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第四十五回 倫理委員会 議事録

京都民医連中央病院

日時 2011年11月8日(火) 18:30~19:30
場所 京都民医連中央病院西館1階第2会議室
出席者 外部委員 小原克博委員長、原昌平副委員長、位田隆一委員、岩橋多恵委員、勝村久司委員、関谷直人委員、広瀬東栄子委員
内部委員 北村隆人副委員長、内田寛委員、富田豊委員、東正一郎委員、平田恵美委員、中村光佐子(特別委員)
オブザーバー 吉中丈志、富永愛、橋本節子、根石明彦
欠席 井上賀元委員

議事

 小原 ただ今より第45回倫理委員会を開催させていただきます。お手元の議事に従って順に進めていきます。今日も盛りだくさんですが、9時までに終わりたいと思いますので、ご審議にご協力をお願いします。

 内田 最初に紹介ですが、オブザーバーという形で今後、参加させていただく当病院事務次長の根石です。

 根石 事務次長の根石と申します。上京病院の方から今月に移動になりました。今後、オブザーバーで参加させていただきます。よろしくお願いいたします。

 小原 よろしくお願いします。誰かの命令ではなく、ご本人の希望でオブザーバーになるのですね。

 根石 はい。たっての希望で…。

 内田 医療安全の関係の担当をしていただく予定になっていまして、清水の方が病欠ということもあり、オブザーバーという形で参加していただきます。

 小原 分かりました。よろしくお願いします。では「(1)臨床研究申請審査」から進めていきたいと思います。事前資料Bというものですが、これについてご説明をしていただけますか。

 

議事(1) 「臨床研究申請審査」

 中村 このヤーズ配合錠というのは、欧米ではごく普通に使われている低容量ピルの一つでして、低容量ピルを使うと月経困難症が良くなるということは、以前から言われていたポピュラーな治療法です。低容量ピルは避妊目的で出す場合は保険適用にならないのですけども、最近、治療目的では保険適用ができる低容量ピルが種々生み出されております。ヤーズ配合錠は月経困難症のみで保険適用が通っておりますけども、実際には月経困難症の方には、子宮内膜症の患者さんが多数おられますので、その子宮内膜症に対して、例えば病巣が小さくなるとか、何か良いエレメンツがあればということで、小規模ながら一定の効果が期待できるということで、当院でもお受けするという話になっています。
 資料を見ていただきますと、最終的には京都府立医大がまとめてデータを出すことになっていますが、府立医大の倫理委員会もやはり議事がたくさんありまして、実は、この治験の開始が今年の8月からということになっていたのですが、今のところは「来年にならないと申請書の話をする時間がない」ということです。参加病院として7つが載っていますが、府立医大と当院以外は全部、京都市内の開業医さんで、合わせて60例ということになっていまして、開業医さんの方は特に倫理委員会の討議とかはありませんので、開業医さんの方ではそろそろエントリーを始めているのですが、病院では倫理委員会に通してからということになっていますので、当院の方が少し早くなっても、早期にエントリーを始めたいということで、今回、ご討議をお願いします。
 P4以降に実施計画書が載っていて、P13に実施7施設が載っています。基本的には婦人科の診察を逸脱するようなものはなくて、採血と内診とエコー検査を3ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後に行います。本人さんにしていただくのはアンケートへの記入ですが、月経困難症という病気は習慣的なものを感じますので、主にP22にあるVASスケールにチェックしていただいて、それを集計するということですね。

 小原 予想される副作用についての説明はどうなっていますか。

 中村 いわゆる一般的に低容量ピルの副作用というのは、我々は処方する時に説明させてもらいますが、直接この薬に関してそれ以外の特異的な副作用があるわけではありません。喫煙者の人が内服したら血栓症の問題が出てくるというのが、いちばん生命的に危機にさらされる副作用で、後はマイナートラブルが2~3割あるのですが、その話を必ず、診察の場でさせてもらうことになります。

 小原 膨大な資料を事前にいただいていますが、疑問な点がありましたら、どうぞお出しください。

 原 基本的な目的がいまいちよく分からないところがあるのですが、月経困難症の中に子宮内膜症に因るものもあるという意味ですよね。ただ、月経困難症にこの薬が効くということで保険適用されていて、子宮内膜症に対しての効果があるのかどうかを調べるというのは、「子宮内膜症の場合は効果がない怖れがある」という見方があるということですか。

 中村 そうなんです。月経の症状は軽減しますけども、内膜症そのものを良くするかどうかというデータはあまりないのです。

 原 で、どちらかと言うと、「効くだろう」という仮説に立っているのですか。

 中村 月経困難症に関しては、本人さんに書いてもらうVASスケールでは、恐らくポジティブな結果が出るとは思うのですけども、内膜症自体が小さくなるかどうかに関しては、私自身は疑わしいと思ってはいます。だから、そんなにすごい結果が出ると思ってはいないのですけど、ただ、低容量ピルで内膜症が良くなるかどうかという形で検査されたデータ、特に日本人のデータはないので、そういう意味では大量に測定すべきですけど、60人で大人数ではありませんので…。

 原 そうすると、どちらかと言うと「子宮内膜症の場合はこの薬をあまり使わない方が良いのではないか」という方向なんですか。

 中村 そういう意味ではないです。内膜症自体は、内膜症そのものの病気の問題もありますけど、月経困難症は付いて回りますから、日常生活に差し支えが出てくることもあるので、欧米では結構、低容量ピルは内膜症の治療に使われています。ただ、皆が内膜症かどうかというのもありますし…。

 原 「途中で4日間のプラセボ」というのがあるのですが、この意味合いはどういうことですか。

 中村 低容量ピルの飲み方というのは、1ヵ月を28日と考えて、3週間は飲んで1週間は休薬し、休薬している間にいわゆる月経様出血という消退出血が起こり、28日周期の月経周期になるわけです。ただ、1週間もホルモン剤がない状態になれば、更年期様の症状が出る人が時々いらっしゃいますので、休薬期間はなるべく短い方が、飲んでいる本人さんにとっては良いのではないかということで、「休薬期間が3日では消退出血は起きないけど、4日では起きる」といったことがあるのだと思いますけど、TDPDホルモンを飲まない状態を作る最短の期間は4日という感じで、そういう処方ができているみたいですけど、既にそういうセットになっています。28日が1シートで、1日1錠ずつ飲むようになっていて、最後の4日間だけ色が違い、素人目でもプラセボだと分かるようになっています。元々の低容量ピルの剤形は、3週間飲んで1週間は偽薬が付いているのもあるし、付いていないものもあるという形で発売してみたいですけど、休薬期間に偏頭痛とかホルモン欠乏症みたいな症状の出る人が結構おられたので、なるべくプラセボの期間を短くして、4日なら生理が来るだろうことで、こうなったようです。

 原 ここで言う「プラセボ」は、元々のこの薬の飲み方ですね。

 中村 そうです。ずっと飲んでいると生理が来ないので…。生理が来ないことは、避妊を目的にしている人にとってはちょっと恐怖に近いものがあるので、出血を起こさせるために休薬期間を設けているのです。

 原 それで、「有効性の程度はどうか」というのは、何と何を比較するのですか。

 中村 P9にスケジュールが載っていまして、○の付いているところで検査やアンケート用紙の回収とかを行うわけですが、実際はほとんど内診所見なので、医師の主観が入ることもありますから、デジタルで検査できるところでは傾向が出てくるのかなとは思うのですけど。

 原 傾向が出てくると言っても、これは比較試験ではないですね。

 中村 はい。だから、どういうふうに経過していくかという傾向を見るのが実際だろうなと思います。

 原 この研究が比較試験でない場合、本当に評価ができるかが疑問なんですけど。

 中村 そうですね。本当は同じような薬で、飲む人と全て偽薬の人とでやるというのが、いわゆるRCTという感じだと思うのですけど。ただ、実際に生理痛で苦しんでいる人がいて、保険適用がある薬なので、飲ませないというのもあれかなと思います。

 小原 もし「効果がある」とか「…ない」というのが分かった場合、この薬の使い方というのは今後、変わっていく可能性はあるのですか。

 中村 保険収載の追加病名を取るかどうかになると思うのですが、実際にはコントロールが取れないので、やっぱり傾向でしか話はできないと思うのですけど。

 原 子宮内膜症の薬物療法として他の薬はないのですか。

 中村 コントロールが立てられるようなということですね。薬剤によって内容は若干違いますが、低容量ピルとして出ている薬は、比較的似たような傾向を示すのではないかなと思うので、それと併せて「どちらが効く」ってしても良いかな…。でも…。

 原 これは科研費ではなく、全くの自主研究ですか。

 中村 そうです。府立医大の…。

 原 悪いことはあまりないだろうと思うのだけど、エビデンスにあまりならないデザインのような気がするのですね。

 富田 どこに注目されているかという意味でのパイロットスタディなんでしょうね。私は意味がないとは思いませんけど、60例は結論を出すほどの数ではなく、かなりこぢんまりしたものですから、まずこれを踏まえて、何にターゲットを絞るかということでしょう。

 中村 子宮内膜症は生理を止めたら基本的に良くなってくるので、そういう類のホルモン治療は数多くあるのですけども、生殖可能年齢の女の人を閉経にもっていかせるようなホルモン治療は長くはできないので、消退出血であっても、月経様の出血があって、通常とそれほど変わらない生活が送れるという低容量ピル自体は、悪い治療ではないと思うのです。ただ、コントロールを取るのにあたって、そういうホルモン治療と併せて、実際に内膜症の病巣が小さくなるかどうかを対照的に見ていくというのはできるかも知れないですけれども。

 富田 観察期間は1年間ですよね。この1年間、例えばチョコレート嚢胞とかの病変そのものを放ったらかしにしたら、普通は動きますか。

 中村 少なくとも小さくはならず、現状維持か大きくなってはきますけども、かなりホルモンの感受性は個人によって違うので、どんどん大きくなるか、あまり変わらないかは、バラツキがあるので、一概にはなんとも言えないですね。

 富田 CA125やCA19-9なども、放っておくと動くのですか。

 中村 内膜症がひどくなると、上がってくる傾向にはあります。ただ、基準値よりどのくらいオーバーしたら、どうひどくなるというような、パラレルな関係ではないので、なかなか判断しにくいところはあります。

 位田 遅れて来てすみません。もうご説明があったと思いますが、説明文書を読んでも何が目的なのかよく分からなくて、P14の最初のところに[今回、子宮内膜症に因る月経困難症を本剤で治療する時の患者さんの痛みなどの変化を調査します]と書いてありますが、痛みの調査だけなんですか。そうではないですよね。元々、痛みの調査を目的にしているわけではないのですね。P15の[1.2試験の目的]では、目的について書いてあるのは最後の段落だけで、[月経困難症治療のためのヤーズ配合錠服用中に、痛みの症状が改善しないか、また、月経前や月経中の症状を調査します]と書いてありますが、症状の調査というのは臨床試験なんですか。普通に飲んでおられるのだったら、症状の診察をすれば分かるわけですよね。コントロールに使うかどうかということとは別に、患者さんに「私は何のためにこの薬を飲んで試験をされるのでしょうか」と聞かれたら、「痛みが増すか、もしくは痛みが軽くなるかの調査」で、説明は終わるのですか。そういうふうにしか読めないですね。試験の目的として「それ以外のことを行う」とは書いていないですよ。

 富田 ただ、こういう主観的な訴えそのものを、できるだけ客観的な指標で残していくということ自体は意味があると思いますけどね。これがどういうふうにつながっていくのかは分からないですけれども、例えば、次の別の薬を使う場合についても、主観的な…、

 位田 そうなんでしょうね。それはそれで良いのだけど、「この薬を飲んで痛みの症状が改善するか」というのは、主観的であっても、この薬の効果を試すわけですよね。ただ、何のためにするのでしょうか。この薬が効くかどうかという話なんですか。

 富田 主観といっても比較可能な格好で記録を残していくということは、次のステップへのデータになりますので、全く意味がないというふうには思いません。

 位田 私は「意味がない」と申しあげているのではなくて、「これは痛みの症状が楽になったかどうかを客観的に調べる試験だと言って良いのですか」とお聞きしているわけです。

 富田 それは、既に有効性が確かめられている薬ということですので、痛みに関してですね…、

 位田 そうしたら、その上に何かを前提として臨床研究されるわけですよね。「痛みが改善します」ということが有効性で、それは既に分かっているわけですから。

 中村 月経困難症というのはいろんな原因があるのですけども、特に今回に関しては、子宮内膜症をメインにしていて、月経困難症の痛みがマシになってくるというのは実際にコマーシャルベースになった時に、そういう試験もやって出ているので、痛みに関してはこのアンケートで構わないと思うのですけど、「製薬会社はそういうデータは持っているだろうし、なんで今さら」ということはあると思う。プラス、ちょっと言葉が足らないというか、「内膜症が良くなる可能性があるのであれば、患者さんにプラスになる」ということなら、「特にチョコレート嚢胞とか腺筋症とかがあるような人に対して、その病巣がどう動くのかというのを今回は調べる」というふうな一文があれば良いのですけどね。

 位田 それだったらよく分かるのですけど、「痛みが軽くなるというのはもう分かっているので、何を試験するのか」というのが、説明文書だけでは分からないですし、計画を見ても、そこがハッキリしないわけですね。

 中村 記録に残しておくものには、痛み以外のデータもあるので、整合性はあるのですけど、それとの関係性を明確に目的として書かれているべきではないかということですね。

 小原 そうですね、患者の側からすれば、ハッキリとした目的があるかどうかで、同意の決断が変わってきますので、今言われた一文を加えられた方が恐らく同意しやすくなると思います。

 位田 一文を加えることは可能ですか。

 中村 それはできると思います。府立医大もまだこれからでございますのでね。

 小原 明確な結果が期待されるということではないにしても、次につながる様々な成果を期待できるということ、そして、副作用もそれほど大きくないということから、一文を加えるということを提案した上で、特に大きな問題がなければ、これでご承認いただければと思うのですけども、いかがでしょうか。原さん、どうですか。

 原 承認するのは結構かと思いますけど、もう少し研究デザインに建設的なものを考えないと…。例えばいろんなやり方があると思うのですね。他の薬があるなら、他の薬と比較するとか、あるいは、同じ人でも飲む月と飲まない月を比べるとか、月経困難症でも一般の月経困難症と子宮内膜症の人を比べるとか、何らかの形のコントロールの取り方というのを、プラセボやRCTが難しい場合でも、もうちょっと工夫しないと、わざわざ研究をやる意味合いが弱いように思いますので、これは要望として、もうちょっと考えていただきたい。

 中村 はい、ありがとうございます。

 小原 これは府立医大の先生が主になっていますので、そういう要望が出たということを、機会があればお伝えください。

 中村 はい、ありがとうございました。

 小原 よろしいでしょうか。では、今のような要望、それから目的に対する一文、そういったことを前提にして、ご承認いただきたいと思います。ありがとうございます。
 では、2番目の議事の「事例検討」に移りたいと思います。当日資料Aをご覧ください。これについてのご説明をよろしくお願いします。

 

議事(2) 「事例検討」

※事例1例検討しました。

 小原 ありがとうございました。ここで一旦、切って、次の議題に行きたいと思います。では、「(3)宗教的輸血拒否に関するガイドライン」ということで、当日資料のBとCですが、北村先生、よろしくお願いします。

 

議事(3) 「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」

 北村 胎児の話は何も入れておりませんので、先ほどから聞いておりまして気が重く、まだまだ見直しをしなければいけないかと思っておりますけど、ご議論いただくよう、よろしくお願いします。資料Bはガイドラインの11月案で、飼料Cは患者さんあるいは代理人の方に署名をしていただく「輸血拒否と免責に関する証明書」の見本です。前回からどのような修整をしたかというところに限ってお話をさせていただきたいと思います。
 前回のガイドラインでは、教団発行の事前指示書を携行している場合、それをどう扱うか明記されていないということがありましたので、それについての記載を加えました。具体的には、P3の【準備段階:治療内容決定のために必要な情報を確認する段階】のところで【準-1 教団発行の事前指示書を携行しているか確認する】という項目を加えております。【教団発行のものでない事前指示書の場合でも有効とするが、その場合はより慎重な判断がなされるべきである】というふうにしてあります。
 2つめの修整点ですが、前回に議論となったのは、意思決定能力がない患者さんの話をしていた時に、「例えば知的障害とか精神障害などの理由によって元々意思決定能力がない患者さんと、元々はあるのだけど、現在は何らかの症状で意思決定をできる状況にない患者さんを区分けしないと、混乱するだろう」という話がありましたので、それについて区分けをした内容になっています。具体的に言うと、【準-3 意思決定能力について確認する】を加え、それについて【1)現在、意志決定できる状態にあるかを確認する】、【2)元来、意志決定能力があったかどうかを確認する】という段階を踏まえた上で決定するという形状にしております。
 3つめはこれに関連し、意思決定能力がない患者さんの対応についてはどうするのかという話なんですけど、前回は代理人の判断で決定することにしていましたが、今回はP6の【決-3 患者が15歳未満の場合、あるいは元来、意志決定能力がない場合】というように、「15歳未満の場合」に「意志決定能力がない人の場合」というのを加えてあります。これはガイドライン案に添付した合同委員会ガイドラインが、そのような構造になっており、そうした方が良いだろうということでそうしました。
 最後の修整点は、【決-2 15歳以上18歳未満で、元来、意志決定能力があった場合】ですが、前回の時点では「患者さんに意思決定能力がなく、親権者が両方とも反対している場合は、輸血を行わない」という選択を取れる中身にしていました。今回は変わっていまして、【決-2.2 現時点で、患者が意志決定できる状況にない場合】で、さらに【決-2.2.2】の本人携行の事前指示書がない場合で、かつ、【親権者が2名とも輸血を拒否する場合】は、【なるべく無輸血治療治療を行うが、最終的に必要になれば輸血を行う】という修整をしております。
 大きな修整点は以上ですね。後は、P7に注が4つありますけども、「信者への公表について」という項目を加えました。修整点は以上です。不明な点があれば、お聞きいただければと思います。よろしくお願いします。

 小原 ありがとうございます。今、まとめて言っていただいた点は、だいたい前回の議論の結論を踏まえて、書き込んでいただいたのですね。1つだけ確認したいのですが、15歳以上18歳未満で意思決定能力があって、親権者が輸血を希望する場合には、輸血を行うということですよね。これは、合同委員会ガイドラインでも同じような方向だったのでしょうか。

 北村 合同委員会ガイドラインをP15以降に添えていますが、だいたい準拠しています。

 小原 この年齢のカテゴリーに関しては、ご本人の意思決定を全面的には受け入れないという判断ですね。

 北村 15歳以上18歳未満は、そういうことになります。

 位田 元来、意思能力があったかどうかという判断ができない場合、それから、元来、意思能力はあるけれども、現在、例えば気を失っているとか、意識がないとか、いろんな状況で意思能力が認められない状況にある場合と、元来、意思能力がなくて、今も意思能力場合、これらがどう違うのかがよく分からないのです。要するに、診察をした時点で意思能力がなければ、そこで判断するしかないと思うのですよ。しかも、緊急で入院されてきた時に、「元来、この人は意思能力がありましたか」というのをどこまで確認するのですか。

 北村 本人だけで運び込まれた時については、それは難しいというのは当然ですね。エホバの場合は、教団の事前指示書を持っていることになっておりますが、例えば知的障害があって、元来、意思能力がないにも拘わらず、ご家族の勧めとか教団の勧めで、それを持っている可能性があるのではないかということで、そこは区別した方が良いということです。

 富永 それを確認するのは難しいですね。

 北村 難しいです。私がこれを作っている時いいつも思っていたのは、患者さんの自己決定権を尊重するということが大事で、それで今回、力点をシフトした中身にしたのですけども、一方で、NTの議論でもそうでしたが、社会的に弱い立場の方の、届きにくい声をできるだけ拾い上げて、育んでいくということを大事にするという立場を、ずっと貫いてきた当院の姿勢を考えると、例えば思春期のお子さんとか意思決定能力の弱い方に対しても、保護者や代理人がいるからどんどん輸血を行わないでいくというのは、かなり危険ではないかなという気がしましたので、そういうふうなセーフティネットを張っているような中身にしているところがあります。

 位田 それをどうやって証明するのですか。

 北村 現実的には、それは難しい話です。

 岩橋 それが能力のある人が書いたものなのかというのは多分、医療機関の側での判断は難しいと思います。仮に知的障害を持っていらっしゃる方がいたとしても、その人がどの程度のことまで理解できるかというのを、その時点での判断は無理だと思う。

 位田 それと、知的障害があった場合に、その人の決定権は親権者、年齢によっては後見人にありますよね。

 岩橋 ただ、後見人が付いていない場合も多いです。

 北村 一応そこについては、【元来、意思決定能力がない人は保護者(実質的に保護の任にあたっている人)の意向を確認する】とはしてあるのですけどね。

 位田 家族もエホバの証人であるケースが多いので、保護者がエホバの証人であれば、知的障碍者はどう思っているのかは分からないけども、保護者の意向だとすると、元来意思決定能力がなかったとしても、結局は同じ結果に終わるのではないですか。

 北村 例えば、元来、意思決定能力のない人が外来通院していて、元々、能力が分かっているとか、療育手帳を持っているとかで、このラインに乗ってきた場合には、最終的に保護者が輸血を拒否した場合は、「なるべく無輸血治療を行うが、最終的に輸血を行う」という中身にしておりますので、保護者が反対しても、することはするということです。

 位田 そういうことですね。今は意思決定能力がない場合と、結果的には同じではないでしょうか。

 北村 決-1では、元々は意思決定能力があって、現在は意思決定できる状態ではない人の場合については、事前指示書を持っているのであれば、その意向に従って決めますよという中身になっています。

 勝村 ガイドラインをマニュアルとして使うとしたら、「元来、どうだった」という表現から入ると、現場としては入りにくいので、「事前指示書があると考えられる場合」とか、そういうことなんですね。

 北村 「事前指示書を確認します」としていますので、確認しますね。

 関谷 事前指示書のクレデビリティみたいなものが保証されていないというわけですね。それをどう確認するのですか。

 小原 前回の議論では「事前指示書についてはなるべく全面的に信頼しましょう」という話にある程度はまとまったと思うのですよ。

 北村 事前指示書が全く問われないのは、15歳未満か、元来から意思決定能力がない場合で、それ以外の場合については基本的に事前指示書の内容でやりますということにはなっています。

 勝村 15歳以上18歳未満で意思決定能力が現在はない場合、その下のフローチャートで、事前指示書が「ある」「ない」に分けても良いのですね。

 北村 そうです。【決-2.2 現時点で、患者が意思決定できる状況にない場合】のところの決-2.2.1で「事前指示書がある場合、そこに表明されている本人の意向に基づいて行う」としています。

 勝村 それと、元来は意思決定能力があった場合で、事前指示書がない場合はあるのですか。

 北村 元来は意思決定能力があって事前指示書がない場合も、当然あります。

 小原 これまでだいぶ議論してきましたので、大雑把な論理はほぼ詰めてきていると思うのですよ。それほど大きく抜け落ちていることはないと思いますが、もう一度、根本的なところを点検していただきたいのですけど。

 位田 元来、意思決定能力があるかどうか確認できないから、場合によっては輸血をしない、場合によっては輸血をするという、2つの方向があり得るわけです。で、「元来、意思決定できる状況にない」とその時は判断したのだけど、後で「やっぱりあった」という時に、輸血をしてしまったというケースがあり得るのですよ。それはどうされますか。

 北村 提案としては、元来、意思決定能力がないとここで考えられる場合は、最終的には輸血するとことになっていますが、それで起こってくる訴訟リスクは、当院で引き受けていいのではないかと思います。何故かと言うと、NTのガイドラインの時でも話をしたように、当院はそういった弱い立場の人をできるだけサポートするような立場でやってきたので、そこの姿勢に矛盾がないようにするということが重要かなと思っています。

 位田 裁判で負けてもいいとまで考えておられるのであれば、意思決定できる場合であっても輸血をするという方向も、あり得るのかなという気がしますけど。

 北村 そこは結局バランス感覚の問題なんですけど、今回、何故、自己決定権を尊重するようにしたかと言うと、やっぱり、世の中の流れがそうだということと、当院で患者様の権利宣言を採択し、そこで「患者の自己決定を尊重する」としているので、一定のバランスを取らなければいかんので…。

 位田 だから、後から「実は自己決定能力があったのだ」というのが分かる場合、そこを「バランス」と言われてしまうとしょうがないのですけど、結果的には自己決定権を無視してしまったということになると思うので、そこのリスクは「バランスがあるから」ということで処理しますか。

 北村 一定の自己決定能力があったと後で分かるようなリスクがあるかも知れないけど、当院の姿勢としてはそこで線を引くので、現時点でそう推測される場合は、輸血をするということで筋を通した方が良いのではないかというのが、僕の提案です。

 原 ですから、「意思決定能力が確認できない」というより、この場合は「能力がないのだろう」と判断した場合ということですね。分からない場合は「能力がある」という方ではないでしようか。

 位田 だから、そこを確認できない場合、どっちに振るかという問題もありますよね。

 原 確認するという方がかなり難しいですよね。「なかった」というのは、材料があれば良いのですけど、「あった」という確証を得るのは難しいので。

 位田 僕も確認は難しいと思いますね。だから、今は意思能力ができない状態にある人への最初のスタンスを、基本的には「恐らく前から意思決定ができなったであろう」というスタンスに立つのか、それとも「前は恐らく意思決定ができたのであろう」というスタンスに立って、でも、何か証拠みたいなものが出てきて、「実はあの人は知的障害であった」ということが分かった時のみ、「元来、意思決定ができる状況になかった」と判断するのかということですね。完全にニュートラルだと、ものすごくやりにくいと思うのです。

 富永 原則と例外を決めておいた方が、全ての対応がスッキリすると思うので、そういう法的な判断をする時には「原則、これで」として、それの例外を「この場合は例外です」と立証していくのはできると思いますけど、「2つの分かれ道で現場が決めないといけない」としておくと、かえってガイドラインが現場を混乱させると思うのですよね。ガイドラインは元々法的な意味を持つものなので、「基本はこっち」として、「こういうものが出てきた時は」と但し書きにするように、原則と例外を決めておくべきだと思います。だから、「病院がどちらのスタンスを取るのですか」という、先ほどと同じ議論になっていきますが、そこさえ病院が決めておけば、現場が突き詰めて対応した時に、「原則はこっちやな」と決断できますが、原則と例外が定まっていないところに、現場の混乱が起きるのですよ。

 北村 それを呑むと、例えば「元来、意思決定能力があったか、なかったか」ということを現場で判断することが困難であるということであるとすれば、そこの話は…、

 富永 「今の状況は能力がない」というところからのスタートで、「元来はあったということが分かったら、こうしましょう」としておいても良いのではないかなと思います。分かることが例外的ではないですか。

 岩橋 今のは事前指示書を持っていない場合を言っていらっしゃるのですか。

 原 どっちも、でしょう。

 岩橋 持っている場合は、原則は事前指示書だから、「ある」という前提で判断しないとマズイのではないかと思いますね。

 吉中 意思決定能力があるということですね。それは、それが原則ですね。

 北村 事前指示書を持っていれば、例え、元来は意思決定能力がないとほぼ推量されるような人でも、それに従わなければいけないのですか。

 岩橋 原則は「従う」というふうにしないと混乱しますよね。事前指示書を持っている場合と持っていない場合での、原則・例外の扱い方をキチッとしないといけませんね。

 富永 「まず指示書」にして、「指示書がなかった場合」というふうにしないと…、

 勝村 北村さんは「事前指示書が偽造されることまで配慮したい」という趣旨ですね。

 北村 「偽造」とまで言わなくても、例えば家族が強力に推して「ちょっと書いてくれよ」と…、

 勝村 そこを配慮したいから…? あぁ、やっと分かった。

 吉中 この2)の【元来、意思決定能力がなかった場合】を例外規定として、整理した方が分かりやすいですね。

 岩橋 実はウチの事務所では、成年の被後見人の選挙権を奪うことについての訴訟をやっているのですよ。それは、政治的な判断をできるという前提で、後見人制度そのものは財産管理を中心になっているからということですけど、医療行為については後見人としての同意をしないのが基本なんです。そういう判断は財産的な判断とは違うだろうということで、本人の意思を尊重するということになっているのです。だから、作られたものを含めて、あまり安易に「その人の真意ではない」と疑いだすと、本当に混乱を起こしてしまうのですね。

 勝村 だから、ケースとしてはあり得るけど、ある種の倫理的な違反だから、ガイドラインのカテゴリーにしておかなければいけないことかどうかとも思います。それにしても、現在は意思決定ができなくて、事前指示書を持っている場合、医師は「元来、意思決定能力がなかったのではないか」という可能性を、1番上に持ってくるのではなく、もう少し下層に持っていかないといけない。

 北村 合同委員会ガイドラインに戻っていただくと、ここは曖昧になっていて、「現在、能力があるか、ないか」と「以前にあったかどうか」という話は区別されていないのですけど、ここでは基本的に、医療に関する判断能力がないと判断される場合については、最終的に輸血できるような仕組みになっているのですね。ですので、こちらもそれに合わせるということなら、元来あったかどうかはハッキリ分からないにしても、意思決定能力のない人の場合は、事前指示書を持っていたとしても、基本的に輸血をするという仕組みにしておかないと、マズイのではないかというふうに思います。

 岩橋 合同委員会ガイドラインだと、判断能力については複数の医師によって評価するとなっているのですけど、そういうことも含めて、書いてあるのでしょうかね。

 北村 判断能力については、P3に【準-3 意思決定能力について確認する】という項目がありますが、ここで【この確認について確信を持った判断が下せない場合には、精神科医にコンサルトした上で判断を下す】というふうにしています。

 位田 1人の医師で判断するのですか。判断の仕方や手続きなどもハッキリさせておかないと…。

 北村 ガイドライン案では、全く明らかな場合については1人の医師、確信を持てない場合はコンサルトするというふうにしてあるのです。それが良いかどうかは当然、ご議論いただかなければいけないところでもあるのですが、「複数にします」という話を前提にした時に、現場のドクターが「それではのれません」という話が出なくはないので、そこはドクターと再調整しなくてはいけないですけども。

 位田 確信を持った判断が下せない場合でなければ、コンサルトしなくても済むわけですから、1人の医師の判断で「この人は意思決定能力がないのだ」という決定をしてしまう可能性がある。

 北村 このガイドラインと共に、当院には「1人で決めない、一度に決めないという理念でやりましょう」という上位の理念がありますので、そこに従ってくれることを期待するので、医師は1人しか関わらなくても、当然、他職種が関わって止めるといったことが働くだろうという前提には一応なっています。

 位田 コンサルトされた精神科医というのは、必ずしも責任を持たないので、コンサルトするしないに拘わらず、「複数の医師もしくは医療関係者が判断する」という手続きを取るべきだと思います。

 北村 例えば、P4の【決定段階】では【以下の指示に従って治療内容を決定する】としていて、主体が書いてないですけども、ここに「チームで集団的に機能した上で決定する」と入れておくことでよろしいですか。

 小原 ここで、ちょっとまとめたいのですが、各カテゴリーの中での判断指針については大きな異論はないと思います。ただ、最初から議論で問題になっているのが、カテゴライズの仕方ですよね。合同委員会のものでは純粋に年齢だけで区分しているのですけども、今回の提案は「元来、意思決定能力があるかないか」というところがいちばんの大カテゴリーになっていまして、「ここが具合悪いのではないか」というご指摘だったと思います。恐らく合同委員会に準じて、トップカテゴリーを年齢区分にして、「意思決定能力のあるなし」というのは、むしろ例外事項として整理した方が良いのではないかという…。

 北村 合同委員会でも、「18歳以上で医療に関する判断能力がある人」「18歳未満、または医療に関する判断能力がないと判断される人」というように、意思決定能力も大カテゴリーにされていると思いますね。

 小原 そうですね。組み合わせていますね。そういう意味では、だいたい準じているのですね。

 北村 だいたい準じてはいるのですが、合同委員会ガイドラインでは「医療に関する判断能力がない」というのがいつの時点を差しているのか非常に不明確で、恐らく混乱すると思うのです。それを明らかにしようとしたのが今回の提案なんですね。

 小原 それを大きく独立させたということですね。突き詰めて考えると、合同委員会ガイドラインであっても、判断能力の有無の判断をどういうふうにしているのかというのは当然、疑問にさらされると思うのですね。

 位田 合同委員会ガイドラインは原則的なところだけ決めてあって、あまり細かい話まで必ずしも入っていないので、多分、この時点ではこのくらいしか合意できなかったのかも知れない。それはこの病院で「こういう手続きで、この場合にはこうする」ということを決めれば、それで良いのですけど。ただ、「元来」というところで、もし判断を誤った時に問題があるのかなという気がする。「裁判に負けても良い」と言うのは簡単で、病院にとっては裁判に負けても良いのですけど、「本人の信仰はどうなるのだ」という話になるので、そこを間違うという話ですよね。病院の責任の問題ではないのです。

 小原 そうですね。その点で言うと、もちろん命を守るということは、一つの大きな価値としてあると思いますけども、今までの議論で言うと、それに増して「本人の自己決定を尊重しよう」という流れがあったので、そこのラインで大筋を付けていただいた方が良いかなという気はするのですけども。

 勝村 想定されているのは、現時点で意思決定能力がなくて、かつ事前指示書があって、その事前指示書がどうも本人が書いたものではないと疑われるケースですか。

 北村 あるいは、本人がサインされたとしても、強制がかなりされていたりする場合がある気がしますので…。

 勝村 事前指示書を見分けるのは、すごく難しい。

 原 臓器提供でも、知的障害・精神障害のケースは、カードがあっても運用では対象から外していますよ。

 勝村 それは「事前指示書があっても」という段階でしょ。で、今、言っているのは、事前指示書があった場合は原則として尊重するけど、あってもそれが疑わしい場合なんですね。

 北村 例えば精神障害をお持ちの方で、本人さんは反対ということもなく、サインぐらいはされるので、事前指示書を持っていて、それを持って来られた場合には、本人の判断能力に基づいたサインではないにも拘わらず、それを持ってこられたというだけで、本人の意思と見ていいのかということですね。

 勝村 そこの違いはどうするのですか。原さんが言っているケースだったら、そういう状態だったら、指示書が有ろうと無かろうと、やらないということですね。

 原 僕が言っているのが若干違うのは、臓器提供は本人にとってプラスとなる利益はないのですよ。だから、やらないのが明らかに安全側なんですけど、この話で、どちらが安全側なのかというのは、本人の心情なのか治療なのかというのは確定しないし…、

 勝村 その違いもあるし、マニュアル上の段階も違うでしょ。だって、あった場合、原則は尊重するという書いているね。

 北村 あった場合は、15歳未満の場合と、元来から意思決定能力がない人以外は、それに従って進めます。

 勝村 だから、同じ紙があって、「元来」を見分けるという判断が、どうしても必要になるでしょ。臓器提供の場合だったら、現状が分かれば、そこを見分ける必要はないですね。

 吉中 臓器提供の場合は、対象にならないということですね。

 原 対象にならないと言ったって、例えば知的障害とか精神障害という線引きは、何をもってどこで線を引くかというのは難しいですね。

 位田 本心でサインしているかどうかという話を、誰がどうやってするのかということで、確かに命を救うというのは重要なんだけども、「信仰は命より重たい」と考える人が当然にあり得るわけですよ。それを「本心でサインしているか」と最初に疑問を差し挟むのは分かるのだけど、それがあまり全面に出てしまうと、信仰の方を軽く見てしまう。そういうものではないと思うのですよ。「どちらが重たい」と言うつもりは私はないけど、でも、信仰がある場合には、「命より重たい」と考える人は当然にあり得るので、これはちょっと納得しにくい。

 小原 これは我々がずっと議論してきた大事な点だと思うのですよ。つまり、信仰的な表明をご本人の最大の自己決定権として尊重するということで、もう一度、ちょっと整え直してくださいますか。

 北村 現実的な話では、私は委員を退任するので、今回で最後だったのです。で、後任にバトンタッチして、その方に作っていただくことになりますので、富永先生にしていただけるといいなと思っていたのですけど…。

 小原 後任の方がおられれば、安心して引き継ぎに回せられるのですけど…。

 富永 私でございますか、こんなキラーパスが来ることを疑わずに…。

 吉中 今日は富永先生には見学で参加してもらったのですけど、他にも少し移動予定があったり、いろいろあり得るので、正式の委員は次にまたご提案しようと思っていました。富永先生にご協力いただければ、ありがたいのですけど…。

 小原 はい。できれば今日になんとかまとめたかったのですけど、かなり根本的な問題なので、結論を慌てずに次回を目指してやっていきたいと思います。

 原 意思決定能力の確認というのを個別の項目に入れ込んでも良いかも知れませんが、方向性が難しいですね。「意思決定能力がある」とか「ない」と言うよりは、例えば法律用語で言うと錯誤とか脅迫とか、「本人の意思でないと考える場合」みたいな考え方を取った方が良いのかも知れない。

 位田 だから、「原則をどちらにするか」がハッキリすれば、「元来、意思決定能力があったかどうか」という判断ではなくて、何も問題がなければ「原則、なかった」とみなすか、「原則、あった」とみなすのか、そこだけの話だと思うのですよ。

 富永 緊急的な対応は、もしかしたら1分以内に決めなければいけないところかも知れないので、現場で使う時には、まずそこの原則があって、後から出てきたものは、そこを決断した医師を含む「3人の合意によって行いました」やったら、それで良いと思うのですよ。それをいろいろ「これも確認して、あれも確認して」になると、結局はガイドラインに乗っかることすらできないままに亡くなるという現場だと思うので、「原則はこうである」、で、例外的な場合として「これができた場合」「あれができた場合」で良いのではないかと思います。

 小原 そうですね、そういうことを踏まえて作文をしていただけますか。

 原 後は、「意思決定能力とは何や」ということ自体がかなり難しいので、合同委員会の作り方から言うと、15歳程度の判断能力という感じになるのですが…。

 富永 3歳とか、それもいろんな議論がありますが、年齢で引いておくというのは、多分、ルールとして一緒だと思いますね。

 原 後は、もっとややこしい話を言ったら、「精神障害と言っているけど、認知症の人はどこでどう判断するのか」とかね…。

 富永 まだらな状態もあるわけで…。

 小原 議論も尽きないので、取りあえず、これは次回に引き継ぎます。北村先生は今日が最後という話は聞いていたけど、ハッキリと認識していなかったので、いろいろありがとうございました。

 北村 どうもお世話になりました。ありがとうございました。

 小原 次に「(4)倫理委員会への意見書」にいきたいと思います。これはパッと終わりそうですかね。

 

議事(4) 「倫理委員会への意見書」

 富田 アナウンスだけです。「2011年11月倫理委員会への意見書」という本文と2枚の資料で3枚綴りの事前資料の分なんですけども、説明させていただきます。
 「Ⅰ.倫理委員会の活動の再整理」ということで、1つは「臨床研究の本院での審査の進め方全体を再整理していただきたい」というふうに思って、今日はその頭出しをしておきたいと思います。
 いちばん最後の資料は、ウチの臨床研究部に提出されて、一部はこちらに回ってきた審査の一覧表ですが、並べて見ていただきますと、現状については、一つの大きなパターンがありまして、多施設共同研究というのに手を挙げて参加させてもらうのがほとんどです。そういう研究に関しての審査の場合は、中央の研究責任施設で倫理審査が通っていることがほとんどで、参加施設で審査してもらう時には基本的に迅速審査というのが、全国的な基準にはなっています。本院で一から作り上げた研究は実はまだなく、時々、生まれかかるのですけども、消えてしまうというのが現状です。初期の頃はこちらも様子が分からなかったので、通常審査として見ていただいたものもありますが、最近は迅速審査でお願いしている流れになっております。
 倫理委員会の規定というのは、本院のホームページ上に「委員会規定」というのが載っていますが、P2の資料の「第6条 扱われるべき議題」では、第1.項の「臨床研究、臨床治験」、第2.項の「病院医療に拘わる様々な問題」の部分が赤文字にしてありますが、第1.項と第2.項の順番を入れ替えるのが現状の倫理委員会のバランスかなと思うので、そういうふうに書き換えていただけたらと思います。
 それからもう一つ、大きな問題は本文の2)の治験ですが、治験は、実際には治験審査委員会というのが毎月、外部からの委員も加わって、完全に独立して動いているのが実情です。倫理委員会には簡単な報告だけはしていまして、報告が必要でしたらこれまで通りにやるのはいいのですけど、審査の流れとしては倫理委員会から外して、独立させていただきたいと思っています。
 それから「Ⅱ.利益相反への対応」で、利益相反については原さんがずいぶんご尽力いただいていますけども、これは実情を見ていただいたら分かりますように、リアリティを持ってこれが問題になってくるというのは、まだちょっと先の方になりそうです。つまり、ここで研究計画案が作られるのがまだない状況で、共同研究に参加するというレベルでもあります。病院としては、今は内部で生まれかけては消えていくレベルの臨床研究を、育て上げるというところに全力を注ぎたいと思いまして、現在、全国的に提案されている利益相反のレベルに直ぐに追いつくというよりは、少し先の目標にさせていただいて、もう少し教育的に「こういう問題があるのだよ」ということを指摘するというレベルで、利益相反のガイドラインを考えていただけるとありがたい。
 その2点についての意見書です。

 小原 はい、ありがとうございます。今日、ここで議論する必要はないですね。ポイントは非常にキチッとしています。特に規定の変更については必要なご提案だと思いますので、こりは次回に独立した議題として扱いたいと思います。そして、2番目にご提案いただいた「利益相反への対応」ということは本来、今日の(5)番目で第3次案を扱いたかったのですが、残念ながら時間がありません。これは大事なところですので、簡単にはやり過ごすことはできませんから、富田先生からご提案とセットにする形で、(5)番目のところを考えてみたいと思います。今日は原さんにも申し訳ないのですけど…、

 原 いや、あまり準備もしてきていないので、次でよろしいです。ただ、私が引っ掛かるのは、例えば研究の申請書に「利益相反調査結果:問題なし/問題あり」という項目があるわけですが、これが何を基準にしているのか全然、分からないわけです。利益相反の規定はハッキリ言うて、ガイドラインを作らないで、先送りにしたって構わないですよ。構わないのだけれども、この項目が何のことか分からないわけですから、この様式そのものを変更して、クリアにする必要があると思います。

 富田 中身については提案すべきだと、私も思います。ただ、皆さんは、利益相反そのものが問題になっているということは、これまで経験がないのですね。「どういうことが問題なのか」ということに気付いてもらうという意味で、教育的なガイドラインを考えていただけますとありがたいと思います。

 小原 そうですね、富田先生のご提案というのは、それを作らないということではなくて、萌芽的なものを育てるために、あまり縛りをきつくし過ぎないようなラインを探して欲しいという、そういうことだと理解したのですけども。これを今は議論する時間がありませんので、全部まとめて、次回に話をしてみたいと思います。これは原さんの方で…、

 原 いや、私の言いたいのは、今の議論で言うとそういうことで、だから「作らないでもいいですよ」と言っているのです。

 富田 作らなくて良いということではなく、やっぱり要るのですよ。ただ、その中身と言いますか、表現の仕方なども少し考えないと、利益相反そのものが何なのか、「こんな面倒くさそうなこと」と受け取られると、「ちょっと違うのだけどな」ということなんですよね。そこのとこだけ伝わるように考えたいと思います。

 小原 段階的にやった方が良いかも知れませんね。これをなしにしようということはできませんので、そのあたりも含めて、次回への継続審議にしたいと思います。それでは「(6)その他」のところですね。「①臨床研究迅速審査結果報告」について、よろしくお願いします。

 

議事(5) 「医学研究の利益相反管理に関するガイドライン(3次案)」…次回

 

議事(6) 「その他」

①臨床研究迅速審査結果報告

 富田 当日資料Eです。これは迅速審査でご検討をいただいて、承認されたものですが、整形外科から出されたもので、多施設共同研究に参加したものです。「A-TOP研究会/JOINT-04」という整形外科学会の下部組織のNPO法人がプロトコルを作られて、それに参加するという形のものです。で、骨粗鬆症に関しての2種類の薬の効果のランダム化比較臨床研究ということで提案されています。ここの施設では30例ほど、全国的には3500例というかなり規模の大きい研究です。薬はどちらも保険が適用されていますが、それを比較したいというようで、患者さんのデータを中央に送って、そこで比較検討するということのようです。

 小原 はい、ありがとうございました。それでは引き続き、「②治験審査委員会報告」をお願いします。

 

②治験審査委員会報告

 富田 事前資料Cです。現在、続いておりますのがFTY720とBG00002という薬です。FTY720の方は、恐らく来年早期に保険収載される予定に今のところなっています。BG00002という方は、JCウィルスが原因として起こってくる進行性多巣性白質脳症については、検査態勢が整いつつあるというところです。特に変わりはないです。

 小原 はい、ありがとうございました。特にご質問はないでしょうか。

 位田 臨床研究の迅速審査ですけど、村上先生は「臨床研究に関する教育講習会受講の有無」に「なし」と書いてありますが、民医連はそういう講習の機会を設けておられるのですか。

 富田 準備をしていますが、多分、私がやることになるかなと思います。

 位田 研究機関・臨床研究の指針だと、「教育の機会を研究機関の長が確保しないといけない」ということになっていますので、院長の責任です。

 吉中 予定は多分、2回か3回か…、

 富田 年末から年始にかけたあたりで2回ほど考えています。

 小原 はい、ありがとうございました。次に、「③資料」についてご説明があるそうですが…。

 

③資料

 吉中 これは、勝村さんから前に教えていただいた診療明細書の件です。当院はずっと前から診療明細書をやっているのですけども、夏頃に共同通信の方が取材に来られた時に、患者さんから取った診療明細書のアンケートの結果をお渡しして、少しお話もしたのです。その後に何も連絡がなかったのですけども、ウチのスタッフが出張した時に、載っていると教えられた神奈川新聞の紹介です。

 勝村 これは、京都にいてた共同通信の記者ですけども、京都にいたから、「京都民医連に行け」と言ったのですけど、今は東京に戻られています。取材はかなり古かったでしょ。で、ボツになったかなと思ったら、11月に入ってから「漸く紙面ができたから、これからボチボチ地方紙に載ると思う」というメールが来ました。ただ、「■■■県保険医協会だけには行かないで欲しい」と言ったのですけど、ここは20年来、保険開示に反対されているし、個人名で誹謗中傷もしているし、事実ではないことをいっぱい書いているのですが、トップの一人でしていると思います。NHKの人が「抗議するべきだ」と言って、行きかけたのですが、こんなことをしているのもばからしいと思ってやめました。でも、いまだにあそこはすごいですよ。この記者はそれを敢えて書かれたのですが、保険開示へ批判的には見えないですね。

 原 保険医協会は地域によってずいぶん差がありますからね。

 勝村 ああいう意見は、トップの人の一人の考えで決まりますからね。

 小原 ご説明、ありがとうございました。これで用意されていた議題は全て終わりましたので、次回の日程の調整をお願いします。

 吉中 従来は1人の委員の都合で、火曜日の方が出席の可能性があると思って、火曜日にしていただいていたのですけども、それもなかなか上手く実現せず、かえって内科の井上委員は、当直開けで火曜日には出られないということもあるので、可能であれば木曜日に戻していただいた方がいいのかなと思います。富永先生は1時間ほど遅れるかも知れませんが…。

 富永 怖いですよ。私に合わせていただかなくても…。

 内田 2ヵ月に1回ですので、木曜であれば、第2週の1月12日がベストと思います。場所は全部ここを押さえていますし、次回からはパーテーションも外しますので、ゆったりと議論していただけると思います。

 小原 いかがでしょうか。では、次回は1月12日木曜日ということで。長時間どうもありがとうございました。これで倫理委員会を終わらせていだきます。

 

 

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