倫理委員会

Home > 倫理委員会・臨床研究 > 倫理委員会 > 議事録・議事要旨 > 第五十八回 倫理委員会 議事録

第五十八回 倫理委員会 議事録

京都民医連中央病院

日時 2014年8月7日(木) 18:30〜21:20
場所

京都民医連中央病院西館1階第一・二会議室

出席者

外部委員 小原克博委員長、原昌平副委員長、一家綱邦委員、岩橋多恵委員、勝村久司委員、広瀬東栄子委員

内部委員 井上賀元委員、内田寛委員、冨田豊委員、東正一郎委員、平田恵美委員

事務局 影山大悟、根石明彦、丸山俊太郎

オブザーバー 坂田薫、寺前八重、吉中丈志、名嘉山一郎、長谷川美智子

欠席

川島市郎副委員長、関谷直人委員、富永愛委員

議事

 

議事(1)「委員の変更」

議事(2)「第57回倫理委員会議事録の確認」

小原 ただ今より第58回倫理委員会を開催させていただきます。顔ぶれがまだ揃っていませんが、重要な案件は後半にありますので、それらを皆さんが出揃ったところで取り扱うとして、まずは進めさせていただきます。
では、まず「(1)委員の変更について」ということで、一家先生からご退任の要望があったのですが、ご本人がお見えになっていないので、一家先生がお越しになってから扱いたいと思います。また、事務局担当のオブザーバーとして影山さんが来られていますので、一応、自己紹介をしていただけますか。

影山 医局事務課の影山と言います。5月に着任しまして、今後、事務局として関わらせていただくことになりました。宜しくお願いします。

小原 ということで、オブザーバーとしてご参加いただきます。宜しくお願いします。
2番目、「第57回倫理委員会議事録」につきましては、既に皆さんへ送っていただいていると思いますので、もし何かありましたら、なるべく早く事務局の方にご連絡下さい。
今、一家先生が来られましたので「委員の変更について」に戻りますが、一家先生から「2年の任期を終えたので退任したい」というご連絡をいただきました。もちろん、いていただく方が我々にとってはありがたいのですけども、充分にご事情を勘案しての判断だと思いますので、我々としては受け止めなければならないと思います。一家先生、簡単で結構ですので、退任のことについて説明していただけますか。

一家 遅くなりまして失礼いたしました。今回は突然なんですけれども、様々な事情で今回限りで退任させていただきたいと思います。2年間の委員の間、いろいろと勉強させていただきましてありがとうございました。

小原 ありがとうございました。一家先生にとっては今日が最後の倫理委員会となりますが、今回も宜しくお願いします。では続けていきます。
3番目、「臨床研究の付議に関して」ですが、これは私もハッキリと覚えていなかったのですが、事務手続き上で確認すべき事柄がございますので、資料B1、B2に基づいて事務局の方より説明をしていただきます。

 

議事(3)「臨床研究の附議に関して」

根石 本来、臨床研究部で議論した臨床研究計画については、付議が必要かどうかの判断を院内でするのですが、資料B1の「申請・審査に関する手順書」の3.で、「倫理委員会があらかじめ指名した者は、その臨床研究計画が倫理委員会での付議が必要か否かを判断する」というように、「倫理委員会で指名」という文言が入っています。今回、臨床研究部の責任者が変更になりましたので、B2の履歴書は個人情報なので後で回収をお願いしたいと思いますが、B2に記載されている白鳥健一先生にお願いするということで、ご確認をお願いしたいと思います。

小原 担当者が変更したということで、宜しくお願いいたします。
では4番目。これは少し時間をかけて議論すべき事柄ですが、前回からの継続の「家族性腫瘍関連遺伝子検査について」ということで、資料はC1、C2になります。前回にかなり丁寧にご説明いただきましたが、要約的で結構ですので、改めてポイントについてご説明いただいた後に、議論に入っていきたいと思います。

 

議事(4)「家族性腫瘍関連遺伝子検査について」

名嘉山 貴重な時間をいただきましてありがとうございます。「BRCA1/2という遺伝性乳癌・卵巣癌症候群の原因となる遺伝子を診断することが、治療の上で重要だろう」ということで、癌そのものの遺伝子ではなく、生まれ持った体の胚細胞、卵の状態から一生持っていかなければならない細胞のレベルでの遺伝子の変異を調べようということですが、そこに倫理的な要素があるのではないかということで、前回、ご討議をお願いしました。
資料C1のP2を見ていただきますと、乳癌の中でHBOC(遺伝性乳癌・卵巣癌症候群)というのが少なく見積もっても5〜10%はあると言われている中で、知っていることで治療の中身が変わるということがありまして、対側の乳癌のリスクもあるだろうとか、卵巣癌で命を落とすリスクが高くなるとか、若年でも発症したりとか、癌の多発とかいうことが書いてありますけども、浸透率は、70歳までに乳癌を発症するのがそれぞれ50〜80%で、卵巣癌も10〜45%ぐらいあるということで、必ずしも発症するわけではないのですが、発症された発端者の方については、治療の中身を考えていく上で不可欠な検査であろうという判断をしております。
その中で倫理的な問題をどう討議していただくかということは、こちらも混乱しておりまして、最近の現状等をもう少し踏まえた上で、ご討議いただく内容を整理すべきと考えています。で、ファルコという受託する会社の方に、日本の現状はどうなのかということを調査させていただきまして、前回は、主治医がカウンセリングに望んだりとか、個人情報を握るのはどうだろうかという問題があったのですけども、やはり主治医が遺伝カウンセリングをやっているのが現状です。
それを担保しているのが、資料C2の日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」のP4の「既に発症している患者の診断を目的として行われる遺伝学的検査」という、ここでまず取り組もうとしているところですけど、「検査実施に際しては、検査前の適切な時期にその意義や目的の説明を行うことに加えて、結果が得られた後の状況及び検査結果が血縁者に影響を与える可能性があることについても説明し、被験者がそれを充分に理解した上で、検査を受けるか受けないかについて本人が自律的に意思決定するように支援する必要がある。充分な説明と支援の後には書面に依る同意を得ることが推奨される。これら遺伝学的検査の事前の説明と同意・了解の確認は、原則として主治医が行う」というように、「原則として主治医」ということがガイドラインでも書いてあります。主治医が行う以外の場合も、実施施設でカウンセラーを置いているところは少なく、月に2回程度、院外からカウンセラーを招いている施設もあるというのが現状で、昨今、中規模病院で急激に増えているのは主治医がそれを補ってこういった検査を進めているということです。
それともう一つは、家族性腫瘍セミナーの中で一定の分野、例えば今回の分では、遺伝性乳癌・卵巣癌についてのカウンセリングのセミナーを受講した者については、その分野のカウンセリングの能力を身に着けたということで、担当して差し支えないということが言われていますので、そういう経験をしてきたことから、ここでもそういう検査を進めていってはどうかなと思っています。
それで実際問題として考えていかなければいけないのは、同意書の内容が妥当なのかというご検討と、予防的治療が実際に必要となった場合に、例えば病気になっていない対側乳房を切除するとか、卵巣癌の予防のために卵巣と附属器を切除するといういうように、病気になっていないところを切るというのは実臨床では行われていないことですが、それを倫理的に妥当と考えてOKとするのか、また、それら一例ずつの検討を、今でも行われている施設があるように、倫理委員会に掛けることが必要なのかということです。後は、非発症の血縁者の遺伝情報の開示といった問題については、まだ法的にも固まっていないところですので、今ここで論議することではないかなと思いますけども、未発症者へのカウンセリングが必要になった場合に、カウンセリング先として京大や府立医大の遺伝学教室にお願いするという流れを考えています。

小原 ありがとうございます。P37にあるのが同意書の雛形ですね。これは他施設で既に用いられているようなものなんですか。

名嘉山 はい、そうです。それを当院に合わせて少しアレンジしたものです。

小原 ここに書かれている項目について説明したということを確認し、署名をいただくというものですね。
論点としては、こういう形の同意書で良いのかということとか、予防的治療として病気になっていない部位を切除するということが倫理的にどうなのかということですね。それから前回も議論になりましたが、ご本人が検査を受けた結果を可能性として知るということが、近親者の情報にも繋がっていきますので、この辺りをどうしたら良いのかということも含まれています。また、既にファルコといった商業ベースで始まっていて、インターネット等で申し込んで調べることもできるのですよね。今はどうなっているのですか。各病院に行って、主治医が対応するというのがベースになっているのですか。

名嘉山 日本ではまだファルコだけですけど、業者と委託契約を各病院が結んで、その病院で受診した発端者の方から検査を依頼するという形ですね。

小原 ファルコが直接やっているということではないのですね。

 実施する主体はファルコということですか。ファルコが病院に依託するという意味ですか。

名嘉山 病院側がファルコに「検査をして下さい」とお願いする形です。

小原 患者さんが産婦人科の主治医のところに行って相談して、同意が得られた後にファルコにお願いするという形ですね。

名嘉山 はい。その時は血液検査と同じ形で、血液の検体をファルコに送って、そこで解析をして、結果をこちらに送り返していただいて、その結果の説明についてはこちらの方で責任を持って行います。

小原 他の病院などでは、実際にどれぐらい行われているのですか。

名嘉山 京都市内でも大学レベルで行われていると言われているのですけども、それほど検体数はないみたいです。当院は京大の乳腺医学関連施設なんですけども、いちばん沢山されている大阪の北野病院では月に2回、院外の遺伝カウンセラーを呼んできて、1回に1件か2件ぐらいの相談を受けてというペースのようです。これはカウンセリングの数だけですので、重複する可能性もありますし、日本のレベルでも250とかそのぐらいなんですけども、依託契約を結んでいるところは爆発的に増えているようですし、家族性腫瘍セミナーで今年も遺伝性乳癌・卵巣癌がテーマになったので、当院からも受講させたいという話をしていたのですけども、オープンして数分で全部埋まってしまったというように、それだけニースがあるような状況になってきて、治療を確実なものにするためにその検査をしておきたいというところが殆どになってきているようです。ただ、遺伝カウンセリングの問題とかをクリアしないといけないので、いちばん簡単な入り口として、そのセミナーを受講しようという動きに繋がっているようです。

小原 それは患者さんの今後のニーズに応えていこうということですよね。
関西でいちばん件数が多いと言われている北野病院の乳腺外科では、積極的にこういう案内などをしているということですか。

名嘉山 北野病院さんはインターネットのホームページ上でも紹介をしていますし、学会等でも必ずご自身のところのテーマとして発表されていますので、かなり大々的にされようとしているようです。

小原 もしこの病院でやる場合には、患者さんに対する情報はどういう形になりますか。

名嘉山 こちらは乳癌の治療を受けようという方が来られた時に、リスクの評価で「この人が本当に家族性乳癌で遺伝性乳癌・卵巣癌症候群の可能性が高いのかどうか」というのを調べていきますけども、スクリーニングで一次・二次の拾い上げに引っ掛かった場合にお勧めしていこうというふうに思っています。だから、全ての患者さんにやりましょうというわけではなく、充分な拾い上げをした上で、「何パーセントぐらいの可能性があって、リスクが高そうです。こういった検査を受けておくことによって…」というような内容をお示ししながら、検査を検討していくということになるのかなと思います。

小原 一次・二次のスクーリングに引っ掛かるというのは、どういう段階のものなんですか。

名嘉山 資料C2のP13からの「乳癌及び卵巣癌における遺伝的/家族性リスク評価」というのが問診の内容で、P15の下段から詳しい遺伝リスク評価の基準が載っています。一次スクリーニングではもう少し簡便なものを行っていますが、複数の乳癌患者がおられる家系でしたら、それだけでアウトになってしまい、かなりの件が引っ掛かってしまいますので、具体的にはP15下段からを参考にして、拾い上げをしようと思っています。

小原 分かりました。では、自由に質問していただければと思います。

一家 間違いを指摘しますが、資料C2のP4、先生が読み上げたところの下から4行目、「これら遺伝学的検査の事前の説明と同意・了解」というのはあくまでもインフォームドコンセントであって、カウンセリングとは違いますよ。先程はこれをカウンセリングみたいにおっしゃって、「遺伝カウンセリングを主治医が行って良い」という趣旨の説明に私は聞こえたので、これは違うのではないかということを申しあげます。また、「カウンセリングの資格はこういう家族性腫瘍セミナーで足りると言われている」とおっしゃったと思うのですが、「足りる」とは誰が言っているのですか。

名嘉山 一応、主催している家族性腫瘍学会の方でそういうふうに聞きました。

一家 乳癌の遺伝子検査に関するカウンセリングの資格についても、このセミナーを受講すれば足りるという…。

名嘉山 はい、その分野に関しては…。

根石 その点については、資料C2のP50から家族性腫瘍学会の制度規則の資料を入れています。

冨田 今回の議論の目標は、家族性腫瘍のある家族の中で検査を行った場合に、BRCA1/2遺伝子の異常が出た人に関しての対応を考え、未発生の乳房や卵巣を取るという予防的治療のところまでは踏み込まないのですか。

名嘉山 そこは全然必要ないと思います。もしそういうケースがあれば、その時に一例ずつこちらで相談する必要が出てくるとは思いますけども。

冨田 BRCA1/2の検査で陽性になった場合の対応に何があるのかと言うと、例えばその方の生涯にわたっての検診のあり方とか、そういうメニューは準備できますね。そこまでは今回の議論ですね。

名嘉山 ですから「検査を受ける受けない」ということで、受けない方でもハイリスクの方はこういうふうな、例えば「MRIなどを使って綿密にフォローアップしましょうか」というような話の流れになるかと思います。

小原 予防的治療に関しては、もし出てきた場合に1件1件、倫理委員会に掛けるということですね。それは他院でも行われているということですが、実際に予防的治療というのは行われているのですか。

名嘉山 乳房の切除が行われているのは、がん研有明病院で臨床研究としてされているケースだけで、それ以外に「対側はどうしましょうか」という話をして「切除を」という形になり、倫理委員会を通じてオープンしているのはないです。ただ卵巣癌については、岩国のある病院で倫理委員会を通じて予防的に卵巣と卵管を含めた切除を行ったという報告は、昨年の乳癌学会でも出ています。

小原 件数は多くないけど、既に実例はあるということですね。

 このタイプの遺伝性乳癌・卵巣癌というのは、他の乳癌・卵巣癌に比べて治りやすいとか、治りにくいというような意味での違いはあるのですか。

名嘉山 癌の性質としての良い悪いは同じタイプの乳癌とほぼ同じで、治療成績も同じだと思います。ただ、多発しやすく、部分的に切除しても同じ側にまた出てくる可能性が高いとか、反対側の乳房にも出てくる可能性が高いということがありますので、治療の中身としては、「またどうせ取らないといけないのだったらどうしようか」ということを、組み立てとして考えないといけないことになるかと思います。

 抗癌剤への反応もタイプによって違いがあるそうですね。

名嘉山 そうですね。乳癌というのも一つの病気ではなくて、乳癌の細胞の表面にホルモン受容体を持っているものとか、それを持たないものとか、HER2タンパクという増殖しやすいスイッチみたいなものが表面に出ているものとか、大きく分けてだいたい4つのタイプに分かれると言われていますけども、遺伝性乳癌・卵巣癌で多いタイプは、いずれも表面に出ていなくて、抗癌剤しか効かないタイプという、トリプルネガティブと呼ばれるものが多いと言われています。ただ、抗癌剤の反応性については、ホルモン受容体やHER2タンパクを持たないものと治療成績は変わらないと言われています。

 表面タンパクの出方が同じようなものと比べたら同じような成績だと言うことですが、他の乳癌と比べたらどうなんですか。

名嘉山 他の乳癌と比べれば、予後が悪いグループに入ります。

 表面タンパクが出ているやつの方が抗癌剤が効きやすいとか…、

名嘉山 抗癌剤ではなく、ホルモン剤とかハーセプチンという分子標的薬のターゲットがあるので、攻めやすいということですね。

 ハーセプチンは抗癌剤ではないのですか。

名嘉山 ハーセプチンは分子標的薬ですね。抗癌剤というのは、殺細胞性という細胞を殺すタイプのやつを指すということが狭義であるので、それを意識して分子標的薬という言い方に換えていることが多いのです。

 卵巣癌の方は全般にあまり良くないですね。その悪さの程度は、これもだいたい似たようなものですか。

名嘉山 …と言われています。

小原 検査の結果、遺伝性乳癌・卵巣癌の疑いが高いとなった場合、その後は当然、「どうしたら良いのでしょうか」と相談されますよね。その場合、「可能性が高いので切除しましょうか」という方向に持って行くのか、だいたいどういう対応になるのですか。そこが患者さんにとってはいちばん気になるところだと思うのです。

名嘉山 選択肢として、例えば小さな癌ができていたとすれば、普通であれば部分切除で済ませるところを、やはり「乳房全摘と再建術を併せて考えてはどうか」という提案を考えるということと、「対側の乳房もどうしますか」というのも同時に話していかなければいけないかなと思っています。

小原 全く発症していない場合にも、そういう選択になっていくわけですか。

名嘉山 発症していない場合には、それこそどこまで説明するかというのも問題ですし、今の時点では未発症者のところまで、ここで責任を持ってできるかどうか難しいところだと思っていますので、まずは発端者と言いますか、癌を発症した患者さんについて、治療の選択肢を考える中でこの検査を勧めたいと考えています。

小原 最初のターゲットとしては、未発症者はあまり考えていないということですね。

名嘉山 そうです。ただ、その上で血縁者へどう話していく必要があるかというのも、同時に考えていくべき問題にはなると思うのですけども、そういった方へのカウンセリングがこちらだけでは不充分であるという場合であれば、それこそカウンセラーさんを充分に持っていらっしゃる遺伝学教室を頼って、ご相談させていただくという形を採った方が良いかなとも思います。

小原 未発症者を対象にしないということは、だいたい国内で同意できているのですか。

名嘉山 いえ、そんなことはありません。

小原 今後、そこが拡大していく可能性はあるわけですね。例えばアンジェリーナジョリーがやったみたいに、未発症段階で検査をして乳房を切除するみたいなことが、海外ではあり得るわけですし、日本でも将来はあり得るということですね。ただ現実的には、そこの部分の想定を今の段階ではしなくても良いということですか。

名嘉山 いや、徐々にしなくてはいけないのかも知れませんけど、ただ、再建術は保険適用になったというのも、乳癌に対してのことだけですので、当然、予防的な治療については保険診療になっていませんので、その辺りではまだまだハードルが高いと思いますけども、この間、いわゆる美容外科とか形成外科の分野の先生方が、かなり乳癌治療に参入されているということがありますので、そういったとこも自費診療で関わってこられるところは広くなる可能性はありますし、そこを狙って、未発症者についてもそういうところからアプローチが行く可能性はあると思いますね。

勝村 血縁者向け検査もこの病院でしよう…、

名嘉山 いや、まだそこまでは…、

勝村 では血縁者向けは、検査すら今はしないという…。

名嘉山 今の時点では、発症した乳癌患者さんの治療方針を決定する上で、メリット・デメリットを明らかにするために、発端者向けの検査だけをまずスタートできればと思っています。

勝村 では、今考えるのは発端者向けだけで、血縁者向けは一切、考えない?

名嘉山 今のところはそうですね。で、そういった中で相談が必要ということであれば、また改めて提案させていただいたらと思います。

小原 ということで、今、全てのケースを網羅的に審議するというより、当面、問題が多くなりそうなところを具体的に審議して進めていきたいという感じですね。

冨田 だから今のところは、家族或いは非発症者に関して要望が出れば、他の専門のカウンセリングも含めて相談できるところに紹介するという格好になるのですか。

名嘉山 そういうことを想定しています。

 これは保険外ですが、検査は幾らするのですか。

名嘉山 ファルコとの交渉次第らしいですけども、安くて20万円ぐらい、高くても24万ぐらいで、だいたいその幅です。でも、4年ぐらい前は40万円ぐらいしましたので、随分、こなれてきたとは思います。ただ、無発端者向けの検査というのは、どこの遺伝子に異常があるか分からず、しらみ潰しに検査をしなければいけないので、かなり高額になるのです。

小原 新型出生前診断の20万円ぐらいでも、沢山の人が受けられていますから、相場かなという気がしますね。

吉中 この前のシンポジウムでは「今は全ゲノムの解析が40万円ぐらいまで下がってきて、急速にどんどん機械が進歩しているので、さらに安くなるだろう」と言っていましたが、機械の開発との兼ね合いになりますね。

小原 当然、値段が安くなればなるほど、気楽にできるようになりますから、逆に言うと、それだからこそ事前に倫理的な判断が必要だとは思います。

 家族性腫瘍学会でドクター自身にカウンセラーの資格があるというのは、P51の条項ではどれに当てはまるのですか。コーディネーターの方ですか。

名嘉山 どれにも当てはまらないと思います。

 コーディネーター乃至はカウンセラーと名乗れるのは、セミナーを受講した人と書いてありますよね。当てはまらないと、遺伝カウンセリングができるという話にはならないのではないですか。

名嘉山 そこが規約上で難しいところなんですけど、現状の実臨床ではそれに相当する人間がいないということで、セミナーで代用していっているという流れがあります。

 代用していっているというのは、家族性腫瘍学会がこの制度規則を作っておきながら、もうちょっと緩い形で運用しているというようなことですか。

名嘉山 そうだと思います。

吉中 コーディネーターに当てはまることはないですか。家族性腫瘍学会の会員であるということに当てはまれば、後の(2)(3)は比較的になしやすい感じだと思いますけども、そうでもないですか。

名嘉山 「セミナー3回」というのは恐らく、どこかの分野だけではなく、いろんな分野の遺伝子疾患について勉強したということで、3回ということになっていると思うのです。

一家 例えばP8の認定遺伝カウンセラー制度という、日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で認定している資格ではダメなんですか。

名嘉山 資格を持っていれば当然、良いと思います。いろんな学会が入り口になっているので、こういう複雑な構造になっていますけども。

 P51の規定では、家族性腫瘍カウンセラーは(4)が前提になりますから、そもそも臨床遺伝専門医か認定遺伝カウンセラーを持っている人が、上乗せで家族性腫瘍カウンセラーの資格を取るという感じですよね。

名嘉山 カウンセラーということになればそうですね。

 コーディネーターの方は、そちらの方の前提条件はないですが、コーディネーターはカウンセリングをやる人ではなく、あくまでも調整しましょうという話ですよね。

一家 先生は、家族性腫瘍学会のカウンセラーにはなれるのですか。

名嘉山 学会に入会して、後2つのセミナーに出ればなれますが、自分の専門外のところを深めるつもりもありませんし、その時間がないというのが正直なところで、該当する分野のところだけ、患者さんの抱えておられる問題であるとか、ご家族に与える影響であるとかを理解した上で、適切な治療を選択できるような情報提供ができるようにということが、私が進むべきところだと思います。ですから、今以上の資格が必要かどうかとか、カウンセリングの中身がすごく曖昧な定義になっているように僕も思うのですが、P9の「遺伝学検査実施時に考慮される説明事項の例」のところを話せるのが今の中身だと思うのですね。それプラス家族性腫瘍セミナーでやられたのは、問題点を抽出して、必要であればカウンセラーに繋ぐための情報を整理して提供する仕事になると思います。ただ実臨床で、治療の選択肢を明らかにするためにはこの検査が必要ということで、患者さんご自身が検査をするためのデメリットを相当大きく感じられるとか、こちらの方で検査の必要性を充分に理解していただけない場合は、当然、適切なカウンセリングを受けていただくように準備する必要があると思います。

一家 ちょっと咀嚼させていただくと、先生はカウンセリングを提供できる能力をお持ちでいらっしゃいますが、学会で認定する資格を取るつもりはないという理解で宜しいですか。そこのところをまずどう考えるかというのが一つの問題ということと、医師とカウンセラーを先生が一人で兼ねてしまうのはどうかというのが、カウンセリングに関して私が気になることです。

小原 いちばん望ましいのは、遺伝カウンセラーを充分に備えておくということですが、現実にはどの病院もそうはいかないということですね。ですから、主治医が遺伝カウンセリングに関する基礎知識・技能を備えることが望ましいと記されていますので、実際には望ましい知識を備えた主治医が対応することで良しとしている現状があるということですね。一家先生、まずそこのところをOKとするかどうかなんですよ。そこがOKであれば、次のステップに行けますし、そこのハードルを高くすれば、次の議論に進めないということですね。

一家 「現状はこうだから、倫理的に問題ないか」と言われると、現状に則して倫理的な正しさを曲げることには問題があるように思います。

小原 先生の理解では、専門の遺伝カウンセラーが主治医とは別にいる環境の中で、こういったサービスを始めた方が良いということですか。

一家 個人的には資格に拘るわけではないですが、そうです。

小原 ただ、そうなると、始められる病院はなかなか多くはないと思いますね。

吉中 資料C1のP43で、ファルコの「遺伝子検査の特徴」の3つめに、「〜からのご依頼に限定」となっていて、多分、名嘉山先生は、2番目の「遺伝カウンセリング診療部門との連携施設からのご依頼に限定」という範囲に入るということで、可能だと考えているということですよね。それは多分、京大の遺伝子部門を想定していて、医師会のガイドラインの「きちんとしたインフォームドコンセントを主治医が行い、一方で遺伝カウンセリングが受けられるような担保が必要だ」ということを満たしていると理解しているというわけですね。そこをちゃんと担保しないとガイドラインに抵触するということですが、ウチだけでがんじがらめにするというのは現実的ではないし、要望に応えられない。
資料C1のファルコの説明書部分のP45、「体制確認書」を見れば、かなり遺伝カウンセリングが整った施設を想定されていて、「関連施設ということがないと、企業としては受けられませんよ」という表明だと思います。

小原 この体制確認書は、例えばこの病院の主治医が記入すれば認められるようなレベルのものなんですか。

吉中 「遺伝子カウンセリング担当者」とかは実際にはいないので、恐らく書けないですね。だから、ファルコとしても直接には難しいので、京大の関連施設ということで、京大の方にもこういう証明書を出してもらうという運びにはなるということではないですか。

名嘉山 単一施設としても可能で、恐らくファルコが抜け道として作っていると思うのですけど、P46の「体制確認書記入要領②」に、「臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラー資格をお持ちでない場合、各種セミナーの受講歴をご記入下さい」とあり、それが「セミナーを受けておけば、カウンセリングに等しいことをこの分野に限ってはやって良いことになります」という話に繋がるのです。

小原 ここに先生が自分が受講されたセミナーのことを記入できるということですね。

 今の話は、P44下段の「資格及び履歴を確認させていただいております」の右側の、講座受講歴でも認めるという趣旨でしょうね。

名嘉山 遺伝カウンセリング担当者の仕事の中身も、体制確認書の中では「説明と同意の取得を行う遺伝カウンセリング担当者」と書いていますので、本来の遺伝カウンセリングのあり方と微妙なズレがあるのは否めないと思います。

勝村 P44下段の左側と右側は「または」ではなく「かつ」ではないですか。

小原 「または」です。というのはP46の記入要領で、資格を持っていない場合は受講歴を書いていただければ、体制確認書は成立することになっているのですよ。

勝村 資料C2のP50の第4条を見れば、必須のような感じではないのですか。違うのですか。

名嘉山 遺伝性乳癌・卵巣癌症候群の遺伝子検査についてはこの限定された内容でも良いですよと、ファルコの方が受託契約を結ぼうという形になっているのです。

勝村 P50の文章は必須のように書いているということで良いのですか。

名嘉山 正しい意味での遺伝カウンセリングについては、必須という意味で良いと思います。 

勝村 学会とファルコがダブルスタンダードになっているということですか。

小原 基準はずれていますよね。ファルコは普及しなければならないという企業的使命がありますので、ハードルを少し緩やかにしていますよね。

吉中 家族性腫瘍学会の規定には認定遺伝子カウンセラーについては書いていないですよね。勝手にこれを使うわけではないので、何か定めがあるはずでしょう。

名嘉山 別の医学学会の資格だと思います。日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が共同で認定しているのが、認定遺伝カウンセラー制度と臨床遺伝専門医制度です。

 そちらが一般的にはメジャーな方の資格ですね。

吉中 それでこういう枠になっているということですね。で、受講したら…、

名嘉山 …こっちも付けますよということだと思います。

小原 できれば今日にある程度の方向性を出せればと思っています。ただ、予防的治療のこととか、ご家族に対する遺伝情報の開示といったことは、実際に実施した後のことですが、まず、実施が可能かどうかの判断をしていただかなければ、次の議論に入られませんので、議論をそこに集中したいのですが、だいたい見えてきましたように、厳格に考えると非常に難しくなるということです。ただし、体制確認書に記入できるだけの要件を満たすということで、倫理的にここで審議した上で、体制確認書を出して実施するということも当然にあり得ますので、その辺りをどう考えるかですね。

 この病院で他から遺伝カウンセラーに来てもらうことは無理なんですか。

名嘉山 フリーランスのカウンセラーもいるので、募集をかけることもできるのですが、なかなか応募してもらえるほどのカウンセラーの人数がいないということで、現状としてはなかなか厳しいということを聞きました。ただ、そういう方に来てもらえれば、乳癌・卵巣癌症候群だけに限らず、大腸癌のリンチ症候群とか、他の遺伝に関わる病気についてもカウンセリングをしてもらえると思いますので、幅広い選択ができると思います。

吉中 私も1人だけ、開業医の先生を知っていまして、京大のその部門を立ち上げる時に、その人が非常勤の形で立ち上げて、今、京大に何人いるかは分かりませんが、大学自体もそんな感じで、府立医大も現状はそんなに進んでいなくて、多分、そんなに沢山はいらっしゃらないと思います。

小原 京大は専任の人が何人かいらっしゃるのですか。

吉中 現在は知りませんが、何人かはいてたと思いますね。

 だから、ここに非常勤で来てもらう方法もありますし、ここで雇わないで、その人が努めているところへ行ってもらってカウンセリングを受けてもらうという方法もあるとは思うのですけどね。ただ、カウンセリングの費用も自費負担になるのですよね。

吉中 多分、追加で別途に要りますよね。

 担当のドクターが遺伝に関することの知識を深められるのは良いとは思うのですけども、主治医がカウンセリングしましたという手続きというのは、私はやっぱりちょっといかがなものかなという感じがあって、第三者的な形での遺伝カウンセリングを可能にするような手立てを追求した方が良いのではないかと思います。

名嘉山 主治医の立場としては、治療の選択肢で「こういう方が先々、2回メスを入れなくて済む」とか、「婦人科検診についてもこういう方法があるよ」とか、情報提供がしやすくなると思いますし、一定はこちらも知っておかなければいけない情報だと思うのですけども、情報のやり取りをするのにも、また一つハードルを越えなければいけない問題もあると思うのですね。個人の遺伝情報を他施設とやり取りするということも含めてですけども。逆にご質問なんですけが、主治医がカウンセリングに関わってはいけない理由というか、違和感を感じられる辺はどういうとこなんですか。

 ドクターは「不安とか悩み事があったら言って下さい」とお話しされるとは思うのですけども、患者サイドから言うと、その関係性にもよりますが、ドクターに本当にどこまで言えるのかなというところがちょっと疑問なんですよね。言ったら良いとは思いますし、ドクターが悪いと言うつもりもないですけど、現実の患者のありようとしては、充分には言い難いのではないかなという、そういう心理的な面ですね。

小原 その場合、遺伝カウンセラーのとこに行って、必要な情報を得て、得られた情報を主治医が共有するという形で進めるということはOKですか。

 それはOKではないですか。具体的な癌に関する情報提供というのは、もちろん主治医がされたら良いと思うのですが…、

名嘉山 説明していく中で患者様から情報をいただく時に、いわゆる家族歴とか、今までの治療のことをやり取りするだけでなくて、当然、心理面についても、やはり最近はnarrative based medicineという言葉もありますけども、患者様から返ってくることとかいろんな希望とか不安とか、そういうのを混ぜた上で、絶対の答えがないわけですら、こちらの方でより良いと思っている医療の内容と患者側の思いや希望を摺り合わせることが、最近は非常に求められるようになってきていると思いますので、検査が必要という話をする中でもカウンセリングに近い内容がどうしても抽出されてきてしまうと思うのですね。ですので、カウンセリングと同意を得るための説明の厳密な線引きが難しいかなと思うのです。

一家 ただ、先生がカウンセリング的な役目を務めるのは多分、原さんも問題視はしていなくて、それと別の人も用意した方が良いということじゃないですか。

 あと、線引きをそんなにきっちりできなくたって別に良いということです。

小原 原さんが別の人を用意したら良いと言うのは、より専門的な知識を持っている人だからですか。

 そういう意味ではなく、むしろ、医学的な部分ではなくカウンセリングという心理的な部分に関して専門性があるということです。

冨田 ただ、専門性という意味では、ゲノムの世界というのは急に情報量が増えていますから、カウンセリングの方があらゆる分野のゲノムに関する情報をわきまえてやれるかどうかは、ちょっと不安を感じます。で、主治医の立場のドクターが掴んでいる情報量というのもバカにはできない。第三者が絡むのは悪いという意味ではないですが、特にゲノムの世界では、逆になんとなく危険性も感じるのです。私が知っている臨床遺伝専門医も「どっちかと言うと学会全体の雰囲気は、主治医の方に患者とのやり取りを任せる方向に流れているように見える」というように言っておりました。

 医学的な面ではそうだと思いますが、だからと言って、ドクターの方が医学的に詳しいのだという話をやりだしたら、何と言いますか…、

名嘉山 だから、第三者ということでなくても、例えば看護師やMSWでも良いと思うのですけども、医師以外の職種の者が、言葉のやり取りだけではなくて、患者さんが話をしている中の様子を見て、医師が充分に聴取できていない内容であるとか、そこで感じたことなんかをフィードバックして、新たに情報を引き出してくるということはありだと思うのですけども…。

勝村 資料C2のP6の「遺伝カウンセリング」の項では「チーム医療として実施することが望ましい」とされていて、主治医が中心になって進めるにしても、遺伝的なことが絡む場合は遺伝カウンセリングに習熟した者が協力することが望ましいとされていることに、どこまで近づくかという…。

吉中 「必要に応じて」と書いてありますから、患者さんが自分でどう判断するかということが重要な要素で、「相談したい」と考えるか、家族で話をしたりして「自分としてはそれで納得しますよ」というふうにするかということが一つの分岐点としてありますね。これは患者さんにとってかなり強い自己選択制で、かなり強い意志決定をされている上での話に現状ではなると思いますので、必要に応じてカウンセリングを受けられる体制というのが重要だとは思いますが、一律に必要だということにはならないですね。

一家 必要だと言っている時にはできるようにしておかなければいけないですが、それはできるのですか。

名嘉山 これから作っていくしかないのですけども、今、京大の遺伝学教室とかそういったところにお願いすることはできると思いますし、ファルコさんの方からご紹介いただいて、どういう形でできるかというのを相談して、連れて行くこともできると思います。

小原 この件についてGOサインを出すか出さないかという時に、どういう体制で遺伝カウンセラーを準備できるかということも、ある程度込みで決める必要があると思うのですよ。一旦、OKが出て、それから整えていきますよというのではちょっと難しいと思いますので、例えば今言われた京大との連携で患者さんを京大に送るのか、或いは月に1回、京大から来てもらうのか、或いはファルコに依頼して誰かに来てもらうのか、選択肢は幾つかあると思うのですが、その中で、ここの病院にとってより現実に可能な選択肢がどういうものかということが明示できれば、多分、その条件の下に倫理委員会としてはOKですよということが言えると思うのですが、今日の時点で言える範囲としてはどうでしょうか。

名嘉山 いや、今お話しした程度しか…。

小原 いずれも実現の可能性としてはあるということですね。

名嘉山 あるのですけども、現状として遺伝カウンセラーの数が少ないということもあってですね、タイムリーに応えていただけるかどうかというのが難しいとこかなと思います。ですので、紹介という形を採らざるを得ないことも多いのではないかと思います。

小原 紹介というのは、京大に紹介して行っていただくということですね。

名嘉山 はい。ただ、冨田先生の情報では、京大の状況がどうかということもあって、もう少し検討が必要かなと思います。

勝村 資格は持っていなくてもセミナーは受講したという人は、ここの病院に複数はおられないのですか。

名嘉山 今のところ常勤では私1人ですが、もう1人、ここの委員でもある富永先生が受講されています。

小原 ここで一度、確認したいのですが、カウンセリングはセミナーを受けられた主治医をもってこの件を進めて良いという選択肢と、それでは不充分なのでセミナーを受けた主治医プラス、必要に応じて専門的な遺伝カウンセリングを受けられるような体制を明示してから実施すべきだという2択になると思いますので、今の時点で意見を集約して、場合に因っては次回への継続審議としたいと思います。いかがでしょうか。

勝村 せめてセミナーを受けた人が2人いて、主治医としての役割とカウンセラーとしての役割でチーム医療という形を最低限は採って欲しい。

小原 それは3つめの案ですね。

勝村 「せめて」というだけで、2択で良いのですけど。

小原 ただ、現実的にはそれは直ぐには無理ですね。

名嘉山 そういう体制になれば外に紹介しなくても良いということであれば、できるだけ早いめにもう1人を育てるという方針も持てると思います。

 もちろん、ナースとかソーシャルワーカーとかでやるという方法もあるのでしょうけど、ちょっと期間がかかるからなと思います。京大とかに紹介する形でも良いと思いますが、現実的にはどれぐらい待たないといけないかという話もありますので、具体的な体制がどうこうというより、今、申し込んだらカウンセリングの順番待ちで半年先しか相談できないというのだったら、あまり現実的にならないとか、京都だけでなく例えば北野病院に紹介するとかもあり得るでしょ。

名嘉山 はい。ただ、北野病院さんの場合も自前でカウンセラーを持てないので、フリーランスのカウンセラーを呼んで外来を開かせているという形ですので、専門性とか情報のやり取りをどうするかということについても、病院の常勤の人ではないので、その辺りの交渉も難しいかなという印象を持ちます。

小原 北野病院の場合も月2回でしたね。ただ、定期的にきていただく体制を作っているということですね。ですから、ここの病院もそれに近いことができるかどうかということですよね。もう一度確認しますけども、セミナーを受けた主治医だけでOKという方はおられますか(2名)。他の方はもうちょっと慎重にすべきだという…。

 私は、単純に京大とかどこかへ紹介するという形でも構わないので、遺伝カウンセリングの連携体制だけ取れたら良いのではないかということです。カウンセリングは別に遺伝専門医でも構わないのですけども。

一家 委員長の言われた2択だと、私は後者の方です。

勝村 僕も、形として「専門カウンセラーはなしで良い」と言い切ってしまうことには抵抗感があります。

冨田 これまでの話でも、カウンセリングという機能をどういう格好で必要な場合に準備するかという、そこの工夫の問題だと思いますので、「なしで良い」という話はないと思います。

小原 ただ、意見としてそこに落ち着かせるわけには多分いかないと思いますので、次回までにどういう形で連携できるのかということを、具体的な案として示していただければ、それで多分、結論を出せると思いますので、ご準備いただけますか。

一家 北野病院には名嘉山先生みたいな先生はいらっしゃらないのですか。

名嘉山 北野病院には山内先生という方がいらっしゃるのですけども、その先生は忙しいからそういう話は全くせず、全部をカウンセラーさん任せという極端なところがあるのです。

小原 今日の時点では、遺伝カウンセラーとのチーム医療ができる体制作りをどのような形できるかということを、次回に提案していただきたいということで、結論としたいと思います。ありがとうございました。
では、次の議題は「(5)事例検討」ですが、資料Dをご覧下さい。では説明をお願いいたします。

 

議事(5)「事例検討」

※事例1例検討しました。

小原 ここまでは非常に丁寧にされているという印象を持ちましたし、課題もだいぶ議論できましたので、事例検討についてはここで終わります。どうもありがとうございました。
では、次の順番としては(6)のセデーションに関するガイドラインですが、短時間でできるものではありませんので、時間内に可能なものを先に仕上げていきたいと思います。「(7)倫理委員会規定の改定について」ということで、資料Fをご覧下さい。まず、この改定案について事務局の方からご説明をお願いします。

 

議事(6)「終末期の苦痛緩和を目的としたセデーション」

※次回検討。

 

議事(7)「倫理委員会規程の改定について」

根石 既に過去何回か提案を出していただいているので、最終確認ということでご覧下さい。
改定部分はP1では、[委員会の任務]のところで、「勧告」「答申」と2つありましたが、[答申]のみに統一するということと、後は文言修整が幾つかありますが、細かいところはそれぞれ総括的な表現にしています。
大きなポイントはP2の[委員会の開催]の成立要件のところで、「3分の2」を要件にしていますが、かなりお忙しい皆さんに来ていただいていることもあって、なかなか日程を取るのがきついということもありますから、ここを「過半数」にした方が良いという意見が出ましたので、ご審議いただきたいと思います。また、第7条の3.に「議題は、病院側の都合で取捨選択してはならない」というのがありますが、1.で「事案の全例を検討する」となっていて重複するので、3.は削ります。
P3では、第8条は何回も提案をしていますが、「2.委員会は最大限、全会一致を目指し審議する」となっている後は「審議結果は、全会一致の場合は勧告、過半数の場合は答申〜」という文言にしていますけど、「勧告」はやめるという提案ですので、[どうしても必要な場合は多数決により決定する]と修文しています。それから3.を[臨床研究の審議結果については、多数決により「承認」「不承認」「条件付承認」「次回持越し」の判断を行う]という内容にしています。それから再審議については、第9条で改めて起こしていたのですが、第8条の「申請及び審議結果」に入れても良い中身でありますので、第8条に6.を設けて入れ、第9条は削り、以下を繰り上げるということになります。それから、新しい第9条の[情報公開]については、基本的には個人情報・プライバシーに考慮しながら、今のような中身で公開するということですが、事例検討については公開しません。後は文言修整等ですので、大きくはこのような提案となっています。

小原 ありがとうございました。殆どは文言修整と現状に合わせるような修整なので、できれば委員会の成立要件の点に集中したいのですが、それに入る前に、文言全体で何か議論すべき点があればおっしゃって下さい。

冨田 第8条の3.で臨床研究の審議結果を「承認」「不承認」「条件付承認」「次回に持越し」としていますが、この条件そのものは臨床研究の申請書の「申請に対しての判断」の欄に出ている言葉を、そのまま持ってきたのです。

小原 そういう意味では一貫性があって良いという感じですね。その他、第5条以外で何かありますか。では、他のところはご確認いただいてご承認いただいたということで、第5条の議論に入りたいと思います。現行では「3分の2以上」となっていますが、やはり回によっては非常に危うい時がありまして、これが成立しないと幾ら時間を掛けて議論しても、規定では意味がないことになりますので、「3分の2はきつすぎるので、過半数にした方が良いのではないか」という意見が何度も出ていましたが、この点はいかがでしょうか。

勝村 他の倫理委員会で過半数という実例はあるのですか。

根石 調べましたら、結構、過半数という規定は多いです。網羅したわけではないですけど、僕が見た範囲では、むしろ3分の2というのはきついような気がいたします。

小原 過半数にした方が現実的であるし、先々、安全かなと思うのですけども、いかがですか。

岩橋 委員の全体人数は決まっていないのですね。

小原 それは決めていないですね。

岩橋 それを「何人以上」というぐらいにしておかないと、少人数で「過半数で多数決」となったら、さらに…。それは全く予定されていないとは思うのですが、この定足数がどのくらいの人数になり、決議の多数決でもどのくらいの人数で決まっちゃうかという辺りが気になります。

根石 人数の考え方ですが、P1に外部委員の専門分野の規定がありますが、この中で7種別を上げていますから、外部委員は最大7人程度で、内部委員は外部委員数を超えないようにしていますので、外部委員が7人で内部委員は1人少ない6人というぐらいの目安で、13〜14ぐらいの想定をしています。今は14名です。ちなみに今日は11名の参加ですので、3分の2以上は満たしています。

小原 今日は大丈夫ですね。人数を明記する条文はないのですけども、第3条などから14名ぐらいが当委員会の目安だろうということですね。

吉中 敢えて開催要件に関わることと言えば、病院側の委員が過半数を占めないようにするということを担保しておかないといけないということがあります。過半数を超えると病院側だけで決まってしまう。ただ、そうならない構成に一応なっていますし、委員長も外部委員ですが、初めの頃はそういう議論もちょっとありましたね。

 内部委員と外部委員の比率と言うと話がややこしいので、気になさって敢えて条件を付けるのだったら、例えば「外部委員は少なくとも3人以上」という決め方の方がやりやすいですね。

吉中 皆さんに拘りがないのなら、別に私は条文がなくても良いのですけど。

小原 もちろん、場合に因ったら重要になるとは思うのですが、できればこの改定案を通したいと思いますので、その点で問題が出てきそうになれば、将来、新たに改定すれば良いと思います。

勝村 今は外部委員が7で内部委員が7の14名ですか。

根石 今、外部委員が8で内部委員が6です。

勝村 で、14の過半数というのは8で、7ではないですね。

岩橋 7は過半数ではないですね。

勝村 では、最低でも外部委員が2名は入るということですね。

吉中 そういうことです。

小原 分かりました。取りあえず現状としては割合は上手くいっていますから、今回はそこに触れず、お手元にある文言の中で、第5条に関しては[過半数の出席で成立するものとする]と変更して宜しいですか。はい、ありがとうございました。

一家 第3条の4.ですが、この書き方だと7)を抜いた6人が揃わないといけないという規定になってしまいます。

岩橋 「次のような者から専任する」となっていたら、別に揃わなくても良いのだけど、これは構成のように見えますよね。

小原 そうですね、どれぐらい厳密に取るかですね。「次の通りとする」を厳密に考えれば、各ジャンルから1人ずつ絶対に選出して、7名はいつでも揃っているみたいな感じになりますけど、しかし、「こういったところから選ぶ」となれば、ある分野がたまたまいなくても良いというふうに許容して考えられますので、どうでしょうか、文言をちょっと調整した方が良いですか。

勝村 一般に倫理委員会はどうなんですか。

一家 私の知る限り、ここまでのものはないです。

小原 一般にはこれほど厳格ではなく、もっと緩やかだと思います。これをもっと緩やかにするとすれば?

岩橋 「下記の分野から専任する」とかそういうことになります。

小原 そうですね。では[外部委員については下記の分野から専任する]でいかがでしょうか。では、これを追加で修正します。他は宜しいですか。では、この改定案を本日付けで承認いただいたということにしまして、これからは新たな規定で進めていきたいと思います。ありがとうございました。
では次、「(8)その他」ですけども、臨床研究迅速審査報告は2件ありまして、その内の1件はごく最近に審査ししていただいた分ですが、ここで検討していただきたいというご意見もありましたので、報告の後にその点について議論したいと思います。ではまず、報告の方から宜しくお願いします。

 

議事(8)「その他」

①臨床研究迅速審査報告

冨田 資料Gをご覧下さい。1件めは「血液透析患者における血中BNP変動の臨床的意義」で申請者は木下ドクターですが、迅速審査で承認を得ています。もう1件が「術前化学療法、原発巣手術施行後、病理学的に腫瘍が残存している乳癌患者を対象にした術後補助療法におけるCapecitabine単独療法の検討-第Ⅲ相比較試験」で、これは既に本研究がスタートしておりまして、プロトコルの小改定という中身です。それで審査していただいて今日に承認をいただきましたけども、勝村委員から少しコメントをいただいたのですが、私は詳しいことは分かりません。

勝村 中身に大きな問題があるという意味ではなくて、「小改定をするのだったら患者に言っておかなければいけないのだが、その言い方が定まっていないので、定めた方が良いのではないか」と思っただけで、「ちょうど翌日に委員会があるので、ここでやってもらっても良いですし」という言い方です。

小原 2件とも承認ということで進めているのですが、P4をご覧下さい。ここで出されている問いというのは、切除癌標本を取っているということを患者さんに説明しているかどうかというところで…、

勝村 元々、小改定する前には説明しているから、今回も患者に何も言わな言わないわけにはいかないが、どんな言い方をするのかというところが定まっていない気がするので、短い文章で定めた方が良いのではないかということです。その内容としては「標本を使うことが今回の改定」ということだけでなく、「以前、国立循環器センターの標本を利用した研究で、患者が保存を知らなくて問題になったことがある」ということ、「標本の検査結果はどうなるか」ということも、事実として書いた方が良いのではないかということです。

小原 これは結論を出すような議論ではないですけど、少し情報や意見の交換ができればと思います。通常、こういった標本を取っているということに対して、特に説明はなされていないようなんですけども、この点は実際どうなんでしょう。日常的に説明せずに治療を進められているのですか。

吉中 手術標本とかそういうものですよね。それは何も了解を取るような手続きはないと理解していて、通常は歴史的にずっとそのようなことが行われてきて、臨床ではもちろん病理標本の結果については説明しますけれども、「標本を置いといて良いか」とか「破棄して良いか」というような了解は一切取りませんね。

勝村 どうやって知らせるかというのは、現状は多分、口頭で「標本を使わせて下さい」と言うだけになっているのでしょう。本当にそんなんで良いのかな。小さな文書を作った方が良いのではないかなと思います。

冨田 体験的に言いますと、これは病理標本ですから、悪いところを取ってそれを使ってということですが、私が扱う生検は、内視鏡を使って念のために調べますという形で、それを組織として残して、「将来、研究に使うこともあります」とを書いた承諾書をいただくことがあるので、そういう書き方はされているかも知れない。これがどうなっているのかは知りませんが。

勝村 10年前に問題になったことがあったから、今はそういうやり方をしているのかも知れませんね。ただ、特にP4のいちばん上、僕が「プロトコルを小改定したことをどう伝えるのか」と聞いた回答ですが、これは口頭で伝えるということですよね。

冨田 もう一つのやり方は、これまでも病院のホームページに臨床研究を出していますけども、例えばそこに小改定した中身を…、

勝村 それをせざるを得ない場合もあるけど、この900人は現に会うのでしょ。会えない人もいるのですか。そうだとしたら、僕のやり方は確かにたいそうですけど。

冨田 コンタクトが取れていればそれなりに大丈夫なんでしょうけど、必ずしも取れているとは…。

吉中 ウチの病院だけではないです。多施設で900人です。

勝村 もちろんそうです。多施設まで配れとは言わないけど、ウチの施設としてはこういう文書を配って、配ったということを中心施設に伝えておいたら良いのではないか。口頭でやるということはどうかな。

冨田 ここの病院だけでは、繋がっている場合は可能だと思いますけれども、切れている人もある可能性がありますから、ホームページに載せておくのと両方が良いのではないかと思いますが、可能な形でやらせてもらうということで宜しいですね。

小原 はい、それでは短いもので結構ですので、宜しくお願いします。ありがとうございました。

勝村 一応、どんな文書にするか見たいので、送って下さい。
実はもうちょっと強く言うと、文書を書かなければ承認しないぐらいの気持ちはあったかも知れない。

 では承認しなかったら良いじゃないですか。

勝村 だけど、このメールは「承認はしますが、承認にあたっての条件付き承認」という意味で書いたのです。あっ、「できれば」という4文字があかんらしいです。

岩橋 「できれば」となっているから、条件付きにはならないです。

 臨床研究で最初から資料を使う場合は要らないのではないですか。

勝村 プロトコルが変わったのに、文書は要らないのですか。

 変わって、改めて同じ標本を調べようというわけでしょ。基本の文書で、場合によっては同意を得たという記録に代えることができるということもありますよ。いや、まぁ、良いですけど。

勝村 本人にとってはより詳しい検査がされるわけでしょ。だから、本人に何も伝えないという話はない。場合によっては、本人がその結果を知りたいということもあるかも知れない。

小原 はい。では、簡単な文書を作っていただいて、それを倫理委員会に回して下さい。
では、最後なんですけども、治験審査委員会の報告を宜しくお願いします。

 

②治験審査委員会報告

冨田 今は白鳥先生が委員長で私は委員ではないのですが、以前に出ていたということで…。
6月・7月の2回分ですが、6月・7月の議事録にあるBG00002は前から続いている分で、非盲験で長期投与になっておるようですね。それを引き続き行われるということです。7月の分には新しい薬も載っていますが、前回の倫理委員会で齋田先生に来ていただいてご説明を受けた研究で、それが開始されたようです。

小原 はい、ありがとうございました。(6)の議題は時間的に扱い切れませんでしたので、なるべく次回に時間を取って扱えるようにしたいと思います。次回の日程は既に決まっていますように、10月23日18時30分からということでご予定下さい。そして、本日の資料のB2は回収資料ですので、机の上に残しておいて下さい。それでは本日の倫理委員会はこれで終了です。どうもありがとうございました。

 

 

(入力者注)

文章は全体を通して、話し言葉を書き言葉に改めたり、意味の通じにくい言葉を言い換えたり、同じ発言の繰り返しを省くなどの推敲を行い、やや要約した形になっていますが、発言者の意図を正確に伝えることを最優先にしています。

 

 

ページの先頭へ

京都民医連中央病院

〒604-8453 京都市中京区西ノ京春日町 16-1
電話:075-822-2777 ファクス:075-822-2575