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第七十三回 倫理委員会 議事録

日時 2017年6月1日(木)18:30~20:00
場所

京都民医連中央病院西館会議室

出席者

外部委員 小原克博委員長、原昌平副委員長、岩橋多恵委員、勝村久司委員、広瀬東栄子委員

病院委員 井上賀元委員、冨田豊委員、東正一郎委員、平田恵美委員
事務局  藤﨑智、丸山俊太郎
オブザーバー 川原初恵、扇谷知宏、西澤寛貴

欠席

川島市郎副委員長、関谷直人委員、那須徹也委員

議事

 

議事(1)「第72回倫理委員会議事録確認」

小原 ただ今から第73回倫理委員会を開催させていただきます。お手元に第72回の議録がございますので、ご確認下さい。今日のメインは(2)の事例検討になりますが、資料Bに基づいてご説明を宜しくお願いします。

 

議事(2)「事例検討」

※事例1例検討しました。

小原 はい、ありがとうございました。良い議論ができたのではないかなと思います。これぐらいで宜しいですか。ありがとうございました。では、これで事例検討を終わりまして、次は(3)の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針改定の情報提供」というご報告ですが、資料Cに基づいて宜しくお願いします。

 

議事(3)「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」改定の情報提供

冨田 最近、臨床研究法や個人情報保護法、医学研究に関する倫理指針などが改定され、ウチの病院の臨床研究にも影響があるということで、先生方はご存じかと思いますが、初めて聞かれる方もおられるかと思いまして、それと、今回の倫理指針の改正がちょっと分かりにくいので、ちょっとだけ説明したいと思います。

Ⅰ.は臨床研究法で、4月17日に成立しました。臨床研究全般の中で治験というのは、製薬企業がバックについて、まだ薬とされていないものを薬として認定してもらおうという分野で、これはGCP省令というものベースになっていますので、今回は特に変わりません。治験の次が、薬として認定されているのだけど、違う病気でも効くのではないかということで、適応外の認定を受けたいと、どちらかと言うと病院医が計画を踏んでやる研究、あるいは企業がバックアップで自社の薬に関しての臨床研究を行うという、そういう分野ですが、これらを特定臨床研究に指定して、治験のGCPに相当するような方向で規制したいということですね。ここらへんの薬剤の研究を巡って最近は不祥事が起こっていますので、それに対して規制を掛けたいということです。ただし、この法律は1年を掛けて中身を細かく決めていくということで、直ぐには我々の現場に影響しないという状況です。

Ⅱ.の医学研究倫理指針は、1年半程前に改正があったのに、またちょっと変わるということなんですけど、どうして変わるかと言うと、この背景に個人情報保護法の改正があって、それに連動する格好で、一部が手直しされました。個人情報保護法というのは医学の分野だけでなくて、他の分野にもわたる広い法律ですけども、この改正をちょっと簡単に説明します。1つは、これまでは省別のローカルルールがいろいろありましたが、それを認めない方向で動いています。で、そのまとめ役になるのが個人情報保護委員会で、新設されるそうです。個人情報保護法が変わった背景については、個人情報になるのかどうか分からないグレーゾーンの増大、ビッグデータへの対応、グローバル化への対応が要るということですね。

で、新しい個人情報保護法から新しい用語が導入されて、幾つか耳慣れない言葉が出てきます。1つは個人識別符号ですが、これまで医療の分野では個人情報の中には入っていませんでした。例えばゲノム情報の中のDNA配列のある特定の遺伝子が正常と違うということ、それ自体は個人情報にはあたらなかったのですが、例えば40個以上のSNPがあると、組み合わせると個人が特定できてしまうということがありまして、こうしたゲノム情報が個人情報に変わりました。あるいは身体特徴デジタルデータで、例えば顔とか、目の虹彩、指紋などをデジタル化して処理しますと、個人が特定できるという時代になったのですね。あるいは年金番号も全国共通の番号ですね。そういったものを含めて個人識別符号という名前が付きまして、個人情報の中に入ってきます。

2番目が要配慮個人情報で、これが分かりにくいのですけども、個人情報の内でちょっと特殊なものをそう呼ぼうということなんですが、どんなものを言うのかと言えば、例えば人種、信条・社会的身分、病歴、犯罪歴などや、健康診断の結果、医療機関受診情報、診療録情報などです。これらはこれまで必ずしも単独では個人情報には入らなかったもので、個人が特定されるというよりは、特定されると不当な差別・偏見等の不利益が生じることがある要注意なものを要配慮個人情報と言うそうです。医療の分野も含め、まだ具体的にどういうものを指して、どういう制限を掛けるかは具体化されていませんけど、こういう概念が出てきたということです。

3番目の匿名加工情報とか非識別加工情報というのは、ビッグデータへの配慮で、本来、個人情報であったりしたものでも、特殊な処理をするとか別のものに置き換えれば、個人情報ではない非個人情報として使えるという趣旨なんですね。ですから、これは恐らく企業側の要求から出てきている処理だと思います。

ちょっといろんなものが交錯した格好で変更されてきているので、余計に分かりにくいと思います。でも、こういうことが個人情報保護法のバックにありまして、Ⅲ.の倫理指針の改定に関して、具体的にどういうふうな問題が起こったかということなんですが、まず1番目に、匿名化という言葉の定義を見直すということで、匿名化ということに2種類あるということになります。1つは、元々その情報単体では個人を識別することができないようなものと、もう1つは、処理をして識別ができなくなっているものです。で、後者はビッグデータ絡みの匿名化になるかなと思います。で、それに連動しまして、これまで医療分野でよく使われてきた連結可能・連結不可能匿名化という言葉が廃止になり、匿名化というのは上の2種類の匿名化情報の概念の中で使われるということになります。

今回、大きく取り上げられているのは、インフォームドコンセントに関しての見直しなんですけども、要配慮個人情報を取得したい時には、原則、インフォームドコンセントと同意が要ることになっています。けれども、最初は全部が必要というふうに話が進んでいたようですけども、特に医療分野からかなり反対意見が出たようです。そこで、「しかしオプトアウト手続きでの、自機関の利用・他機関提供を…」、オプトアウトというのは、インフォームドコンセントなしでデータをいただくことなんですけども、それを「今後も維持する」となっています。ですから、要配慮個人情報を使う場合でも、情報が古くて患者と連絡が取れないなど、同意の取得が困難な状況では、オプトアウトという方法と、「データを使って欲しくないと言われる方はここへご連絡下さい」と、拒否の手立てを残すことはこれまでもありましたが、これを制度として維持することになったようです。

P2の下の方に〈指針改正の変更点のまとめ〉を書きましたけども、(1)の要配慮個人情報の取得や提供は、原則は同意だけども、しかし困難な場合はオプトアウトというやり方も使えますよということですね。それから(2)の既存試料・情報の自機関利用ですが、既存試料・情報というのは研究目的のものではなく、通常の医療活動の中で得られたもののことで、これらが匿名化されている場合、インフォームドコンセントの手続きは不要ということです。(3)の既存試料・情報を他機関へ提供する場合は、原則インフォームドコンセントは要りますが、匿名化されている場合は不要というように、整理されています。

後もう1つ、今回の改正で厳密になった点として、試料・情報を他機関とやり取りする場合、記録をきちっと残すシステムを作って下さいということで、提供元では提供後3年間、提供先では研究終了後5年間は残すようにして下さいということです。

医学研究倫理指針は、骨格が変わったわけではないのですけども、インフォームドコンセントのところととか、匿名化のところ、情報のやり取りの記録を残すなど、ちょっと細かい規制が入っています。で、ここの病院の臨床研究で、現在やっておられるものに関して、担当研究者の医師やその他の責任者にチェックリストをお渡しして、これらの問題に引っ掛かるところはないかをチェックしていただきました。で、解決できない問題があれば相談しようかと思ったのですけど、幸い、今のところはなさそうで、まだ週1回しか来られない人が残っているのですけど、そう大きな問題はないかなと思っています。これは、解説文が新聞なんかに出たりしているのですけども、産業界・企業側から見た倫理指針の変更や個人情報保護法の開設で、医療側から見た場合、微妙に違っていたりするのですね。だから、第一線の現場でもちょっと小さな分断がしばらく続くかなと思いますけども、大きな問題はなくきているという感じがします。ご報告がてら、ちょっと解説をさせていただきました。

小原 ありがとうございました。こういう変化をきちんと押さえておくことは大事ですが、今のご報告はまさに時代の変化に少しずつ規則も対応しつつあるのかなと感じるのと同時に、産業界の関心と医療側の関心の1つの接点はビッグデータですよね。遺伝子検査なんかもIT企業なんかがすごく積極的にサービスとしてやっていまして、今は簡単に情報提供をしていますけども、情報管理がかなりいい加減だということが言われていますし、今後、ビッグデータの扱いというのは倫理的な問題が多分に含むなと思います。他方、今回に新しく出てきた言葉の要配慮個人情報…、人種、信条・社会的身分等々の、こういうものが取り扱われないための仕組みが配慮されているというのは良いかなと思います。ただ、全然関係がないかも知れませんが共謀罪とか、ああいう議論の中ではこの辺の情報が引っ掛かってくるのではないかなという気がしますね。ですから、配慮されるべき情報なんだけれども、そこに有用性を見いだした人がそれをカギにして調査したりするのかなと想像しました。

今のご説明に対して、何か聞きたいこととかはありますか。原さん、こういう変化に関しては、原さん的な視点から、新聞社的にはどうですか。

 新聞社的と言われたら困りますけど、新聞レベルでは、あまり細かく新聞記事なんかで書けるテーマではない、分かりにくい話なんですが、従来の感覚で扱っていたのと結構、違うところがあると思いますので、結構大きく変わっていると思いますよ。基本は、匿名化したデータとかを使い易くするという、産業界などの要請でしょうね。審査の時も研究の時も、こういうのはちょくちょく変わるので、やはり気を付けないといけないとは思います。研究の場合は、まぁこういうことかなと思いますけど、研究以外の社会的なところで意外に、要配慮個人情報あるいはセンシティブ情報というものの扱いは、ちゃんとした工夫がされていない感があって、特に、民間の個人情報法の適用は比較的に厳しいですけど、行政が扱う場合は何でもありみたいな感じになっているので、そっちの方が大問題だと思います。その辺の感覚は行政が特にないですね。警察もそうですけど、警察以外のところも、電子的にいっぱい行政からアクセスできる感じなので、そっちがヤバイ感があります。

小原 そうですね。こういうビッグデータの扱いが整備されつつはあるのだけども、大きなデータを使って新薬開発に繋げたいということで、これにいちばん触手を伸ばしているのは製薬会社ではないのですか。

冨田 まぁ医療界ですからね。でも、話題になった元々は定期で、鉄道での移動データを日立かどこかが集めてどこかに売ろうとしたのね。それで、「私のデータなので使って欲しくない」という話が1年程前に出ましたけど、いろんなところでやっておられるのではないでしょうか。

勝村 昨年の春ぐらいから医療事故関係の報告書の情報公開がすごくしにくくなったのですよ。それは、研究者でないと見せないという判断をしたり、倫理委員会がある大学医学部の研究者だったら良いけど、そうではないところの社会学的な研究は、医学的な倫理委員会がないからダメだと…。医療評価機構に集まっている事故報告も、今までは健全に医療評価機構が仕事をしているかという視点も含めて、誰にでも公開できていたのですけど、事故報告は医療が関わっている問題だから、新しい研究倫理指針に基づいてとかいう理由で公開されないのですね。それで、厚労省が情報公開をしにくくしているという視点を僕らは持って、厚労省と交渉するのですね。わざと隠しているのではないですけど、こういうのが出てくると過剰に反応するのですよ。当然、個人が識別できるものは全て黒塗りした報告書だから、今までは公開していたのですけど、新たな指針で研究者にもこれだけ厳しくやらせているのに、一般人に簡単に公開して良いのかみたいな感覚になっていると思うのですよ。

小原 ありがとうございました。こういう変化がまた他にもありましたら、随時、ご報告いただければと思います。では、この件はこれで終えまして、(4)の「その他」。いつものように臨床研究迅速審査報告と治験審査委員会報告を続けて宜しくお願いします。

 

議事(4)その他(「臨床研究迅速審査報告」「治験審査委員会報告」)

冨田 迅速審査の報告は資料Dです。今回は1件で、神経内科のドクターからの「抗神経抗体による免疫性神経疾患に関する研究」ということですが、このドクターは1年半程前に別の病院から来られたのですけども、既に向こうの方で、診療の対象にしている患者さんの血清を保存して、診断に繋がるような情報を全国レベルネットワークで調べるという活動をやっておられたのです。それをこちらで引き続きやりたいという中身です。ネットワークの中でやられていたようなので、説明文が分かりにくいという指摘を勝村さんからいただいて、その通りだと思ったのですが、了解していただいたということで、これは通過しました。

資料Eの治験の方は引き続き4件ですけど、今のところは問題なく進んでいます。その内1件はもう直ぐ終了になるということなんですけど、まだ、もうしばらくの間は走っているということです。

小原 今のそれぞれの報告に関して、ご質問はありますか。はい。ではこれで今日の議事は全て終わりましたので、次回の日付だけご確認下さい。8月3日ということですが、私は出席できませんので、原さんに司会をお願いします。他は宜しいですね。では、第73回倫理委員会を終了します。どうもありがとうございました。

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