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第六十三回 倫理委員会 議事録

日時 2015年8月6日(木) 18:30~21:00
場所

京都民医連中央病院西館会議室

出席者

外部委員 小原克博委員長、原昌平副委員長、勝村久司委員、広瀬東栄子委員

病院委員 冨田豊委員、東正一郎委員、平田恵美委員

事務局 影山大悟、根石明彦、丸山俊太郎

オブザーバー 川原初恵

欠席

岩橋多恵委員、関谷直人委員、川島市郎副委員長、井上賀元委員、内田寛委員、那須徹也委員

議事

小原 第63回倫理委員会を開催いたします。お手元の議事の「(2)事例検討」「(3)DNARガイドラインの見直しについて」を、主として川島先生にやっていただく予定でしたが、急なオペが入っていつに来られるかよく分からないということですので、できるところからやっていきたいと思います。で、まず最初に「(4)その他」の報告をしていただき、それから「(3)DNARガイドラインの見直しについて」の説明をしていただきたいと思います。では、宜しくお願いいたします。

 

議事(1)「事例検討」

冨田 資料Dに「臨床研究迅速審査状況」の一覧表があります。この間の4例が書いてありますけど、上の2つは以前に開始されており、37-3は期間の延長ということで、57-2のプロトコル改定というのは責任ある研究所レベルでの人事変更ということなので、どちらも審査不要と判断いたしました。69は迅速審査をお願いして7月15日に承認され、70は今のところ迅速審査に回っているということです。宜しいでしょうか。
次に資料Eの「治験審査委員会報告」ですが、P1の方は対象が二次性進行型多発性硬化症患者さんで、ノバルティスファーマが行っているものですが、これは順調に進んでいるということです。それからP3のものは、多発性硬化症患者さんの運動機能への治験で、バイオジェンジャパンがやっていますが、これも変わりなしということです。P5のものは視神経脊髄炎に関してのアストラゼネカの治験で、前から報告しているのですが、実際に患者さんが入って動き出すのは今月からということで、2名ほど予定されているそうです。以上が現状です。

小原 ありがとうございました。では、ご報告いただいた迅速審査及び治験審査に関して、ご質問があれば出して下さい。宜しいでしょうか。特にないようでしたら報告を承認ということで、これは終わりまして、現在、議論が可能な議事(3)に入って行きたいと思います。資料Cに基づきながらご説明を宜しくお願いします。

 

議事(2)「DNARガイドラインの見直しについて」

根石 文章そのものは川島医師が担当していまして、修文したのも川島医師なので、細かなところのニュアンスとかは完璧に説明はできないですが、この間、院内で議論してきた中身について、前回の倫理委員会の議論を経て再改定をしておりますので、できる限り説明をさせていただきます。
まず、前回の委員会では本文についてはあまり触れられず、一番の議論になったのは、医療安全委員長イコール院長の任務として個々のDNAR指示の事例を把握することは困難なので、P6のガイドライン本文に幾つか修整提案を出させていただいたところ、それではどこで管理するのかというご議論になり、病棟委員会という組織そのものが全国的に一般的なものかというご質問もいただきました。で、今は日々どこがDNAR指示を把握しているかを考えれば、やはり病棟際で管理するのが一番であろうということで、その責任者としては、病棟の医長か看護師長かということになるのですけども、院内の師長会議にこの提案をしたところ、そんなことは本当にできるのかという意見が出て、決着は着いていませんが、今やられている実践を踏まえてどうしたら管理ができるのかという議論を進めています。今の到達は、DNAR指示を出された患者さんの把握はやっぱり病棟際でしてもらった方が良いということで、医長の立場ではなかなか管理できないので看護師長が妥当かなということで、「8.3当該病棟師長の任務」として改めて書いております。ただ、各病棟でDNAR指示を出された患者がどのような状況なのかという調査をしたところ、多いところでは20名ぐらいから、救急病棟といったところでは短期になるのでいない時もあったり、1桁代とか、病棟によって格差があります。2つの病棟が14名から20名ということで、そこでは確かに病棟師長の任務としては大変になりますけども、実践的にはDNARだけに限らず、患者さんの病棟際のカンファレンスは毎週やっていて、いろんな課題を抱えた患者さんについては議論はされているので、全部のカンファレンスを師長がやって、記録も師長が書いてということではなくて、管理の問題として病棟師長が管理をしながら、実際的には日々やられていることでやってもらって、疑義が生じたり運営上の問題が起こった場合には、看護りんりんチームが対応したり、医療安全委員会で議論したり、倫理委員会などでご議論いただいたりということで進めていったらどうかというのが、ここの部分の現在の提案です。
また、病棟際で管理をするのであれば、どこかに報告を出さなければいけないということで、前回は病棟全体の管理をしている病棟委員会にどんな状況かを報告してもらって、病棟委員会の記録にそのことが上がれば、院長も把握ができるというようなことでしたが、これも全て師長が管理をしなければいけないのかという議論の中で、数の把握なら診療情報管理課ではカルテ上で拾えるので、そこでオーダー率を出してもらったりするという形にしました。
それ以外の本文の中身は、前回の提案のまま再提案となっている部分が多いですが、P6の「6 DNAR指示の妥当性の確認」の2)で「指示が出されたら1ヵ月毎に妥当性を再評価」とあった部分は、DNAR指示を出されている患者さんに1ヵ月毎というのは実情に合わないので、ここは「毎週定期的に」というふうに変えています。
前回の議論では説明書についてもいろいろとご意見をいただきました。P8~9が再度修整した説明文書関連で、P10~11に現行の説明書が載っています。前回には、現行の説明書に足した中身で出した方が良いのではないかというご意見をいただきましたので、ちょっと省略した部分があるのは川島医師でないと意図は分かりませんが、前文も含めてできるだけ現行に照らし合わせて再修正をしています。説明確認書については現行のものを踏襲した形で再提出ということになっております。
解説編の方も必要に応じて修整していくことが大切ですが、細かな数字の部分については文献検索を含めた医学的な検証などができていないので、修整の余地はまだあると思いますが、取りあえず今回のガイドライン本編の提案に従って、解説編の方も少し変えないといけないということで、P15の「はじめに」の下部にその中身を入れています。解説編については現段階ではそういう提案になっています。以上でございます。

小原 ありがとうございました。かなり全般に渉っていますので、バラバラに意見が出ますと収拾が着かなくなりますので、前の方から順番に行きたいと思います。最初にP6~7に限定してご質問・ご意見を出して下さい。

 考え方についてですけど、それぞれの病棟のカンファレンスで経過や妥当性を確認するということで、ガイドラインに沿った運用が適切に行われるという判断をされているということですか。

小原 先程のご説明ではここが議論になったということなので…。

根石 議論がありますので、そこをやり取りしながら調整しているのですけども、今のところそうするのが妥当ではないかということで、内部でもやり取りをしています。

小原 それで、内部ではこのような表現であれば可能であるという…、

根石 これなら可能なのかということなんですが、最終的な議論ができているというわけではないので、こういう考え方としてもう一回、返すしかないないのですね。

小原 ここで合意したものをもう一度返すということですが、この点は凄く大事だと思います。いくら立派なことをここに書いても、実現できなければ意味がありませんので、日常的に実施できる内容かどうかということは大事だと思いますね。で、新しく付け加えた8.3の後半で「オーダーの妥当性や運用上の不備が生じた場合は、さらに開かれた場で~」と記されていますが、こういうことを想定しなければならないということですか。

根石 基本的には病棟カンファレンスの中でいけるだろうということですが、判断が一致しなかったり、考え方に同意できなかったりというような葛藤があった時には、別のところでしないといけないのかなという趣旨です。そこまで具体的に葛藤が起こり得るかというのはちょっと分からないですけど、運用ではそんなことが考えられるのではないかなということです。開かれた場としては括弧で書いてありますが、看護りんりんチームは看護師の中の倫理チームで、そこが介入するということですけど、次の病棟協議会というのはあまりこういう言葉は使っていないのでどういう意図かは分かりません。

小原 これは実在するのですか。

根石 病棟協議会というのはないですね。

 病棟協議会というのは診療委員会のことではないですか。病棟の医師と看護師と医事課と、リハビリといった関係する職員とかでいろいろな内容を協議する場の名称を今は診療委員会に統一されていますが、かつては病棟協議会と言ったこともありますから。

小原 その診療委員会では、DNAR指示を巡って意見が分かれた場合にそれを受け止められるような機能はあるのですか。

 診療委員会に参加するのは、整形外科の場合は病棟に整形外科だけでなくてリハビリの患者などもいますから、医師と病棟管理者の師長、担当の医事課の職員、リハビリの職員などで、役席クラス以上の者が参加してやっているので、いろんなことがそこで話し合えることにはなっている感じですね。

平田 インシデントリポートとかも話されますし、気になる患者様とか事例についても話し合いになります。

小原 日常的にそういう機能を持っているということですか。

平田 そうですね、どこも多分1ヵ月に1度は開催していますので。

小原 意見が分かれた場合はさらに別のところで議論すべきという指示は良いかなと思うのですけど、ガイドラインというのは迷わないために作っているのに、ここでは4つが挙げられているので、何か起こった場合に「今回はどこにしようかな」と迷ったり、判断が変わってくることは具合が悪いですね。病院サイドではこの4つのどれが一番望ましいのでしょうか。そもそも病棟カンファレンスでDNARに関して意見の一致が見られないようなことが起こり得るかということですね。それがかなりの確率で起こりそうであれば、当然、それを想定した次のステップというのが必要だと思うのですが、その辺りの現実的なことをお聞きしたいですね。

平田 あまりないのではないかなと思います。週1回のカンファレンスでも気になることがあれば議論して、例えば「こういう情報が不足しているのではないか」とか「事務的な確認を取っているのだろうか」ということで、「もう少し詰めていかないといけないかな」というような議論はすることがあると思いますが、医師の意見と他の職種の意見が割れて収拾が着かないとかいうケースは、私自身は当たったことはないと思います。

小原 そうだとするならば、ガイドラインに沿ってそこでの議論を尽くすべきなので、「診療委員会云々」いう文章を付け加える必要がそもそもあるのかなという気がするのですけどね。8.3後半の要不要についてご意見を出して下さい。

勝村 滅多にないだろうし、毎週のカンファレンスで概ね大丈夫だろうということだけれど、安全性・倫理性確保のためのチェックとして、8.1~8.5の構成を残すのなら、「不備等があった場合にはさらに倫理委員会~」というように、倫理委員会を残しておくぐらいで良いのではないかなと思います。消し始めると8自体が「全部要るのか」みたいなところまで行っちゃう。

小原 確かに4つの組織を並記するというのは問題があると思うので、頻繁に起こることはないだろうということを考えれば、「倫理委員会で」ということで良いのではないですかね。それと、文章の前半の「オーダーの妥当性や運営上の不備が生じた場合」というより、ここで実質的に問うているのは、病棟カンファレンスで決定できなかった場合とか、合意が得られなかった場合ですよね。そういうふうにハッキリ書いた方が良いと思いますね。この書き方だと違う事態を想定しているように受け取られますので…。

 「合意が得られなかった場合」とするか、「意見が分かれた場合」とするかで良いのではないですか。

小原 そうしましょうか。川島先生は不在ですけど、「カンファレンスで合意が得られなかった場合は倫理委員会で議論を進める」というふうにして下さい。

 最初にDNAR指示の出すための手順は、医師の判断と多職種の同意と患者の意向の確認などですけど、6の妥当性の確認というのは、そういう手続きがちゃんと踏まれたかどうかのチェックというふうには書いてないですよね。むしろ「その後に状況が変わっていないかどうか」とか書いてあるけど、そもそも医師とか多職種という同じ職場の者がそこで判断することが多く、次に同じ病棟のカンファレンスで同じ人達が妥当性をチェックするというのは、事実上、同じ人達がまた同じことをやっているとしか思えないですよね。だからちょっと思ったのは、信用しないわけではないけど、妥当性のチェックという意味で言ったら、本当は全然違う人達が何かの形でやらないといけないので、そういうことがここには欠けているなと思いますね。同じ人達が決めて同じ人達が妥当性を話し合ったら、多分「その通り」になるに決まっているし、「さらに開かれた場として診療委員会~」としたって、また同じ人達だから「その通り」にしかならないので、最後の倫理委員会は全然違うところなので良いのですけど、それまでに「そのDNARのプロセスが妥当なのか」をチェックする方法として、チェックリストを誰かに提出して少なくとも書類上で確認するとか、何かそういうものがないと結局、現場だけのことで全部が動いて、本当の妥当性の確認は誰もできないという可能性はあると思いますね。8.4の「診療情報管理課の任務」も、DNARオーダー率なんかを取っても意味がないわけで、むしろそういうところでプロセスが正しいかというような確認をするようなことを、ここに出せるような流れがあった方が良いかなと思いますけど。

小原 それはかなり根本的な問題ですね。もしそのプロセスを入れるとすると、事後報告ではなくて、6の辺りに入れるべき事柄ですかね。

 具体的にプロセスがちゃんと書いてあるので、「医師はこういう判断をしました」「どういう人達でそのことを話し合って同意しました」「患者の意向はこういう形で確認しました」ということがキチッと残って、それをこの病棟のグループではない人達にキチッと伝わるような流れがないと、妥当性は確認ができないですね。そこまで監視しないといけないかどうかというのは別で、信用していないのかと言われますが、実際はそうですね。

 論理的にご意見は尤もだと思いますけど、妥当性を確認するという場合、手続き的な面もあるのですが、医学的な面がかなりありますよね。どっちかと言うと、そっちがメインのように思うのですけど。

 多いですね。そこで決まっちゃえば、後は多職種の同意も殆ど流れていくと思いますね。だから、一番最初に医師がそう言ったら、多分「そんなことはない」と言う人はあまりないのではないかな。と言うことはその通りですね。だから、流れの中でも一番比重が大きいのは医師がそういう判断をしたということがあると思います。

 そうすると、院内にしても第三者的なチェックをするとすれば、どういう職種の人ができるのかな。

 やっぱり医師ですね。医師でもそういうことが分かる医師。専門が違うと分からない。だから、本当にチェックをしようとすると難しい。そこまで言いだすとまた結局、運用されないとみたいな話になってきますが…。

小原 複雑にし過ぎて運用できないと本末転倒になってしまうので、その兼ね合いが大事ですね。

 ただ、カンファレンスで妥当性を確認するというのは形式的で、本当にできるかという感じがありますね。

小原 でも、6の2)は「1ヵ月に」というのをやめて「毎週定期的に」と書き直されたのですね。

 これは、どこでも毎週定期的に患者さん毎についてやっているカンファレンスに乗せるということですね。

小原 その中にDNAR指示も入れるということですね。

根石 実際的に毎週やられているので、そのカンファレンスが実態としては合うのではないかということです。また、DNARの中身からしたら、1ヵ月毎というのはかなり長過ぎて間尺に合わないというのです。

勝村 でも、6~8の構成が分かり難いというか、6で妥当性を確認して、7で取り消す場合を書いて、8で妥当性の確認や取り消す行為がちゃんと確保されているかという構成だと思ったけど、中身を読むと、6と8.1~8.3は同じようなことを書いていますね。6で「妥当性」と書いていて、8では「安全性・倫理性」と書いているけど、文章では「妥当性」としていて、院長とか、倫理委員会とか別のところが出てきたりしてますけど。

小原 そうですね、文章の内容的にも6と8はかなり似ているところがあるので、「妥当性」「安全性・倫理性」というのは一緒にしても良いような気がしますね。

勝村 だから6の病棟カンファレンスで評価して、8でチェックするのも病棟カンファレンスと同じような中身なので、同じなら同じ結論になるのではないかと思ってしまっても無理はない。もう少し整理した方が良いね。

小原 8は一応、それぞれの任務ということで整理しているのでしょうけど、目的とするところは同じですね。

 合体させて整理すれば良いとは思いますね。

勝村 ガイドラインの確保のためのチェックみたいな…。違うのかな。8はどんな趣旨?

 本当は多分、消されている「医療安全委員長の任務」というところで、全然違う立場でチェックするということに一番重きをおいたのですね。ただ、これが現実的でなくて消されたので、よく分からなくなったのですね。

 第三者的な人のチェックは難しいというのが、医療安全委員長の部分を消している理由なんでしょ。

小原 それは前回に出た「現実的ではない」という部分ですね。

 論理的には第三者チェックをやった方が良いとは思うのですけど、現実的にそれが可能かという話ですね。

 医療安全委員長というのは実は院長ですから、院長が一々チェックするのは実際には無理だというのはその通りです。ただこれは、安全委員長でなくても何か実現可能な適切な者を考える余地はあると思いますね。

 それこそ例えば、院長が指名した誰かということだったら、実際にできる余裕はあるのでしょうか。

 それはどうでしょうね。どういうふうにやるか誰がやるかということで、チェックをやろうと思ったらそういう方法しかないですね。

根石 このガイドラインが議論された当初は、多分、DNAR指示をする人の数はそんなに多くなかった時代だと思います。今は100人近くになるので、全部を吟味してということになると、誰がやるにしても非常に難しいが把握はしなければいかんので、じゃぁどうするかと言ったら、少なくともカンファレンスで病棟毎にやって欲しいという形での提案になっています。

小原 それが現実的だとは思うのですよね。病棟カンファレンスでキチッと議論されたことを、さらに誰かがチェックして何か変化が期待されるかどうかということなんですけど、手間は掛かって具体的な効果がないと意味がないですからね。形式的に流すだけみたいなのは良くないと思うのですよ。
その議論の関連ですが、P7の8.5で「院長の任務」に下線が引かれているのは追加ということですか。

根石 これは元々あって、いくらなんでもここは削れないなということで、そのまま残ったのだと思います。

小原 ここでも、「不適切な事例の主治医に対して、指導など必要な介入を行わなければならない」という任務に対して、不適切な事例かどうかを誰がチェックするのかということですよね。これが不適切だったということを事後的に判断する仕組みは、この文章の中に入っていないですから。

 8.1の2)の消された部分の「ガイドラインに沿わないDNAR指示を知った場合は院長に報告せねばならない」という辺りとセットになっていて、疑義があったら院長に報告されてチェックするという仕組みの後半だけが残ったのだと思います。ただ、何かが起こった時の最終責任は院長にあるので、全部チェックするのは大変なんだけど、最後のチェックとして院長の一文を残しておいたのかなと思いますね。

小原 ただ、ここで前提にしているのは、病棟カンファレンスと職員の任務・主治医の任務という病棟での流れがあって、「病棟カンファレンスで合意に達しなかった場合には倫理委員会へ」ということを今は言ったのですけど、それとは別に、カンファレンスなどである人が不適切だと判断したものを、直接に院長へ報告するという流れを許容して良いのかどうかということですね。「院長、これはおかしいと思います」という密告式の流れと、合意に達しなかった場合に倫理委員会に行くという、流れが2系統になってしまうような印象を受けますね。

 別にあっても良いのではないですか。倫理委員会が常時あるわけではないですから。

勝村 ということは、8.1の2)を残すということですか。

 あってもなくても別に良いと思いますが、消さんとあかんというのも、もう一つよく分からないですね。

小原 でも消しているということは多分、前回に院長の役割について議論した時に、これは不要であるということを話したような気がしますね。そもそも件数が多くなっていけば可能ではないですね。

根石 川島医師が新しく作った「職員の任務」の2)に「不適切なDNAR指示には従わなくてよい」とありますが、ガイドラインに沿わない不適切な指示かどうかを誰が判断するのかという、その辺もあるのですけど。

小原 ここでも現実と摺り合わせる必要があると思うのですけど、ガイドラインに沿わない不適切なDNAR指示というものを個人が感じた時に、「私は従いませんよ」ということが職員のレベルであるのかどうか、それから、それがどういう意味を持つのかということなんですけども。

勝村 個人が従わないでおこうと判断するなんて、もっと難しいですよね。だから8.1の2)は、新しいのより古いのを残しておいて、そういうふうに感じたら報告することにしても、滅多にないということなら可能でしょ。

根石 新しい2)は新しいのかな。これは1)~3)の2)を取ったので、3)が繰り上がったのかも知れません。

 ここで言う「不適切な」というのは、医学的な判断として不適切だというのではなくて、例えばドクターが同意書とかそういう手続きを経ないでDNAR指示をしたというようなケースですね。

 多分そういうことですね。

勝村 そういうケースをカンファレンスとかで共有…、

 カンファレンスに掛ける前にオーダーしちゃったと…。

 そもそも職員は入れ替わり立ち替わりですから、多分、この流れだとDNARがこのプロセスを踏んで出てきたものかどうかも分からないですね。

勝村 それでは、職員の立場としたら従わなくて良いというよりも、感じたら急いで報告する方が…。

根石 1)の「職員はガイドラインを熟知した上で運用しなければならない」というのは、適切に運用しているという一般的な前提で、次に「そこから外れた場合は…」という流れなんですね。

小原 そういう意味では8.1の1)も、大前提の言わずもがなのことですから、書く必要はないですね。ただ、流れがあってこの文章が残っていたと思うのですね。

勝村 8.1を残すのは丁寧過ぎる感じもしますけど、残すのだったら1)と消した方の2)を残しておけば、8.5も残しておけると思いますね。そうするか、全部をなくすかですね。ただ、「安全委員長の任務」を消すのだったら、「安全性・倫理性の確保のためのチェック」という8のタイトルも、「安全性」を取って「倫理性の確保のためのチェック」にして、中途半端にいろいろ書くのではなく、滅多にないことでしょうけど、「疑義が生じたり合意が得られなかった場合は倫理委員会に掛ける」という担保だけを付けた方が良いかも知れない。

小原 分かりました。肝心なのは、今は消されている2)を消したままにするのか復活させるのかということですね。その前後にある文章はあまり大きな意味はないと思います。

広瀬 8.2の「主治医の任務」の方がもっと重要なのと違うかなと思うので、8.1をもっと後にしても良いと思うのですね。8.1というのは使命みたいな感じですから。

小原 今は消されている8.1の2)がなくても良いのであれば、8.1の全体も当然のことを書いているだけなので、特に書く必要はないと思うのですよ。恐らく2)が元々あったので、8.1が項目として成り立っていたと思うのですよね。確認しなければいけないのは、消されている部分をどうするかということですが、消されている2)に該当するようなことというのは、現実に起こりそうなんですか。

平田 このガイドラインが正しく運用されずに、主治医と家族の面談だけで「もうDNARだから」という形で、私達はそれを聞くみたいなところが今の現状としてあるかなと思うのですね。私自身もそれを聞いた時に「こういうことは確認できているのですか」と、主治医にもう一度返したことも実際はあったりしたので、ガイドラインが適切に運用されているという前提があれば、あまり起こらないかなという気はしますけど、少しおかしいのではないかと感じた時に発信するのが、いきなり1スタッフから院長に行くのかという流れもちょっと不自然な気もするのですけど…。

小原 そこなんですよね。適切なチェック機能として働くのであれば、もちろん残しておいて良いと思うのですが、現状にそぐわないような文言を形式的に記すべきではないと思うのですよ。

 「ガイドラインは守られていない」とおっしゃっているので、必要ではないですか。

小原 守られていないのではなく、使われていないということですよ。

平田 現状として、同意書を取ったりということもされていないですし、形だけで終わってしまっているのですが、院長に報告というよりかは、おかしいと感じた時点で論議できるカンファレンスという場があるので、そこで修整されるというのが普通かなという気はします。

小原 やはり、いきなり院長というのはおかしいような気がするのですよ。実際にいろんな議論を定期的にやっているのは病棟カンファレンスで、そこの重要性をハッキリと認識した方が良いのではないかなと思うのですけどね。ですから私の意見としては、8.1全体を取ってしまった方がスッキリするのではないかなと思います。

勝村 論理は分かるのですけど、現実にこのガイドラインが使われていない中で、ガイドラインを使っていってもらおうと思うのなら、少なくとも当初は8.1があった方が良いのかも知れない。そうだとすると8.1の1)は残し、2)の「ガイドラインの手順に乗らない指示が出た場合」は、「院長に報告」というよりは、「病棟師長に言ってカンファレンスを開いてもらう」という趣旨で、「病棟師長または院長に報告」というような書き方にして、今、残っている2)は、個人で「従う」「従わない」の判断をするのは難しいので、要らないのではないかなと思います。

小原 そうしましょうか。上手く運用されていれば8.1は要らないと思いますが、今後のことを考えると、消されている2)を復活させて、今ある2)を削除するというふうにしましょうか。そして、ここでは「院長に報告せねばならない」となっていますが、「病棟師長あるいは院長に報告せねばならない」ぐらいでどうですか。

 仕組みとして、病棟師長がDNARの話をコントロールするという位置付けに今回はなっているのですけども、先程、その点について「無理だ」という意見があったということですか。

根石 最初の提案が、カンファレンスも師長の責任で開いて、議論して、記録も全て師長がせなあかんというような趣旨だったので、病棟師長がそういうことを全部できるかという議論になりましたが、現実に実践的なカンファレンスをしていて、患者の記録も残しているので、それらを師長の任務として管理しなければならないのだけど、実際のところ誰がするかというところは、運用上でできるようにした形で運用しましょうという趣旨なので、再提案が運用上の実情に合えば、決して「それはできない」という話にはならないと思います。

 医学的な判断のところは元々「複数の医師の確認」となっているので、そんなに心配しなくても良いかなとは思いますが、「患者の意向はどうだ」という辺りはナースの見方というのも重要だと思いますし、もちろんナースの医学的な意見もあるでしょう。管理は師長の責任ということでも良いと思うのですけど、現実的に考えたら師長個人でなくてもDNARの担当のナースかドクターをおいたら良いかなという気はします。実際の運営の仕方がよく分からないですけどね。どうでしょうか。

平田 この文章の1つ前の分に「DNAR指示をカンファレンスで確認して病棟師長が記録する」みたいな内容があって、それが師長会議の時に「DNAR指示は医師の指示であって、それを師長が書くとかいうことにはならないのではないか」「もちろんカンファレンスの際にサポートしたりとかはできるけども、カンファレンスに師長が100%出られるわけでもないので、実際問題として全て師長みたいな形で書かれてしまうとやり切れないかな」となって、実際に調べてもらったところ、半分近くの患者さんにオーダーを出されている病棟もあったので、「それを全て把握するのは結構辛どいかな」という意見も出ていました。

小原 DNARに関しては師長が記録するというより、カルテに項目があってそこにチェックされているということですよね。

平田 医師ももちろん確認とかの時にはご家族様にも説明して、「DNARの本来の適用をする」とか「胸骨圧迫をもうしなくても良い」とか「家族の到着までは心肺蘇生を行う」という細かい内容も医師が書いてはいますが…。

 説明確認書とか患者の意向表明書を誰かが確認しないとダメなのではないでしょうか。これを病棟の中で誰が確認するのですか。「患者さんに説明して同意されたということの裏付けはあるのですか」という確認はどうされているのですか。あるいは、ないとすれば誰がやるか。ドクターが「指示を出した」と言っても、これを取っていないかも知れないではないですか。

 形式的な手続きではあるけども、それが組まれた証拠をキチッと確認するということですね。手術室だったら、手術室の看護師が手術の同意書を全部見るのですよ。で、なかったら、「それがないと手術できません」と言うのですよ。そのようなシステムがここにはないですね。妥当性という意味で言ったら、それを確認するような流れをどこでやるかというようなことを現実にしないと、カンファレンスでは「DNARになっていますよ」という話にみんなが「はい、はい」って実際は進んでいくのですね。本当にそのことができているかということが誰でも分かるようにする仕組みが確かに欠けているかなという感じですね。

冨田 書類をどういう格好でどこが保管するかということもありますね。

 他の病院だとドクター判断でオーダーを出しますよというやり方をやっているかも知れませんけど、他の病院から転勤してきたドクターとかもいらっしゃるでしょうから。それを病棟単位でやるのか。病院全体でどこかに集約するのか、両方やるのか。

小原 この文章に即して判断する限りは「病棟カンファレンスで」という感じになりますよね。

 本気でやろうというのなら、手術室に入る時の手術同意書チェックと同様に、DNAR指示が出たら必ず誰かが「同意書はありますか」と確認するというシステムにしないと、曖昧になってしまって、誰も知らない、確認もしないということがいくらでも起き得ますね。

勝村 もっと現実的にするとしたら、6の「注)カンファレンスで確認する内容」のところに、「同意書の保管を確認する」ぐらいのことを書いておいたら良いじゃないですか。

 6に出てくる妥当性という意味が実は曖昧なんですよ。妥当性というのは内容が医学的に良いのかどうかと読んでしまうのですね。キチッと3つの手続きを踏んで、最後の患者さんもしくは家族の同意を得て、同意書まで貰っているかという、手続き上の妥当性ということが少し軽視されているような感じですね。カンファレンスで評価するのであれば、もう少し具体的にそういうことまで書いた方がより確実になると思いますね。

 それぐらいだったら師長さん中心でできますかね。師長さんがおられなかったら代わりの人がその時はやれば良いと思いますけど。

 できると思います。書類があるかないかだけですから。

平田 そうですね、リーダーナースとかがカンファレンスを運営することになると思いますけど。

勝村 「カンファレンスで確認する内容」の一番最初に書いておくだけで良いですよね。

 「病状の変化がないか」と言う前に「手続きがキチッと踏まれているか」ということで…。

 基本的にはそれで確認できると思うのですよ。

勝村 先っきお話しされていた「師長がそこまで…」というのは、6の2)の表現だったら良いわけですか。

平田 カンファレンスではだいたい病棟看護師が記録しますが、ここでは師長ではなく「病棟看護師は…」という文になっていますので、そこも考えて書き直していただいたのかなと思いました。

勝村 8.3はまさに「病棟師長の任務」ですが、最初の2行は6で書いているのと全く同じことを書いているので、「毎週のカンファレンスで見ていくのだけども、それで何らかの合意が得られなかったり、疑義が生じるようなことがあれば、倫理委員会で議論してもらうように提案する」みたいな書き方にしておいた方が良いのかな。

小原 実際、8.3の任務の中身なので、その方が素直ですね。この文章だけから判断すると、凄く大きな責任を負わせているということには多分ならないと思うので、現場に持ち帰っていただいた時にも、「こんなの無理だ」ということにはならないですね。

平田 ならないと思います。

勝村 「倫理委員会で議論を進める」の「進める」という動詞は看護師長の任務ではなく、「倫理委員会に報告する」というのが病棟師長。

小原 そうですね。「合意に達しなかった場合には倫理委員会に報告する」というのが任務ですね。

 それから、基本的にこの同意書は必ずしもDNARではなくて、蘇生法をやって下さいというのも入るのですけども、この現物を師長さんの責任で確認してもらうということと、新しく出たものは意向表明書の写しを病院のどこかに集約した方が良いのではないかと思いますが、それは診療情報管理課では無理ですか。

平田 多分、この写しを受け取ったら、入院中は病棟に置いておく患者様専用のファイルに保管され、手術の同意書とかと同様に見ることができますが、退院されたりすると診療情報管理課で管理されます。おっしゃられているのはそれとは違って、DNARのオーダーがどの患者さんに出されているかということが一括して…、

 全体的な状況が把握できるところのことです。8.4にはオーダー率ということを書いていますけども、これは電子データで電子的にカウントされるということですか。

根石 そうです。ただ、このデータは実情では運用できていません。これ自身の最終的な処理としては、スキャナーで取り込んで電子カルテに入るのですけど、今の流れは入院中にそれができなくて、退院後に書類が診療情報管理課に届いて、後付けでカルテの中に保管することになっています。

 別に診療情報管理課でなくても良いのですけども、書類そのものは紙ベースでしょ、紙ベースをどこかに届けるというような仕組みを作っておいたら…。

小原 各病棟の患者さんのファイルに置いておくのではダメだということですか。

 ではなくて、病院全体として…。

勝村 だけど、カンファレンスが凄く大事になっているじゃないですか。だとしたら、カンファレンスの場で確認できる形にするとしたら…、

 いや、カンファレンスで確認しないかも知れないではないですか。

勝村 「カンファレンスで確認しなければいけない」と書くのですよ。

 書いたってやらないから、届けることにしたら確認されることになります。

勝村 逆に、カンファレンスの時に病棟では手元に書類がなくなっちゃう。

 現物でなく、写しで良いのですよ。

小原 電子カルテにDNARのチェックが付いている人の表明書を一元管理した方が良いということですね。

 一元管理と言うよりは、今はこの書式に基づいた運用がなされていないというのが、中心的な問題ではないかなと…。この書式を使っているのだったら、本人の意向確認をちゃんとしていないとか、病状確認をちゃんとしていないということにはならないので…。

 そうです。残念ながらガイドラインが止まっていまして、患者向け書類も全く動いていないですが、こういうものがちゃんと動き出せば、そのことがある程度はされているということの1つの証明になるのですね。

 担保するという意味では、この紙をちゃんと動かすということで、カンファレンスで確認するのは当然なんですけど、病棟で保管するだけだったら、確認すると言いながらしなかったりすることもあり得るような気がするので、写しをどこかに集約すると…。それでもって統計もできるでしょうし、場合によっては電子ファイルと照合してチェックすることもできるかも知れないなと思います。

小原 退院された後には書類はスキャンされて電子カルテに一元化されているということですね。原さんのご意見は、退院してからではなくて、入院中にそれをやってしまった方が良いのではないかということですね。

根石 多分それがかなりの手間に…。

 「カンファレンスの後…」みたいな話ですけど。

 でも、それをどこに集めるか、集めたものを誰がどう扱うかということで言うと、結構大変ですね。要するに診療情報管理的に退院された人の書類を写したり、統計的に「何人ありました」と言うことは簡単ですが、リアルタイムで「この人にこういう書類がある」ということを掴もうとすると、それを常に見ておく人を配置しなければならない。それはなかなか難しいことですね。

 常に見ておかなくても良いとは思うのですけどね。

 それだったら、事後的になるけども書類があれば退院された段階で「誰々にDNAR指示が出されていて、現実にそれがされたかどうか」とか、情報管理のところで照合はできます。同時進行的に誰かが把握して、本当にできているかどうかのチェックに使うということになると、凄く難しいですね。現実的には、カンファレンスを信じてキチッとやってもらうしかないですね。

小原 原さんのおっしゃることはよく分かるのですけど、現実に回していくためには、カンファレンスで表明書などをキチッと確認するということを徹底して…、

 徹底されているかどうかということは分からなくなりますよね。

 手術室なんかは完全に徹底され、本当に「同意書がないから手術できません」と追い返されてくるのですよ。そこまで徹底すれば動くと思いますが、そこまでの重みを思ってできるかということに関わってきますね。

小原 まず、それができるということを期待して進めましょう。ガイドラインを改定して放置するのではなく、実際に運用されているかどうかは、半年後とか定期的にチェックする必要があると思うのですよ。それをフィードバックして、上手く動いていない部分があれば、再調整することが必要になってくると思いますので、最初から全て理想的な状況に持っていけなくとも、最初のステップとしてこれでどうですか。

 不安があるので、診療情報管理課でも看護部長でも副院長でも構わないのですし、そこで分析しなくても良いけど、写しを届けましょうみたいな程度のものをやっておいたら、必ず現場に紙が出てくることになるかなという意味ですが、難しいと言われたら仕方がないですね。

小原 はい、ありがとうございました。

勝村 P9の意向表明書の上に説明確認書がありますよね。P4~5の手順のAにもBにも意向証明書は「記入する」と書かれていますが、説明確認書のことが一切触れられていないので、手順の中に「説明して説明確認書をどうする」と書いておいた方が良いと思う。

小原 実際にはこれは2枚になるのですか、1枚になるのですか。

平田 多分1枚物になると思います。

小原 1枚物で書くタイミングも同じですね。では、P5の2)に「説明確認書・意向表明書」と書けばどうですか。

勝村 P5の「注1)主治医の役割」で「説明を行う」と書いてあるところを、「説明を行い、説明確認書にサインする」としておいた方が良いではないですか。それか、P4の1)の「主治医と看護士が同席にて説明を行う」を「説明を行い、説明確認書にサインする」とすれば、説明確認書と意向表明書がより意識されるのではないかと思います。

小原 分かりました。書いている方がよりハッキリしますね。

 Bの1)も同じですね。

小原 そうですね。付け加えましょう。

広瀬 患者からすると、意向表明書に「説明を受け理解しました」とあって、「心肺蘇生状態に陥った場合は」の下に「実施しないで下さい」「実施して下さい」と、選択肢がチョンチョンチョンって3つ並んでいるのが心配なので、「しないで下さい」「して欲しい」の間を1行空けるとか、「心肺蘇生状態に陥った場合は」というのをもう1回入れてキチッと分けた方が良いのではないかと思うのですけど。忙しい病棟を知っているので…。

小原 間違ってチェックしないかということですね。それは大事ですよね。思ったのと違うところにチェックしてしまって、結果が全然違っていたということがあり得ますので…。「しない」と「する」では大きく違いますから、1つ目の後を1行空けて分けた方が良いですね。

 まぁ、3つそれぞれ間を空けたらどうでしょうか。

小原 そうですね。では、P7までは宜しいですか。

勝村 細かいところを言うと、8のタイトルの「DNAR指示の安全性、倫理性の確保のためのチェック」は、「安全性」を取った方が内容に合っているし、シンプル。

小原 そうですね。では「安全性」を取りましょう。P7までは宜しいですか。
では、もう議論になっていますP8~9の辺り、P10~12の現行のものと比較しながら、これで良いのかどうかですね。前回に出されたものは現行のものからかなり変更されていましたが、今回はかなり現行に沿ったものという印象を受けました。むしろ、どこに違いがあるのかがよく分からないのですけど。

 現行のP10の「1 病状と推測される今後の経過について」のところを割愛しています。

小原 項目としては現行の1がないのと、前文の2段落目・3段落目、「患者様は、今後遠くない時期に心肺停止に至る可能性が高いと判断しております」以降がカットされていますね。

 P8の「2 DNARについて」は現行もそうなんですけど、冒頭の説明とダブっているので要らないと思います。

小原 英文も含めてそのまま繰り返されていますね。前文で書かれていますので、ここはカットしましょうか。

 後は議論になりそうな部分を言いますと、P9の説明確認書のチェック項目の上から2番目、「看護師を含む当院スタッフが、DNAR指示を出すことが妥当だと確認しました」の「出すことが妥当だ」という表現は、「出した方が良い」ということなので、「DNARは嫌だ」という患者さんの選択肢があるという意味で言うと、1番目と同様に「許容される状態にあると確認しました」という方が良いと思います。

小原 上の文章と同じように「出すことが許容される状態にあると確認しました」にするということですね。

 あくまでも許容されるのであって、妥当かどうかは医療サイドが決めなくて良いと思います。

小原 そうですね、そちらの方が整合性もありますので、良いと思いますね。

 P10の前文の「以下に~ご説明いたしますが~」という3段目は残しておいた方が良いのではないですか。

小原 これは説明書の趣旨で、最終的には意向を示して欲しいというのが目的ですからね。趣旨が明確になりますので、カットされている前文の3段目を付け加えたいと思います。他に宜しいでしょうか。
では、特になければ次に「DNARに関するガイドライン-解説編-」のところをご覧下さい。先程、ご説明がありましたように、数字とか根拠となるデータに関しましては、分かる人がきちんと見直す必要はあると思いますが、現時点ではそこには触れずに、新しく挿入されたP15の下線を引いている箇所のみに関してご確認を下さい。項目としては、今見てきた変更点や議論したことが4項目に分けて示されていると思います。

 この部分の記載はこれで良いかなと思います。1点、質問ですが、電子カルテ上の記載はDNARのオーダーが記載されるということで、それ以外の患者の意向というのはどうなるのでしょうか。患者の意向表明書に基本的には「心肺蘇生法をしないで下さい」というのと、「家族が来るまでやって下さい」「できる限りやって下さい」の3つの選択肢があるのですよ。

小原 書かずにチェックするだけでは済まんということですよね。

 トップにはDNARがあるかないかだけですね。

川原 イベントが書けるようにはなっていて、「いつ、家族に確認」というのも書けるようになっています。

 細かな情報を入れるのではなく、とっさの時にパッと見れば「この患者さんはDNAR」だということが分かるという意味なんです。

小原 チェックがされていれば心肺蘇生をしないので、3択の後2つは気にしなくて良いということですか。

平田 でも、基本はDNARだけども、例えば家族が来るまでは胸骨圧迫をして欲しいとか、酸素マスクぐらいはやって欲しいみたいなこともあるので、それは病棟間でかなり気を付けて申し送るようにしています。

小原 意向表明書には3択でかなり明確に分類されているのですけども、電子カルテ上には必ずしも反映されていないということですね。

平田 そこを記事として改行・記号付きで書いてもらったりして、きちんと守られるような工夫はしていますが、DNARのオーダーが出ているか出ていないかは、パッと見れば分かるというようにはなっていないです。

小原 DNARがアイコンとして出てきて、それをクリックすれば説明が読めるというわけではないのですか。

平田 見れないと思います。

小原 本当にアイコンが出ているだけなんですね。では、DNARの意向の細部を確認したい場合、医師はどうするのですか。例えばどこかから意向表明書を持って来るという形なんですか。

平田 患者さんが細かい意思表明をされている場合は、医師がカルテに記載するので、それをプリントアウトしておいて、急変の時にはそれを見てとか、医師がカルテの記載欄を確認してみたいな形でやっています。

小原 それは見落とす可能性もあるし、ちょっと手間ですね。

平田 本当に「特に何もしてもらわなくて良いです」というような場合は…、

小原 その場合は一番問題がないと思います。ただ、「家族が来るまではやって下さい」というようなケースの場合も、その場で直ぐに確認できた方が良いですね。

平田 でも、急変時にどこかを見たら一度に分かるみたいなシステムには今のところはなってないと…。コメント欄にもそこまでは書けないかも知れない。

 それは、電子カルテのシステム的にもそういう制約があるということでしょうか。

 あれは元々付いているやつ?

川原 付いているやつです。プロファイルの中にDNARを書くところがあって、そこにコメントが少し書けるのですけど、そこに書いたら、カルテを開いたら分かるように1面にアイコンが点きます。だけど、表明書の3択のどれというのは、先生の記録とかカンファレンスとかの中で共有して、ナースが把握するとか、緊急で先生が呼ばれた時にサッとカルテを見て把握したりして、「この人はこれやね」というのが現状だと思います。

小原 ですから、DNARのアイコンを見た時には必ずこの意向表明書を再確認することでしょうね。それが徹底される必要がありますよね。

川原 カンファレンスでの確認が徹底されれば情報共有も今よりも広まるとは思いますし、「この人は本当に危ないから同意書を確認しておこうか」とか、ナースは自分が持っているメモ用紙に書いておくとか、そういう意識付けになるかも知れません。

小原 DNARのアイコンが点けば直ぐに意向表明書をチェックするということが、当たり前のようにできれば何の問題もないと思います。

川原 その方が安心かも知れません。

 複雑な条件を付けられた場合は別ですけど、「家族が来るまではCPR」「できるだけCPR」みたいな簡単な分類分けで貼っておくとか、そういう工夫をしていただいたら良いかなと思います。

小原 P15の文章そのものについては宜しいですか。1~2行目の「ガイドラインが医療活動に有機的に浸透するための」という部分がちょっと引っ掛かったのですが、ここはどうですか。「効果的に」ぐらいの方が良いですか。あるいは単純に「医療活動に浸透」…。でも、これはガイドラインですから、動詞としては「浸透」というより「活用」の方が良いですね。「ガイドラインが医療活動に活用されるための改定を行った」でどうですか。

 この方が良いんじゃない?

小原 そうして下さい。なるべくシンプルに…。後は、ここの箇所に関しては内容的に議論する段階ではありませんので、手間は掛かると思うのですけども、最終的に本編・解説編を合わせてテキストにする必要がありますので、いずれかの段階で解説編の細部の更新を専門的な見地からやっていただく必要があると思います。

 P17最後とP23の最後に注)がありますが、それは元々あったのですか。P23の注)は今回に付け加えられたような感じなんですが…。

 そうです。以前は「りんりんチーム」とかがなかったから、新しいですね。

小原 これは先程議論になったところですね。解説編に関しては、全般的な修整をしていただいた後に議論したいと思っています。今日は川島先生がおられませんでしたので、これぐらいが議論としてはほぼ限界かなと気がしますが、大きなところについては一定の議論ができたと思いますので、それに基づいて再度また川島先生から次回に提案していただければと思います。

勝村 ちょっと良いですか。解説編と絡めた話なんですけど、P8の説明書の「1 心肺蘇生法について」のところで、「一旦は再開する可能性が40%」「骨折が生じる確率が約30%」とありますけれど、この原典をネットで調べた限り分からないのですよ。解説編でも一次情報として数字を示している限り、どこから引用しているかという情報があった方が、僕らとしては安心。

小原 それは今の解説編の中にも書かれていないということですね。

 若干、入っているのですけどね。

 P16の「2 心肺蘇生法の効果」のところの「一旦は生存を達成した率は40.7%」というのは、1)の2007年の文献だと思いますね。

勝村 40%と13%という数字は、ネットで見たら98年になっているのです。

 これは3)で98年ですね。引用の番号が全て間違っていますね。

勝村 これがネットで出てきた唯一の情報で、30%の方はネットで出てこない。だから一般的なガイドラインではあまり引用されていないようです。「40% 再開 心臓マッサージ」で検索したら、グーグルで一番最初に出てくるのは京都民医連のガイドラインです。30%の方は分からない。

小原 ここは次回に再確認することになるでしょう。解説編にこういう数字が出ているのは良いと思うのですけど、解説編で患者さんが直接見れる場合に…、

勝村 数字が独り歩きしますよね。論文自体はもっと丁寧に書いてある可能性があるけど、一部分だけを出しているから。

小原 そうですね、これは注意して見た方が良いですね。

 患者の状態も、どういう人を対象にして統計を出したかによりますから、ここはちょっと分からないですね。救急現場を対象にしているのか、慢性患者なのか…。

小原 骨折が生じる確率も年齢など、人によって状況が全然違いますからね。

勝村 ネットで「素人が心肺蘇生法をやった時」を調べたら、「結果として骨折している割合は2%だった」と書いていましたが、素人だから弱いのです。プロは本気でやるから折れやすいとか、そういうことなんです。原典をきちんと要約して示されているか分からないので、原典を出しておいた方が良いですね。

冨田 プロも本気でやるかそうでないかで違いますよね。

小原 前提によってだいぶ変わるから、出し方も慎重にしないといけないですね。

根石 その根拠がないと数字を出せないということですね。

小原 ちょっと出しにくいですね。

勝村 原典の文章を上手く要約した形で数字が使われるかどうか。新聞報道でも数字だけに注目して大きく出てしまっても、本当はもうちょっと含みを持って書いていたということもありますね。「40%再開すると言われています」と書いてあれば、例えば「40%も再開するのだったら、やらないという選択肢はないだろう」みたいな…。

 いや、「一旦は再開する」ということでしょ。

勝村 だけど、数字を示すのだったらもう少しきちんと書かないと、そういう国語のイメージが…。

小原 そうですね、4割というのは数字としてかなり大きいですね。

冨田 この前の説明では「心電図上」という意味ですよ。それでも数字では確かに「40%も本当に生き返るの」というふうに読まれてしまう可能性はありますから、言葉に変えた方が良いですね。

 それを言葉に変えたら分からないと思います。これより新しい研究データがあるかどうかは分からないですけど、前提条件がどうやというのを少し入れるというようなことかな。

勝村 「心電図上は…」というのが論文に書かれているのだったら、そういうことも入れて…、

 日本語にすると、「殆ど」とか「まれ」という言葉はあるのですけど、中間的な割合のものを指す言葉ってあまりないのですよ。例えば30%や60%を上手く表現する言葉ってあまりないので。

勝村 数字を使うことがより良い場合もあると思うので、原典の確認をしておくことですね。

小原 そうですね。出す以上は少なくとも最新のデータに基づいた論文でないといけませんので、川島先生への夏休みの宿題として、次回にお答えいただけるようにしていただきたいと思います。

 探したらデータはあると思いますよ。

根石 あると思うのですけど、こういうケースがどれだけの率というのは、どういう対象を用いてこういうデータが出ているかという背景を見るのは難しいですね。

冨田 把握しにくいですね。論文が新しければ私達の実情に合うかというと、またちょっと違ったりします。

 幅を持たせて書ければ良いのかも知れませんね。

勝村 それだけに、そういうニュアンスも患者に丁寧に説明しなければいけないのですよ。患者はこれを基に判断するのだから。

小原 そうですね。だから、少なくとも患者に聞かれた時に現場の医師がある程度は答えられるようなデータを、解説編の中に入れておいた方が良いと思います。

根石 文献を引っ張って来ようと思ったら、幾つかあると思うのですけどね、説明する時にそれが実情に合っているかというのも問題ですね。だけどそれを言いだすと、解説編に出ている外国の文献が日本の実情に合っているかという問題もありまして、なかなか難しいですね。

小原 その辺りは次回に続けたいと思います。本日に予定していました議事はこれぐらいですが、最後に事務局からご依頼があるそうなのでお願いします。

 

議事(3)「その他」

丸山 厚生労働省からですが、研究の倫理審査委員会報告システムというのがありまして、当院は以前から登録をしているのですけども、数ヵ月前にシステムが改修されまして、倫理委員の名簿を登録する際に、生年月日とか所属とか属性を入力しないと、登録できない形になりました。大変申し訳ないのですが、今日に記載していただいてお出しいただきたいと思います。ただ、生年月日も登録するようになっていますが、インターネット上で見ても画面には表示されません。お名前・性別・所属・属性・備考だけが表示されます。

小原 これは外部からデータベースの情報にアクセスできるようになっているのですか。

丸山 そうです。一般の人でもアクセスできるようになっています。

小原 これは厚労省のページの「倫理審査委員会」というところに行くと、この病院の倫理委員会の…。

丸山 はい、この病院の倫理委員会の状況が表示されます。システムに登録する内容は、各施設の倫理委員の名簿と規定と議事録になります。当院も載せてはいたのですけども、議事録に限ってシステム改変後は転換待ちという扱いになって、現在は殆ど見えないような状態になっています。

小原 これはフォームとしては民医連中央病院という形で出てくる訳ですか。

丸山 日本全国の病院の検索ができまして、その内の1つに中央病院が出るようになっています。一度見ていただければと思います。

小原 ありがとうございました。では、今書いてもらいながら、他は特にございませんか。なければ、次回は10月1日木曜日18時30分、同じ場所で倫理委員会を開催いたしますので、ご予定いただければと思います。では、本日の倫理委員会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。

 

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