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第三十九回 倫理委員会 議事録

京都民医連中央病院

日時 2010年10月19日(火) 18:30~21:30
場所 太子道診療所3階多目的室
出席者 外部委員 原委員長、勝村副委員長、位田委員、岩橋委員、関谷委員、広瀬委員
内部委員 北村副委員長、赤木委員、内田委員、吉中委員、中村(特別委員)
事務局 丸山
オブザーバー 清水、橋本、富田(治験審査委員会委員長)
エコチル調査関連オブザーバー 呉東進、八角玲子(共に京都大学大学院医学研究科所属)
欠席 井上委員、東委員

議事

議事(1)「子供の健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)について」

 倫理委員会を開催いたします。本日の予定はまず、「臨床研究…」と書いていますが、これは疫学研究・調査の共同研究の申請で、次は前回から継続の「倫理委員会規定の改定」ですが、このあたりはそんなに手間のかかるものではないだろうと思います。後は積み残しの分ですが、「利益相反のガイドライン」はほとんど議論ができていないので、改めて説明して進めたいと思います。輸血拒否のガイドラインも途中で止まっていますが、完成に近づけたいと思います。事例検討も当初は挙がっていましたが、解決したとのことで、取り下げられました。
それでは「エコチル調査」から始めますが、これは愛称・通称ですか。

八角 愛称です。

 これについてのご説明をアウトラインが分かる形でしていただけますでしょうか。

呉 京都大学の呉と申します。かいつまんでエコチル調査について説明をさせていただきます。皆さんのお手元にたくさんの資料がありますが、まずブルーのは環境省が作りましたこの調査のパンフレットです。割印が捺されたやつは環境省で行われた審査検討会の通知書で、この調査について「適」が出たという証明になります。これとセットになるのが「疫学研究に関する審査申請書」で、環境省に提出した書類のコピーです。色刷りの表組みの分は、エコチル調査の生体試料でどういう検査項目があるかというリストです。ちょっと厚めの「研究計画書(第1.01版)」というのが、この研究に関する計画書の全てです。後は、母親向けの説明書とご案内のチラシ、実際にリサーチコーディネーターが母親に説明する内容等を示したパワーポイント画面を印刷したものです。こちらは倫理審査委員会ですので、環境省への申請時に使いました書類を主に使って説明させていただきます。
エコチル調査の正式名称は「子供の健康と環境に関する全国調査」と言いまして、長いのでエコチル調査と略称しています。事業主体は環境省で、環境省が企画と立案をしていまして、環境省の国立環境研究所という所に、調査全体の総括的な管理と運営をする中心機関としてコアセンターが設置され、コアセンター長が東北大学の佐藤洋先生です。で、そのコアセンターの下に全国で15ヵ所のユニットセンターが作られています。その一覧は申請書のP1に載っておりますが、更に研究計画書のP6~7には、どういう地域を各ユニットでやるのかということで、大学等の共同研究機関名と調査地区、調査対象予定人数が載っております。その中の一つに京都ユニットセンターがあり、京都大学の医学研究科と同志社大学の赤ちゃん学研究センターの2施設が共同で運営しています。そして、調査対象地域として京都市の左京区と北区、京都府の木津川市、滋賀県の長浜市を対象に、来年の1月から3年間にわたって5000人の妊婦さんをリクルートして調査しようということになっています。
この調査の目的ですが、近年、子供の健康状態がかなり変わってきて、例えばブルーのパンフのP2の2つのグラフを見ていただければ、例えば喘息の患者さんが各年齢層で年と共に増え、ダウン症・水頭症・二分脊椎症といった先天異常のどれも少しずつ増えてきている。その下には他の病気、例えば小児肥満とか小児糖尿病の増加、男児の出生率の低下も挙げられていますし、低出生体重児の増加、神経系では自閉症とか学習障害といった人の増加とか、多くの分野にわたって子供の病気の状態あるいは健康状態がかなり変わってきているということが、臨床の世界でも、いろんな子供に関わる人の間ではかなり周知の事実のようになってきております。もちろん、環境だけが原因ではないとは思いますが、「おそらく、近年に増えてきているいろんな環境ホルモンや大気汚染といった化学物質が何らかの影響をしているのではいないか」という危惧はされているのですけど、ちゃんとしたエビデンスで証明はされていないということで、下に世界地図の表が載っていますが、同じような懸念が世界中で持たれていて、既にいろんな国で小規模や大規模の調査が始まっています。日本でも数年前からワーキンググループのような、あるいは小規模なパイロットスタディのような調査がされてきたのですけども、この度、環境省が主体となり、主に環境の側面から、何らかの化学物質が子供の健康に影響を与えるのではないかという視点で、調査をされることになりました。
調査の対象者および方法ですが、先ほど申しました15ヵ所の調査地域に住所を持っている方で、来年の7月1日以降に出産される方をリクルートの対象にしています。リクルート期間は3年間です。除外基準は、インフォームドコンセントで同意の得られない方、それから、もちろん外国籍の方も対象にはなるのですが、日本語でのやり取りがかなり中心になるので、質問票の記入や理解が難しい方は対象から外れます。それから、臍帯血の採取がかなり重要視されておりますので、里帰り出産などによって臍帯血が採取できないことが最初から明らかになっている方は対象から外れることになります。
この調査における主な仮説は申請書のP3に書いてあります。妊娠・生殖、先天奇形、精神神経疾患、アレルギーなど、各分野にわたっていろんな仮説が立てられております。いずれも環境中の化学物質が健康状態に何らかの影響を与えているという仮説の下に、それを検証するという形の研究になっております。そういうことから、何らかの環境物質の関係が深いということになったら、それをコントロールしていくことで健康被害を防ごうというのが、環境省の目的です。で、実際に測定する化学物質は、色刷りの表の資料に書いてあります。
大まかなスケジュールはブルーのパンフの裏側、あるいは研究計画書のP17~18に書かれています。主に妊婦さんの妊娠初期・中期・分娩時の血液を採らせていただく。それから尿を採らせていただく。同意を得られたお父さんの血液もいただく。出産時の臍帯血を採取する。それから子供とお母さんの毛髪もいただく。それから普通、新生児期に代謝スクリーニングでろ紙に子供の血液を少し採るのですけど、それを余分にもう1枚いただくということが予定されています。そういうことによって、重金属とか環境ホルモン、アレルギー関係の物質など、通常の生化学検査も少し入っていますから、かなりたくさん測定されることになります。当然、化学物質だけの影響で健康が変わるわけではなく、遺伝的な素因もかなり影響しますので、併せて、遺伝子解析のために血液を一部保存しておくということも予定されています。
次に申請書のP5に行きますが、本調査に関しては文部科学省と厚生労働省が出している「疫学調査に関する倫理指針」および「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に則って研究することが定められています。で、最初のリクルートの段階では、母親向けの説明書に書いてある内容を全て説明し、同意いただいた上で、実施することになっています。この文書はページ数も多く、読むのは大変ですから、私達、京都ユニットセンターでは、資料にもあるパワーポイントなどを基にしたDVDを作成する予定にしていますので、それを見ていただいたりしながら調査の内容を対象者に理解していただき、その上でインフォームドコンセントを得る予定にしています。父親からも同様の手順でインフォームドコンセントをいただきます。この調査は妊娠中から子供が13歳になるまでという、非常に長期間の調査ですので、最初の内は子供も説明を理解できない年齢ですが、説明が理解できる年齢にまで達しますので、その段階で子供さんにも説明して同意をいただくということが予定されています。
で、そういう説明はリサーチコーディネーターがやることを予定しています。リサーチコーディネーターは、医療的なバックグラウンドを持った人を第1候補として、看護師さん、保健士さん、助産師さん、あるいはコメディカルの仕事の経験のある方をメインにしていますけれども、どちらにしても中央のコアセンターあるいは京都ユニットセンターで研修を受けて合格した方を、守秘義務契約を交わした上で採用する予定になっています。
いろんなデータをこちらで集めることになりますけども、連結可能匿名化という形で、データは中央のコアセンターに一括管理されることになります。で、決められたアクセス権を持った者だけがそれにアクセスするという形で、情報の漏洩を防ぐという計画になっております。当然ですけども、参加者の方は最初の同意を途中のどの段階でも取り消すことは可能ですし、それによって不利益を被ることは全くありません。今は母親の最初のリクルートの時の説明文書をお見せしましたが、各ステップにおいていろんな説明文書を使って理解していただくという予定になっております。調査期間は、今の準備段階も含まれていますが、2010年4月から2032年12月までという非常に長い期間の調査になります。以上、駆け足で内容だけを説明させていただきました。

 ありがとうございました。質問等がございましたらお願いします。

富田 全群がこれらの検査項目をやるということですね。

呉 そうなんですけど、採血が足りなかったり採れなかったりということもありますので、一応、優先順位が決められていまして、その順に取っていって、「取れなかったら仕方がないね」という形になっています。

位田 10万人という数は、何か根拠がある数なんですか。

呉 それは、いろんな仮説がありますので、非常に頻度の少ない病気でも統計的に何か有意な結果が出せるようにということから、逆算されたようです。

位田 3年間で10万人なので、1年間にすると3万3千人ぐらいですから、年間で100万ぐらいは出産があるかなということなので、その内の3%程度でいけるということなんでしょ。

呉 地域ベースというのがこの調査の特徴でして、「その地域に住所を持っている人の出産の50%をリクルートしなさい」という非常に高い目標が掲げられているのです。だから京都で言いますと、北区と左京区で年間約2000人の出生数ですから、その半分の1000人ぐらいをリクルートするという目標が設定されています。

位田 それは京都大学と同志社大学のユニットセンターで、関連病院等を含めて確保できるという…、

呉 実は、この地域の2000人がどこで出産されているかを我々なりに調査しまして、だいたい北区・左京区で十数施設にお願いしているところです。それでこの地域の出産数の約7割になり、その内の7割ぐらいが参加していただければ0.7×0.7で約50%。通常の研究ではなかなかそこまで参加してくださらないのですが、環境省のプランでは50%を確保しようということなんです。後は対象者の方が参加してくださるかどうかにかかっています。

位田 ただ、住環境からすると、左京区・北区は比較的に良い環境で、工場が比較的多いところは対象から外れるわけですね。そのあたりはどうなんですか。木津川市や長浜市も環境的には良い場所だと思うのですけど。

呉 環境の影響を考慮して地域を選定してはいないのです。公募によって選定されていて、全国で応募してきたところの中から、どういう基準で選ばれたかは知りませんけど、ちゃんとリクルートしてできる地域という基準で、環境省の方が選定されたのだと思います。私達が京都で左京区・北区を選んだのは、それほど大きな理由はなくて、遠い地域だとなかなかアクセスしにくいですから、単に京都大学がそばにあるという理由だけです。おっしゃるように、公募という形ではなく、環境省が環境などを考慮してそういう地域を幾つか選び、「やってください」とお願いして調査すべきなんでしょうが、それはまた違う形の研究になるかなと思います。

位田 例えばアメリカのチルドレンスタディではサンプルは10万人ですけど、これも同じような感じで選んでいるのですか。それとも「この環境からはいくら」というように、環境の違いを考えているのですか。

呉 アメリカのデータの詳細は知らないのですけど、アメリカではリクルートが難しくて上手くいっていないようで、いろいろと頓挫したりしながらやっているようです。先生が言われるような研究は既に小さな規模で、例えばコアセンター長で東北大学の佐藤先生が、漁業の盛んな地域で水銀の影響を見る調査をされています。

位田 同志社大学には医学部はまだなかったですよね。どういうふうにされるのですか。

呉 私は京大へ移る前はそこにいたのですけれど、赤ちゃん学研究センターのトップは小西先生という小児科医で、私も小児科医ですし、医学部はありませんけど、赤ちゃん学研究センターでは乳児期からのベーシックな子供の健康を調べていき、広い意味での生命健康科学という形でやっています。

位田 でも、関連病院はないですから、同志社大学はサンプルを集めるという役割ではないのですか。

呉 同志社大学は木津川市を主に担当していただくことになっていますが、既に木津川市と同志社大は、子育てということでは京都府も含めた連携がありまして、例えば「赤ちゃんに優しい都市づくりフォーラム」を昨年からやっていますが、そういうイベントでも1000人から1500人が来られるような関係ができています。で、木津川市の場合は2ヵ所ぐらいでだいたいの分娩を扱っておられるというのが分かっていまして、そこにはもうお願いに行っていますが、市との連携を重視して同志社大にやっていただくことになりました。

位田 長浜市も同じようなことですか。

呉 長浜市では、子供や妊婦さんは入っていませんけど、似たような成人版のコホートスタディーを京都大学の医学研究科が何年か前からやっていますから、同じような形で既に市との連携がとれていて、それの子供・妊婦版になるだけなのでやりやすいだろうということで、選定しました。

位田 疫学研究の指針が適用されるのは当然なんですけど、ゲノム指針が適用されるとすると、ゲノム指針は「どういう遺伝子を調べるのかをできるだけ説明しろ」という方針ですが、それについての説明が1.01版ではハッキリしていないですね。ゲノムワイドに調べられるのかも知れませんけど。

呉 まさにおっしゃる通りなんですが、実は、遺伝子をどのように解析するかについては、まだコアセンター・環境省で決定されていないのですね。だからもし必要なら、そのへんがハッキリした段階で、修正部分だけをまた審査していただくことになるかも知れません。決まっていないことについては私達もどうしようもないですが、少なくとも決まっていることについては指針に沿った形で整えています。

位田 データはコアセンターに全部が保存されるそうですが、マテリアルもそうなんですか。

呉 そういうことになります。それぞれの部分で搬送しますから、病院とかに残ることはないです。

位田 分析は病院でやられて…、

呉 分析も中央でやります。採取して、業者が取りに来るまでは保管しますが、各病院ではそれだけです。

位田 ただ、全体調査だけでなく、何段階かの調査がありますよね。

呉 全体調査の他に詳細調査があります。もちろん「全体調査に参加しますか」の「YES・NO」と同様に、詳細調査も「YES・NO」がありまして、予定としては全体調査の5%ぐらいの同意をいただいた方により詳しい調査、例えば実際にお家へ伺って埃を集めてそれを調べるとか、あるいはフォローアップの段階をもう少し詰めてやるとかいうことですが、これもどの段階でどんなことをやるのかは、まだ決まっていないのですね。

位田 マテリアルが全部、中央に集まってしまうと、詳細調査というのは、中央から「こういうのを集めなさい」という指示が来てやるという形になるのでしょ。

呉 おそらく各病院への指示はなく、ユニットセンターへ「これをやりなさい」という形になると思います。

位田 そうすると、ユニットセンターが埃といった環境情報にあたるようなものを集められて、それも中央に送られて、解析は中央でやるということですね。

呉 そうです。私らのところでも何かを解析するということはありません。

位田 追加調査というのはユニットセンターだけでやられるわけですよね。

呉 追加調査の時だけはやります。これも普通の競争的研究資金なので、応募してパスしたものみ追加調査ができますが、それは各ユニットセンターで独自にやる研究ですから、ユニットセンターでやることになります。

位田 マテリアルがユニットセンターに残っていないと、追加調査はできないのではないですか。

呉 他所のユニットセンターがどんなことを追加しようとされているのかは知りませんが、今、私達が考えているのは、新たに生体試料をいただくとか、そういうことは考えていないですね。診察をもう少し詰めてやるとか、あるいは胎児の動きをエコーで詳しく解析するとか、あるいは刺激を与えた時の脳波の変化とか、そのようなデータなので、データとしては残りますが、試料として残るようなものは計画しておりません。

位田 中央で解析したデータを使って、追加調査をやったものと照合して何かを解明しようということですね。

呉 おっしゃる通りです。重金属や環境ホルモンなどと、こちらで採ったデータがどんなふうに関係しているかということになりますね。

広瀬  北区・左京区に住所を持つ人が対象ということですけど、例えば中京区に勤めに来ていて、子供も中京区の幼稚園にいるとしたら、ずいぶん状況が違うと思うのですけど、そういうこともチェックしていくのですか。

呉 生まれた後、その子が中京などへ行ったりすれば、影響はあるでしょうが、本体の調査では、お腹の中にいる時にどういう環境曝露を受けたかというのがメインなので、生まれる時までの住所がどこかが問題なのです。

位田 そうすると、その環境情報は質問票とか口頭のインタビューで集められるということですね。

呉 そうです。主に問診票で集めます。生まれてから後は、半年に1度くらい問診票をご自宅へ郵送して、回答していただくということが主な作業になっています。

 1歳半や3歳とかの生後の面談調査というのは、専門家が…、

呉 それは詳細調査の方で、本体調査の方では通常の乳幼児検診とか、学校へ行ったら学校検診とか、既存の検診のデータを転記させていただくということがメインになっています。詳細調査では、調査員が行って面談するということになると思うのですけど、詳細調査の詳細は全く決まっていないので分からないですね。

 精神神経発達と書いてありますが、その診断基準によって内容がずいぶん変わってくるのですけど。

呉 おっしゃる通りなんです。私も小児科医なので、どういう診断基準で誰が診断するのかというのは、非常に気になるのですけども、そこのところはまだ分かっていないですね。逆に言うと、本体調査が問診票と既存の検診の転記程度のものなので、詳細調査でもう少し詰めた内容を計画することになるのかなと思います。

 母親への説明書のP11に「交通費などの協力費として謝礼を払います」とありますね。

呉 参加者への謝礼は、問診は約2000円相当の金券、採血させていただく場合は5000円相当の金券が支払われることになっています。

 「大きな不利益を被った場合」というのは、交通事故以外に想定されるようなものはあるのですか。

呉 おそらく採血の時に例えば血腫を作るとか、余程の時は神経損傷とか、その程度のことかなと思いますが、一応、環境省の方で保険に入ることが計画されていますので、各病院で入っておられる保険でカバーされない分は、これでカバーする形になると思います。

富田 生後1ヵ月の検診は小児科の協力が要りますか。

呉 はい、新生児の時と生後1ヵ月の時は小児科の先生に所見を取っていただくことになります。

富田 当院の場合、まだ小児科からのレスポンスがないのですけど、ないと不可能というわけではないですね。

呉 はい。主に産科の先生に非常に負担をおかけすることになると思いますので、便りのないのは良い便りかなと思っているのです。

富田 本来は特に問題はないのでしょうけど。

 京都ユニットの参加施設は資料のどこかに書いてありましたか。

呉 資料には入っておりませんが、京都大学病院・バプテスト病院・第二日赤病院・足立病院・伊藤病院・川村産婦人科・山田錦林医院・京都民医連中央病院、それからまだ確約はもらっていないのですが社保京都病院、だいたいそんなところです。

中村  北区の人はウチとか社保とか、産むところが限られるのです。

位田 出産数の約半数という話でしたね。

呉 こちらも含めて、各病院の出産者の中で左京区・北区在住者がどれぐらいいるかを調べていただいたのですが、約7割の1400人でしたから、その内の7割ぐらいが参加していただければ良いのですが、厳しいですね。

位田 かつ、それを13年間も続けていると、5割からかなり欠けていく可能性もあるでしょうね。

呉 転勤とかで多少は欠けていくとは思いますが、全国15ヵ所でやっていますので、転勤先が調査地域のこともありますし、自治体と連携させてもらっていますので、転居先がどこかを追いかけて、問診票なんかは転居先にお送りして返してもらうこともできます。

 かなり膨大な問診票みたいなので、値段が安いという苦情が来る?

呉 その分、参加者が「参加して良かった」と思える金銭以外の何かを返せるように、努力したいと思います。

 データそのものは返せないのですか。

呉 例えば環境汚染物質なんかは、まだ本当に健康に悪いのか良いのかということすら分からないものが多いですから、そういうデータをお返しすると、かえって混乱することがあると思いますので…。例えばコレステロールやIgEのように返せるものは返すということになっていますが、返してもかえって混乱を招くもの、あるいは白黒がハッキリしていないものは返さない方が良いと思います。

位田 説明書のP9に「アレルギー検査、血液中のコレステロールなど脂質に関係する値などについては、説明を付けて返します。それ以外の項目はまだ考えています」という話ですよね。

呉 環境省は「どうしても返したい」という気持ちがすごく強いのですが、厚労省とは違って「返した時にどういうインパクトを与えるか」ということの考慮がちょっと足りないないかなと、私なんかは思うので、私達と議論して、最終的にどれを返してどれは返さないのかが決定されることになります。

位田 遺伝子解析をされると、やっぱり遺伝性の疾患とか、いろんな問題が出てくるので、遺伝カウンセリングとかの必要性も出てきます。

呉 遺伝子情報は、おそらく何かの病気に直結するのが明らかな場合はお知らせしますけども、それ以外は多分、お知らせしないことになると思います。で、もしお知らせしなければならない場合は、返された側の反応も考慮しなければいけないと思っています。

位田 そこは決まっていないということですよね。

呉 13年分を全部パッケージにしてするのが本来はよいのだと思うのですけど、こんな大規模で長期間の調査を日本で今までされたことがないので、細かいところを一々検討しながらやっているというのが実情です。なので、実際のところは1ヵ月ぐらいのところまでが漸く決まって出てきているようなところで、まだまだ決まっていないところが残っています。そんなのを審査していただくのは大変恐縮なんですけども、私達としても自分で決められるものではないので、決まったものをお示しして、決まっていないものについてはまた必要に応じてその部分だけを審査していただくという形でお願いするしか、仕方がない状況です。

位田 海外でも同じように非常に長期間をフォローして研究されているのですか。

呉 まだ大規模調査はノルウェイとアメリカだけで、後は非常に小規模なので、長期の先に辿り着いたところはまだないと思います。

位田 お金はどのくらいかかるのですか。

呉 どのくらいですかねぇ、年間2桁億ぐらい環境省が出したとして、かける十何年ですから、全体として続けば、非常に大きな額になります。

岩橋  カルテとかから転記したり、行方が分からなくなった時に住民票などを利用させていただくといったことがあるのですけど、住民票を受けたりするのは今はかなりの厳格になっているのに、国が主体となってやるということで、このぐらいの同意書だけで法律はクリアできるということなんですか。

呉 自治体とは協定を締結してやらせていただくことになります。

位田 あらかじめ同意を取っているからということなんでしようね。

富田 国だからできるのでしょうね。国立の施設が独立行政法人になったら、同じことがダメになることもあるようです。去年までできたことが今年からはできないということもあり得る。

呉 なるべくそういうのを見ないでも追跡調査できるように、参加者の方とコンタクトを取って、どうしてもどこへ行かれたか分からなくなった時だけに限定されると思います。

橋本 6歳の時に検尿がありますけど、病院を移られた場合は、違う病院で採尿して送ることになるのですね。

呉 6歳の検尿をどうやって採るかは、多分まだ決定していないと思うのですけど、6歳ぐらいなら、おしっこは自宅で採ってもらうことも可能だと思います。

広瀬  でも、「子供の採血は要検討」と書いてあるのは、病院で採らないといけないからですか。

呉 そうじゃなくて、「子供から血を採るのだったらやりません」という抵抗があるかも知れないということがあり、「できるだけ採らない方向で」ということを考えているので、詳細調査ではひょっとしたら採らせていただくことになるかも知れませんけど、全体調査では採らないのではないかと思っています。

勝村 食べ物や薬とかも聞く膨大な問診票になるそうですが、薬とかは全部あるのですか。

呉 食べ物も薬もあります。薬はリサーチコーディネーターがちゃんと確認していきますが、全部って…?

勝村 実は僕の妻の妊娠中に、排気ガスとか食品添加物とかタバコや酒も避けるようにしていたのに、出産のために入院すると薬漬けにされて、結局それで子供が死んだのですね。「陣痛促進剤でキレやすい子供が増えている」というアメリカやイギリスの論文は、信憑性が怪しいと思っているけど、気にはなっていて、脳にもホルモンは行くので子供の精神に影響があるかも知れません。だから、医療現場では環境問題とは桁違いに化学物質を使っているのに、それが排除されて議論されることがないようになっているか心配です。

呉 服用している薬は全部を聞くようになっています。

勝村 患者が服用した薬だけを聞いて、医師が投与した薬を確認していないということはないですね。

呉 はい、だいたいそこの病院で出産されますので、当然それは全部確認します。

勝村 「患者の誤解を招くかも知れない」というデータとは、具体的にはどういうイメージなんですか。

呉 健康に与える被害が想定はされていても、まだハッキリと証明されていないものですね。

勝村 「その値が高かったら健康に害があるかも知れないと、噂だけが広がっているようなものを、妙に気にはしないか」という趣旨ですね。

呉 そうです。それから、ものによっては何年か経ってから測定し、直ぐに測定するわけではありませんので、後から「あれが高かったですよ」と言われても、どうしようもないわけですよね。

勝村 ただ、検討会みたいなところで議論するということですが、そこで見せないということになったら、本人が「全部見たい」と言っても見せないのですか。

呉 そうです。最初の説明で「データは基本的には返さない」ということを話しますし、個々の希望に応じて返すものが変わるということはありません。環境省で返すと決められたものは返しますが、そうでないものは返しません。ただ、全体的な結果は公表します。

勝村 バランスの問題で、直ぐにできないものを「直ぐに返せ」というのもおかしな話ですけど、迷いがないのだったら「これは見せる。これは見せない」と言い切ったら良いので、どこかに悩みどころ迷いどころがあるから、「見せる見せない検討を今からします」と言っている部分もあるのですよね。

呉 項目を見てもらったら分かりますけど、ほとんどのものがまだ、健康へどのような影響を与えるか、ハッキリとした証拠のないようなもので、そのために調査をしているのですね。もう一つは検査の時期の問題で、直ぐ測定するものも一部はありますけど、かなり後で測定するものもたくさんありますので、例えば数年後に測定して「あなたの妊娠中に採血したこの値はいくらでした」とお返ししても、全く意味がないことになりますので、それだったら全体としての調査結果のデータとして「この採血ではこれくらいでした」とお返しする方が分かりやすいのではないかという、そういう感じの議論です。

勝村 基本形はそれでも良いのだけど、「それでも見たい」と言う人に、「絶対に見せられません」という範囲がどこまで…、

呉 それは決められたものしか見せられません。個々の人によって、要求があったらその人にだけ見せるということはありません。全国一律でしかできません。それは大前提です。

富田 多分、この検査の項目がどういうふうにノミネートされたかというあたりにも拘わってくると思うのですね。かなりリサーチ研究という匂いが強いですけど、「どういうのを測ってみたいですか」という候補を挙げてもらって、それをここに並べているということで、最先端の一部の研究者には問題意識はあるけれども、とてもまだ結論がついていないというのがかなりあるのではないですか。

呉 実は、ものすごく膨大なリストが候補の時に挙がっていたのを、絞って絞ってここまでしたのですけど、評価が決まっていないものが非常にたくさんあります。

勝村 「皆さんから考えたら、環境省は比較的多く返したがっている」というのは、どういう理由からですか。

呉 いや、ニュアンスからはおそらく「全てを返したい」という希望を持っているのでしょう。でも、そういうことを返した時のインパクトについて、彼らは何も知らないのです。現場を知らないのです。現場の人間は「そんなことをしても意味がない。混乱を招くだけだ」ということを言っています。

勝村 極端に「2年も経ったら絶対に意味がない」と言い切ってしまえるかというと、個々の患者の事情によっては言い切れないケースもあり得るのではないかという想像もできるから、それはお互いの想像力の問題で、どっちが正しいのかはまだ分からないでしょ。一人一人は違うから、「全員に無理やり見せる」「全員に一切見せない」の両極端に決めつけなくても良いと思う。

呉 これは治験ではなく調査研究ですから、対象者は患者さんではなく健康な普通の方で、その方に調査をお願いするということですから、本来、治験のように「こういう項目を知りたい」ということで参加されるわけではないですよね。ただ、痛い目をして採血していただきますので、一般的な評価の定まっているものは返しましょうということなので、評価が定まっておらず、教えてもらっても困るような、どう解釈すればよいのか専門家も分からないようなものを、敢えてお返しして、混乱を招くようなことは止めましょうというスタンスです。

位田 個人情報とデータやマテリアルとの匿名化の対応表はどこにおかれるのですか。

呉 匿名化の具体的な何をどこにおくかということは、今まさに検討しているところで、全容は知りません。

富田 一つは、この病院におくのかということも含みますよね。

呉 各病院には同意書の写しと、もちろんカルテがありますよね。それぐらいです。

位田 例えばAさんは123番という番号付けを病院でやるのか、コアセンターでやるのか。

呉 番号付けはコアセンターでやることになります。

位田 そうすると、名前を付けたままマテリアルは行ってしまうということですね。

呉 照合するものはコアセンターのところにあることになりますけど、名前が付いたものは行かずに、IDを振ったものが行くことになります。

位田 中央で解析されたデータについては、どのユニットセンターも全てのデータにアクセスできるのですか。

呉 アクセスはできます。ただし、限定された人だけです。

位田 自分達のところで取ったデータだけという話ではないですよね。

呉 ハッキリとは覚えていないですが、自分ところのデータだけで、全体にはアクセスできないと思います。

位田 そうすると、全体にアクセスするのはコアセンターの人だけ?

呉 おそらく、中央で解析する人だけでしょうね。

富田 確か、プランが認められれば、全体のデータにもアクセスできるのではないですか。

位田 追加の調査で、各ユニットセンターがやる研究で全体のデータが要る場合ですよね。

呉 多分、申請して認められた場合は可能ですね。

位田 これはコホートですけども、データを集めるというのが中心ですかね。で、それを使った研究というのは個別のユニットセンターが…、

呉 主にはコアセンターで解析しまして、私達がこれを解析するということはないです。自分達のところで追加調査をする分については、ここのデータにアクセスして、それと照合するという形になります。

位田 そうすると、ユニットセンターが追加調査をやった研究結果は、全体で共有されるのですか。

呉 通常の方法で学術論文や学会で発表しますのが、全体でそういう結果を共有する会をするのかどうかというのは、私は存じあげないですけど、そういうのもひょっとしたら計画されるのかも知れません。

位田 10万人分のデータというのはものすごく大きなデータだと思うのですけど…、

呉 そういう基礎的なデータを取っておいて、将来に何か今は分からないようなものが健康に対する疑いが強いとなった場合、サンプルを少し残してありますから、後から遡って調査するということも想定しています。

勝村 しつこいようですが、環境省は患者に全部のデータを返す方向で考え、現場の医師は「患者が誤解して混乱を招くだけなので返すべきでない」と思っているという話で、それでどうするのですか。

呉 まだ確定はしていませんけども、私の印象では、おそらく先ほど言うた方向になると思います。

 疫学的な意味合いで有意差が出てきたものは、「出してくれ」という要求が出てくるのではないですか。

呉 結果としては公表します。

 そうしたら、「私の子供の分を教えて」と言う人が出てくるのではないでしょうか。

呉 多分、そのへんは対応しないと思います。

 それは対応するべきではないでしょうか。

位田 その時はもう一回、お医者さんに行って採血してもらって、今はどういう状態か…、

 ただ、妊娠中曝露の問題だと、その時の採血で済むのか。例えばある化学物質に曝露したら自閉症になるリスクが高くなると疫学調査の結果で分かったとしたら、「ウチの子はどうやったんだろう」となるでしょ。

勝村 「結局、見ても何も分からないかも知れないけど、お医者さんが『妙な誤解をして、必要以上の質問をされたら辛どくなる』と思うなら、そういうことはしないから見てみたい」と思うような人もいるかも知れないので、見せない理由が「誤解するから」というだけなら、僕なら「僕は誤解しないから見せてくれ」と言いたい。

呉 先ほども言いましたように、これは同意をいただいた人だけに行う研究調査で、元々「返しませんよ」という同意をいただいてやるわけです。そこに納得いただけない方は、参加拒否されることになると思いますけど。

勝村 それが確定しているならそう書けばいいけど、議論の途中ということなので、僕の意見を言ったのです。

呉 そういう意見の方もおられるでしょうけど、それはこれとはまた別のお話だと思います。

 これは審査ですから、それは関係ありますよ。研究のデザインと被験者の利益・不利益のところは関わってきますから。どこまで返すか、まだハッキリしないのでしょ。だけど「返さないのだ」ということを前提にされるのか、「これから検討して考えるのだ」ということでは、ちょっと話が違うのです。

富田 疫学研究ですから、数字で統計として結果をもらうということで、血液を提供した方も、そういう一般的な学問の一つの結果として還元されるというふうに了解していただく必要があるのではないですか。個別の対応で診断につながるような結果を受け取るというのは、元々のデザインとは違うと思います。

 「受け取って何でマズイの?」ということなんですよ。

富田 そら、訳の分からんものを渡す方もおかしいと思いますよ。

 訳が分かった段階の話ですよ。

富田 私自身は、1回2回の採血だけで訳が分かるようになるとは思えない。

 いや、だから、疫学的に解析して「この因子はこの障害との関係が有意だ」ということを見つけたいわけでしょ。それが分かってきたら知りたいではないですかという話です。

呉 基本的に「知らせないということで同意された方のみ、この中に入ってもらいますよ」という話なのです。

 そこはハッキリしていないのだから…。

勝村 「知らせないと認めない」と言っているのではなく、環境省と現場の医師の「どっちにするか」という議論の行方に関心を持っているということと、どっちでも良いというよりは、1日で消えてしまう薬だってあるので、ある時期のある化学物質の量が関係あると分かれば、その段階のデータにアクセスしようと思ったらできるのに、敢えて出さないという設計にしなくても良いのではないかという趣旨です。

呉 調査がスタートする時には決まるようにしたいと思って、やっています。

 説明書には「返さない」とは書いてないのですよ。P9では「個別の返し方については、これから時間をかけて検討します」とあるわけです。

位田 書き方はそうなんですが、ちょっと曖昧なので、ハッキリしていないのですね。

吉中 「専門の委員会を設けて検討させていただく」ということなので、そういう要望が入る余地はあるということになる。

位田 書き方は曖昧ですが、出発の時点では「アレルギーと脂質については開くけれども、それ以外は開きません」というのが前提で、これはかなり長い期間のコホートですから、お医者様側としては「診断が確定したデータについては知らせても良いけど、確定しないのにデータだけ知らせても患者さんは混乱するよ」という話だと思うのです。環境省はそういう診断とは関係なしに「こんなデータが出ていますよ」と知らせたいわけでしょ。そこの思惑がずれていて、どこで線を引くかというので、多分、今は困っておられると思いますね。その線引きをする時に「出発の時点で『ここまで返すけど、ここからは返しません』ということをハッキリさせます」とするはずです。で、「それでも知りたいと思う人は、ここに入ってもらわなくても結構です」ということですね。

勝村 その整理は充分に分かった上で、「そこの線がどこなのか」ということがちゃんと書けていないですし、環境省も医師側も極論ではないかという感じがするので、物理的に無理を強いるつもりもないですけど、柔軟性を持った範囲で、もう少し患者利益があっても良いのではないかという気がします。

 私が今、イメージしていますのは、「そういうことはこれからの専門委員会で検討する」ということですから、この倫理委員会としての要望を付けるということは可能じゃないですか。

呉 可能です。

 全員に積極的に返すのか、それとも「どうしても見せて欲しい」という人だけに開示するのか、ある程度の疫学的な研究結果が出た段階でまた考えるのかということですね。実は、この研究の結果が出たら、センセーショナルな話になると思いますよ。

呉 そういうデータが出たらですが…、

岩橋  直ぐに直接は役に立たなくても、「返しませんよ」と言ってしまうより、ある程度はそういうのを返していくということをした方が、逆にデータが集まるように思いますね。

勝村 言い過ぎると、ちょっと患者をバカにしたようになっちゃうので、協力しにくくなる。

富田 直感的には結果は逆で、ほとんどのデータは当たらないと思います。確かに、なんか1つ2つでも当たればすごいことだと思うのですよ。その時には、ただ内容をお返ししますではなくて、それをキチッと分かるように意味付けした上で返すという準備も同時にしてもらわないと、ただただデータだけを取りあえず返しても…。

勝村 お医者さんからしたらそうなるのは分かるのだけど…、

岩橋  ある程度の有意性が出てきている時に、「早めに自分の情報をキャッチして、例えばそれを制限するようなことが生活の中でできればそうしたい」と思うのが人間感情だと思うし、そのまま放置して「分かっていたけど出さなかったのですよ」ということになると、研究主体自身の責任も問われるように思うのです。前の水俣でも「有機水銀の影響がある」という論文が一部に出ていたわけですよ。「自分の体内にどのくらいあるかというデータを早めに知っていれば、何らかの対応ができたはずなのに」と思う人達もいるかも知れないので、そのへんはできるだけオープンにされた方が、最終的に意味ある調査になるのではないかと思うのです。「明確になっていない」と言っても、「もしかしたら何かの影響があるかも知れない」と思って調査項目に挙げたのでしょうし、そういう見地から、環境省はむしろそういうことも含めて返してもいいと思っておられると思います。皆さんが言っておられるのは「検査したら直ぐその結果をください」というレベルとは違い、ある程度の有意性が分かった時期ということですから、できるだけ当該の検査を受けた人にも返されるような方向で、意見を付けた方が良いのかなと思います。

広瀬  あまり深く考えないでと受ける人と、科学的に考えて受ける人と、極端な違いが出てくると思うのですけど、かなり長く13年間もかかる重たい調査ですから、その間に子供の状態とかに何か不安なことが出てきたら、物質との因果関係や遺伝とかの病気を考え過ぎて、研究結果が欲しくて堪らなくなる人も出てくると思うのです。ですから、受けてもらう時に、かなりキッチリと説明しないと、ふと不安になってこの書類を見た時にも、「あぁそうだったんや」とは思えないです。パワーポイントのDVDもあるのですけど、説明が大事だと思います。

 この点以外は特段、問題はないですかね。発言されていない方もおられますが、今の選択肢としては「研究そのものは承認するが、今後の個別データの返し方についての要望を付ける」という方向かなという気がします。若干、「この調査はとにかく返さないことになっているから、後は知りません」と言われると、ちょっとどうかなという…。ある程度の意味のあることが分かってきた段階、中間解析という段階を経ることもあり得ますので、そうなれば「教えてよ」という話も出てくるのじゃないかな。

呉 言われているようなものが途中でハッキリと出てくれば、そういうことも考えられるでしょうし、そんなふうに素晴らしいデータが出れば良いとは思いますけど、ほとんどネガティブ…、

 だけど、出ないことを前提にしても仕方がないので…、

呉 いや、そうではなくて、「これはあまり関係なさそうだ」というのが分かることも非常に大事なことで、かなりの分はほとんどそういうデータになると思いますが、中にひょっとしたら1つ2つは比較的に関連がありそうなデータが見つかると良いなと、僕自身は思っています。

富田 見つかった時には、ぜひ隠さないで、ちゃんと載せて欲しいとは思いますけどね。

呉 それは、皆が思っています。

 解析結果は当然そうですね。では要望としては、「個別の被験者の将来の時点でのデータの返し方については、あまり画一的に考えずに、『やっぱり返した方が良い』という判断になることもあると思いますので、よく考えてください」ぐらいでよろしいですか。

富田 「サービスのあり方がちょっと弱いな」という気がしますので、長く続けようと思うと、やはりサービスを何らかの格好で付けてもらった方が良いですね。

 私はここにない資料を見ましたけど、質問票は何十項目もありますから、かなりの負担だと思いますよ。

呉 ユニットセンターとしては、個々のいろんな相談とかに応じていこうと考えています。

勝村 「全部に返せ」という話と「一切返さないという前提で参加してくれる人だけでいい」という話の議論になっているけど、間に「見たい人に対しては何らかの対応をすることもある」という段階があると思う。一応、自分の情報だし、時間がかかるとか、物理的な難しさとか、そういうことに対して無理を強いるということでなく、「対応できるけど、無用な混乱を招くから」と言うのだったら、「見たい」という人に対しては、見せないことが余計に混乱になるということは間違いないと思うので、あまり極端にしない方が良いのではないかと思う。

位田 問題なのは「意味がある成果が出たら、それは適切に素早く知らせる」という話ですよね。

勝村 一つのデータに対する価値観も多少の違いが出てくると思うので、「意味がある」と言う人と「意味がない」と言う人がいるという段階もあるかも知れない。

 ある程度「実際に悪影響を及ぼす因子だ」ということが浮かんできたら、「教えてよ」「いや、教えられませんよ」ということでは混乱すると思います。ですから、少なくとも個別開示みたいなことも可能性としてはやはり考慮しておいた方が良いのではなかろうかと思いますね。

呉 意味のあるデータが出てきたら、そこでまた対応が変わると思いますし、直結するような健康被害のデータが出てきたら、それは本人にお知らせして対応をとるというようなこともあると思います。

勝村 言い切れない段階でも何かできたらと思いますが、「対応が変わる」と言っていただけるだけでもホッとするのですよね。

 そうですね。要因で有るか無いかの議論になる場合はありますけれども。

位田 ユニットセンターに対応表はあっても、データもマテリアルもコアセンターにありますから、実際に個別にデータを返すとしたら、どういうふうにしてランダマイズされたデータから抜き出して返すのですか。

呉 例えばコレステロールを測った時にある人の数値がめちゃくちゃ高くて、直ぐに何かの病気になる可能性があるという場合は多分、ユニットセンターに返ってきます。そして、照合してこの人が誰かが分かれば、その人にアクセスして、「お医者さんへ行ってください」といった話になると思います。私達には分かりませんので、コアセンターでそれを掴んだら私達へ連絡が来て、私達はそれを仲介するという形になります。

位田 特徴的なものであればコアセンターの方で対応できると思うのですけど、本人が「データが欲しい」と言ってきた時はどうですか。

呉 私達が仲介してお伝えすることはできますが、私達が判断することはできませんので、コアセンターの方で判断していただく形になります。

 採決という形を採らなくてもいいですか。先ほど申しましたように、「個別のデータの返し方については、よく検討していただく」という要望をお伝えして、承認ということでよろしいですか。確定していないところが結構ありますのでややこしいですけども。

北村 では、承認ということで、「健康被害と化学物質との関係が強く疑われた段階で、個別参加者に対するデータ開示に積極的に取り組んで欲しい」という要望を付けるということですね。

勝村 「強く疑われた」は要らないと思います。意見が学会で分かれているような段階でも、だからこそ見てみたいと思うことがあると思う。「デザイン的・物理的に無理だということまでやれ」とは言わないけど、「可能なのに、混乱を招くという理由だけで開示しないということは、決めてしまわない方が良い」という趣旨です。

北村 「個別参加者に対するデータ開示に積極的に取り組んでくださいという要望を伝える」でいいですか。

 「積極的」と言うと「全員に返します」みたいな話に捉えられる面もありますので、そこまではちょっと要らないような気がしますから、「…疑われた場合には、開示することを検討してください」でいいと思います。それではエコチル調査については以上ということで…。

八角 ありがとうございました。

北村 審査結果を文書で出す必要がありますか。

呉 口頭ということでも良ければ、それで結構です。

位田 でも審査結果ですから当然、文書を出さないと…。

北村 では、郵送で文書を出させていただきます。

呉 はい。どうもありがとうございました。

 

議事(2)「倫理委員会規定改定について」

 次に「倫理委員会規定改定」についてお願いします。

富田 当日資料のP2にある改定案は、前回にご指摘いただいたものをほぼ忠実に整理し直したつもりなんですけど、P3には流れ図が書いてありますので、流れ図の方から先に説明します。
前回「臨床研究部と倫理委員会の役割をハッキリと分けた方が良いのではないか」というご指摘がありましたので、綺麗に分けました。[臨床研究部]は研究責任者から仮研究申込書を出してもらい、それに基づいて正式の文書としての申請書の作成を支援するということにしてあります。その四角囲いから右に「付議不要」、下に「付議要」という矢印が出ていますが、付議の要・不要は[倫理委員会]の3)に書かれた「あらかじめ倫理委員あるいはその他から指定された者が決める」としています。他の[倫理委員会]の役割は前回の説明と変わりません。
それを文章にしたのが改定案で、第7条の[議題の選択について]という項目自体も分かりにくいですが、触らずにおいてあります。その1.は現行案では「臨床研究・臨床治験」とありますが、治験は別の会で審査していますから省き、[臨床研究については、申請書が提出された事案について検討を行う]として、その中身を1-2.で[委員長は、申請書提出の事案が迅速審査の対象となるか否かを判定し、対象となる場合には委員長が指名する委員に審査を依頼する。そうでない場合には、通常審査とする]というように、迅速審査について書きました。1-3.では[なお倫理委員会は、臨床研究の要望がある事案について倫理委員会への付議の要・不要を判定する者をあらかじめ選任し、付議不要とされた事案には申請書の提出を求めない]という表現にしました。そして「運用上の措置として決めておいたらいいのではないですか」という意見があったものをその下に書きました。[1.付議不要の判定者には、臨床研究部員を含む]、[2.付議不要の事案は、事後一覧表にて倫理委員会に報告]、[3.迅速審査は、倫理委員会の医師委員と外部委員が行うのが望ましい]、[4.迅速審査の結果も、倫理委員会に報告]ということでした。

 これは、要は迅速審査の手続きの条項を設けるということですね。

富田 迅速審査と付議不要の2つで、付議不要に行ってしまったものは、倫理委員会には回ってこないということです。ただ、それを決めるのは倫理委員会が指定した人ということにしてあります。で、その中に臨床研究部部員を1人はおいていただきたいなということなんですが…。

関谷 どれが付議不要かは、現場の人はハッキリと分かるのですか。悩む点というのはないのですか。例を書いていますが、もっと細かくキッチリと書かいて、判断しなくても自動的に回せるようにはできないのですか。

富田 微妙なものもたくさん出てくると思います。だから、大まかにしか書けません。

 「判定者には臨床研究部員を含む」という言い方は、ちょっと曖昧な感じがするのですが、臨床研究部の人が判定すればよいのではないでしょうか。

富田 前回、「審査は倫理委員会に属するとした方が、話がスッキリする」「研究部は支援の方に回って欲しい」ということで、「審査と支援を分けてはどうか」という提案があって分けたのです。研究部は純粋に院内の組織ですが、どこかに接点を作っていただかないとつながらないので、こうしてもらえるとありがたいのです。

 「含む」と言うと、臨床研究部員以外の人も入るということになりますが。

富田 ええ、「それでも構わない」というのが前回の話でしたが、少なくとも1人は臨床研究部員でないと情報が伝わりにくいですから。

吉中 言葉を換えれば「付議不要の判定者を倫理委員会が指定する」という理解ですよね。「それを臨床研究部員の中から指定していただくと運用上で対応しやすい」ということですね。

岩橋  だから「倫理委員会が選任する判定者」ということですね。

富田 そうです。結局、「最終的にはどこが付議不要の責任を持つのか」というのは、「選任した倫理委員会」という話になっていました。

位田 「付議しなくても良い案件というのは、臨床研究ではないから審査をやらなくてもいい」という意味ですか。それとも、「臨床研究だけど、誰か1人が『不要』と言えば倫理審査は終わった」という趣旨ですか。全部が臨床研究だとすると、臨床研究には3種類があって、ほとんど問題のない臨床研究は1人で判断でき、次に迅速審査というやり方のカテゴリーがあって、全員で倫理審査をする通常審査があるということになります。

富田 本人の勉強なのか研究なのか分からないような、萌芽的なものがたくさん出てくると思いますが、それを全部、ここの審査で見ていただくことになると、本当に必要な研究の審査の時間を圧迫してしまうと思います。

位田 付議要・不要の判定を例えば簡易審査というカテゴリーとして、3つのカテゴリーのどれでOKが出ても「倫理審査は通っている」ということにするべきで、「これは倫理審査の要らない臨床研究ですよ」というのは矛盾していますよね。

岩橋  前回の話では、むしろ「『臨床研究部員の中から』と明記するのでなく、『倫理委員その他の者から選任する』としておく」という話だったと思います。倫理委員会としては、臨床研究部員を必ず含めなければならないとする意味はないけど、臨床研究部の人がいないと分かりにくいのでお願いするということではないですか。

富田 前回は「臨床研究部員でお願いします」というふうに言ったのですね。ただ、話が矛盾するかも知れませんが、最初は「倫理委員会の審議は不要だろう」という考えでこの話が始まったのですね。

位田 それだと「臨床研究ではない」という位置づけになりますね。

富田 倫理委員会が審査の承認書を出すことになるのは迅速審査と通常審査で、臨床研究部だけで扱った案件に承認書のようなものは考えていませんが、「それは研究なのか」と言われると、「研究だ」と言ってあげたい。

位田 では、具体的に例えばどういう研究だったら、「これは付議は要りません」と考えられているのですか。

富田 それは、この前の例に挙げられていた疫学研究の…、

位田 疫学研究は臨床研究ではないけど、疫学研究の審査が必要なので、当然、倫理審査を経ますよね。

岩橋  「必要ない」と思われるのは、「ここで論議するまでもなく、明確に倫理上の問題はないだろう」というような感じの場合ですよね。

富田 そういう問題と、手間の問題もありますし、相手や規模の問題も絡んでくると思います。例えば指針で例に挙げられた症例報告の場合、非常に小規模で勉強会か研究会というレベルの発表なら、付議しなくても良いだろうということですが、規模が大きくなってきた場合には「審査に回すか」という話が挙がってきます。後方視研究でも、数人のデータをまとめて院内等で紹介するといった簡単なものであれば、報告だけでいいかなと思いますが、規模が大きくなってくると要るのではないかと思います。アンケート調査も条件が幾つかありますが、付議不要の例として挙げられていました。ただ、走ってみないと分からないところもありますので。

 臨床研究の場合は一応、厚生労働省の倫理指針で付議不要と判定して良いとされるケースを、対象として考えた方が良いのではないでしょうか。ですから付議不要の研究は「一応、臨床計画ではあるのだけれども、簡便なものである」と考えたらいいのではないですか。

吉中 前回の議事録のP14以降が、この議論をした部分ですが、前回は「付議不要というのがあるのだけど、それに倫理委員会が関与しないということがあると整合性がなくなるので、要・不要の判定者についても倫理委員会が指定し、報告していただくことで、倫理委員会の関与ということにしよう」ということだったと思います。

勝村 報告は、付議不要の場合はタイトルと1行ぐらいの簡単な一覧表だけ、迅速審査の場合は申請書もあるので詳しい説明を付けるということでしたけど、どちらも倫理委員会で議論するというより、事後報告してもらって確認するという形になるのですね。そういう中身はこの規定に上手く載らないですかね。

富田 そこは運用上の措置ですから…。

位田 人を対象とする研究は全部が臨床研究ですよね。疫学研究は特殊な例としておいておくとして、「臨床研究の中で倫理審査委員会の審査に付さなくても良いカテゴリーがありますよ」というのが臨床研究指針の中にちゃんと書いてあって、これ以外は全部、審査をやらないといけないのですね。「規模が小さい」とか「まだどうなるか分からない」というのは、その条件の中に入っておらず、倫理委員会の負担が大きいというのも話が違うと思うのですよ。それは倫理委員会側の話であって、研究をする側が「倫理委員会さん、あんた大変でしょ」という話ではないので、理由にはならないですね。臨床研究指針P13の3の(4)にかなり詳しく書いてありますから、このどれかにあたる場合は「必ずしも倫理審査委員会に付さなくてもよろしい」ということにしても構わないと思いますが、それ以外の理由で審査しなくいも良いということにはなっていないです。

富田 ただ、これに必ずしも合致しない微妙なところ…、

位田 合致しなければ全部、臨床研究の審査をしなければいけない。

富田 倫理委員会から指定された人の「それは不要だろうという判断」で、ある程度の仕分けをしていただく。

位田 先ほど簡易審査と申しましたが、そこに書かれていないものでも簡単な形で審査することはあり得ますから、倫理委員会に付議しないという話にしなくても、簡単に1人の委員が判断できる程度のもので「倫理的に問題がない」というのであれば、倫理審査委員会が承認をしましたという手続きになると思います。

富田 そういうふうな概念は迅速審査になりますが、そこまでも行かないものがかなりあると思います。

位田 指針に該当しないものは、そこまで行っても行かなくても全部、臨床研究のカテゴリーに入るので…。

勝村 付議不要というのはしっかりと定義されていることなんですね。

位田 そうです。条件は書いてあります。

関谷 自動的にできるものは良いのですけど、どんな簡単なことでも線引きをするわけですから、倫理的な審査をするというのは基本的に同じことですよね。それで、ちゃんと審査しないかんとすれば、付議不要に自動的に行ったもの以外は全部、簡易審査に流れるか通常審査に流れるということなので、審査の手続きが幾つかの種類に分かれているだけで、臨床研究だけど審査しなくても良いという話はないですね。

位田 自動的にできるものかどうかを、誰が判断するかということもあります。

勝村 付議不要というのは指針に書かれているものに限定するとしたら、残りは全て迅速審査になっちゃうけど、迅速審査になるものの中でも、「本当に申請書を作成するものと、仮研究申込書だけでなんとかならないかというものを分けたい」という意図があるのでしょうね。

富田 実際問題はそうです。

勝村 仮研究申込書だけでいいというものと、付議不要に定義されているものとの間に、一定の線を引かないといけないということですか。

位田 だから申請書の種類を、例えば通常審査に付するような臨床研究であれば、10ページを超えるような詳しい申請書を書かないといけないし、「これはもっと簡単な審査でいい」というのであれば数ページの研究計画でいいということもあり得ますが、研究計画を書かない臨床研究というのはあり得ないと思っています。頭で考えてやりましょうという話で、例えば患者さんを使って何かをやるというのは、やっぱりおかしい。

吉中 多分、付議不要で一番多くなるのは、「こういう患者さんを経験しました」という症例報告ですね。

位田 ただ、それは臨床研究とは言わないと思うのです。

吉中 でも、そういうものが明確に区別されないと、現場の医療者との齟齬をきたすのですね。

富田 症例報告は書かれていないですけど、解説には必ず出てきますから、臨床研究になるのでしょうかね。

位田 通常の医療でやっている範囲の部分は研究ではないのですよ。

富田 いや、症例報告も研究に入りますし、しかも、研究の入り口となる側面も実際にあるのですよ。

位田 もちろん私も入り得ると思います。例えば病院でのカンファレンスで症例報告をして、それに基づいて「この患者さんはこうでした」というのは医療の範囲だと思うのですよ。ただ、幾つもの症例を集めて、それを研究して論文にする場合は臨床研究だと思います。

富田 一例報告が研究になる場合も充分にあります。特に私は診断学がフィールドでして、どういうふうに所見を取ってどういうふうに診断するかということは、1例ずつ違うのですね。私の所属していた大学なんかは、「症例報告に始まって、症例報告に終わる」という教え方で、ものすごく大きなウエイトをおいていました。

位田 1つの症例だけで研究になり得る場合も当然にあり得ると私も思いますから、考えていることが反対なのでなくて、「どこまでが症例報告で、どこからが症例を扱った臨床研究か」という線引きなんだと思います。

富田 積極的な意味で、そこの線引きはできないと思います。

位田 そこは分かりますが、カンファレンスなんかでやられるような研究ではない純粋な症例報告と、もっと研究的な症例報告との間の、どこかで線を引かないと、症例報告という名前の下で研究がどんどん行われてしまいかねませんから、それはやっぱり困りますよね。

富田 そっち向きのエラーは少なく、むしろ症例報告が研究ではないという考え方は過ちだと思います。

 言葉の上で議論すると混乱しますので、要するに「倫理指針に照らしてどうなのか」という意味合いで線引きをすれば良いことだと思います。

富田 直接「症例報告」という言葉はないですが、いろんな解説のところに出てくるのですね。ただ、他の施設ではどう考えられているのかは分からないですけれど。

吉中 膨大な数がありますから、症例報告みたいなものも含めて倫理審査委員会の検討対象にするという認識は、医療界ではかなり乏しいと思いますよ。

位田 私も普通の症例報告だと臨床研究ではないと思っているので、それは付議不要です。ただ、1つの症例を扱っても、非常に研究的な色彩の強い症例というのは、症例報告という名前は付くけれども、本来は臨床研究と呼ぶべきだろうと思っているのです。

吉中 具体的に付議不要の範囲に入る時のイメージは、症例報告では研修医の人が「こういうケースを経験しました」ということを例えば内科の中央会みたいなところで報告することとか、看護師さんだと、手順として決めてある看護処置なんかの患者さんの満足度をアンケートで調べるということも、この範囲に入るというふうに感じているわけです。そういうように区分していただいて、仕分けをしないと、結局、「全てが倫理委員会になるのか」となると、皆が「そういう面倒なことは止めておこう」という話にしかならないというのが実態なので、そういうふうに考えて付議不要の範囲を整理していただきたい。

富田 ちょっと走りながら考えさせてもらうしかない話かも知れませんね。実際問題、そういう方がある程度の数は出ると思うのですね。で、充分に時間的な余裕や議論の余地があれば、よりグレードアップしてもらうことを提案したいと思いますが、そこまででもなければ、むしろ現場に近いところで日常的に処理して、話をして、研究と言えるように育てていくというふうにさせていただいた方が良いかなと思います。

位田 臨床研究指針は医療の中でやっている分には研究ではないという位置づけですから、症例報告が医療の中でやられているという位置づけをすれば、そこは大丈夫だと思いますが、もっと研究的な色彩が出てくると、それは臨床研究でしょうという話ですが、実際の医療の中から研究の材料を見つけろという話はよく分かります。

吉中 アンケートでも、Aという処置がスタンダードなんだけど、ちょっとモディファイしてBという対応を考えてやってみて、それらを比べるというのは臨床研究だと考えるわけです。薬を使うということでなければ、それを我々は安易にやっている面もあるわけですね。そういうものはちゃんと審査した方が良いと思いますけど、レギュラーな医療の中での満足度調査とか、何かのアクシデントが起きた頻度のとかも当然、報告するのですけど、そういうものは多分、違うだろうと思いますね。

位田 そうですね、私もそこはそう思います。

 基本的には厚労省の臨床研究に関する指針に、対象とする臨床研究とは何かということ、それから、付議不要とできる場合は何かということが書いてありますから、従来とは違うけど実験的とまでは言い難いレベルの治療方針など、微妙な話というのも出てくるとは思いますが、付議不要かどうかは独自の解釈で判断するのではなく、国の指針の範囲に当てはまるのかどうかを判定していただくということでいいのではないでしょうか。微妙だったら相談しなければしょうがないですね。迅速審査の対象になるかどうかも、倫理委員会で勝手に決めるという考え方もありますけど、今のところは国のガイドラインに沿って判断するということで、これに当てはまらなければ本審査です。

関谷 疑わしきは全部、本審査ですね。

位田 先っき、簡易審査と言いましたが、付議するかしないかだけの判断をするので、やっぱり違いますよね。付議をするとなれば、次は迅速審査か通常審査のどっちかしかないね。

 ですから、改定案のところに書かなくてもいいですけど、運用上の措置で「付議不要や迅速審査については、政府の倫理指針に基づいて判断する」ということを加えておいたら良いと思います。

関谷 厳格に指針に従ってやると、迅速審査にものすごくたくさん流れ込むということはないのですかね。

吉中 そういうことは大丈夫だと思います。

勝村 迅速審査は申請書を付けなくてはいけないので、申請書が大変なのかなと思ったけれども、必要な分量だけに減らせるということなら、そんなにイメージとは変わらないということになりますか。

富田 迅速審査で考えているのは、大学といった大組織でメインの計画ができあがっていて、こちらは「それに協力しましょう」というのがだいたいかなと思っています。

勝村 僕が心配なのは、厚労省の指針には載っていないけど、気持ちとしては付議不要でやりたいと思っていたものが、今の議論で迅速審査に回ることになった場合、申請書は書かなければいけなくなりますけど、短めに書くことで対応できるということですか。

 短めになるという話にはならないのではないでしょうか。

吉中 申請書はちゃんと臨床研究部でサポートして作りますから、問題なくできると思います。

富田 迅速審査でも通常審査と変わりはありません。

勝村 そうすると、その量が膨大になってしまって大変ということはないですか。

富田 膨大になってきたら、その時点でまたご相談しますが、今のところ大丈夫ではないかと思います。

 それはここでどれだけ研究が行われるかという話ですから、状況が変われば態勢を変える必要が出てくるとは思います。ただ迅速審査のところでは、ここがメインではない共同研究が中心で、最小限の危険とか判断を伴うような規定もありますので、ピシッと決まるものではなく、その時々の中身で判断しなければ仕方がないと思います。エコチルなんかもそういう部分がありますけど、ちょっとでかい研究なので通常審査にかけた方が良いと判断しました。ただ、付議不要のところは比較的にピシッと決まるものかなという気はします。
このタイトルは「臨床研究について」で良いのでしょうか。疫学研究とかの話は書かなくていいのかな。

富田 元々こういう書き方なのでそれに倣っただけですが、これを触ると他も変えなければいけなくなります。広い意味での臨床研究は疫学研究を含みますから、これで良いのではないですか。

 すると「(疫学研究を含む)」としてしまえば、それで良いのですけど。

岩橋  分かりやすい。

富田 これは7条の1だけですが、それを書くと、7条の他の項目にも影響してきます。

位田 そうしたら、どこかで最初に「臨床研究」という言葉が出てきた時に「(疫学研究を含む、以下同じ)」と入れておけばいいと思いますが、それだけで全部が「臨床研究」でいけるかどうかですよね。

富田 「疫学研究」を書かなければいけないですか。「臨床研究」でいいのじゃないでしょうか。

関谷 「当然、含むのだ。みんな知っている」と、スタンダードでそう考えられるなら、要らんと思いますよ。

富田 疫学研究だけがたくさん出てくるということはないと思いますので、もし入れるとしたらいろいろ…、

吉中 先ほどのエコチルみたいなものがあるということですね。

 「遺伝子解析とかそういうものは当面、要らない」と言うのだったら、それでいいのですけど。疫学研究はけっこう今までの審査だってありましたので。

富田 もちろん多いですけども、敢えて書かなければならないという意味が分からないのですけど。

 では、運用上の措置のところに参考として書いておきましょうか。

位田 運用ではないですね。やっぱり定義そのものを説明したらいいのでは…。

北村 これは臨床研究に関する倫理指針に基づいた流れにしようということですよね。でも一方で、疫学研究の倫理指針もありますが、中身は同じなんですか。

富田 かなり重なっているところもあります。でも基本的には臨床研究が一番広い概念です。

 ただ、ガイドラインは違います。

位田 臨床研究の中から疫学の部分を取りだして、ゲノム研究の部分を取りだして、残りの部分を臨床研究指針でカバーするという形ですね。でもこれは、全部を含めた大きい方の臨床研究ということで、人を対象とするものはみんな臨床研究なんですよ。だから余計に分かりにくいわけですが、それが普通ですよね。

富田 その中の特殊なものに疫学があり、ゲノムがありということです。

吉中 運用上の措置のところに「倫理指針に準拠して判断する」と書いた時には、狭い定義のガイドラインのことを言っているわけですよね。

位田 臨床研究だけど疫学研究にあたる場合には、疫学研究の指針が適用されるというだけの話で、「臨床研究については国の指針に順守する」と書いておけば、臨床研究指針とは書いていないから、臨床研究の種類によってそれぞれの指針が適用されるわけです。

勝村 疫学の臨床試験を扱う時は疫学の指針だけを見ますから、括弧付きで書いてもいいような気がする。

位田 だから、全体は臨床研究で、これはそのつもりで書かれているのですね。だけど、臨床研究の中でも疫学と言われる分野があって、それについては特別の指針を作りますという話なので、ここについては臨床研究の指針を使ってはいけないわけですね。ゲノム研究についても同様です。

勝村 では、運用上の措置のところで「厚労省の臨床研究指針(または疫学研究指針)に準じる」と書けばいいのじゃないですか。

位田 書く必要はないです。ある研究がどれに当てはまるかで、それに使う指針は決まっているのです。

勝村 でも、「厚労省のガイドラインに準じた定義でやるんだ」と明記する時に、臨床のガイドラインとだけ書いてしまうと、そういう1冊の本というイメージになっちゃうのではない?

岩橋  「国のガイドライン」と抽象的に書いておけばいいのではないですか。

勝村 それだったら問題ないですね。

岩橋  臨床研究に関する倫理指針というのは、臨床研究の定義から疫学研究を外してあるのですね。

富田 疫学研究を外すというよりも先に決めたので、残りを臨床研究としてまとめて指針を出したのです。

岩橋  ただ、丁寧に言うとしたら、原さんがおっしゃったように「疫学研究を含む」としておく方が、中央病院の立場からは正確なのかなと思います。

富田 しかし、少なくとも私がずっと書いてきているのは、国の指針でやってきていますので、敢えて書く必要があるのかなと思って…。元々の倫理委員会の規定も、国の規定と読み直しても別に問題がないので、そのまま採用させてもらったのです。

勝村 ただ、付議不要の範囲の解釈を国の指針に準拠しようということですよね。

富田 準拠してきたつもりなんですけどね。

 改定案のところは触らなくてもいいのでしょうけど、決めるのだったらこの際、「臨床研究には疫学研究も含む」ということと、「迅速審査および付議不要の判定については国の倫理指針に従って判断する」と、運用上の措置のところに書いておきましょう。説明みたいなものですけど、混乱することがありますので。

岩橋  見る人が間違わないようにね。

吉中 治験の扱いは外れているのですけど、これはどういうふうにしたらよいですか。治験は独自の体系の治験審査委員会を定めているということもあって、そこが動かしているのですけども、それを生かすとすれば、ちょっと規定のどこかに入れないといけないのですけども。

内田 6条の「扱われるべき議題」には[臨床研究・臨床治験の倫理的妥当性の検証]というのが第1項に入っていて、7条の「議題の選択」に続くわけですが、ここから「治験」の文言がなくなると、規定のどこにも一切出てこないということが生じるのです。

富田 それを触りだすと、全体を触らないといかんのです。

岩橋  6条で議題の内容が書かれていて、7条で議題の選択となっているので、そこの整合性の問題もあると思うのですけど、臨床治験の審査に付議不要の場合や迅速審査にする必要がないのであれば、6条のところで臨床治験についての議題が挙がることになっていても問題はないと思うのですけどね。

勝村 第6条の臨床治験のところはどう書いてあるの?

内田 読みますと、[臨床研究・臨床治験の倫理的妥当性の検証][臨床研究・臨床治験を行おうとする職員が院長宛に提出した申請書を基に、委員会はその内容の倫理的妥当性について検討する]という文言ですね。

 今の流れだと必ずしも矛盾はしないのではないでしょうか。6条で「議題にはなり得ますよ」ということで、7条は「その内、臨床研究の中で迅速審査や付議不要という手続きについて説明している」という流れになっていますので、6条に入っていれば、別段、いいような気がします。

位田 臨床治験には付議不要というのはないですよね。そうすると7条の1.は改定案でも元のままにしておいて、1-2.で「委員長は、臨床研究の申請書提出…」と書けば、これは臨床研究だけの話になります。臨床治験は1.だけにしか出てこなくなりますが、これがないとまたややこしくなります。

岩橋  それか、6条と重なっている部分があるからから、改定案の7条の1.そのものを削っちゃったらいいということなんですけど、そこはもう、整理してもらうだけ。

富田 これは省いても良いと思いますので、省きましょうか。

岩橋  で、そうして1-2.に「臨床研究…」を付け加えたらいいのです。

 では、1-2.を「臨床研究の申請書が提出された事案」に変えて1-1.とし、1-3.を1-2.として、1.は省きましょうか。文言はそれでよろしいですね。それから、判定者を指定しておかないといけないですかね。

富田 付議不要の判定者は、私と四方先生を前回の委員会で指名していただきました。

吉中 決めてあったね。副看護部長の寺前さんはどうしますか。

富田 寺前さんは入っていなかったですが、看護の担当者として追加していただいてよろしいでしょうか。

 看護はあり得ると思いますね。

橋本 看護はアンケート調査が多いので…。

富田 この系列でやるのか、看護は独自でやるのかということで、まだ決まっていなかったのですよ。こっちの系列でいいですか。決めたからといって、必ずこっちでないといかんというわけでもないですけど。

 副看護部長の寺前さん?

富田 はい。

位田 運用上の措置の1.の「付議不要の判定者には、臨床研究部員を含む」というのは、含まないといけないように見えるので、「含むことができる」の方がいいじゃないでしょうか。

富田 このへんの表現がよく分からないですねぇ。主観が直ぐに出てしまいますし。

岩橋  ただ、倫理委員会として必ず臨床研究部員から入れておくべきだと考えれば、別に「臨床研究部員を含む」でも良いと思うのですけど、むしろ「倫理委員会のメンバーを必ず1名は入れなくてはいけない」という部分の方が多分、重要だと思います。そして運用上、それ以外のメンバーは臨床研究部員でも…。

 それなら、みんな臨床研究部員にしてしまったら良いのではないですか。それはまた具合が悪いのですか。

富田 いや、別にそういうことではない。前回はそういうふうにお願いしたのですが、「審査は倫理委員会の方の概念にしましょう」ということになり、1人でもいてもらえればいいかなということで「研究部員を含む」という表現にしたのです。

広瀬  付議不要の判定のところに倫理委員会の人が入っていた方が良いと、岩橋先生は言ってはるのやね。

岩橋  うん。付議不要のところについては、第7条に入れてなくてもいいですか。

位田 だから「倫理審査委員長が『この人に判定員になってもらいます』と指名することで、倫理という枠はかかっている」という趣旨ですから、「必ず倫理委員でないといけない」ということではないということです。ただ、倫理審査というのはやっぱり中立性が原則ですから、臨床研究部員が審査してしまうと、実際は中立的な審査をしたとしても、外から見るとおかしいので、研究部員を含むこともできるけれども、例えば研究部員が倫理審査委員だったらその立場で判断するわけで、それはそれで良いのだと思います。

岩橋  「多少はそういうふうにしてでも、中立性は害しませんよ」という趣旨ですね。

 「含むことができる」という規定の仕方というのは、今いちよく分からないのですが、倫理委員会で選任するわけですから、その段階で倫理委員会のコントロールはかかっているということでしょ。

位田 だから、かかっている時に「研究部員を含まないといけない」となれば、あらかじめ枠が決められていることになり、コントロールが外れてしまいますよね。

吉中 倫理委員会のフリーハンドになるということですね。

富田 ですから前回では、「付議不要にしたものの、フィードバックをして欲しい」ということで、「リストを出しましょう」という話になって、倫理委員会の枠が一応かかるようにしたのですね。

勝村 「含まなければいけない」というふうにしないため、「含むことができる」と明記した方がいいと思う。

関谷 日本語的には「含むことができる」でも間違ってはいないと思う。

 そうしておきましょうか。

位田 その裏側には「倫理委員が1人はいないといけない」ということがあって、どっちから書くかですね。

富田 選んでいただいた3人には倫理委員はいないです。私も倫理委員ではないです。

位田 そうですか。そうしたら「…含むことができる」でないとマズイですけど。

 

議事(3)「医学研究の利益相反に関するガイドライン(案)」

 ではそうしておきましょう。輸血拒否の議題まで少しはいきたいのですが、時間がないですね。利益相反の問題もちょっと手間がかかるのですけど、説明はしておきます。
「利害関係のある人が研究をする場合は、利害関係があることを明示してください」ということが、今の研究業界そのものの流れとなっていますし、倫理審査の流れとしても、そこのところは必要項目に入ってきていますので、この規定を倫理委員会自体として設けておく必要があるだろうというものです。利益相反があったら直ぐダメという話ではないのだけども、とりあえず「表に出しましょう」ということで、それは研究結果を報告する際もそうですし、倫理審査をする段階でも必要でしょうということです。倫理委員会が何らかの利害を個別に持っている場合も明らかにして、審査をする必要があるだろうということです。
現在あるのは文科省の検討といったもので、ガイドラインそのものではなく、ガイドラインの作り方のガイドライン案みたいなものですから、前回の資料にそれを出しましたが、今回の資料であるたたき台とはイコールではありません。また、たたき台には「これで良いのか」というところが幾つかあります。
1点目は「対象となる研究は全て対象とする」というふうに書いています。文科省なんかの言っている「臨床研究とは何か」というのは、今いちクリアには書いていないのですけど、もう少し範囲が狭いのではないかなと思います。でも、「治験も含めて国のガイドラインが設けられているものについては対象にしましょう」というふうに書いていますけど、国のガイドラインが全てを括っているかというと必ずしもそうでもなく、例えば看護は臨床研究に入るのでしょうが、心理学とか社会科学的手法というふうな、例えば医療経済の研究などはそういうところに入ってくるかも知れません。たたき台では「ここまで含む」と書いてしまいましたけど、行動科学とか心理・社会科学という部分は、倫理委員会へ上がってきたら審査をするとは思いますが、倫理委員会の対象には必ずしもしていませんから、ここまで網をかけるべきかどうかですね。それから実験的医療と書きましたが、実験的医療は臨床研究に入るのだという解釈もできるのですけども、「個別の患者への実験的医療というのは、はたして臨床研究であるのかないのか」というのは、国のガイドライン上はハッキリしないというか、現実には対象にされていないことの方が多いようです。ただ、この病院ではなるべく広げた方がいいかなとは思いますが、「何でもかんでも倫理委員会にかけてくださいと言う必要性まではないかな」という意味で、[審査対象に加えるという意味ではない]という曖昧な逃げか方をしているたたき台です。
それから「情報開示の項目」というところで、文科省のガイドライン案に出てくるような項目はだいたい挙げているつもりですけど、このガイドライン案に沿って具体的にガイドラインを決めている施設では、金額によって線引きをしていることが多いです。「年間100万円以上」とか「3年間で100万円以上」とかいうことですが、このたたき台では、4:の④で[年間1万円未満のものは除外する]というかなり低い線引きにしていますが、それは利害の少ないことが多いのかなという想定の下なので、利害がずいぶん多いということであれば、煩雑になり過ぎて回っていかないので、検討の必要はあるかも知れません。それから[3年間の実績まで対象とします]とか、個人でなく[当院や京都保健会も対象にします]とか、そういう案を書いています。

関谷 利益相反の「相」という字は、もしかしたら…、

 「あいはんする」のですね。

関谷 これは相反するものなんですか。

 英語の直訳では「利害の衝突」で、その方が理解しやすいと思うのですけど。

関谷 では「利害関係がある場合の…」ということですね。

位田 「相違」や「異同」というのと一緒です。

勝村 「個人的な自分の利益と社会的利益が違う」ということ…。

 だから「患者のため」とか「正確な科学的知見を得るため」というのが本来の研究のあり方だけど、「この企業から金を貰っているということだと、企業のためになる方向へ研究結果が傾くのではないか」と見られても仕方なく、「実際に傾かなくても『そういう影響を受けているのではないか』と見られるという、見立てをする必要がある」「そういう影響を受ける可能性があることが分からないといけない」という考え方ですね。特に薬の研究なんかですと、実際にいろいろ発表された中で、「研究費を企業から貰っている人達の研究結果は、やっぱりメーカーにとって都合の良いものになりがちである」というふうな調査結果や、あるいは研究結果を出さないということもよくあります。

吉中 ネガティブデータとかね…。

関谷 なんかスパイみたいに、違うメーカーから金を貰って、データを歪めて研究成果を潰すというようなことはないの? 理論的には考えられても、それはテレビや映画の世界だけで、考え過ぎですよね。

位田 でもあり得るでしょうね。「両方から金を貰っていて、こっちの方へ」ということも、何でもありや。

 いろんな影響が考えられるだけに、研究の客観性とか公正性というところを評価する時に、何らかの利害関係があるかどうかも含めて材料にする必要がありますね。全否定するという考え方には世の中の流れはなっておらず、それも加味して評価材料にできるようにしましょうということですから、「情報開示の項目でズラズラといっぱい出てきたら、自動的にペケになります」という意味合いではありません。

吉中 P1の2:にある「実験的医療」というのが何を意味しているのか、よく飲み込めなかったのですけど。

 例えば手術だと、従来にないような手術方法とか、あるいは薬の適応外使用で従来にはないような使い方などは、実験的医療と捉えた方がいいのではないかと思います。

富田 あるいは、治験もこれまでにない治療ということで、標準治療に対しての実験的医療ですね。

 まさに、薬事法に基づく臨床研究ですよね。

吉中 実験的医療というのも、広く臨床研究と言えないこともないでしょ。

 私が書いた意味合いは、個別症例の治療をイメージしているのです。研究と呼ばれるようなものは臨床研究であったり、基礎研究であったり、疫学研究であったりしますけども、とりわけ大学のようなところでは、個別の患者さんの治療や診断だけが目的で、新しいことをやるというようなことは結構あるのですよ。例えば遺伝子解析でもあります。でも、個別の患者への治療・診断だけを目的としたものは、臨床研究の指針の対象には入ってきませんので、そこから外れているものという意味での実験的医療です。ただ当院の場合は、実験的医療も程度にもよりますけど、基本的には倫理委員会にかけた方がいいのではないかと思いますね。

広瀬  実験的と言えば、機材なんかも新たな初めて使うようなものもあるので、またややこしくなります。

位田 何が実験的医療かという幅を言っているのではなくて、これを入れておけばそういう場合も入るということで、これが入っているのですよね。できるだけ広く利益相反を開示しようということですね。

 このあたりは[審査を受ける全ての医学研究を対象とする]としましたので、審査を受けないものは対象としないということですけど。

位田 治験は入るのですか。

 治験を入れるべきか入れるべきでないのかということは、迷っているところなんです。治験審査委員会でやるのか、倫理的側面は従来からこちらを通すような流れになっているのであれば、利益相反の部分はここで審査をしてしまう方が良いのかも知れないし、どうせ全部を倫理委員会に通すのであれば、ここに治験審査委員会と書く必要がないかも知れません。治験審査委員会だけでいくというのもあるのですかね。

吉中 法的にはあり得ます。

 あり得るとすれば、ここの書き方だと、治験審査委員会にも網をかけるようなたたき台なんですよ。

吉中 治験審査委員会関連では現在、利益相反を義務づけられてはいない。ですから審査の対象にはなっていなくて、それで問題が生じるということも社会的な意味ではないのですけども、それは少し日本の遅れているところかも知れないです。

 末にも[倫理委員会と治験審査委員会の両方で承認を得た日から施行する]という書き方をしたのですが、多分、逃れられない話かなという気がしますね。

富田 私は治験審査委員会に属していますから、書いていただいていると思いましたが、特に治験の方はいずれ出ますよね。治験の場合は新薬で薬価収載のところまでで、ここは薬価収載されていても改めて審査に回ってくることもあるでしょうから、どちらにも要るのではないでしょうかね。ですから両方を見渡してもらって、そのガイドラインを作っていただいた方がありがたいと思いますけど。

吉中 抗癌薬といった化学療法関係がこれからどんどん出てくる可能性が高いと思います。

 内容はどうですか。細かい部分は別として、全部がそれぞれにかかるような形になっているのですけど。

位田 2:は[臨床研究だけでなく、基礎研究、疫学研究、実験的医療、看護分野の研究、心理・行動科学分野の研究、社会科学的手法による研究を含む]とありますが、ここに「治験」という言葉を入れなくても良いのですか。

 入れてもいいと思います。

富田 ただ、治験も臨床研究の中に入りますから…。

位田 私もそうだと思いますが、[倫理委員会または治験審査委員会]と書いていて、ズラズラ並べるのなら、やっぱり治験も書いておいた方が分かりやすいかなという気がします。

関谷 こういうことをしても、あくまでも倫理的問題で、法律的には違反しないのですね。

 法律はまだないです。

関谷 ということは、9:に「ペナルティー」と書いてあって気になったのですが、病院が調査機関を作って調査するとして、分かった場合は本人に「もうやめなさい。次から研究させないよ」と言うぐらいのことですか。それ以上の懲戒があるというわけでもないですね。

 ここで書いているのは、それぐらいの案ですね。

関谷 今のところそれが常識やね。

富田 ちょっと違いますね。利益相反というのは、進んでいるところでは当たり前の場面になっていて、例えば生命科学の分野なんかは非常に特殊で、企業もやっている研究者も限られているという世界ですから、そんなところで関係がないというわけにはいかないわけです。だから、トップのところの研究というのは、良い意味での協力関係を取るのが普通のことになりつつあるのです。ただウチらみたいなところは、まだまだ利益相反を生むところまで迫っていないかも知れない。

関谷 でもここで何か不誠実な行為があったらというのは、おそらく研究…、

富田 そういうことに結びつく可能性はあるということですよね。

位田 「関係があったらダメだ」という話ではなくて、関係を隠していて、例えばデータをごまかしたりすることが問題なので、そこが明らかになると利益相反なんですね。

関谷 で、「それが発覚した場合には」というプロトコルの最後のところは、せいぜい是正勧告と次期研究の承認の拒否ぐらいが今、できることなんですね。

 ここで言っているのは「そういう利害関係があった場合は出してくださいよ」という情報開示の話ですので、それを出さないことがここでは問題なのです。

関谷 そうなんですね。研究データをごまかしたという話ではなくて…。

位田 それも含めてですよ。

勝村 「こんな不誠実な」と思うようなものが、透明化して出てきたらどうするのですか。

 それは、審査ではねるとか、そういうことです。

勝村 企業との密着性は排除できないものがある程度あるから、ガイドラインの流れは正直に言うことが大前提なんですね。で、透明化しても、あまりひどかったらその続きがあるわけで、言えば何でも許されるというわけではないですね。前の金曜日の朝日新聞には、研究者がベンチャーの筆頭株主だったというのがありましたね。

位田 それ自体は悪くないのです。透明化されているかされていないかということでなくて、お金を貰っているから、本当はそうではないのに、お金を出しているところに有利な形にデータを出してしまうというのが悪いのです。だから、公正な研究と違う研究をやっていることが問題なんです。製薬会社からお金を貰って研究している人はいっぱいいるわけですよ。それは別に利益相反でもなんでもないのです。

勝村 研究している薬の開発会社の第1株主になっているということは、このガイドラインでは透明化の対象になりますよね。公正に研究すればそれを隠していても良いのですか。

岩橋  透明化すればそれの信頼性を高めるし、それに対して批判的な検討を受ける余地を与える必要があるということではないですか。

勝村 実際、産学共同研究ではそれに近いことをしていますが、透明化しておけば良いわけで、透明化する中でもし不利なデータを隠したということになったら、透明化で示されることが原因ではないかということで…、

 データを隠したとかいうのは、ここの対象というより、研究そのものの倫理の話ですから。

関谷 それは利益相反と関係ないのではなく、この規則の中で扱っているわけではなく、この規則は単に開示の問題ということですね。

吉中 科学的な論文のジャッジメントをする時に、知っているのと知らないのとでは見方も違いますし、そういう関係を明示することで、どこか間違っているのではないかというのを公正にできるということなんですね。

岩橋  それと、たたき台に書かれている[被験者がインフォームド・コンセントを行う際の判断材料の提供]という意味で言うと、「そういうふうに歪められた形で使われる可能性がある」と判断したら、その人は同意しないですから、そういう権利を与えるべきだということですし、歪められた無理な実験をやられたりすることを避けさせるということで、倫理委員会的にはそっちの方の意味合いの方が強いですよね。それと、それを公正にやっているということを、医療として倫理的に保証しましょういうことです。

 「保証しましょう」というよりは、「材料を提供しましょう」ぐらいですね。

関谷 こういう規定を決めまして、違反していることがどこからか出てくるではないですか。隠していたら本人は言うわけはないから、それが分かるというのはどんなふうにして分かるのですか。誰かが言うのですか。

位田 それは研究室の同僚が言ったり、財務諸表を見たら出てくるとかですね。

吉中 「スタチンというコレステロールの薬が脳卒中の予防に効果があるかどうか」という研究が5つぐらいあって、1つだけ「効果がある」という結果が出たのですけど、利益相反はアメリカの論文なのでみんな出ているのですね。それを後で精査してみるとちょっとおかしいところがあって問題になったのですが、みんながやりだすと分かりやすくなってくる。でも、一部しかやっていなかったら判定しようがないですし、捜査機関でもないですから、分からないと思いますね。

 そういう意味では、信頼関係と後は内部告発的な話か、そういうことに委ねられるでしょうが、いずれにしても、例えば研究発表をするには、「利益相反の手続きをちゃんとしていますか」というところを抜きにしては通らなくなっていまして、今は申請書に丸を付けるぐらいの項目を載せていますけども、それでは研究そのものが世の中で通用しないし、アメリカでは法律で義務づけることをもうやったのか、もうすぐやるかですわ。

吉中 4:の②で[当院および法人の京都保健会も対象とする]というのは、「病院が何らかの研究費として措置してて、それを供与している研究である」ということを想定しているのですか。

 どういうのでしょうかね。会計上のことがよく分からないのですが、お金は病院に入るのでしょうか、法人に入るのでしょうか。その区別はあるのですか。

吉中 それはあります。お金が入る研究はほとんどないですけど、治験はもちろん入るところが明朗になっていますし、今あるのは薬の市販後調査のようなものをメーカーが依頼してきますので、科長会議で審議して契約書を交わし、そして病院にお金が入るというのはあります。

 法人というのはあまりないのですか。

吉中 直接、法人へというのはないと思いますね。

内田 実際は病院の経理に入る口座なんですが、銀行との関係で口座名義は法人に入ることになっていますから、名目上は京都保健会も含むことになります。

吉中 原さんが想定したのは「医師個人との関係を超えて、病院や法人と利益関係がある場合も開示させる」ということを言っているのですね。

 法人をどう入れるべきなのかというのは分かり辛いところがあるので、迷ったところでもありますが、少なくとも医師個人ではなくて、病院総体として例えば「原製薬からいっぱい貰っていますよ」というのだったら、やっぱりその病院で行われることはちょっと色眼鏡で見る必要が出てくるかも知れないと思います。

吉中 私が想定したのは逆に、学会発表に行くとか、薬を使う研究で薬代は病院が負担するとか、病院が職員にいろんな便宜供与をしますけど、良い研究を報告することは病院にとっても良いことなので、研究者と病院・法人が一緒になって良い結果を出そうとするみたいなことを言っているのか思いました。

 そういう誤解が生じるのだったら、ちょっと書き換えた方が良いのかも知れませんけど、受け取る側としての病院・法人という意味合いです。

位田 ①の[研究参加メンバー全員、その家族を対象とする]というのは家族にお金が流れる場合ですか。

 そうです。あるいは家族が大株主であるとか…。

位田 「対象とする」という言葉遣いがちょっと分かりにくいかなと思うのですね。

関谷 正確には「家族も情報開示の対象となる」という意味ですね。これは開示の範囲の話ですが、例えば「自分の親が某製薬会社の役員で、お金が流れている」というのなら、親についても情報開示しないといけないということですから、むしろ、研究参加メンバーやその家族が関連する利益を得ている場合という趣旨ですよね。

勝村 家族名義でお金を貰っていることもあるからね。

岩橋  インサイダー取引とかの場合もそうですね。だから、3:のa:b:c:d:e:f:の各項目の利益供与を受けている主体に、家族とかも含めるということですね。

位田 先の「病院・法人」も同じだと思いますが、「情報開示の対象」というのはちょっと分かりにくい気がします。最初に読んだ時は、「全員が同じように、どこからどれだけ貰っているのかとかいうのを全部、明らかにしなければいけない」というふうに見たので、「それはちょっと大変だな」と思って…。

岩橋  でも、②が①と同じようなことであれば、②はこの表現なんでしょうね。

関谷 ①は、チームメンバーの誰か貰っている人がいれば、それを全部出せという意味だと思います。そして、その家族も一親等から配偶者までは全部出せということなんでしょうね。

位田 つまり3:は[情報開示の項目]で、その情報開示の具体的な範囲が4:の「全員」とか「家族」という話なので、「3:のa:b:c:d:e:f:をそれぞれの人について同じように出さないといけない」という意味なんですね。

 これに書いているのはそういう意味です。例えば「子供が○○製薬からいっぱい飲み食いさせてもらっていました」とか、該当するのであればということです。

関谷 海外留学させてもらったとかね…。

勝村 「全部、妻の名義だから関係ありません」にはならないということですね。

 比較するのであれば、「そのあたりが他のところの定め方と比べてどうなんですか」という比較表を出した方が分かりやすいですね。

位田 全然違う分野の話なんですけど、再生医療で例えば未受精を貰う場合、研究者の家族や友達から貰うと利益相反になるか、婚約者から貰うと利益相反にかかるかという話で、そういう人達からは貰ってはいけないということになっています。これはシチュエーションが違いますけど、僕が言いたかったのは、どこまでの範囲を透明にするかということです。

岩橋  表現としたら、4:の情報開示の範囲でいいのかと思うのですけど。

 例えば厚生労働科学だと、「生計を一にする配偶者および一親等の者」という範囲にしていますね。それに同居の親族を入れるかどうかというぐらいですね。「対象とする」という表現が分かりにくければ…、

北村 4:タイトルを「情報開示の範囲」とすると、何を言っているのか分からないので、この厚生労働省の分の「情報開示の対象となる機関および研究者」というタイトルにすれば良いのではないですかね。

 対象となる人について述べている項目と、対象となるものについて述べている項目が混ぜこぜになっているので、分けるなら分けたら良いと思います。

岩橋  これは分けた方が良いですね。

関谷 ②と③がちょっと違って、そこに段階があるね。⑥がまた戻っていて、明らかに混じっていますね。③と④もちょっと違い、⑤ぐらいから違う話なのかなぁ。

 対象が分かりにくければ「それについても開示しなければならない」とか、もっと具体的に分かるように書けばいいのだと思いますけど。

勝村 委員に利益相反はないか。

位田 委員に利益相反はありますよ。その時は審査から外れてもらえばいいのです。

富田 「対象とする」という言葉を除いて、「情報開示の必要な範囲」としてもいけるのと違うかな。

位田 4:の⑤と⑥は、3:のa:b:c:d:e:f:の説明ですね。3:は[医学研究を実施しようとする者]に限定されているので、「それに関係するのにはどういう人もしくは法人がいますか」という話が4:の①と②ですね。①②と⑤⑥とではかかる範囲が違うのに、全部を一緒に入れてあるので、ミスリーディングなところがあるのかなと思います。

岩橋  「ただし~を除く」という表記はあまり好きではないけれども、⑥とかは、3:の[a:当該研究と利害のある企業・団体…]の項目のところで、「それを除外する」というふうに書く方が分かりやすいかも知れませんね。

 ⑤も他施設の案と比べると若干広げていて、例えば「特定の抗鬱剤が研究対象だとしても、抗鬱剤全般の捉え方に影響しているのではないか」というふうな議論が結構あります。それこそ高脂血症の薬とかもね。

勝村 余計にややこしくなるかも知れませんが、2:と3:の間ぐらいに、「利益相反となる当事者の範囲」みたいな項目を作って、それに4:の①②⑥なんかを入れたら良いのではないですか。

位田 ③④は開示すべき利益で、①②は利益を得る者なので、分けた方が分かりやすくなると思うけどな。それから⑦はここに入れるのですかね。

関谷 ⑦は企業側と研究メンバーのどっちも入りますが、要するに「利益相反に何か変更が生じた場合は生じた場合はすみやかにそれを申告する」ということですから、対象の問題ではないということですよね。

位田 「すみやかに申告する」というのは、メンバーではなく研究している人が申告するのですね。

 この場合は、研究の責任者ですね。

位田 3:のタイトルは[研究者による情報開示の項目]になっているのですけど、まず「研究者による情報開示」にして、その時に[書面で開示しなくてはならない]という前文の最初の文があって、それから⑦がくると、「いつ申告しないといけないか」というのが分かる。そして、その次に項目を起こして「情報開示すべき項目」というのでa:b:c:d:e:f:、それから…、

岩橋  それをやるのであれば、「医学研究を実施しようとする者は、利害関係者につき以下の項目について情報開示しなければならない」として、で、「その利害関係者とは」ということで定義を書いたら、多分…、

位田 それで利害関係者の範囲…、

岩橋  利害関係者というところで「研究参加メンバー全員、その家族、当院および法人の京都保健会」として、「利害関係者にはこれこれを除く」という形で4:の⑥を入れて…、

 時間もありますので、構成上の組み立てに関しては少し練り直しをしたいと思います。ただ、線引きの仕方とか、内容的にもうちょっと詰めないといけないのですけど、それも含めて、次回に改めて提出します。

勝村 まぁ、趣旨を明文化しておくことは大事なので…。

 …と言うか、やっておかないと研究発表が皆、却下されることになりかねません。まだ日本の学会程度ではいけると思いますが、国際誌だったら、いくら膨大でも全部をディスクロージャーしておかないと無理ですから、言うている間にもう通らなくなるかも知れません。

吉中 日本の学会はまだ全然大丈夫で、圧倒的多数は関係ない。

 でも、一部で進んできているみたいですよ。

勝村 逆に言うと、海外は厳しいのですか。

吉中 海外の有名雑誌はもうダメですよね。

 「輸血拒否」が積み残しになるのが非常に心苦しいのですけど、時間の制約もありますので済みません。あと、治験の報告ですが、注目すべき事象や議論になった点が特にあれば…。

 

議事(4)「治験審査委員会報告」

富田 今は多発性硬化症のTYSABRIという薬の件で動いていますが、PartAとPartBというのがありまして、PartAは6ヵ月の治験期間が終わって、今は長期継続に入っています。それが終わって二重盲験のPartBに入るところで、現場での対応について少し未整理なところがあるということで、少し延期になり、その解決を待っているというところです。その他はだいたい順調にいっております。

 問題事象とか、特に議論しておかないといけないことはないですね。ちょっと不手際で委員会が長引きまして済みません。次回日程をお願いします。

内田 提案は12月21日火曜日となっていますが、よろしいですか。では21日18時半ということでお願いします。

 はい。ではお疲れさまでした。ありがとうございました。

 

 

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