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第四十三回 倫理委員会 議事録

京都民医連中央病院

日時

2011年6月21日(火) 18:30~21:00

場所 京都民医連中央病院本館5階会議室(リハビリ室内)
出席者 外部委員  小原克博委員長、原昌平副委員長、位田隆一委員、勝村久司委員、関谷直人委員、広瀬東栄子委員
内部委員 北村隆人副委員長、内田寛委員、富田豊委員、東正一郎委員、平田恵美委員、中村光佐子(特別委員)
事務局 丸山俊太郎
オブザーバー 尾崎望(臨床研究申請)、川原初恵(事例検討)、吉中丈志
欠席 岩橋多恵委員、井上賀元委員

議事

議事(1)「委員の交代について」

 小原 ただ今より第43回倫理委員会を始めさせていただきます。今日も議題が盛りだくさんなので、審議にご協力ください。本日から委員長が代わりまして、私がカムバックしましたので、よろしくお願いします。原さん、これまでどうもありがとうございました。
 早速、始めていきますが、まず1番目の委員の交代について、ご報告をお願いいたします。

 内田 今日の会場はこういう形を採らせていただき、ちょっとざわつくかも知れませんが、次回以降は良い場所を用意し、西館ができましたら、そこでやらせていただきます。

 小原 この雰囲気もなかなかいいですよ。

 内田 それで、病院内部の委員の交代ですが、赤木師長から、南2階病棟という主に産婦人科と乳腺関係の病棟の師長の平田恵美さんに交代させていただきたいのですが、今日の冒頭での承認をお願いします。

 小原 では、委員の交代をご承認をいただければと思います。
 それでは、次の議題ですが、審議の重要度の店から少し順序を替えまして、3番目の臨床研究関連の「①臨床研究申請案件審議」をまず最初に採り上げたいと思いますので、この件についてのご説明をお願いします。

 

議事(2)「臨床研究申請案件審議」

 尾崎 私は小児科の科長をしている尾崎と言います。よろしくお願いします。事前資料で配付させていただきました「臨床研究等申請書」に沿って説明させていただきます。
 研究の課題名は「小児における肺炎球菌血清型別抗体の後方視的研究」としています。研究責任者は、現在、仏教大学の社会福祉学部の教授で、耳原総合病院の小児科でも非常勤で働いている武内一先生で、全国の数ヵ所の病院で分担研究をしていますけど、当院では私が分担するということになります。
 P4からの研究実施計画書という添付資料をご覧ください。背景と目的を簡単に説明しておきます。小児の重症疾患はかなり減ってきており、菌血症と髄膜炎が命に関わる病気の双璧になっています。その小児の菌血症の8割以上を占め、かつ、化膿性髄膜炎の起因菌として比較的に名が知れているのが、インフルエンザ菌b型(Hib)というやつなんですけども、それに次いで多くて、化膿性髄膜炎としては年間200例ぐらい報告されている肺炎球菌というのがあります。これは、ワクチンで予防できる小児重症細菌感染症の起因菌として、我が国では最も重要な細菌の一つです。臨床現場においては早期発見の困難さと、抗生剤の耐性菌による治療の困難さがありますので、対応が極めて難しい疾患となっています。耐性化の機序は省略しますが、ペニシリン系が効かないということで、かなり難渋しています。従って、かねてより有効なワクチンの導入が切望されていました。
 で、海外では10年以上の経過がありますが、遅れて2010年2月に小児用7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)というのが導入されました。今後は、ワクチンを接種した世代での抗体価の上昇によって、肺炎球菌の重症感染症(InvasivePneumococcalDiseases=IPD)が減少することを期待しています。ただ我が国では、ワクチン開始前のIPD以外も含む肺炎球菌感染罹患によってどの血清型が上昇しているのかという、基本的な治験がありません。実は、肺炎球菌というのは90種類ぐらいありまして、その中の十数種類がIPDということで人体、特に子供に対して重篤な疾患を起こし、現在、小児で使えるようになったのが7価ということなので、100%のカバーができていないという弱点があります。ここで資料がないというのは、ワクチンに含まれるものも含まれないものも含めて「そもそも子供達の血清の抗体価がどれぐらいあるのか」というのが分かっていないということと、ワクチンを打つことでどの程度の上昇があるのかとか、こういった基本的な資料がありません。また、肺炎球菌(Hib)というのは常在菌ですので、2~3歳ぐらいになると自然に貰っていくという経過があります。それが自然に着くことで発症することもあれば、抗体だけが体にできるという場合もあるわけで、3歳を超すとだいたい肺炎球菌の抗体価はできていると言われていますけども、何歳ぐらいまでがクリティカルに厳しいかといったデータがありません。
 以上より、PCV7(小児用7価肺炎球菌ワクチン)導入以前の肺炎球菌血清型別の抗体の値を測定して、年齢別に把握することを目的としたいということが、研究背景と目的になっています。
 続いて研究計画と方法ですが、仏教大学の武内一医師を主任研究者とした多施設の共同研究で、大阪府の耳原総合病院、長野県の健和会病院、香川県の高松平和病院、青森の津軽保健医療生協健生病院、大阪府の西成医療生協西成民主診療所と、私どもとの6ヵ所の医療機関で、基本的に広報誌で「これまでに保存している血清を使い、月齢・年齢毎に区分して抗体価を測定していきたい」というのが方法です。子供の場合、後々、何か新たな検査が必要になった時に、何度も採血するというのはなかなか大変なので、私達はよく了解の元に血清保存をしているのですけども、肺炎球菌の抗体価を測るという目的はお伝えしていないので、再度、同意書で了解していただいた上で、保存血清を使って肺炎球菌の抗体価を測るということになります。で、実際には2009年1月から12月の1年間に保存した血清を使いますが、検査室に保存してある検体と氏名は分かっていますので、具体的にはP6~7にある同意説明書と同意書(代諾書)を示して、今、お話しした中身を説明させてもらった上で、同意していただいて検査に移ります。

 小原 以上でよろしいですか。他の病院ではもう進んでいるのですか。

 尾崎 今のところ耳原だけです。他の所は多分、こういう審議を今しているのではないかな。

 小原 概略を説明していただきましたけども、ご不明な点があれば聞いていただければと思います。

 原 中央病院での目標は何例ですか。

 尾崎 実際には、2009年に6歳未満で該当するのは2検体だけです。

 小原 保存した血清を使ったこの種の研究というのは、類例みたいなものが他にもあるのですか。

 尾崎 この手の臨床研究はあると思うのですけど、私どもはやったことがないです。我々が使うのは、保存しておいて後々、その病態の解明に資するような検査ができるようになった時に、出して診断を確定するようなことは、ちょくちょくあります。

 吉中 ウチの病院が2人ということは、全体で160人という目標はハードルがけっこう高いのですか。

 尾崎 これは情けないのですけど、検査室の管理が悪くて、実は20検体ぐらいあるのだけど、照合できないのですわ。ですから、最初に検査室に頼んで出てきた検体をもう一度確認し、採血日と月齢と名前が一致したのが2例しかなかったということだけで、どこの病院でもだいたい20~30例はあります。

 富田 検体保存のシステムが途中で変わったので、番号が分かりにくくなったというのが現実です。

 小原 血清は、保存されたものだけを使い、これから新たに採取されるものは対象外ということですか。

 尾崎 この研究では後方視だけで、採ったものだけでいきます。これである程度のデータが出てきたら多分、ワクチンを打って値が上がっているかみたいな研究が、次のステップとしてくると思うのですけど、まずこれでキチッとデータを出そうかなということです。

 原 後ろ向きの調査で分かるのは、どの血清型が多かったかということと、何歳ぐらいによく罹っているかというような、その2点ぐらいですかね。

 尾崎 ですから、ワクチン導入前に、子供達が何歳ぐらいになったら自然に抗体価を獲得していくかということが、効率的に分かるということです。で、肺炎球菌ワクチンを公費で打てているのは、今は5歳未満なんですよ。それの実証データが日本にはなくて、本当に5歳を超したら、ワクチンを打たなくても抗体価が上がっているかどうかとか、あるいは限定された場合、最初にどの年齢に打つことを優先したらベストかみたいなことは、年齢別に自然に上がってくるのを、まず見ておかないと言えないですね。それが目的です。

 小原 5歳という基準は、国際的に標準化されているのですか。

 尾崎 いや、諸外国は9歳、10歳ぐらいまで打てますが、日本は5歳で公費が切られるので…。

 小原 すると、6~7歳でも問題がある場合が可能性としてあるということですね。

 尾崎 そうですね。でも、今回は一応、6歳までデータを取りますけど、6歳でも抗体が上がっていなかったら、「もっと高い年齢までするべきだ」という、一つのアクションには結びつきます。

 原 型はあまり重要ではないのですか。

 尾崎 型は、重症化しやすい型があるので、その型を優先的に採りますという意味ですわ。

 原 ワクチンそのものは、いろいろな種類を取り混ぜたワクチンですか。

 尾崎 ええ、7価ですので7種類です。でも実際には、重症化するのはもっとたくさんあるので、成人型は23個ほど入れているのですけども。

 小原 素朴な疑問ですけど、研究責任者が仏教大学の社会福祉の先生ですが、何故、社会福祉を専門とする先生が臨床研究の研究責任者になっておられるのですか。

 尾崎 武内医師が社会福祉学部の教授になったのは2年前ですけど、この人自身は、細菌感染症やワクチンの研究をライフワークの一つとしてきた小児科医なんです。その彼が社会福祉学部の教授にもなっているということですけど、今現在も週に3日間は耳原で小児科医をしていますし、細菌性髄膜炎を守る会という患者団体の顧問に入ったりとか、そういう活動もされている人です。

 位田 同意説明書では、どういう研究をするのかというのは「小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化に向けてのワクチン効果を判断するための大切な調査」という2行と、「この研究で、小児用肺炎球菌ワクチン導入前後の子供達の抗体保有状況を調べることで、ワクチン導入がどのように抗体保有状況に関連するかを確認することができます」という文章だけなので、ちょっとよく分からないかなという気がします。例えば「これを調べれば何がどういうふうに分かるか」とか、「それが分かったらどうなるか」という説明は書いていないので、「何故こういうふうな研究をするか」ということの、もう少し丁寧な説明がいるかなと思います。具体的には、対象となる子供の保護者に説明をするわけですよね。お母さんにしてみたら、確かに血清は既に置いてあって今から子供が痛がる話でもないから、構わないのでしょうけど、疫学研究という言葉は使っておられないと思いますし、「お子さんに何らかの直接の利益があります」とか、いや、そうではなくて「一般に測定するだけで、今後、ワクチンを使う時にはどうなります」というように、「この研究が何を目的にしているか」とか、「この研究に参加する人にとって何がメリットか」というのがハッキリしないと思いますね。

 尾崎 おっしゃる通りですね。具体的に言うと、その個人に対する還元はないですね。ただ予測では、「年齢が低いほど抗体が低いから、早めにワクチンを打つべきということなんかが分かる」みたいなことになりますよね。そのあたりももう少し丁寧に説明すべきだということですね。

 位田 そうですね。本来なら、それを書いておいていただくと、参加する側は分かりやすいと思いますし、参加しやすいと思うのですけど、そういうことを口頭でご説明されないといけないなという気がしますね。

 小原 これは「郵送してください」となっているので、この一式を郵送するということですか。

 尾崎 いや、患者さんはお近くの方なので、説明は口頭でしますけど、持って帰ってもらって後で郵送してもらえばいいかなということです。ただ、口頭で補足するよりは、書いておいた方が良いと思いますね。

 位田 もう一点なんですけど、血清の保存については、保護者の方はご承知なんですか。

 尾崎 はい。この2人に限らず、全員に言ってあります。

 吉中 「検査結果は、希望されたら郵送する」ということは、抗体価が少なかったら「ワクチンを受けましょう」とか、「必要ないですよ」というようなことにつながることは、何かあるのですか。

 尾崎 実際には2年前の血清なので、その後に打っている場合もあるので、そこを聞く必要はあるよね。だけど、メリットがあるとしたら、「もし、それで打っていなかったら」というのはあるかも知れませんね。

 小原 血清は、だいたい何年ぐらい保存されているものなんですか。

 富田 通常だと2年ぐらいで捨ててしまうのだろうと思うのだけれども、小児科は多分、「置いといてくれ」という話になっているのですか。

 尾崎 一応、3ヵ月と5年という2つから選べるようになっているのですけど、小児科の場合は量も多くないので、基本的にエンドレスでお願いしているようなことなんですけど。

 小原 冷凍保存しておけば、5年を超えてエンドレスでも可能ということですね。

 尾崎 いや、ものによると思いますね。長期になると力価が下がってくるやつとか、フレッシュでないとダメなやつは多分、保存血清ではできないと思いますね。この手のウイルスの抗体価なら、5年、10年でも-20℃やったら大丈夫だと思いますけど。

 小原 エンドレスに近いということを了解していただいた上で、保存しているということですね。

 尾崎 そうやね。だから、基本的には最初に説明はしているけども、その後でどう生かされるかを、フィードバックしていないケースばっかりになりますけどね。

 小原 普通、「保存」ということを聞いた時に、「何年保存して、その後に破棄する」ということを聞きたいというところがありますよね。

 尾崎 多分そのあたりは、またこれから整理していくべき中身かなと思いますね。今までの血清保存は、同意書も取らず、「どうなったら破棄する」という話もせずに、口頭のやり取りだけになっているのですわ。

 小原 今の時代は「これも含めて個人情報」みたいになるので、やはり廃棄の規則も要るかも知れませんね。

 富田 確か廃棄は2年だったと思いますが、ストックの容量がありますから当然、捨てないとどうにもならないということです。だから多分、小児科だけが長く要求されることがあるのだと思います。

 位田 同意説明書の一番下の行の医療廃棄物処理規程というのは、この病院の規程という意味なんですか。

 尾崎 これは、そういう意味で書いています。

 位田 そういうことですね。では、それに「何年」というのが書いてあるはずですけど。

 富田 決まった数字はないと思いますね。

 吉中 普通の検体とか臓器といったものでやっていますから、ちょっとチェックしてみたいですけど、多分、ないんじゃないかなと思います。

 尾崎 オーダーする分には、3ヵ月と5年の2つがあります。

 位田 実質的にはだいたい5年でチェックされることが多いのですか。

 尾崎 いえ、そんなことはしていません。

 位田 遅れて来たので既にご説明されたかも知れませんが、実施計画書のP4では「検体採取期間は2009年1月-12月の1年間とする」ということですが、当然、今回はそれを過ぎているので、この病院はこの研究に後から参加するということですか。

 尾崎 いえ、その1年間に採った検体について、血清の抗体を調べるという意味なので、我々だけでなく、6ヵ所は全部、同じ条件です。2010年ぐらいからワクチンが打たれ始めているから、そこを入れないという意味で、その前の1年間にしようというのです。

 位田 P7の同意書に「(2)検査の結果につきまして、解説を含めて郵送でお伝えすることができます」とありますが、これは検査ではないから、どういうことを意味されているのですか。

 尾崎 「抗体価検査の結果を…」ということですが、今までの経験的に、一定以上の値なら感染を防御できるという値がありまして、「2009年のあなたの検体は十分にそれに達していました」とか、「達していませんでした」といった結果について、お伝えできるという意味です。

 吉中 同意書の(3)はどういう意味になるのですか。ワクチン接種が始まる前の2009年段階でも、特別に希望があれば接種されることもあったということですか。

 尾崎 多分、それはないはずなんですけど…、プレベナーに関してはないはずなので、これは要らないですね。

 小原 2010年以降だとこれが大事になってくるということですね。

 尾崎 そうですね。ただ、今回の対象は2009年段階の後方視なので、整合性を着けると要らないですね。

 原 発売が2010年ですか。

 尾崎 そうです。日本においては2010年2月。

 位田 時によって違うでしょうけど、小児用の場合、検体はどれぐらいの分量を採られるのですか。

 尾崎 小児の場合は1回に10ccぐらいしか採れないのですが、保存のためだけに採るということはないので、他の必要な検査にどれぐらい使われるかによりますが、血清は1ccぐらいしか残らないですわ。それも幾つかの検査に出しますから、分注という形で0.5ccずつぐらいずつ残しているみたいな程度です。

 位田 それだけでこの測定はできるのですか。

 尾崎 0.0~ぐらいのものなので、十分にできますね。

 小原 かなり丁寧に説明していただきましたが、特に「同意説明書と同意書について、ご家族に丁寧に説明していただいた方がいい」というご要望がありまして、ここはお受けいただきたいのですけども、その他の点についてはどうでしょうか。計画書全体について問題があれば、さらにご議論をいただきたいのですけど、もし、ないようであれば、この計画でご承認いただくということになります。

 北村 「断っても不利益を受けない」という非常に定型的な一文が、だいたい同意説明書に書かれていますけども、それを載せた方が望ましいのではないかと思います。

 尾崎 はい。修正後はどういう形にした方がいいでしょうか。もう一度、倫理委員会に出すのですか。

 小原 これは他の病院と完全に揃えた形で出すのですか。それとも、この病院でアレンジして良いのですか。

 尾崎 基本は武内氏が仏教大で出したものを雛形としていますが、同意書等は向こうも独自なものでやっているので、これもこちらで作りました。各々の倫理委員会を通すため、6ヵ所がそれぞれで出していると思います。

 小原 分かりました。そうであれば、例えば同意書の(3)も、省いた方が簡潔で分かりやすいですし、北村先生が言われた「不利益を被らない」という文章を加えていただいた方がいいかなと思いますね。

 位田 それからついでに、先ほど私が述べたように、内容の説明も加えていただいた方が…、

 尾崎 説明のところですね、分かりました。

 小原 次回の倫理委員会では、みんなの記憶が飛んでいますし、大筋では合意できると思いますから、今の意見を文案に反映していただいて、文案ができた段階で、メールでの回覧による承認ということでいいと思います。

 尾崎 基本は同意説明書と同意書へのご意見の反映ということですね、分かりました。

 小原 計画全体についてはだいたいよろしいですか。

 位田 確実に連絡はできるわけですか。

 尾崎 できます。

 小原 口頭でちゃんと説明していただけるということですね。やっぱりそれがないと、これだけでは理解し辛いと思いますので…。いただいたご意見を同意説明書および同意書へ反映するということを前提にして、この計画についてご承認いただければと思います。

 北村 事務的な確認ですけど、今日に条件的承認というよりは、まだ承認されていなくて、メール回覧されたのが倫理委員会と見なされて、そこで承認ということですね。

 小原 そうですね。それを前提に、取りあえず計画全体については承認でいいと思いますけれども、一応、確認のために修正後の文章を回していただくということですね。よろしいでしょうか。
 では次に、議事の(2)の事例検討に入っていきたいと思いますが、これについてのご説明をお願いします。

 

議事(3)「事例検討」

※事例1例検討しました。

 小原 非常に大切な報告でしたので、ありがとうございました。

 平田 すみません、長時間にわたってありがとうございました。

 

議事(4)「医学研究の利益相反管理に関するガイドラインについて」

 小原 では、次の大きい議題は、何度か議論してきたと思いますが、利益相反のガイドライン作りですね。2次案がお手元にあるかと思いますが、提案者の原さんの方から、説明をお願いします。

 原 期間が空きましたので、改めて説明をさせていただきます。
 研究にあたって資金提供などの利害関係によって、研究結果が歪められる怖れがあるのではないかということが、問題になってきています。例えば今日の臨床研究の審査でも、「利益相反の調査結果」という項目があって、「問題なし」の方に丸をされていますが、病院としての基準自体がないので、そこを評価する手法として、どういう利害関係があるかを研究者側から開示していただこうというのです。それで、「ラインを超えたらバツだ」というのではなく、「ラインを超えた事実があるということを把握した上で審査をするし、それを踏まえて研究結果を評価する」というのが今の時代の流れになってきています。日本医学会でモデル案みたいなものも作っていますが、具体的な線引きはちゃんと示していないので、それぞれの学会で決めるか、医療機関毎で決めていかないと仕方がないのです。広い意味で言いましたら研究のサポートですが、研究を適性に進めていこうとすれば、ここの部分をキチッと押さえて、「利益相反の審査もしましたよ」ということでないと、段々、学術的に通らなくなってきますし、被験者や患者さんの方の権利を守るという意味でも、あまりバイアスのかかった研究の利害が強過ぎたら、ちょっと考えないといけない場合がありますから、そういう観点でも必要だと思います。
 1次案での何度かの議論を踏まえて2次案で、これも去年の暮れでだいぶ経っていますけど、内容自体は、まず「開示すべき対象」の範囲はかなり広く、「参加メンバー全員とその家族関係も含めて」としていますが、「開示すべき項目」はどこでも同程度のものが出てくると思います。
 議論になった具体的な一つは値段の線引きですね。これには仮に「5万円」としていますが、動かしても別にいいと思うのですよ。どれぐらいが大きなお金かということで、日本医学会とかは「原稿料50万円」とか「講演料50万円」という線引きをしていまして、それ未満の金額だと何もないかのように見えるのでいかがなものかということで、こちらの病院としてはもう少し庶民に近い感覚、市民感覚で判断した方がいいのかなというのが、私の考えです。後は、「例えば委員会の審査の時に開示していただくと、そのデータがどこにまで出てしまうのか」と懸念される意見がありましたね。これは「例えばホームページ等に審査資料の一部として出ていくのか」、それから「被験者や患者の方へ渡す説明書に付いてくるのか」というようなところも論点になるのですけど。
 非常に大雑把でしたが、この問題のテーマと論点はそんなところです。

 小原 アンダーラインが引かれているのが1次案からの変更箇所で、項目自体に引いている分は、項目全体が変更されたのですか。

 原 変更箇所ですが、項目に引いてあるのは、整理をするために、全体を入れ替えた分があるのです。

 小原 順番が4、5、5とあるから、これは4、5、6と…、

 原 5が2つあって、順番がおかしいですね。

 小原 私自身は、この議論を全然、分かっていないのですけど、皆さんは既にある程度の馴染みがあると思いますので、上手くいけば今日にある程度の落ち着きどころを見いだしたいと思っていますので、まず、この案に対するご質問・ご意見があればお出しください。

 北村 このガイドラインを作ることの趣旨や意義は賛成できますし、非常に理解もできます。ただ、その線引きをどこに置くのかという問題がちょっと気になっている点でして、一つは金額の問題、もう一つは開示対象を広めにとられているということですね。何故この線引きにされたかということの要素として原さんがおっしゃっていたのは、一つは「事務的処理が複雑にならないようにということで5万円にした」ということと、後は「当院の姿勢を表明する」ということで「庶民に近い、市民感覚」ともおっしゃっておられ、もちろんその要素は勘案しないといけないと思いますが、当院が当院だけで独立してやっているわけではなくて、人材交流をこれからどんどん促進して、例えば大学の先生がここに入ったり、こちらから大学へ行ったりしやすくなるように、人材交流の点も勘案していただきたいという思いもあります。その場合に、当院の線引きが例えば大学に比べて金額が非常に低いとか、開示対象が広過ぎるということだと、人材交流そのものを非常に妨げる要素になりはしないかという懸念がありまして、そこを考えると、例えば医学会で100万円とか50万円と出しているのを、5万円に下げるというのは、ちょっとハードルが高いのではないかと思っています。その点を検討いただいて、ラインをもう少し一般の医学会寄りにしないといかんのではないかというのが、私の意見です。

 富田 臨床研究のシステムを作って実施している病院は、ほとんどが大学や準公的な大きい病院で、私も研究会に出ていますけど、ハッキリ言って一般病院では全国的にほとんどないですね。当院でも、外で計画された研究課題に共同参加することは、これまでも審査していただいていますが、いちばんの目標である中で計画を立てて研究を進めるのはなかなか難しく、まず経験がないと、どういうふうに組み立てていいのかということもあります。そこで、倫理委員会とのシステムの整備と併せて、病院内で別の仕事もやっている研究部という組織に、後押しをするような任務をやって欲しいと思っていますが、新しく掘り起こすところまではいっていないです。
 収賄については、今、いろんな学会で具体的な規制案が出始め、闊達なところほど先に具体化されるようになってきています。いずれ、そういうところの研究にウチも参加し、そうすると当然、そこの規制が掛けられますから、ウチで制限を低くするということ自体、あまりピンときません。というのは、ウチの臨床研究申請書には「利益相反の問題の有無」という項目がありますが、まだオリジナルの臨床研究がないので、利益相反自身がまだ話題になっていない段階で、あまり細々とやっても、そこだけ立派な建物ができて、後は頼りないということになって、なんかバランスが悪い感じがしますから、むしろ、「こういうふうな問題もあるよ」ということを気付いてもらうということで、漠然とした額でも良いのではないかと思います。
 対象者のことも、「配偶者・親子・同居の親族」というのは、厳しい学会ではそうだと思いますが、配偶者に「見ておいてよ」と言えても、親子や同居の親族には難しいと思いますので、「初めてチャレンジするメンバーにとっては気付きになって、これからの励みになる」という程度にしておいてもらえた方が現実的かなと思います。

 位田 利益相反をどういう性格のものと考えるかは、なかなか難しいのですけど、基本的に「透明性を高める」という話で、隠すと当然にペナルティがあり得ると思いますが、[8:委員会における審査]で、「利益相反の程度を理由に、研究計画を不承認または一部不承認」というところまで本当にやって良いのだろうか。確かに研究の結果が例えばジャーナルに載る時、「実はこの企業からたくさんお金を貰っていました」ということで、研究成果に対する信頼性の問題は出てくると思うのですけど、「科学的に非常に良い研究でも、お金をたくさん貰っているなら承認しない」という考え方はちょっといかがなものかと思うので、「承認」「不承認」の判断材料に利益相反の程度を持ってくるのはきつ過ぎるかな。例えば、最近よくあるのは製薬会社から研究費が全部出ている研究で、製薬会社さんはもちろん自分の利益にしようと思っているけど、非常に重要な研究なら、お医者さんや科学者にしてもそれは良い研究なので、研究費を貰っている研究計画はダメだというわけにはいかないだろうと思うのですね。だから、研究報告には「どの会社から幾ら貰っているかを明示するように」という条件を付けて承認すればいいと思うのですが、8:条を使って「やるな」というのは求め過ぎかなという気がするのです。

 原 ここは、積極的にここでブレーキを掛けようという意味ではなくて、かなり極端なケースを想定している話ではあるのですけどね。

 位田 だから、極端なケースかという判断がなかなか難しいのです。私は倫理委員会では「利益相反があるから承認しない」という話ではなく、「透明性が確保できれば良い」と思っていますから、隠していることが後で分かったら、「研究計画をストップしろ」というのはあり得ると思いますが、最初に申告しているにも拘わらず「お前はお金を貰い過ぎているから、ストップしろ」というのは、趣旨が違うのではないかという気がします。

 富田 私も位田先生のお考えに賛成で、ここで何を判断するかという時に、レビューをするのはできないと思っています。「この研究は収賄の問題でダメだ」と判断するのは、学会なり雑誌を編集しているところがやるべきだと思うのですよ。特に、これはスタート時点の組み立てるところを扱いますので、基本的なレビューはできないし、むしろ、オープンにする癖をここでキチッと付けてもらって、ということの方が自然だと思います。

 原 それは学術的な評価の話としてはそうなんですけれど、被験者保護という観点から考えれば、臨床研究をこれから進めていくという計画の審査をする時に、「これはどうかな」というような利益相反があれば、そのまま進めてよいのかということですね。

 位田 その被験者保護というのが、科学的な部分と個人情報の保護とかオートノミーのような話とか、そこで引っかけるのは私も正しいと思うのですけど、利益相反を考えて「被験者が害を被るというのは、どういう場合があり得るのだろうか」というのが、ちょっとピンと来ていないのですけど。

 吉中 利益相反で例えば企業から研究費が入っているということは、一応、科学性と倫理性のところで評価をするということのインパクトにはなるでしょうけど、評価の中身は多分、「貰っているからなんとなく怪しいのではないか」というような発想はあるにしても、それで判断するというのは馴染まないと思います。例えば軍事研究ということで防衛省から出ているとかですね、米軍から出ているというのは、ウチの病院なんかのスタンスから言えば、「それは認めない」とは言いやすいですよね。これは職員もみんなよく分かると思うのですけど、実際にそんなことはあり得ないので、現実と少し合わない感じがしています。
 それから[3:情報開示の対象者]の②では、「法人である京都保健会が、研究と利害のある企業団体と関係ある場合も開示対象とする」となっていますが、ちょうどこの4月から公益社団になったので、寄付を受けられるのですね。寄付の中には匿名もあるので、そういったあたりとも合わないですし、実際に「保健会が…」という場合だと、保健会の構成員が研究を申請すると、全て一律に出さないけないという話に近くなりますよね。その枠をどこまでにするかというのも少しファジーだと思うのですけど、広くとれば、関連している部分は全てということになるのですけど、実行性があまりないかなと思います。保健会として寄付自体は慣れていないのですけど、公益社団となったので、企業も含めてしっかりとお願いして、できれば研究所が作れたらいいなというぐらいは思っているのですね。自然科学でなくても、例えば倫理研究所でもいいのですけど。そんなことも考えていくと、3:をどう扱ったらいいのか戸惑って、「これは要らないのではないか」「広過ぎる」と思ったりするのですね。

 原 京都保健会は幾つも医療機関を持っていますが、財政はそれぞれの施設毎にされているわけですか。

 吉中 嫌、保健会がネットで運営していますので、銀行口座を含めて全部そうです。

 原 全部ひっくるめてということは、例えば病院への委託研究というようなものは、会計上は存在しないということですか。

 吉中 治験なんかは病院との契約だけれども、お金は最終的には法人契約やな。

 原 病院会計というのはあるのですか。

 吉中 あります。で、決裁権限というのを決めていますので…、

 内田 当然、それぞれの事業所毎に会計単位を持っております。後は資産ですが、これは基本的に一本で、当然、銀行と取り引きは法人が全部します。ただ赤字・黒字の問題は、それぞれの事業体が損益を全部出して、当然、一本化して損益も出しますけども。

 原 計算はされているのですけど、研究なんかの契約は、院長なんかがやるわけです。

 吉中 企業との委託契約というのはないのですけども、市販後調査はありまして、これは病院単独でそのメーカーと契約しています。それは大抵、1件についてレポートして、1万とか3万とかの費用が入ることになります。

 原 病院に入りますよね。

 富田 病院に入ります。ただ、使用範囲の概念からいくと、広義と狭義がありますけども、狭義の方は、個人と所属する機関があるのですね。だから研究者が所属する組織が、例えば関係する会社から研究費を受け取っている場合には、それを公開しなければいけないという方向にはなるはずです。

 吉中 寄付とかは、京大なんかだったら、すごいことになるのではないですか。

 位田 ウチなんかは、受託研究は個人で金を受け取るな、京大なら京大、学部なら学部に寄付してもらう形で、ただし研究費として使えるのは特定の人ということになり、他の人は使う権利はないわけです。そうでないと研究費の流用とか、いろんな問題が起こるので、やっぱり法人に入れて財務的なことは全てキチッとやって、透明性を高めておいて、それから使いなさいということです。

 富田 むしろ逆に、委託研究に関する寄付を積極的に受け取るの方向に打って出れば、これをキチッとやっておいた方がやりやすくなりますよね。

 吉中 これの読み方は、位田先生が言われたように、企業から保健会に契約してもらう形で、その研究を担当者がするというような場合には、開示するということで、保健会所属構成員だから保健会一般に全部関係するという話とは、ちょっと違うということですね。ちょっと読み取れなかったのですよ。「保健会がその企業と関係を持っている場合は開示対象とする」というのは、読みようによっては、あらゆる製薬企業・医療機器メーカー、あらゆる個人が全部入ってしまうからね。

 原 寄付とかは全部、研究費に入ってはきますよね。

 吉中 でも、「これに使ってくださいということでなく、保健会に寄付します」という、特定しない寄付ということもありますし、匿名の寄付もあり得ると思いますよね。始まったばかりで、まだありませんが…。

 関谷 使途を指定しない寄付の場合、研究と直接の利害関係がないので、それは関係ないということですね。

 原 関係ないのではなくて、やっぱり情報開示の対象になってくるのだと思います。

 位田 使途を特定しなくても、巨額のお金がどこかから入れば…。

 広瀬 「お薬を使ってもらったら、これだけあげます」ということも、これからは出てくるということですか。

 吉中 そういうことはないですけど…、

 位田 研究でないとダメなので、臨床ではないです。

 小原 今の議論からすると、今日に決着を付けるのは難しそうですが、何もなしで次回に送るのは悔しいので、幾つか確認したいと思います。3:の②のところの議論では、文章をもう一度、練り直した上で、今の問題をカバーしていく必要がありますから、ちょっとおいておきたいと思うのですね。
 8:のところは確かに大事で、透明性を確保するという理念に対して反対している人はいないと思いますが、その額によって研究の活性度が過度に抑制されるのも良くないと思うのですね。ですから、そのことを大枠とした上で何が必要か、そして、その意味では極端にハードルを上げ過ぎないということを考えたいと思います。まず最初に、位田先生のご提案では「透明性を確保した上で、利益相反を承認・不承認の条件にしない」ということで、「8:は要らないのではないか」ということですが、この点はいかがでしょうか。

 位田 これを残すとすると「研究計画を承認する場合に、研究成果の発表においては、利益相反の程度を明記することを求めることができる」という内容にして、研究そのものをストップさせるのではなく、成果が出た時に信憑性が疑われる可能性があるので、利益相反の項目を明記するように求めることができるようにすればいいと思います。例えば5万円ぐらいで、「5万円を貰いました」と書かないといけないかと言えば多分、そうではないと思うので、まさに「利益相反の程度を理由にして、明記することを求めることができる」ということでいいのではないかという気がするのですけど。

 原 その程度に書くのか…。事実上という意味で言いましたら、それがなくてもあまり変な話なら、開示されるということによって、ブレーキがかかるのだと思いますがね。そんなのはよう出せないだろうという意味で…。

 小原 じゃぁ原さん、8:はなしでも良いということですね。

 原 確かにこれ自体は…。基本は透明化というシステムなんですよ。それを何か規制というふうに捉えられると、誤解を招くという面はありますから…。

 小原 では、8:は削除ということで…。これは今日の一つの成果ですね。それから、恐らくきちんと議論しなくてはいけないのは、2つの5:の内、下の方の5:の②のところで、金額は5万と記載されています。ここに数字は入れた方が良いのでしょうけれども、5万だと庶民的過ぎるという可能性もありますので、どうなんでしょう。サッパリ分からないのですけど、より現実的な額といいますか、現在、他の所で提示されている額と比べて、ある程度妥当な額を示していいのではないかと思うのですけど。原さんの提案では5万なんですけど…。

 原 いや、この時は仮に5万と書いただけのことですから、そんなに拘らないのですがね。P3に幾つかの施設や学会の線引きを出していますが、日本医学会の分は「こんな書き方をしたらいいのですよ」という例示をしているだけでして、医学会の線引きではなく、単に書き方の目安です。後は、いろいろと差があるのですよ。確かに贈り物とか旅行とか現金を個人的に貰ったみたいな話と、研究費の話はだいぶ違いますよね。そういう差のつけ方というのはあり得ると思います。ただ、講演料50万とか原稿料50万というのを目安にするのは、やっぱり市民感覚からしたら十分に多額ではないかという感じはしますね。

 関谷 講演で50万ね、貰ってみたい気がするなぁ。

 小原 どうでしょう、50万では大き過ぎるし、5万では少な過ぎるという感じがするのですけども。

 北村 先ほど言われた市民感覚という基準と、人材交流を活発化することで言うと、市民寄りにしていくと交流が辛どくなってしまいますね。

 小原 例えばb:、c:に関して年間5万未満となっていますけど、具体的に何か案はありますか。

 北村 原さんがお作りいただいた一覧の中で、あまり煩雑でないものにほぼ一致させるとか、合理的な根拠はないのですが、1割引にするとか、その程度の発想でしょうか。僕はよく分かりません。

 富田 b:、c:よりも、むしろa:の役員報酬とかの方が問題にならないですか。b:、c:は研究の対価みたいなところがありますけど、a:は本当に利益ですよ。

 位田 自分でベンチャー企業を立ち上げて、社長をやりながら研究もやっているという方はこれにあたりますからね。今はそういうのがどんどん増えているでしょうし…。

 富田 そういうのが出てくるとすごいですが、大学はそうなんですよ。ここは全然違うのです。

 吉中 就業規則にかかりますよ。これはあり得ない。その関係もあるから、合うようにしなくては…。

 勝村 朝日が1面トップで書いたら、「それで良いのだ」と反論が来たり、今、もめていますよね。
 その研究の企業の過去3年で、やっぱり、かなり貰っちゃっているものですか。一般に「書け」と言われたら、書かなければいけないことがいっぱい出てきちゃうものですか。

 富田 普通、当院ではないでしょうね。これはやっぱり本当の研究施設・大学の話ではないですか。

 位田 それこそ人材交流で「こっちの病院に来ました。で、3年で元の病院に戻りました」というような話がある時に、「2年前にベンチャー企業の取締役をやっていた」ということもあり得るわけですから。

 勝村 逆にそういう場合って、その企業と研究が基本的に一致している場合だけでしょ。違う企業だったら別に問題ないわけでしょ。…じゃないのですか。で、2年前に取締役だった企業と研究がたまたま一致しているのだったら、やっぱりちょっと不信だと思う。

 位田 ただ基本的には、その分野の研究をしているからベンチャーに入るわけだし、病院を替わっても研究対象はそんなに変わらないと思いますよ。

 勝村 そんな場合は開示して書くわけでしょ。で、5万より上げてもいいと思うけど、50万円だったら書かなくてもいいけど、5万円にしたらいっぱい書かなければいけないという話なんだろうかという気がするんです。

 富田 他所の人からすれば「ウチは50万なのに、ここは5万ですか」と敬遠されてしまうかも知れません。

 勝村 そういう印象を気にされるのは分かるけど、現実にはあまり出てくる件数に差がないような気がする。

 北村 事務的な煩雑さという点では、恐らくそう変わりはないのだろうということだと思うのですけど、人材交流をする上での心理的障壁は高めてしまうのですね。そこが大きいだろうと思います。

 小原 その点で言うと、0を1つ付けたぐらいの方が良いのですか。

 北村 そうですね、医学会の目処というのが講演料・原稿で50万とか書いていますから…、

 勝村 これは目処ではなくて、例示です。

 位田 ですけど、医学会のガイドライン案なんていうのは、どこかが作る時に「医学会ではこうだから」という話がいっぱい出てきているのですよね。医学会は「こうしなさい」とは必ずしも言っていないし、それを言うのはちょっと抑えていたとしても、「このへんが目安だと医学会が言っているのだから」と、あっちこっちで採り入れられていますから。

 吉中 やっぱり、科学的な公正さと倫理的な妥当性に関わると思われる妥当な額というところが、いちばん基本的なラインですよね。そういうところを考えた方が良いですし、私達も大学の先生達は何人かと交流があって、研究のテーマはそういうのが多いのですけど、そことの兼ね合いをどうするのかというので、非常に処理し辛くなるというのが事実ですね。共同研究のような時に「ウチ用にこれを全部出してください」という話は、なかなか実態としては厳しくなります。癌の研究もありましたけど、ああいうやつをね。

 原 それは、例えばここに来る研究者が、事務的な煩雑さという意味で厳しくなるというのでしょうか。それとも心理的な意味ですか。

 吉中 両方あると思いますね。

 原 ただ、物事の透明化という話で、心理的に抵抗感を覚えるというのは、なんか話がおかしいと思いますわ。

 吉中 そうは言っても、倫理の問題で力を得るためには、それと折り合っていかなければ難しいと思います。

 位田 要するに、簡単に言えば「5万円を貰ってインチキをするかどうか」という話だと思うのですね。で、「そこはあんまり考えられない。50万円を貰ったらどうか」ということですよね。例えば50万円というのは多分、普通の中堅のお医者さんの月給ぐらいで、1回の講演で1ヵ月分を貰えるということを考えると、50万円というのはそれなりに妥当な金額かなという気はするのですけど。でも、例えば普通の大学卒の初任給って今は20万円前後ですから、そのへんを基準にしてもいいかなという気もしますけど、5万円くらいでは本当に…。

 原 別に私はその設定に拘ってはいません。

 小原 今日中に決めるのは難しいですかね。まぁ30ぐらいでいいかなぁとか…。

 原 後は対象者と、開示したものをどう扱っていくかという問題がありますわ。個人情報と言ったら個人情報ですが、特定の企業関係という話で、個人の関わりを全てさらけ出してくださいというのではないわけですから、誤解されないようにして欲しいと思います。

 小原 今日は時間がありませんのでこれぐらいにしたいと思いますが、理念については反対意見がありませんので、特に3:と、5:の下の方の金額の具体的な範囲について、引き継ぎ事項として次回、精力的に詰めて、成立させられればと思います。

 原 次には第3次案を考えますわ。何か重要なご意見はなかったですか。こちらの方の方、東先生も…。

 東 本文では雑多なものをb:、c:と一括していますけど、この例にあるようにもう少し個別に分けるような形で、具体的にされた方が良いと思いますね。区分けして出した方が、例えば飲食なんかは、一方的に接待を受けるという話ですから、5万円でも3万円でも全然問題ないと思うのですがね。後は、原稿料が50万というのはあり得ると思うのですよ。講演料が50万もあり得ると思うのですよ。これは50万円を30万円にあったとしても、それは庶民感覚ということではないので、分けた方が良いと思うのです。

 小原 東先生の案では、日本医学会のような表を作った方が良いということですね。

 東 絶対、細かく分けるべきだと思いますね。研究費で貰う分は、額が大きくても当然良いわけですから。

 原 「良い」とか「悪い」というよりは、どこまで公開するかという話ですからね。

 小原 ということで、新たな宿題が増えましたので、次回、それも含めて審議していきたいと思います。これについての審議は終わりまして、最後の「その他」の「①治験審査委員会の報告」の方ですね。

 

議事(5)「治験審査委員会報告」

 富田 特に変わりはなく、今のところは順調に動いています。資料P1のFTY720はオープン試験に移行して、最終的な保険への収載を待っている段階ですね。それからP4とP9の分はBG00002というお薬ですが、こりは安全性情報の報告がされています。以前にちょっと問題になった進行性多発性白質軟化症の患者数は、だいたい1000人に1人の割合で出ていると思いますが、まだ新しい情報はありません。それからP7のインターフェロンの方は第Ⅳ相で、オープン試験でやっていますが、特別な問題はなく動いています。

 小原 特に問題がないということで、ポイントを幾つか指摘していただきましたが、それでご了解いただいてよろしいですか。はい。ありがとうございました。それでは最後に「②懇親会について」ということで…。

 内田 あと残り、次回の日程と懇親会ですが、前にやりましたような形で、普段は話さないことも率直に話をしていただけるような、ざっくばらんに交遊する機会を設けようと思いましたが、倫理委員会で議論した後では辛どいので、日程を分けたいと思います。倫理委員会は通常でしたら2ヵ月に1度なので8月になりますが、第3火曜日は16日で難しいので、第5火曜日の30日でよろしいですか。次に、懇親会は7月19日はどうですか。

 北村 私は夜診があるので、できるだけ先、9月とかにしていただけると助かります。

 内田 それなら9月20日はいかがですか。では、倫理委員会は8月30日で、会場は西館の引き渡しがまだなので太子道診療所、懇親会は9月20日で場所はまたこちらの方から連絡します。いずれも18時30分からお願いします。

 小原 以上でよろしいですか。はい、どうもありがとうございました。今日の会場も、いろんな人が関心を持って見てくださって、本当に良かったと思います。考えると、我々は一生懸命にやっているのですけど、病院の人達はまだ十分に馴染みがないのかなと感じたので、できるだけ広報して、理解してもらえるような機会も作ったらいいかなと思いますね。では今日、長い時間をありがとうございました。これで終わりたいと思います。

 

 

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