってここに骨盤からもらった骨を移植するという固定術があり、僕が医者になった40年前はこの2つしかありませんでした。例えばこの手術をすると、2ヵ月ぐらいはギブスの世話になり、3週間ぐらいは座るわけにはいきません。体にとても影響する手術になってしまいますので、若い方にしかできませんでした。
次に80年代になると、金具を使って背骨を安定させ、早く起きられるようにしようと考え出した人がいろいろいて、最初に出たのが骨の端にフックを引っ掛けて、それを金属棒でつなぐ固定術で、例えばこれは側湾した背骨に対する手術ですけど、30cmぐらい切って、1000ccぐらい出血するというとんでもない手術ですから、そんなにむやみにできる手術ではありませんでした。
その次の時代に背骨にネジを入れるということができるようになりました。このことで、さっきの手術よりは傷も小さめ、時間も短めで、しっかり固定ができるようになって、早期離床ができるようになりました。その後はだんだん、だんだん、ネジの形とかつなぎ方が進歩して、昔は6時間、7時間も掛かっていた手術が、今は3時間ぐらいで固定することが可能な時代になってきました。
その次に椎体間固定といって、今まではネジを入れて横に骨を植えるだけでしたけど、グラグラしている本体は骨のすき間にある椎間板なので、そこにサイコロ状の人工骨を、自分の骨と縦に並べるように入れることで、背骨がより真っすぐになって、より安定するという手術が、この20年ぐらいの間に可能になりました。このことでさらに、すぐに起きても大丈夫になりました。
今までは大きく切って骨をはがしてネジを立てていましたが、それをせずにネジの入り口だけを2cmずつぐらい切って、そこから長いネジを入れて、ネジのシッポの部分は後から外し、背骨近くになるネジの溝に棒を通して、ネジの頭を折るということが、約20年前からありますけど、その後に進歩することで、後の傷も楽になりましたし、短時間で手術ができるようになりました。でも、これだけではネジを入れるだけで、骨はどこに植えるのということが未解決だけども、椎間板に骨を植えるということが今の標準的な手術になってきました。
昔話ですけど、2000年に当院の背骨の手術は50例ぐらいで、固定する手術はその4分の1ぐらいだったのが、ネジで固定する手術が普及するようになった十数年ぐらい前からグウーッと増えてきて、固定手術の割合も増えてきたということは、骨を移植する手術が増えてきたということになります。
今までは骨の間に後から入れていたのですけど、ここ数年は横から、内蔵(腹膜)の後で筋肉との間ですけど、そこから骨を見て小さな傷で脊椎ケージを入れるXLIF OLIFという手術が普及しています。この手術のメリットは、後から筋肉をたくさんはがす手術に比べて痛みが圧倒的に少なく、虫垂炎の手術ぐらいの傷で椎間板内にこれを入れることができます。次の日には座ってもほとんど痛くありません。それで、後からネジを入れるのも小さな傷でできます。これは1ヵ所の固定ですけど、これを全部するのに大体3時間ぐらいで、次の日には起きることができて、1週間もしたら元気に歩けるようになります。この手術が2010年代初頭に登場して、3年ぐらい前から日本で爆発的に普及して、当院でも導入しています。このことが手術を楽にして短くしたので、ご高齢の人もできるようになったということが、今回、同種骨移植を提案させていただく直接の契機となりました。
これはイメージですが、椎間板を横から見るとこんな感じです。椎間板の入り口をしっかり作って入れます。骨が飛び散らないようにプラスチックのケージの中に移植する骨を詰めて、ここに差し込みます。これを1つ入れるに1時間ぐらい掛かります。非常にメリットの大きい手術なんですけども、今まで後から入れていたケージに比べると3倍ぐらいの骨がいるので、それを考えないといけないのですね。自分の骨盤から取るとしばしば足りなくなります。これが今から入れようとしているケージですが、赤い部分は自分から取った骨で、2ヵ所に分けているのですけど、骨盤から頑張って取ってもこれくらいしか取れません。後の白い部分は人工骨です。これでもしっかりと付くのですけども、やっぱり癒合率が心配で、人工骨の値段の高さも問題になります。
さっきのは2010年までのグラフですが、これは2010年以降のもので、手術の総数は100件から少しずつ増えていますけど、大きく変わらないですね。その中で、削っただけの手術は水色部分で、赤い部分の骨を固定した手術の割合が2割から3割となって、一昨年から明らかに固定する手術の方が増えてきました。それは体の負担が少なくなって、積極的に固定するようになったということで、件数も増えたし、1件あたりに必要な骨の量が増えて、足りないというのが、提案させていただく主な理由です。
もう一回おさらいですけど、非生体ドナーは、1950年代という倫理的なことが全く問題にならない時に、煮沸したら良いだろうということで、日本の一部で開始されましたけど、いろんな経過でいったんは消滅して、臓器移植法ができてボーンバンクをやっても良いよということになったけど、全国で3ヵ所しかありません。そこで、全国の多くの病院では、人工の骨頭を入れる時に切除した大腿の骨頭を利用して、院内で小規模に運営できる生体ドナーがどんどん広がって、今年の夏の時点で全国の300施設以上で行われています。今日に確認できただけでも近隣の病院で10は超えています。
どのくらいの割合でこれが普及しているかということを整形外科学会が2014年に調査していますが、自分の骨だけでやっておられる施設が53%、人工骨を使っておられる施設が42%、今回に提案させていただいている同種骨移植はまだ少なくて、この時点で4%、190施設ですけども、3年後の今年には304施設に増えていますので、そうとうの勢いで増えています。で、今のところ、同種骨移植で大きなイベントとか副作用かあったという報告はありません。
簡単に手順を言いますと、患者さんから頂いて次の患者さんへ入れるまでは、ちゃんと保管しないといけませんから、手術時に大腿骨頭を取り出すと、骨以外の部分を取って、専用の二重容器に入れます。で、すぐに80℃で加熱します。加熱すると、完全な滅菌はできませんけども、細菌・ウィルスはほぼ死滅して、それが増殖しないように-70℃以下になる専用冷凍庫で保存します。5年以上の保管をしてはいけないことになっています。で、使用の半日か1日前に自然解凍して、形を整えて使うわけですね。骨を加熱消毒する専用機械はパソコンのプリンターぐらいの大きさですが、独占企業で、これ以外の機械はなく、二百数十万円します。この中に骨頭を入れる専用容器を入れますが、これも1万円ちょっとします。
本当の臓器移植法にあたる臓器移植ではないのですね。組織移植という分野になりますが、きちっとしなければいけないことがあります。ドナーの適性としては、B型・C型肝炎とかHIVとかがないことを必ず確認する。あるいは、ガンがあってはいけないし、よく分からない病気もあってはいけない。もちろん、ドナーレシピエントへの説明と同意はちゃんとしましょう。どんな患者さんから取って、それがどなたに使われたかという記録を保存して、この一連の行為の管理責任を明確にして、管理する組織と規定をちゃんと作りなさい。で、そのことを前提にした倫理委員会の承認が必要だということが、17年前に整形外科学会のガイドラインで決まっています。
ガイドラインの概要です。1997年に臓器移植法案ができましたが、これは脳死を前提に心臓・肺・膵臓・小腸・腎臓・肝臓、例外的に角膜ということに決まっていまして、骨は対象外です。ただ、この法案ができた時に運用指針で「臓器移植法の対象にしない骨などの組織も遺族等の承諾が最低限必要」という局長通知が出ました。これは亡くなった人から骨をもらう場合ですね。
次に倫理的問題を幾つか書いていますけども、ウィルス検査の同意書は当然必要です。それから、ドナーは「帰して下さい」とか「何に使ったのですか」とかを聞いてはいけませんよとか、同意しなくてもいかなる不利益も生じないといったことは、当然のことです。さらに、移植組織を採取したり処理したり提供する団体は、利益を受けてはいけないと明記されています。臓器処理にかかわってそういうお金が動いてはいけないということは正しいのですが、実際にこういうことにされると、「私のところでボーンバンクをする」という手がほとんど挙がらないので、全国で3ヵ所しかない原因だと思います。また、ドナーは報酬を受けてはいけない、個人情報をちゃんと保護しなければいけないということが決まっています。
「組織バンク」というのはボーンバンクの場合ですけど、「対価としてみなされない費用は請求できない。利益を得てはいけない。経皮を高く見積もってはいけない」と、いろんなことが書かれています。
ドナーの選択基準は、いろんなウィルス性の疾患以外に、原因が分からない死亡でもダメだし、一つの問題は、クロイツフェルトヤコブ病等のいわゆるプリオン病で、検査をしても分からない、滅菌しても発症を防げない病気は防げない。なので、クロイツフェルトヤコブ病については、例えば「ある期間にヨーロッパ地域に行ったことはないか」とか「家族にいないか」とか、幾つかの基準に準じて問診をしなければいけない。
提案文書は今、述べたことのアウトラインです。で、院内での議論の到達は、整形外科から提案させていただいて、科長会議とか事務長室会議で基本的には了承されていまして、実際に運用するためには同種骨移植にかかわる管理委員会が要りますけど、その準備段階として準備委員会を、事務長室関係・医師関係・師長で構成して、必要な基礎準備にかかっています。手順そのものは完成していないのですけども、まず、倫理委員会で承認いただいて、詳細を決定して、ゴーサインが出たら始めることを計画しています。長時間、すみません。

小原 ありがとうございました。素人が聞いてもかなり分かりやすかったと思います。医学の進歩とかそういうことも少しかいま見えた気がしますけれども、既に多くの病院でなされていて、この病院でも行いたいというご提案であります。まず、説明いただいた内容に関するご質問を出していただいて、それから後に承認に関しての議論をしたいと思います。全般的に何か質問があれば出して下さい。

 脊椎の固定術が主な理由ということですが、それはどんな病気に因るのですか。

松本 いろんな病気がありまして、基本的には腰なら脊柱管狭窄症、つまり、いろんな変形が起きてきて中を通っている神経が圧迫されます。圧迫されているところが問題ですから、圧迫を取ることだけで解決する場合は、除圧手術という削る手術だけで済むわけですね。ただ、そこの椎間がグラグラしていると、周りの椎間板もだんだんはみ出してきますし、神経の周りのじん帯も分厚くなって、その結果で圧迫されている場合は、削るとしばらくは良いですけど、数年たつとまた詰まってきて、2回目の手術は1回目よりもややこしくなる。二昔前であれば、削ってしばらく様子を見て、ダメだったら次に固定の手術を勧めました。ところが昔の技術ですと、固定の手術は時間も掛かるし、後の痛みも強いので、ご高齢になると「どうしましょうかね」となりましたが、今は比較的に楽になったということで、固定するケースが増えています。また、背骨の圧迫骨折とかで、グラグラしていて留めなければいけない場合もあります。あと、固定しなければいけない場合で多いのは腫瘍ですね。背骨で発生した原発の腫瘍ではなく、他のガンが転移してきた場合は、普通の骨折と違って治りませんので、例えば余命3ヵ月の方がこういう状態になると、大事な3ヵ月間を動けないので、早く手術して動けるようにすることがあります。この場合は、骨の移植が要る場合もあるし、要らない場合もあります。大体この3つぐらいです。

小原 骨折以外はおおむね高齢者の方が多いと考えて良いですか。

松本 当院では高齢者が多いですが、正確な年代の分布は分かりませんけど、40代ぐらいからけっこうおられます。それで今までは、60代ぐらいまでなら「しっかり固定をして働けるようにしましょう」とやっていたのですけど、70代以上の人には「手術の危険が大きいから除圧手術ぐらいにしましょうか」とか「薬で我慢しましょうか」と勧めていたのが、より安全になって効果も確実になったのでお勧めできるようになったということが、手術が増えているいちばんの原因かなと思います。

小原 固定術によって背骨がしっかりしますよね。これで背骨が前後左右に動かない状態になれば、日常生活をするうえで差し支えはないのですか。

松本 それは何ヵ所を固定するかに因るわけですよ。首は別にして、腰は椎間が6ヵ所あると考えると、元々、痛くて動けなくて来られるので、1ヵ所や2ヵ所を固定しても、そんなに変わらない。それが4ヵ所、5ヵ所になってくると腰はほとんど動かない。ただ、そのことで実際にどれだけ不自由かというと、そうですね、靴が履きにくいかもしれない。下の物が取りにくいかもしれない。そんなには困らないですね。

 脊椎固定以外の需要はそんなにないのですか。

松本 人工関節の再手術で入れ換えする時には必要になると思うのですが、当院では人工関節の手術件数はそんなに多くないので、やりたい気持ちも十分ですけども、困難な場合は市立病院とか京大とか、経験の豊富な施設を紹介しています。ただ、術後に管理が必要な場合、まれにはあるかもしれません。

小原 同種骨移植では、免疫で問題となる可能性がある拒絶反応に関してはどうですか。

松本 調べた限りでは拒絶反応はないです。骨の基質部分にタンパク質があるのですけど、80℃で10時間消毒しますから、タンパク質が強く変性することなく、比較的に丈夫な骨の組織は残りますが、細胞は死んでいるので、基本的には拒絶反応は起きにくいです。他に、一般的な創感染とかは普通の手術でも起きますし、同種骨移植でも起きますが、創感染が増えたという報告もありません。

 だから免疫抑制剤等は必要ないことですね。死んだ骨細胞が吸収されるのであって、それが増えたりするわけではないということですね。

松本 そうです。それで感染学的には、すべての菌が死滅するわけではないのです。80℃で死なない菌には破傷風とかがありますが、それがあれば、症状があって分かるだろうという一般的なブドウ球菌とかHIV、HTLV1は十分に死滅するというところは、多分いろんな試行錯誤の結果、80℃10時間にたどり着いたのだと思います。

小原 それ以上やりすぎると、骨の組成に問題が生じるということですね。

松本 強さとか耐久に問題があるということで、これに落ち着いたのと思います。

関谷 この病院でドナーを募って処置されたものを頂いて、先程のプロトコルで保存して、レシピエントの方に出すということですよね。通常の臓器移植の場合、ドナーを募る側とそれを使う側は完全にクリーンになっていて、そんなことはないと思いますが、ニーズのために骨頭をたくさん取ってやろうみたいなことが絶対にないような仕組みになっていますね。ここでは手術をする側とドナーを頂く側を同じグループの人がやるのですか。

松本 他の病院に骨を提供する骨バンクの場合は、それが厳密に求められ、コーディネーターが間に入ります。ただ、組織移植についてはそれを求められていません。

関谷 すると、ここでは患者さんから取る人も移植するする人も、同じグループの中でやるのですか。

松本 別の局面ですから、同じ医者の場合もあるし、別の医者になることもありますけど、骨が欲しいから骨を取りにいくということはありえません。現実には、当院で人工の骨頭を入れるために年に65の骨頭をほかしているわけです。中には適さない骨頭もありますので50としても、先程に紹介した固定の手術が背骨で60~70あって、必要量が少ない場合はご自分の骨でしますので、半分以上が要るとしても十分に足ります。で、お一人の患者さんに骨頭が2つ要る場合はまずないと思います。ただ、2つ使っても良いことになっているのだけど、1つの骨を2人に分けるというのはあまり好ましくない。冷凍食品を解凍してまた再冷凍するのと同じで、1回に使い切りなさいということです。で、そこをダブルブラインドにしようと思えばできますよ。

関谷 まぁ、そのままで良いのですが、すごい疑えばね…。

松本 疑っていただいてけっこうなんです。ごくまれなケースとしては、自分のために保存するということがあります。股関節の手術を先にして、腰も悪いから将来に頼むねという場合は、他人に提供しないで自分に適用することも一部では行われています。それには特に不利益はないと思いますけど、それ以外は、その骨をどんな人からもらったかは一切、移植患者さんには分からず、主治医も分からず、管理者だけが知っているというのがいちばん良いと思いますが、そういう仕組みは簡単にできるかなと思います。

関谷 ドナーがだれかにあげるということもできないということですね。

松本 それはダメですね。「息子のために私の骨をあげて下さい」ということは、まずできないと思います。

小原 骨頭の数は十分に足りているので、非生体ドナーが日本で普及しないということでしたけど、普及させる必要がそもそもないということですか。

松本 僕は普及した方が良いと思います。全国の病院が300万円ぐらいの投資をして行ってもほぼ安全とはいえ、やっぱりセンターのようにきちっとした管理者がいて、安全管理をしてやっている方がきっと良いですし、コスト的にも良いはずなんですけど、日本ではそれが普及しない。そういうテーマが出た時にスタッフは「いずれ骨バンクができるよ」と思っていたのです。できないです。京都では多分できないですね。なので、これをしたいということです。

小原 欧米では早くから普及しているということは、欧米では非生体ドナーから十分な量が得られているわけですから、病院で骨頭を使って移植するということはむしろ…、

松本 個々の病院が設備投資しなくても、十分に提供を受けられていますし、最近は商業ベースになって、商業ベースが良いかどうかは分かりませんけど、薬瓶のようなものに入ったものを人工骨と同じように使えます。

小原 それはやはり、日本の文化的な背景が作用していると考えて良いですか。

クィー 確かに日本ではご遺体から頂いたものには抵抗感がありますね。

小原 日本ではある種、お骨信仰というものが非常に根強くあるわけで、戦死者の遺骨を探しに行くということを何十年もたった今でも行きますよね。ですから、確かに骨に対する独特の感覚があると思います。

松本 添付されていませんが、比較的に良い骨が遺体の外観を損なわずに取れるから、この部分からもらいなさいというような、骨の頂き方のガイドラインというのも学会で作ったのですけど、だけどやっぱり…。

小原 もし非生体ドナーが普及すれば、整形外科にとっては非常に大きなメリットになるわけですよね。にもかかわらずなかなか普及しないというのは、例えば臓器移植に関してはドナーカードとかがいろんなところに置かれて、啓もう活動をされているので、どう判断するかは別にして、多くの人が知っていますが、骨の提供に関しては、おそらく一般の人はそういうオプションがあるということすら知らないからだと思うのですね。そういう意味では広報活動が十分にされていないですね。

松本 そのとおりだと思います。臓器移植法が管轄する角膜は、臓器ではなく組織ですけど、非常に需要が高いし、受けられる方のメリットが大きいので、きちっと定義されてガイドラインが整備されたので、移植が増えていますけど、骨も「見た目もそんなに変わらず、火葬場に行くのがちょっと遅れるだけですから」と言って、ドナーが増えれば良いですね。

 政策的に位置付けてやるかやらないかで全然違うのですね。意識の問題があるのかもしれないけど、一方で解剖学習用の献体の希望者は非常に多くて、余っていますので、提供者は出てくるとは思います。

勝村 自家骨の移植はもちろんされているのですね。で、骨を採取して冷凍保存するのですか。

松本 いえ、一つの手術の中の麻酔がかかった状態で、自分の骨をもらって移植するということです。

勝村 保管をするのはこれから初めてするということで、自家移植の時は保管の必要はないのですね。では、何かの手術をして自分の骨を切り取らなければいけないという時に、「歳を取った時に使えるかもしれないから、置いておいてくれ」みたいなことは、全国的にないのですか。

松本 骨以外ではありますが、-70℃でも変性や異物が入る可能性がありますので、骨は5年以上の保管ができない規則になっていまして、その範囲内なら希望すればできないことはないですけど、お勧めはしません。

勝村 今回は生体の同種骨移植を始めるということですけど、非生体はしないのですか。

松本 京都にボーンバンクができて利用できるようになったら、しても良いかなと思いますが、私たちが提供者になるのは無理です。

岩橋 今ある3つの骨バンクは、利用できるエリアが限定されているのですか。

松本 遠くから来てはいけないとは言ってはいないと思いますけど、ここから愛知や東京にもらいに行くというのは、実際には不可能に近いので、提供エリアは限られています。

 愛知・東京・熊本ではどこが運営しているのですか。

松本 東京は北里大学が提供者になっており、愛知は共同で運営していて、熊本では機能病院というたくさん手術されているところがあって、日本ではその3ヵ所です。

 どのタイプの骨移植も保険診療になるのですか。

松本 そうです。それぞれに点数が付いていて、同種骨移植がいちばん点数が高いのです。それは、設備や保存に必要な経費が発生するから、保険点数を少し高めに設定してくれているので、何十例か手術をすれば機械の元は取れます。

 ようするに、機械代なりメンテ代というものをある程度は加味したような点数になっているのですね。

松本 5~6年前の改定でそうなって、やっと普及しだした。あるいは、この機械を買えよと国に誘導されているのかもしれません。

 それから体制の話ですけど、病院内で完結する形でやるとして、変なことが起きていないかどうかという、安全で適正な運用を保証する委員会の設置という中身なんですけど、ある程度これは具体化しているのですか。

松本 手術室担当の事務次長と、整形外科科長の中川と、手術室の師長と、整形外科の師長、それから冷凍に関する技術的な問題もあるので、病理科の医師の科長と、それで準備委員会を発足させて、それをそのまま同種骨移植の管理委員会にする予定です。

 委員会の構成とか運用に関しては、ガイドラインか何かあるのでしょうか。

松本 ガイドラインの中にどういう委員会にしなさいとは書いてありませんけども、「全体にちゃんとされているかということと、特にドナーとレシピエントに、どんな検査をしてどんな結果が出たかということを、個人情報を保護しながらちゃんとリストを作りなさいと」とか、「採取するごとに番号を付けて、その番号がどなたのものかがちゃんと分かるように」というように、大体は書かれています。そこで、実際に委員会が発足する時には「委員会の業務はこういうことになります」という規定を明文化する必要があると考えています。

 倫理委員会としては、委員会のメンバー構成に関して全部をお任せするで良いのかなという感じがします。メンバーがどういう意味合いをするのか分からないのですが、今おっしゃったような構成だと、提供も移植も整形外科の手術に関係するような方々なので、少し第三者性が必要ではないかと思います。専門性はあると思うので、院外とまでは言わなくても良いと思うのですけど、関係部門のスタッフが委員会を作って適正運用を保証していますというのは、外形的に担保できていると言えない部分があるのではないかと思います。

松本 こういう構成にしなさいとかは、何も書いていないですけども、垣尾先生はどう思われますか。

垣尾 やっぱりチェック機能を持っておいた方が良いのかなと思います。どんなメンバーが必要なのか、外部の人を入れた方が良いのかというのは、今、ディスカッションするのにちょうど良いことかなと思います。

松本 賛成なんですけど、どういう立場の人に入っていただくのが良いと思いますか。

垣尾 院長や本部長ということにはならないと思いますし、院内だったら安全管理室かなと思いますので、僕が出席させていただくのは全然、構わないですが、それで良いのかどうかということですね。

松本 垣尾先生は安全管理室と倫理委員を兼ねてはりますけど、どうしましょう?

 情報を見てもよく分からないという人であったら、第三者的であっても実質的に機能はしないので、あまりかけ離れた人では具合が悪いですが、かと言って、立場的に利害やかばうような関係になったら第三者性が薄れる面もありますから、ある程度は医学的なことが分かる人であって、第三者性がある方が良いと思いますけど、事務方にも入ってもらった方が基本的には良いと思います。例えば別の病院の整形外科のドクター。同じ法人内でも構わないような気もします。

松本 残念ながら、同じ法人内に整形外医はおりません。

冨田 どんな場面がリスクのある場面なのかなということなんですけど、今は同種骨移植をするにあたっての供給は十分にあるから、だれに骨をどの配分で移植するかということは、あまり問題にならないかもしれないけど、資料では同種骨移植が骨移植の中の4%と、今はまだ少ないですけど、グウーンと増えてくることが予想されるということで、不足してくるという局面があるかもしれません。すると不足してきた時に「どの人にどの順番で…」ということが問題になってくるかもしれませんが、そういうことはありうるのですか。

松本 今は1割近くになりますが、不足することは現実的には考えにくいと思います。ただそうなれば、この人に同種骨移植をしたいと主治医が思った時点で審査するとか、適応そのものを変えなければいけませんね。

勝村 国内外を含めて、家族が必要だったら私がドナーになると言ってきたりとかはありえないのですか。

松本 それはしてはいけないという趣旨のガイドラインになっていて、だれに提供するかは一切、受け付けません。自分の場合は本人の意思で例外的にできるとは思いますけど、よくぞうまく、腰の手術が必要な方のお母さんが、たまたま大腿骨頸部骨折をして骨頭を取り出すこととなったというような、偶然が重ならないとできないですし、重なってもそれをしないということです。

勝村 たくさんストックされているとしても、より良い骨から順番に使うと決まってきたりしないのですか。

松本 状態の良い骨も弱い骨もありますから、それはあるかもしれませんね。

勝村 良いものがあまりなくて、移植が必要な人が数人いたら、どう選ぶのですか。

松本 その時に考えて決まると思います。それは例えば、必要な骨の量が多い方には良い骨を提供すると思いますし、少なくて済む人は、弱い骨でも部分的に丈夫なところがありますから、それを使うことができますし、ケースバイケースになると思います。

勝村 この人に骨移植をしようかという時に、ストックされている内のどの骨を使おうかというのは、どうやって決めるのですか。

松本 なるべく良い骨を使う。すみません、あまり細かいところを詰めて考えていません。おっしゃっているように、良い骨から順番に使っていたら、悪い骨ばかりが残ってどうするかとなりますね。

小原 骨の良しあしというのは見た目で判断するのか…、

松本 悪い骨かしっかりと詰まった骨かは、手術で取り出した時に分からないことはないですけど、レントゲンで判断します。

関谷 悪い骨が残っていくと、5年のタイムアウトでなくなっていくのですね。

松本 弱い骨でも、ギュッと圧縮すると丈夫な骨になりますから、そういう使い方もできると思います。1個で足りなかったら2個を、ギュッと詰めて使うこともできると思います。

クィー でも、クォリティーで選別すると、レシピエントによって「良い骨がなかったら必要ない」とか言う人も出てくるので、その場合の説明の仕方とか…、

松本 そうですね、それぞれの判断だから、数値化して示せないですからね。

クィー ボーンバンクの考え方だったら、全部に番号を振って順番に回していく方がいちばん平等ですよね。

松本 ボーンバンクでは、骨を下さいという依頼があった時には、一切の希望を受け付けないですが、そんな感じで運営するしかないのではないですかね。

冨田 例えばウチの整形外科医が幾つかの骨を見て、良い骨から順番にナンバーを付けても、順番が合いますか。けっこう人によって選ぶ骨が違うのだよということがあるのではないですか。

松本 それはないと思いますよ。それに、95点と93点とではそんなに変わりませんから。

小原 骨粗鬆症なんかで骨密度とかの話を聞きますよね。定量化できるような方法はないのですか。

松本 骨密度検査の機械は立ち位置でないとできないので、多分、摘出の段階では分かっていないと思います。

小原 一般論から言うと、骨密度が高い方が良質な骨だということですね。

松本 まぁ、半分以下とかでなければ十分に使えると思います。

クィー 他の病院での選択の仕方はどんな感じですか。

松本 丸太町病院の場合は、供給が需要の10倍ぐらいあるのですよ。だから選び放題で、比較的若い人の良い骨だけを使っているそうです。当院はそこまで潤沢ではありません。

勝村 けっこう年間の件数が多いと思ったのですが、同じ時期に2人のレシピエントが出ることはありますか。

松本 医師態勢上では2例はありえるかもしれません。

勝村 同時期に手術を2人にする時、骨を選ぶのに迷ったりしないですか。

松本 考えます。公平さを保つために例えば、提供する骨は術者以外の整形外科医が選んだ方が良いかもしれません。それは管理委員会で決めますけども、そこまで考えていませんでした。
先程の委員会の構成については、外部委員を正規委員会以外の時に来てもらうということでよろしいですか。

 良いですね。

小原 資料の中に、提供のお願いと、同種骨移植を受ける患者への説明同意書があるのですが、これは日本整形外科学会の定めた文書ですね。当院でも基本的にはこれをひな型に使うと理解して良いですか。

松本 あえて加えることもないですし、ほぼこの文書でいこうと思っています。

小原 この2つは患者さんが目にするいちばん重要なものなので、皆さんもご確認いただいたらなと思います。

松本 この中の様式1は提供を受ける患者さんへの文書で、表が説明で裏が同意書になっています。様式3が提供する患者さんへの説明同意書です。様式5はご遺体提供の様式なので、当院では利用しません。

小原 「同種骨移植を受ける患者さんへ」の中では、「ごくまれですが」ということですが、リスクもあるということの説明がされていますので、適切かなと思います。
人工骨というのは年々、良くなっていると思うのですが、骨の培養みたいなのはできないのですか。

松本 そうなんですね。再生医療がいちばん良いですね。ただ、再生医療研究の主力は、残念ながら整形外科以外の方にどんどん向けられています。

小原 しかし、理論的には骨に対しても使えるわけですね。

松本 そうです。それで、固定の時にいちばん役に立つのは、骨の再生ではなくて椎間板の再生です。椎間板が元気になれば、固定手術は要らないです。定義的には、椎間板に何かを注射したら細胞が生き返るとかいうのは、部分的に研究されているのですけど、多分、僕が生きている内は実用化されないでしょう。椎間板とか骨は再生しやすそうなんですけど、骨にはいろんな要素かあるので、骨だけを作る骨を作るのが難しく、未熟な細胞がどんどんできて、白血球・赤血球ができて、繊維ができるという、その一部が骨になるので、けっこう複雑だと思います。一方で椎間板は、細胞が非常に少なくて、コラーゲンとかヒアルロン酸、あと、いろんな繊維ができるので、できそうで難しい。細胞がどういうふうになったらそういうのができるのかというのは、大富豪が椎間板が要るなと思って寄付すれば、すぐにできるかもしれませんけど、しばらく進みそうにありません。

小原 それは京大のiPS研がやっていないだけじゃなくて、世界的にもまだ進んでいないのですか。

松本 テーマとしては考えているでしょうけど、やっていないと思いますよ。もうけはとても大きいと思うけど、何でも整形外科は後回しにされているような気がします。命にかかわらないからだと思いますね。

 でも、それは整形外科の人がやらな仕方ない。

岩橋 「同種骨移植を受けられる患者さんへ」という文書で、この説明で足りているのかどうかということで言うと、「未知の病原体などが同種骨に絶対に含まれていないとはいえませんが」と書いているのですけど、先程の話だと、未知ではない病原体というわけではありませんが、例えばプリオン病なんかについては、確か100℃でもダメなんですね。そういうものが紛れ込む場合のリスクを具体的に説明しておかなくても良いのですか。どっちかと言うと、手術をするお医者さんたちのすごい問題として気になっちゃったのですけど、これには「未知の病原体など」となっているので、「分かっているものでも」ということは、プリオン病だけではなくて、そういう種類のものがあるのなら、載せておかなくて良いのだろうかという気がするのですね。

松本 ガイドラインの作成が2003年と古いので、この時点で例えばプリオン病は分かってはいましたけど、大きな問題はなかったのですね。少し検討して、付け加えるということで良いですね。

小原 そうですね、未知と既知とのものがありますのでね。

垣尾 これは2003年と確かに古いものですが、今は院内で、あらゆる手術関係あるいは検査関係の説明・同意書を整備していく作業をしているのです。今風の形でフォーマットを作ってそろえていく作業をしているので、内容的にはこれを拡充するぐらいで良いと思うのですけど、この項目が入っていないといけないという今風のフォーマットがあるので、それに合わせた形で作ってもらえたら良いのかなと思っています。選択するところも、これでは「同意」だけなので、「同意・不同意」を入れるとか、同意書にはいろいろ必要とされる項目がありますので、調べた方が良いかなと思います。

 これには「平成」となっていますが、西暦にするかどうかは別として、平成は終わります。

小原 確かに、患者さんの目に触れるものに関しては、きちんとしたものを提示し、確認して同意した方が良いと思いますので、その作成をしていただければと思います。
だいぶ議論をしましたけれども、一応、同種骨移植を進めていくということで、今言いました同意書等の準備をして、具体的なものができれば、またここに提示していただくということでよろしいですか。

 同意書と、委員会をどう作るのかということで、ものすごく大変なものにする必要はないとは思いますけど、先程の優先順位の問題の議論なんかがないとは言い切れないので…。

松本 考えているのは、安全管理室の垣尾先生に入ってもらうというのと、具体的に始めるために丸太町病院には、「どんなものが要りますか」という話から始まって、「いつでも見に来て下さい」ということで、協力をいただいているのです。近隣で、移転した後もそんなに遠くないので、例えば向こうの原先生に、できれば毎回、必要時に外部委員として参加をお願いできなくもないと思いますが、ちょっと検討をさせて下さい。開業医の先生にお願いしても、手術のことはあまりご存じないので、お願いするとしたらここしか浮かばないですね。

小原 そのへんの交渉も含めて、原案を作成して下さい。あと、何かお願いしておくことはありますか。

勝村 提供してもらう人には検査もしてもらうのだろうけど、「イギリスに行ったか」とか「こんな注射を打ったこととがありますか」とか、いろいろと聞くマニュアルになっているけど、いろいろと聞かれることになっているのだったら、そのこともちょっと書いておいた方が良いのかな。

松本 感染症の範囲は、絶対に取りなさいという項目にB型・C型肝炎、HIV、HTLV1、梅毒があり、取った方が良いいう項目にクロイツフェルトヤコブ病のような症状がある人、認知症を疑う症状がある人・血縁者にいる人、角膜移植や硬膜移植を受けたことがある人、成長ホルモンの注射を受けたことのある人、1980年以降にイギリス・アイルランド等に渡航歴がある人などと明記されているので、これは一応、確認しないといけない。

勝村 提供してもらう人への説明書では、「感染性疾患等の検査をいたします」「ご希望があれば検査結果をお知らせします」とあるけど、僕だったら「どんな検査なのかな」「かなり多いのか」「しんどそう」「侵襲性のある検査なんだろうか」とか思ってしまうので、検査の中身だったり、過去のことを質問されるということは、提供に協力するにあたって具体的にどのくらいの負担かが分かっていた方が良いので、記載する必要があると思います。

松本 確認したということのためにも、海外渡航歴とかは、説明書に入っていた方が良いですかね。他の分野ではクロイツフェルトヤコブ病の渡航歴が必要な治療はありますか。提供者にならなければ、あまりなさそうですね。輸血の時にはどうしているのですか。

平田 献血には問診がありますので、そこで聞かれると思います。

小原 それは何を恐れて聞くのですか。

松本 プリオン病です。狂牛病が問題になった時に整備したと思います。

 具体的に言えば、血液検査と、生活歴とか治療歴の問診だけですね。その程度の表現で良いのではないですか。具体的な項目は要らないでしょう。

松本 HIV検査については、全員に同意書を頂いていますから…。

勝村 ただ「検査」と言われたら、どんな検査かと思っちゃうので、事実がわりとイメージできるようにした方が良いと思うのです。

クィー でも相手は、骨折して入院している患者さんなので、いろいろな検査はされていますので…、

松本 追加で感染症の検査が幾つかいるのです。

勝村 新たな検査が不要である場合の方が多いかもしれないということですかね。

クィー 追加の検査の負担は病院が行うわけですか。

松本 本来の手術に必要のない項目は請求できないのではないですかね。

垣尾 そのあたりも含めて、説明同意書という形でまとまったものを出してもらった方が…、

小原 そうですね、原案を作っていただいた方が良いと思います。それは次回までにできそうですか。

松本 説明同意書はできますね。

小原 では、着々と進めていく意味でも、なるべく速やかに作っていただいて、次回に原案を議論するという方向でご準備いただければと思います。時間を掛けて議論しましたけども、とりあえず進めていくということを今日は承認したということで、最終的な承認というのは、次回に同意書等を見てからになると思います。

松本 今日のご承認は、次回での確認が済むまでは始めてはいけないということで、次回に確認していだいたら、次の週から始められるような準備をしても良いということですね。次回はいつですか。

小原 2ヵ月後の12月ですが、もっと早くということをご希望ですか。

松本 早くても1月からと思っています。

小原 ちょうど良い時期ですね。では、それでお願いします。
 それでは次は議事(4)ですが、72回倫理委員会で検討した事例の、その後の経過報告をしていただきます。

 

議事(4)「第72回倫理委員会事例検討、その後の経過報告」

※第72回事例検討のその後の経過報告を行いました。

小原 ありがとうございました。では、この件を終えまして最後、「(5)その他」の報告関係を一括して説明していだければと思います。よろしくお願いいたします。

 

議事(5)その他(「臨床研究法と医学系研究倫理審査についての資料紹介」「臨床研究迅速審査報告」「治験審査委員会報告」)

冨田 (5)の①の「臨床研究部より資料紹介」は、もうご存じの方がほとんどだと思いますけれども、今年になって臨床研究にまつわる法整備として、臨床研究法というのが出ましたが、1年間を掛けて来年の3月末までに決めるということで、まだ具体的な中身は決まっていません。それからもう1つ、医学系倫理指針というのも3月に決まります。それに関してはICRwebというウェブサイトを見ていただくと、「臨床研究法と倫理審査委員会」という厚労省の役人の井本さんの解説があります。もう1つは「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の解説ということで、ご紹介だけしておきたいと思います。
②の「臨床研究迅速審査報告」は資料Dになります。今回は当院の泌尿器科の先生のものですが、責任研究者を交代するということでして、審査は要らないのではないかということで、小原先生に了解をいただいています。
③の「治験審査委員会報告」は資料Eですが、引き続き3題があります。1題が多発性硬化症に関して、2題が視神経脊髄炎に関しての治験ですけど、どれも特に大きな問題はなく進んでいるそうです。

小原 はい、ありがとうございました。ご質問はないですね。はい。では、これで本日の議事はすべて終了いたしました。次回の委員会は12月7日木曜日18時半からですけども、その前に、別紙にありますように10月21日に懇親会がございます。この日時に加賀屋京都店の方にご希望の方はお越し下さい。では、本日の倫理委員会はこれで終了します。どうもありがとうございました。

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