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第六十一回 倫理委員会 議事録

日時 2015年4月2日(木) 18:30~21:15
場所

京都民医連中央病院西館1階第一・二会議室

出席者

外部委員 小原克博委員長、原昌平副委員長、勝村久司委員、広瀬東栄子委員

内部委員 川島市郎副委員長、井上賀元委員、内田寛委員、冨田豊委員、那須徹也、平田恵美委員

事務局 影山大悟、根石明彦、丸山俊太郎

オブザーバー 川原初恵、坂田薫、吉中丈志

欠席

岩橋多恵委員、関谷直人委員、東正一郎委員

議事

小原 ただ今より第61回倫理委員会を開催させていただきます。議事の順番はご説明の都合上、少し前後させていただきます。議事録をご確認の上、不明な点があればご指摘下さい。
まず「(3)DNARガイドラインの見直しについて」で、資料Cを参照していただきながら説明をしていただき、議論に入りたいと思います。前回もご議論いただいたと思いますが、私は所用で欠席しましたので、前回の議論を十分には分かっていないのですが、まず説明から宜しくお願いいたします。

 

議事(1)「DNARガイドラインの見直しについて」

根石 前回、DNARに関する職員アンケートについての結果をご報告させていただいたので、ちょっとダブりますが、これを受けて院内のチームで考察コメントを付けましたので、この後、川島先生の方から提案をさせていただきますけども、それに結び付くということで、少し追加をしたいと思います。
資料C1はスライドのコピーで、スライドNo.21からコメントについて説明させていただきます。DNARの認知度については、「知っていた」「だいたい知っていた」の率が合計86%で、予想より比較的高かったということでした。次にNO.23は医師に対する質問ですが、指示を出したことは「あり」が87%ということで、多くの医師がDNAR指示を実際に出しています。ただ、出しているけれどもガイドラインは十分に活用されていなかったということなので、今後、どうしていくかということになります。
次の、意思表示の確認ですが、「とらない(とれない)ことが多い」というのが50%で、かなりギリギリのところまで行って、ご本人に意識がなかったり判断力がないということなので、意思確認についてはできるだけ早く取った方が良いのではないかということです。話し合うタイミングについてもかなり幅広いいろいろ意見がありました。これらの結果から2つの時点で考える必要があるだろうということでNo.26になりますが、1つは事前指示の一つとして意思確認をする場合で、意思表示をできることが前提になりますが、後期高齢者・癌の診断をした時・施設入所等の時点で事前に意思確認の話し合いをして、話し合った内容をカルテに記入するということと、実際にDNAR指示を出す現実的な決断が求められる時がきますが、医師集団は回復可能性・延命治療の可能性等の評価が必要になる時期として、突然死の可能性とか以下に記したような時期があるだろうということです。
それからNo.27~28は、DNAR指示が出されている患者さんに行うべきでないということで、選択肢がありますが、人工呼吸器とか気管内挿管は別にしても、検査関係もいろいろ入っています。で、その下に赤字で書いていますが、「DNAR指示は、あくまでもno-CPRの指示…」、つまり心肺蘇生をしないということで、なんでもかんでもやめてしまったら良いということではありませんので、その他の検査に関しては勝手に中断するのではなく、No.29にありますが、「延命につながる治療や行って欲しい」「治療の目標などは別途話し合いが必要となる」ということが言えると思います。
そんなことを受けながら、DNARガイドラインの認知度は50%と低かったということもあって、「病院のスピリッツが注入されたガイドラインの普及が求められる」ということで、これをどうするかというのが問題になってきますということですね。
No.31~32は「心肺蘇生の効果が期待できない時、希望する治療・処置等」ということで、前回も言いましたように、「何もして欲しくない」という選択肢がなかったので判断が着かないのですが、「無回答」が116と結構多く、この中には「期待できない時は何もしないで欲しい」というような意見もあるのではないかと考えています。
後、当院DNARガイドラインについての意見などもありますが、No.34の2013年の当院の統計を見ると、死亡退院患者405名の内、悪性腫瘍は187名で46.2%と半数近くに過ぎないので、改訂ガイドラインでは全死亡退院患者を対象にすべきということと、今後の課題として、余命判断・延命治療の判断・患者がどこまでの治療を希望するかということを、カンファレンス等を含めて考えていかなければいけないということになります。
No.35以降は、参考文献の「蘇生不要指示のゆくえ」の中から引用しました、ガイドラインに含まれることが望ましい内容を挙げていますので、一応、参考に載せておきました。また、前回には出せませんでした調査票の内容を最後に掲載しています。
このような結果と若干の考察を受けて、具体的な提案については川島先生の方から説明があります。

川島 まだ院内の議論は進んでいないのですが、取りあえず今日は、ガイドラインが活用されていないというアンケートの結果を受けて、できるだけ活用されるような中身で改訂案を出させていただきます。資料C3です。改訂する目的は、臨床の診療の流れに即したものにする。現行のC2の資料を何遍も読み返してみたのですが、平成21年度に議論したわりには結構しっかりとしたものができあがっていまして、解説編とかは改訂しなければいけない不備とかは全くないのではないかと思いますし、運用し易くするためには、C2のP12以降の本編の方で、徹底しておかないと実際に運用できそうにないなというやつを中心に、改訂案を出させていただきます。
その内容のまず1つめ、DNARオーダーの電子カルテ上の記載場所の特定ということですが、現在は師長室に依頼し、実際に各病棟で出ているDNARオーダーの数と、徹底されていない記載場所を調査中です。みんなにいちばん分かり易いところに記載する方向で統一していきたいと思います。
2つ目は、立派なガイドラインは一読しておけば、DNARオーダーの必要な患者さんには、主治医がその都度チェックということで良いのではないかと思うのだけど、時間的な余裕がないようなこともあるので、何が問題になるのかを考えた時に、説明同意書が既にできあがっていないことではないか…、

小原 DNARの説明同意書は、解説編とかを作った時に一緒に作ったと思うのですけども。これですね。

川島 これですね。私が新たに追加して書いた説明同意書は、主治医が現状を整理したり、確認しなければならないことが抜けないようにということや、心肺蘇生に伴う利点や欠点なども含めて記載し、さらに、CPR以外にもやって欲しくない治療をチェックできるような中身も追加しています。これくらいの中身ならガイドラインと運用できないかなということで、これは全然議論していませんが、取りあえず出させてもらいました。
3つ目は、C2のP17の「8 DNAR指示の安全性、倫理性の確保のためのチェック」で、慎重に議論していただいて、何段階にもチェックしていただけるような形にはなっていますが、実際はそれが難しいので、DNARの運用に関してはできるだけ当該病棟師長の役割を強化させていただきたいですね。医療安全委員長の任務というのが明記されていますが、当該師長さんのレベルでいろんなチェックをしながら、そこで何か問題が発生したような場合に、こちらで議論されたような流れは作れても、病院の全員の状況をチェックしながら、定期的にその妥当性を確認するのは、難しいのではないかと思います。実際に何人ぐらいおられるのかも調査中ですので、30人なのか50人なのか分からない。

小原 ここに書いている医療安全委員長の実数がよく分からないとか、そういうことですか。

川島 …というのがなくても良いじゃないかと…。

小原 8.4の項目をなくした方が良いのではないかということですね。

川島 はい。師長が頑張るということになるのですけど…。医療安全委員長の任務までガイドラインに入れていただいた経過を私は知らないですね。運用上の問題が発生した場合の最終的な責任・指導というのは院長にならざるを得ないと思いますので、最後の「院長の任務」というのはそのまま残した方が良いかと思います。
今、提案させてもらった3つのことが改訂されたら、もうちょっと運用がし易くなるのではないかと思います。

小原 ありがとうございました。3つの点をもう一度確認しますが、1つ目はDNARオーダーの場所のことで、2つ目が同意書のことですね。そして3つ目がチェック機能をどうするかということですね。今日に結論を出す必要は必ずしもないのですけども、今、3点を示されましたので、順に確認し、論点を詰めていきたいと思います。
まず1点目、電子カルテ上に場所を特定するということですね。これはそれを徹底すれば簡単にできるのではないかと思います。この点に関して何かご意見はありますか。現在は記載の仕方がまちまちなので、見つけにくいというご指摘がありましたけど。

平田 先生はご存じないかも知れませんが、患者氏名の横にDNARマークが出るようにはなっています。

坂田 患者プロファイルに「DNAR指示、ある、なし」の選択があって、「あり」をチェックすると、患者氏名のすぐ隣にDNARという文字が出るようになっています。

小原 かなり目立つところにパッと出るように、システム上はなっているということですね。

川島 それは知らない。実際に指示を出している医者が知らない。

小原 では、それがあるということをむしろ周知する必要があるということですね。

吉中 それは、当直の人とかに分かるようにしておかないと、DNAR指示が出ているのに心肺蘇生をしてしまう可能性があるので、カルテを開いたらパッと分かるようにしたのです。で、記載はカルテ上にするということになっていて、テンプレートのような書式があるわけではないです。前に試みたのは、DNARといった用語で検索できるところがあって、それで何件ぐらいやっているのかを調べようとしたことがあったけど、不発に終わったという経緯もあります。

川島 ということは、例えば入院している患者の上にDNAR指示が何個あるのかというのも分かるのですか。

吉中 データウェアハウスを使って、キーワードで探せば分かるかな。

丸山 多分、出るはずです。以前も1回、調べました。

川島 何人もの人と話しているけど、そんな話が出たことはなかった。

小原 システム上は整備されているけど、十分に知られていないということで、そこは運用上の問題ですね。どういうふうにすれば周知できるかということを院内でご検討できればと思います。
では2点目ですけども、説明確認書というか説明同意書は、おそらくこれが患者さんとのいちばん大事な接点になりますので、やはり重要だと思います。解説書の文言をいじるよりは、説明同意書が適切かどうかを検討する価値があるように思うのですけども、以前に作られた説明確認書はC2のP21にありますし、川島先生が新たに作られたものは、これとの対応関係にない思いきった新バージョンと受け止めましたけど、かなり詳細に記されています。いちばん大きな違いは、後半にある「拒否する治療を選択して下さい」という部分ですね。この項目は以前のものには一切ありませんでしたので、より精緻化されていると言えますけども、ここまでのものが必要かどうかということも併せて議論する必要があると思いますので、まず川島先生、旧バージョンと新バージョンを比較して、「古いものではこういう点が不足している」「新しいものではこういう点をぜひ確認しておきたい、強調しておきたい」という点があったら、もう一度説明をお願いします。

川島 旧バージョンの説明確認書では、内容についてあまり触れられていなくて、「こういう説明をしました」というだけで、患者さんの意向も細かいところまでは設置されない内容になっています。

小原 そうですね、ここには細部は書かずに、「説明書に沿って説明を行いました」ということですので、前提として説明書があるのですけど、それ自体はここには提示されていないですね。

川島 で、これが非常に膨大なので、説明同意書を医師自身がチェックしながら説明して、ちょっと分からないところはこちらを見るとかだったら、皆さんが同じような説明ができるのではないかということで、敢えて具体的な状況を説明同意書の中に記載するということです。

小原 これは非常に大事なことと思います。つまり、ここに書かれているものは、結構ボリュームのある説明書の要点を書き出したという感じですよね。ですから簡潔にはなっていますが、既にある説明書との対応関係という点で論理的な食い違いがあるみたいなことはないですか。

川島 一つは、対象の患者さんを癌を前提に組み立てているのではないかという話だったのですけど、実際、アンケートの結果報告でも、亡くなる患者さんの半分が癌で半分が非癌で、おそらくDNARの説明をよく聞く患者さんは非癌の方が多いと思いまして、「現在の病状」のところに「癌で余命が1ヵ月ぐらいだろう」とかいうのは示してあるのですけど、他はよくある「突然亡くなる可能性がある患者さん」とか、「有効とされる治療の効果がなかなか出なくなってしまう」といったみたいな感じになっています。ですので、そんなことも念頭に置きながら組んでいますので、ちょっと旧ガイドラインとは違いが出るかも知れない。

小原 おそらくそこがいちばん大きな違いになると思うのですね。ただ、同じ頃にガイドライン作りをやっていたターミナルセデーションの対象患者と私も混同していましたが、DNARの方は癌患者に限定していないということなので、対象とする患者さんに関する整合性の問題はないということですね。

 ただ、ちょっと表現に問題があるとは思います。この新たな同意書を使うかどうかということ自体を考えなあかんのですけども、「現在の病状」のところで現ガイドラインとの関係で言うと、まず「癌の終末期」と書いても、「余命は1ヵ月以内」というぼやかさない言い方をするのは拙いかなと思います。C2ではP15の真ん中辺りに「一つの目安として1ヵ月以内」とあります。逆に「②慢性疾患〜」のところでは、死亡が近づいているとは必ずしも読めず、意味合いが違ってくるので、「死が差し迫っている」という設定が要りますね。

川島 文章はいろいろ直さないといけないかなと思うのだけど、伝えないといけない中身は「死が差し迫っている」ということで良いのでしょうか。

吉中 そこは論点ですよね。「1ヵ月程度」というのは最終のポイントで、事前指示書みたいなことがあってそれを尊重するというのが望ましいという話だったのだけど、1年前の事前指示書でも良しとするのではなくて、死が近づいた時にもちゃんと確認が要りますねという流れだったと思うのですけど。

川島 そうですね、最終確認する段階では「そういう病状になりました」ということで、同意書を取ることになると思うのですけども。

吉中 先生のは、そのための中身ですよね。

小原 当初、ご説明してこの説明確認書に記してもらうタイミングについてもだいぶ議論したと思うのですけども、例えば「死期が迫っているというより、むしろいろんなことを考えられる早い段階にした方が良いのではないか」みたいな話もありましたよね。ですから、必ずしも余命1ヵ月以内に限らず、もっと早い段階にお尋ねするのが望ましいのではないかという議論もありましたね。余命1ヵ月以内と判断された時点で再度確認することは必要だと思うのですけど、最初の同意書としては、「余命1ヵ月」と特に限定しない方が運用し易いのではないかとは思うのですけどね。

川島 事前指示書の実際のイメージとしては、できるだけ事前指示とかアドバンスケアプランニングについて、話し合う機会をできるだけ増やしながら、それをカルテに反映させていって、「こういう病状に至ってしまったけれども、今まで考えてこられた意思通りで良いのかどうか」という最終確認をイメージしているのですけど。

小原 そうですね、「1回言ったのだから、本人の意思を聞かないで、それでいきますよ」ではやっぱり良くないと思いますよね。だから最終確認も要るとは思うのですけど、切羽詰まっての同意書という形だけではなくて、それこそ「入院した時の入院説明書などにもこれを入れて、むしろ啓蒙していった方が良いのではないか」みたいな話もあったのですね。そうなると、余命1ヵ月とかそういうことは全然関係なくなるのですけども。

川島 そういう機会は本当にあっても良いとは思いますし、そういうのがカルテに反映されていくと良いのですが、診療ベースでないとカルテに反映されないのが問題ではありますけど。そういうことと、この最終説明同意書というのは別の問題と言えば別の問題ではありますけども。

小原 そうですね。今日に結論は必ずしも出す必要はないのですけど、なるべくいろんな論点に触れておきたいと思います。まず一つは、対象者をどう規定するかという問題、それからもう一つは、新しい案ではP3に拒否する治療の選択オプションをズラッと記しているのですが、これに関してのご意見等を出して下さい。今までなかったこういったものが、あった方が望ましいのかどうかということですね。

川島 当院のいろんな説明同意書は、だいたい「同意」と「拒否」と「もう一回説明」としてあるのですけども。

小原 ここに書かれてある「何を拒否したいですか」という項目は、この同意書以外の状況で聞くことは日常的にあるのですか。

川島 手術の時とか…。

小原 ですから、それを改めて並べたという理解で良いのですか。

川島 そうですね。最終的に拒否するという意志を伝えることにも対応していくとために、拒否といった条項を敢えて載せたのです。

小原 そうなると、狭義のDNARの意味は心肺蘇生をしないということですけども、ここでは心肺蘇生以外の項目もむしろ入れてしまった方が良いのではないかというご提案ですね。

川島 この同意書でもDNARは心肺蘇生を拒否するという意味ですが、それ以外の項目は、実際に心肺蘇生が行われる時に付いて回ることもありますけども、DNARというのは心肺蘇生をしないという意味だけなので、「他の意思確認もこの機会にしておいた方が…」ということです。

小原 分かりました。今の点について何かご意見をいただければと思います。

坂田 これで拒否する中身が分かったとしても、するべき中身だったりとか、お勧めしたい中身だったりという時は話し合いをすることになると思いますが、患者さんやご家族は拒否するラインや判断の基準を持ち合わせていないことの方が圧倒的に多いので、そういう時期になったとしても、「こういう治療はお勧めします」という中身の提示の方が、話し合いとしてはし易いのではないかと思うのです。

川島 それは「拒否する治療でも」「希望する治療」でも良いのですけど、どういう形になるかは別にして、話し合う機会が必ずあった方が良いんじゃないかということで、説明同意書に敢えて入れたということなんです。書いてあったら、医者も患者さん・家族と希望に合わせて話をするのではないかな。

小原 一つ一つの違いについて議論して同意してもらうというのは必要だと思うのですけど、それをDNARとセットにした方が良いのか、分けた方が良いのかということだと思うのですよ。それをDNARに入れ込んでしまうことによって、心肺蘇生ということの性格自体が曖昧になってしまわないかと、ちょっと考えるのですけどね。聞いてしまうこともできそうなんですけども、今までは心肺蘇生に限定して議論してきて、少なくとも本編とか解説編でこれらのオプションについては全く考えていないですね。

川島 この項目の一つ一つにすごい議論が必要かなとは思いますが…。

広瀬 この間の学習会の中では、この「やって欲しくない治療」のような延命治療のところを、家族と看護師さんとかと話し合って、自分なりに決めて意思表明しておくことが大事だということで、DNARのことはまた別枠としましたのです。その時にある方が、「家族が寝たきりで意識もないような状態で胃瘻(いろう)をされて、その痛々しさに亡くなってからもすごい長いこと苦しめられた」と話され、「それも、胃瘻がどういうことに役立つかということもあまり知らなくて、延命だけを考えていたので後後悔した」と言って、「ここでその話ができてホッとしました」と言われました。確かに延命というところでは、残された家族がずっと悩まされるということもあるので、そういうことを避けるためにも、リビングウィルノートみたいなものをきちっと作っておいたら、イザとなった時に悩まなくても済むということを考えれば、先生がおっしゃっているように、もっと前から話し合うということが大事だなと思って、1ヵ月前というのではちょっと遅いのではないかなと思います。

小原 特に胃瘻に関しては1ヵ月前ではちょっと遅いというか、もっと早い段階での意思決定すべき事柄ですよね。この議論は一つ一つを大事にしなければいけないですが、この項目の中でも胃瘻の造設のことが今はいちばんニーズの高い事柄で、これ自体が独立したガイドラインになるくらいの重みを持っていますよね。ですから、ここに混ぜてしまわずに、分けた方が良いかなという気がしますね。

川島 ここに並べたのは余命が限られているという時に常について回る項目ですので、今まで意思表示されたことがない方や、確認すらしていないという場合には、それが抜け落ちないように、最終的な再確認が必要ではないかなということで載せさせてもらったのですけど、この時点で話し合う必要がないこともあると思います。

 DNARのガイドラインにここまで入れ込むのは、やっぱり無理があると思います。これ自体がターミナルの時期かその手前の治療をどうするかという大問題ですから、それをどういうやり方でやっていくかということはもっと詰めないといけないですし、混同されるおそれがあります。先っきのアンケートもそうですが、DNAR指示と治療の差し控えが混同されるという傾向があるわけです。それ自体が問題だと思いますから、そこは切り分けないといけないかなと思います。私自身の感覚としては、こういう事前の意思表示という方式をやる場合は、だいぶ工夫しないと危ないなという気がするので、これは「拒否します」という書き方をされていますけど、「希望します」というような方向の内容ももっと入れないといけない。例えば緩和ケアとか言ってもいろいろありますし、「日常的なケアを拒否します」というのはわけが分からないという感じですね。こういうふうに列挙して拒否するのが流行みたいな感じも受けるのですが、形式的に「ここに書いてあったから本人の意向や」と、機械的な治療方針の運用になるおそれもあって、逆によく話し合うこと自体の妨げにならないかなという気はします。

小原 そうですね、ここは再度ご検討いただきたい点ではあります。というのはまず、この一つ一つがかなりの膨大な議論を要する内容を含んでいますので、これをぽっとここに出すとなると、当然それに対応するような説明文が必要になってくると思うのですよ。しかし現状では、説明書・解説編との対応関係がありませんので、やはり出発点としては、今ある解説編・本編から演えきされる範囲に限定した方が、整合性の点でも良いかなというふうに思います。ただ、解説編が非常に大部になっていますので、その中身を要約してポイントをこういう形で列挙するという方向自体は非常に望ましいと思いますので、これは今後の議論のベースにできると思います。
時間の都合がありますので、3点目をもう一度議論したいと思います。C2のP17に「医療安全委員長の任務」と書かれてはいるけども、これは機能しにくいので、別の意思決定の仕方を考えた方が良いのではないかというご提案がありました。これに関してはいかがでしょうか。現状として医療安全委員長というのは、どういう形で存在しているのでしょうか。

坂田 医療安全管理者。

吉中 委員長は私です。医療安全室長というのが別個に一応あるのですが、当初は委員長がやるべきだと厚労省が定めていて、それから外してはいけないという話でそうなったのです。今はちょっと緩まったのではないかと思っているのですが、今でも定めではそうなっているかな。

川原 今でもそうです。

吉中 そういうことなんです。で、そういう意味でちょっと矛盾があって、医療安全と言うより院内の医療倫理…、倫理委員会の委員長をここに置くとかいうことを思っていたのですけど、そこで把握できて、倫理問題がないかということをチェックするとか…。

小原 チェック体制については現状に合わせておく必要がありますので、8.4の項目だけではなくて、全体の流れを見て、現状とずれているところは当然、修整をした方が良いと思います。医療安全委員長が今は院長だということなら、8.4の2)の「不適切な事例が発生した場合には、院長に報告せねばならない」というのは、現状では兼ねてしまっているので、おかしいということですよね。

吉中 それから川島先生の提案には医療安全室長と書いていましたので…、

川島 医療安全室全体でも構わないのですけど、医療安全室がこれを全部管理するのは難しいのではないかな。

吉中 事柄の性質面でもちょっと違うかなと思います。

 いずれにしても、それぞれの病棟の師長でということでは状況把握ができないですよね。どこかで状況を把握する人は必要でしょ。それがトップに行くと、トップが大変ですから、誰か適切なところで代えられれば良いのです。おっしゃるように医療安全の問題とはちょっと違う感じがしますけど。

川島 改訂案の6.に書きましたように、実際は各病棟で毎週カンファレンスが開かれますので、そこで「病状に変化はないのか」とか「患者・家族の意思に変化はないのか、CPR以外の必要なケアの差し控えはないのか」というような、必要最低限のチェックをしてもらうということになると思うのですけども。

 それでは全体の状況を把握できないでしょ。

川島 全体の状況は、要するに妥当性がその病棟で完結している場合でも、妥当であるということをさらに報告し、把握する必要があるということですか。

 それぞれの病棟のカンファレンスに任せておけば大丈夫だと、ここで合意がされれば、それで良いと思いますけど、ただ、現在のガイドラインの運用としては、リアルタイムでないにしても全体の状況を把握するということになっているのに、把握できていないでしょ。で、おそらくドクターも、指示は出しているけどガイドラインはよく知らないという状況があるわけでしょ。だから、各病棟に任せられるという状況には思えません。

川島 各病棟では既にこういうカンファレンスは開かれているので、その診療ベースに乗って、複数の医師の確認と集団的議論は必ずされるということになるのですけど。

 いや、されているのですか。

川島 DNARを拾い上げることを意識していることはないと思いますけど、患者さん全員のカンファレンスは少なくとも週1でしているので、これが診療ベースに乗ったら、必ずされることになる。

 個別の診療のカンファレンスはするとしても、それだと、ガイドラインが守られないではないですか。

川島 別個にしろということですか。

小原 それは多分、2通りのやり方があると思うのですよ。1つは、ガイドラインが周知徹底されていれば、各カンファレンスの独自性を信頼してもOKなんですよ。しかし、原さんが心配されているのは、カンファレンスがされているのは分かるけども、それぞれでガイドラインが前提になっていないとするならば、どこが妥当性を保証するのかということで、この場合には全体を総括するような仕組みがやっぱり必要になってくるということなんですよね。どちらが良いとは言えないのですが、現状では周知徹底されていないということなので…。

川島 ガイドラインの中には、どこでどのような形でやれということまで書いてありませんけどね。

小原 ですからそれが、現状と8.の項目とを摺り合わせる必要があると思うのですよ。今後、ガイドラインを各部署に周知徹底するとして、どういう手順で全体を機能させるかという仕組み作りですよね。これが8.の項目で整理されてますので…。

吉中 C3の川島提案では、8.3で当該師長さんの役割を強めて、後段の方を明記しないということですね。だから、そこを通じて把握しようという契機になっているということですね。それが、りんりんチームとか感染のリンクナースみたいな格好で、掌握されて評価されているという仕組みに乗るようにすると、もう少し分かってくると私は思いますね。師長さんというのもなかなか大変で、実効性のあるものとして当初は良いですけど。要するに、病棟で「今週のカンファレンスでDNAR指示はこの人」とか、あるいは「患者さんとの協議で指示書を貰いました」とかいうことが集約されて、その中身を検証できるかどうか。

 ガイドラインが徹底されていないということを今日も報告されているわけですから、それぞれに任せて病棟で完結というのは、現状としてはちょっと辛どいのではないか。そうすると、どこかでまとめる必要がありますが、医療安全委員長の代わりの役割の人…、看護部が妥当であれば看護部というやり方もあると思いますけど。

吉中 看護部門を中心にりんりんチームというのが動いていて、実効的にいきそうなので、それに僕らケアチーム全部を教育要員として使って、それから倫理委員会の事務局というのが定期化して動いていますから、それをちょっと組み合わせて、PDCMみたいな制度を作るということですね。

小原 そうですね、そういうのをここに書いていただいたら、透明性が確保できるというか、どういうふうに意思決定がされているのかというのが見えてきますので…。

川島 そういう意見をいただいて…。まだ全体の議論も進んでいないので…。

小原 はい。ですから今日は、議論を詰めていただくための素材提供ということで、これぐらいにしたいと思うのですけど、川島先生の方から、他に何か意見を聞かせて欲しいみたいな点はありますか。だいたい大きなポイントについては意見が出されたと思うのですけど。

川島 いちばん大きいのは、やはり先ほど議論になった「拒否する治療」の項目で、これが確認されていないと、実際にDNARオーダーが来た時にいちばん医者や看護師が困るのですよ。確認し忘れたり、意思表示をして拒否するチャンスが今までなかったという場合もあります。絶対に漏れないようにするためには、やむを得ず最終確認が必要なのかなということで、入れさせてもらったのです。

小原 その必要性はよく分かるのですよ。ただ、DNARはやはり心肺蘇生をしないということなので、それ以外のものとは分けた方が良いのではないかと思うのですね。そして、今言われた聞いておくべき項目というのは、別途にガイドラインを考えると言いますか、全てを個別に作ると非常煩雑になりますから工夫の余地があるとは思いますけど、胃瘻の問題を含めて、DNARとは性質が違うのではないかなという気もしますので、もちろん関係はするのですけど…。

川島 分けなければならないというのがいちばん大事だというのを、理解しながら言っているのですけど…。

小原 で、最大の理由は実際の現場の必要性云々の問題ではなくて、既にある解説編・本編との対応関係なんですよ。ですから、もし本編に…

川島 もし記載するのであれば、本編にそれなりのものが必要だということですか。

小原 そうです。そもそもの議論から始めないといけないので、多分、1年ぐらいの議論では済まないようなことになりかねないと思うのですよね。ですから今回はDNARの改訂に専念して、変えるべきところを変えて、実際に運用できるようなものにして、周知徹底をした方が、意味があると思うのですね。そして、別途に聞くべき事柄については、これとは別に議論を立てていった方が良いと思うのですけどね。

坂田 先生がそこに載せた意味が、患者さんの意思表示がどこでもされないということを大切にするのか、それともアドバンスケアプランニングが過不足なく行われるということを主体にするのかで、ずいぶん表現が変わってくるのじゃないかなと思うのですね。で、現ガイドラインの中にはハッキリと「必要な治療やケアは続けます」と書いてあるので、それを「過不足なく行います」と言うためにこの項目を挙げるのか、それとも、「意思表示が一度もなかったから、そこは一回、確認しておこうよ」というために挙げるのかということは、分けて考えた方が良いのかなというふうに思います。

 元々DNARガイドラインを作ったのは、これまで、生命の尊重というふうな考え方とか、後から来た家族が「なんで心臓マッサージを思いっ切りやらないのか」といったクレームを付けられるとかいうことで、「かなり画一的に見込みのない人が心停止してもCPRをやっていたが、それはどうなんだ」という現場のニーズがあったと思います。そこの状況がかなり変わってきているとか、クレームが来てもどうということなく対応できるということであれば、別の考え方もあり得ると思います。DNARに関しては「ガイドラインではなくてパターナリズムでやります」「医療サイドの判断でやります」という方法もあると思います。というのは、前段の治療方針の話と心肺蘇生の話がリンクするとか混同するということになるのは拙い。それをリンクさせるぐらいだったら、心肺蘇生の方は医療サイドで決めますということもありと思います。まぁ今日に議論することではないですね。

吉中 以前は心肺蘇生をしない方が良いのではないかと思われるケースでも、する方に大幅に傾いていたという経過はあります。一方で前回の議論の中では、心肺蘇生をしたことでクレームを受けたという事例が出たのですね。それは「半年ぐらい前の話し合いで、しないことになっていたのに」という話でした。それが今は、心肺蘇生をしたことを快く思われないことが増えているなという感じはあります。もう一つ大きいのは、在宅で亡くなることを希望する比率がずいぶん増えていて、その時には基本的にDNAR+治療の差し替えを含んだ了解になっているという事実はありますよね。それは、ややこしいことを説明してやるということではなくて、本人の希望に応じて「入院したくない」ということなら、入院しなくて良いわけですから。そういう大きな変化があります。その辺も案配しながら、DNARということをやっていった方が良いかなと思います。

 今おっしゃったのは、ガイドライン的なものがあった方が良いということですか。

吉中 私はあった方が良いと思います。

 ここでは「入院中の患者」という書き方をしていますが、むしろ在宅のところも対象として改訂する必要が出てくるのではないですか。

吉中 在宅は全然異質だと思うので…。入院しないというのは本人の意思ですから、全部を入院時と同じようにやるというのは、ちょっとおかしいと思うのです。

川島 改訂案にもちょっと書かしてもらったのですが、折角いろんな話し合いを持ったのであれば、その情報は在宅でも共有された方が良いかなと思います。

小原 その議論もいずれ出てくるかも知れませんが、取りあえず今は病院内のことに集中し、次回は今日に出た意見と病院内の議論を踏まえて、再提案していただければと思いますので、川島先生、宜しくお願いします。
この件につきましてはこれで終えまして、次に議事(2)の「事例検討」につきまして、井上先生には着席早々で申し訳ないですが、ご説明を宜しくお願いいたします。

 

議事(2)「事例検討」

※事例1例検討しました。

 

小原 ここで結論を出す必要は全くありませんので、今、出されたような議論を受け止めていただいて、良い判断をされることを願っております。どうもありがとうございました。
では次は、議事には書かれていないのですけども、資料Gをまずご覧下さい。これは2014年6月に迅速審査に上げられて議論されたのですが、暗礁に乗り上げて先に進んでいないものを今回、議題として挙げさせていただきたいと思います。私も全体の流れを把握しておりませんので、冨田先生の方からご説明いただけますか。

 

議事(3)「臨床研究迅速審査について」

※審査中の臨床研究迅速審査について検討しました。

 

小原 これで進むと思います。では、この件はこれで終わりまして、「(4)その他」の項目が3点ございますので、それぞれのご説明をお願いします。まず「臨床研究迅速審査報告」ということで、資料Dをご覧下さい。

 

議事(4)「臨床研究迅速審査報告」

冨田 この間、No.63~67と21-2の提案がありました。63~65の3つはいずれも迅速審査をしていただき、どれも了解をいただきました。現在、「66大腿近位部骨折時の発熱の頻度及び程度の検討」と「67初産婦の36~37週妊婦健診時に用いる分娩停止予測モデルの作成」が審査中です。21-2というのは、以前に一度、審査して了解をいただいた「悪液質を伴う進行再発胃癌の化学療法に対するプロシュアの有効性に関する第Ⅱ相試験」ですけど、確か1人を追加したいということで、試験期間の延長だけを要請されまして、これは審査不要という扱いになりましたので、今のところは2件が回っています。

小原 ありがとうございます。では続けて「治験審査報告」をお願いします。

 

議事(5)「治験審査報告」

冨田 3つ課題が出ていますが、いずれも多発性硬化症の薬で、中身的には変わりはありません。P1の分は病状の進んだ方に関しての新しい薬の治験、P3の分は多発性硬化症の歩行障害に対しての治験、P7の分は視神経脊髄炎という多発性硬化症に近似する症状ですが、これに対しての治験で、いずれも今のところは順調で、特別に大きな変化はありません。

小原 ありがとうございます。では最後の報告は資料Fに関してですが、宜しくお願いします。

 

議事(6)「研究報告書」

丸山 資料Fは、京都大学が研究代表者としてされた研究ですが、当院も参加しましたので、ご報告させていただきます。題名は「病院倫理委員会の教育研修の現状に基づいた教育研修方法の確立」の研究報告書ですが、内容的には臨床倫理に関しての現状調査報告の結果になります。
まずP2ですが、今回は病院機能評価機構の認証病院を対象に、臨床倫理コンサルテーションの実践状況と実践内容についてアンケート調査をされました。目的としては、臨床倫理コンサルテーションの実施状況を把握し、普及させるにはどのような教育が必要かを検討するための基礎資料として実施されました。回答期間は2012年12月10日から2013年3月31日までです。所々に「臨床倫理に関する部署」という言葉が出てきますが、これは当院で言う倫理委員会と読み換えていただいたら分かり易いと思います。
P3の1.ですが、全体で倫理委員会が設置されている病院は8割を少し超えています。逆に言いますと、2割弱の病院はまだ倫理委員会が未設置ということです。2.の倫理委員会を作るきっかけは何だったかという質問では、グラフでは病床規模で分かれており、当院は411床ですけども、500床未満の病院では病院機能評価を受けることがきっかけという回答が約6割でした。ただ500床以上になりますと、病院機能評価を受けることより、病院職員やその他からの要望がきっかけとなっています。ちなみにP4の自由回答では「臨床倫理の必要性を認識した」というのが1番多く、次に「組織や院長の方針」、続いて「臨床研究」をきっかけとして設置されています。3.の倫理委員会が担っている業務ですが、a.個々の症例の倫理問題の対応、b.院内倫理指針やガイドラインの作成、c.臨床倫理に関する院内教育の3点は、下のグラフではほぼイーブンで、この3点を担っているという結果になっています。当院ではa.とb.に加え、臨床研究や治験の審査も行っていますので、「d.その他(自由回答)」の方も選ばせてもらっています。
次にP5の「臨床倫理コンサルテーションの体制」ということで、6.を見ていただきますと、全体の人数の中央値は9人でした。現在当院は倫理委員だけで13名、オブザーバー等を足しますと20名いますので、中央値より多い人数で当倫理委員会は運営していることが分かります。職種別のいちばん下に「病院職員以外」と外部委員のことが書かれています。中央値は1人で最小値は0、最大値は9人ということで、当時の当院の回答は8名でしたので、当院は外部委員が多いなと思っていたのですが、さらに上の施設がありました。ちなみに当院では、冨田先生が外部委員になられた時は、外部委員は9名でした。P7の9.ですが、男女比は全体の平均では男性6人、女性2人ということで、男性が中心となっている傾向があるという結果が出ています。当時の当院倫理委員会で見ますと、男性が12名、女性が4名で、比率は3対1となりますので、ここは一緒になりました。年齢構成的には50代の方が多く、50代が中心に動かしているということになります。
次にP9の15.で「臨床倫理コンサルテーションの依頼者は誰か」という質問ですが、患者や家族からというよりも、「科長・部長などの管理職」や「管理職以外の医療系の職員」からの依頼が多いということが、P10のグラフにも示されています。「初期研修医」からはやや低いことも見て取れます。P11の17.の「臨床倫理コンサルテーションの依頼件数」ですが、中央値は年間1件と出ています。当院はだいたい1回に1件を出しているので、年間5~6件という回答をしています。18.の「取り扱ったことがあるテーマ」は、P12の上の方に選択肢が載っていますが、「インフォームドコンセントに関する問題」「終末期医療に関する問題」「高齢者の治療に関する問題」が多く取り扱われているのが分かります。当院ではそれに加え「宗教が関わる問題」や「遺伝子診断」も行っています。P13の20.で「臨床倫理コンサルテーションの検討は何人でやっているか」という質問ですが、全員で検討している施設が6割を超えています。P14の21.の「どのようにして検討を行うか」というのは、「話し合い」が1番多く回答されています。22.の「決議の出し方」は、「全員一致」と答えた施設が多かったのですけど、全員一致と答えた施設でも、不一致の場合は2/3以上の多数決で決めたり、意見を一つにまとめずに返したりと、臨機応変に対応しているという意見が5件あったということでした。P15の25.の「臨床倫理コンサルテーションの最終判断に従わねばならない強制力があるかどうか」という質問は、「強制力あり」「なし」「場合による」に回答が分散しまして、立ち位置は様々でした。26.の「臨床倫理コンサルテーション後の経過の追跡はしているか」については、数的には「はい」「いいえ」に分かれました。当院は「いいえ」という回答をしています。P16の27.の「臨床倫理コンサルテーションの結果を患者の診療録に記載していますか」という質問は、「記載する」よりも「事例によっては記載する」ないし「記載しない」の方が全体的には多く、当院も「記載しない」という回答をしています。その下の「記入する場合、誰が記入するか」という質問には、医師・看護師が多いということがP17の上のグラフにも出ていますが、その他にはチャプレンが記入しているところもあるそうです。P18の29.の「コンサルテーションが終わった直後、そのコンサルテーションの結果はどこに報告しているか」という質問は、「依頼者」と「病院管理職」に返しているという回答が多かったです。
次はP21に飛びまして「院内倫理指針やガイドラインの作成」のところで、院内指針の検討は年1.4件という結果で、当院は1件と回答しています。「策定したことのある院内指針」はP22のグラフに載っていますけども、多いのは「インフォームドコンセントに関して」「終末期医療に関して」「宗教に関して」ということでした。当院もそれらの指針を選ばせてもらいました。
P23の「臨床倫理に関する院内教育について」ですが、平均が年1.4回、中央値が年1回ということで、最大は90回も行っている施設もあるそうです。当院では医療安全講座で行っており、外部倫理委員の方にも講演を行っていただいています。
次にP25の「臨床倫理の今後の取り組みについて」ですが、37.の「臨床倫理コンサルテーションの体制は十分と思うかどうか」は、「思わない」が1番多くなっていました。P26に理由が書かれていますが、体制が十分と思う根拠としては、多職種や外部との連携があることと、機能しているという実感があるという意見が多く、十分と思わない根拠としては、体制や対応ができていないこと、職員の認識・関心不足が大きな要因ということでした。
当院は受けていませんが、後の方のページにはインタビュー調査の結果もあって、これらを含めたアンケート結果から作成された提言がP32にあります。「1.病院倫理委員会の教育研修方法に関する提言」として「臨床倫理への関心を高め、知識を高めるには、事例検討が有効」「病院内の研修会でも、小グループの勉強会でも、事例検討は可能」「公平な話し合いの場を作るためには、司会進行役もしくはファシリテータが必要」。「2.病院倫理委員会の運営に関する提言」として「兼任で良いので事務局体制を作る」「事務系の職員の協力が安定した委員会運営に重要」ということで、当院ではどれも行えていると思います。以上、報告をさせていただきました。

小原 ありがとうございました。細かくは後ほどに見ていただいたら良いと思います。どの項目に関しても当倫理委員会はほぼ平均値をクリアしていると判断できるかと思いますが、さらに改善すべきところは改善して、内容を深めていきたいと思います。以上で本日予定した議事と報告は全て終えましたので、次回の日程ですが、そこに記されているように6月4日木曜日18時30分から予定されていますので、宜しくお願いいたします。その他、何かご報告はありますか。

 

議事(7)「その他」

根石 先ほど、DNARの検討の時に資料C4として「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を付けていますが、これまでは「終末期の医療の決定プロセス〜」となっていました。このガイドラインの改訂以降は、「終末期」という言葉を使わず、「人生の最終段階」という言葉を使うらしいので、参考までに資料として付けました。

小原 ではこの委員会でも、議論する時の用語法が変わるかも知れませんね。

 一点、良いですか。医療事故の調査の法律が10月に施行されるので、今すぐということではないのですけど、死亡事故が起きた時に病院毎に対応を求められる部分が、今回の制度では結構多いので、どういう対応をするか…。検討会で議論になったのは、調査報告書を遺族サイドに渡すのか渡さないのかということでしたし、どういう体制で調査するのかということもあるので、その辺りもよくご検討をして下さいということと、医療安全の問題ではありますけど、倫理委員会にも諮っていただいた方が良いのではないかと思います。

勝村 院内事故調査をしなければいけなくて、それは管理者に委ねられるということで、できれば全国的にも、民医連のいろんな病院にも見本になるような、無理のない形で健全な仕組みにして、倫理的に事故の調査をするにもちょっと出してもらえれば…。

吉中 死因は倫理委員会と別枠にした方が良いのではないでしょうか。

 調査委員会は別の人がした方が良いと思いますよ。

勝村 別でも良いけど、どんな調査委員会…、

吉中 倫理委員会でやるという話ではないので、別枠の対応を考えたいなと思います。倫理委員会に全部、事故報告書も出して…、

勝村 「こんな院内事故調査委員会を作ろうと思っている」という報告を…、

 そういう意味ではなく、私達は「一般的なやり方をどうされますか」と言っているのです。

吉中 だから、倫理委員会への報告事項とは違うと私は思うのです。で、少し別の機会を設けた方が良いと思います。このテーブルに乗せるというのはちょっと違うのではないですかね。

 別の機会でも良いかも知れませんけど、ただ、医療事故というのは予測しなかった死亡事故というような話なので、それをどういうふうな形でやるかというのは、倫理委員会に報告はしていただきたいなと思います。

吉中 要望は分かりますけど、倫理委員会を設置した意味とは違いますので、これはちょっと倫理委員会とは違うと思いますね。倫理問題を含むものは沢山あるのですけど。

小原 多分、これを議論していると終わりませんので、取りあえず問題提起をされたというところで今日は終えておきたいと思います。必要があればまたこの件も議論できればと思います。ではこれで本日の倫理委員会を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

 

 

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