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第三十二回 倫理委員会 議事録

京都民医連中央病院

日時 2009年6月4日(木) 18:30~21:20
場所 太子道診療所3階多目的室
出席者 外部委員 小原委員長、原副委員長、岩橋委員、勝村委員、広瀬委員
内部委員 北村副委員長、赤木委員、井上委員、内田委員、東委員、吉中委員
事務局 丸山
オブザーバー 清水、田中、橋本、北林

議事

議事(1)「委員の交代に伴う倫理委員会の体制について」

 小原 ただ今より第32回倫理委員会を開催させていただきます。今日は傍聴の方がたくさんいるので、良い雰囲気ですね。しかし、いつもどおりにやっていきたいと思います。それでは、準備された議事に従って審議を進めていきたいと思います。議事(1)は「委員の交代に伴う倫理委員会の体制について」ですが、実は私が7月31日から1年間、日本を離れてアメリカに行きますので、その間、委員長を務めることはできませんし、立岩先生も事情があってお辞めになりますので、その後の体制についてのご説明をお願いしたいと思います。

 吉中 今回の要項の参加者の外部委員の欄を見ていただきますと、括弧のところは立命館大学の立岩先生でしたし、小原先生も交代になり、岩橋さんも元は弁護士の村井先生でしたので、外部委員の方が3名も交代になるという時期になります。それで副委員長の北村先生とも相談したのですが、「議論の流れがありますから、全く新しい方に委員長をお願いするのも大変だろう」ということで、読売新聞の記者をやっておられる原さんにお願いしようということにしました。そうすると現在、原さんがやっておられる副委員長の席が空きますので、副委員長は勝村さんにお願いすることにして、お二方とも「1年間」ということで快くご了解をいただきましたので、委員長・副委員長のところは北村副委員長を加えて決まりとなります。で、委員の方は、村井弁護士から第一法律事務所の岩橋弁護士を推薦していただき、入っていただきますが、後の2人のところが空欄になっています。小原先生のところは1年間の渡米中の代役をということで、小原先生があたっていただいており、決まると思いますけど、立岩先生のところはまだ空白です。で、お一方にあたったのですけど、「多忙である」ということで実現していませんので、早急に大学の先生を中心に候補者を挙げて検討したいと思っています。この2人を決めますと体制は決まっていくということで、軸としてはこの形でご了解いただければと思います。

 

議事(2)「事例検討」

※事例1例検討しました。

 小原 では、時間も遅くなっていますので、議事(3)の「DNAR指示に関するガイドライン討議」に移りたいと思います。これは前回、「DNAR指示に関するガイドライン本編」というものに関して、かなり細かい意見調整がされて、修正されたものが今回、お手元に届いていると思いますが、「どういう形で修正されたのか」ということをご説明いただき、これを基にして作られた「患者に対する説明書案」も、お手元にあるかと思いますので、併せて北村先生の方からご説明をお願いしたいと思います。

 

議事(3)「DNAR指示に関するガイドライン討議」

 北村 はい。事前資料の封筒の中には4月の案も入っておりますが、今回は「DNAR指示に関するガイドライン本編(2009年6月倫理委員会案)」という資料を用います。それから当日資料の「『心肺蘇生法を実施しないこと』(DNAR)に関する説明書(案)」というものも用いて説明しますので、2つをご参考ください。
 まず、本編6月案の修正点からご説明いたします。まずP2の「DNAR指示の決定に関する基本方針」ですが、1)~3)の1)と2)の順番を入れ替え、【「患者の生命活動」を大切にする】を【「患者の意向」を尊重する】より上にしました。
 次にP3の「3 対応原則」の部分で変更があります。ここで「心肺蘇生不能例」と「不能例でない場合」の2つに分けて書いてありますが、「不能例でない場合」のところの文章表現を変え、【心肺蘇生法を開始することを原則とする。ただし「有効なDNAR指示」が出されている場合は、開始しないことが許容される】となっております。前回は[「有効なDNAR指示」が出されていなければ心肺蘇生法を開始する]と表現が逆になっていましたが、分かりやすくするためにこのように書き換えております。それから【注1)心肺蘇生不能例】として、前回は[心肺蘇生法の実施でも生理学的効果が得られない場合]ということで、敗血症性ショックなどを加えておりましたが、これは削除しました。【注2)】は【心肺蘇生不能例に対して心肺蘇生法を行うことは~】とありますが、前回は[家族がその事実を受け入れられない場合は蘇生続行を許容する]というような内容になっていましたが、これは基本方針の「患者の意向を尊重する」ということにやや背く表現であるということで、【感じが実施の意向を示していた場合には続けることを許容する】という表現に変えています。前回は[注3) 心肺蘇生不能でない場合、患者の同意がないにも拘わらず心肺蘇生を開始しないことは、倫理的に良くありません]というのを、わざわざ加えておったのですが、くどい話なので削除しました。
 次はP4で、【4 「有効なDNAR指示」を出すための手順】の【手順1 医師の判断】の中の【心肺蘇生法不開始が許容される医学的要件】において、「短期間」という期間が問題になりましたが、前回の議論で「1ヵ月で良いのではないか」という意見が出ましたので、【1ヵ月以上の期間は想定していない】に改めました。【手順3 患者の意向の確認】は、前回には[患者の同意]というタイトルになっていましたが、「同意」というのはやや受け身的なので、「より患者さんが主体的に決断していただく」というニュアンスを高めるために表現を変えています。【手順3】は構成も大きく変え、前回は分けていなかったのですが、今回はAとBに分けておりまして、ここは大きく変えていますので、ここだけ本文を読ませていただきます。
 【A 患者の患者の意思決定が可能な場合】。【1)患者とキーパーソンへ説明する。この際、主治医と看護士同席にて説明を行う】。注は割愛します。【2)十分に話し合った上で、患者の意向を確認する。この確認は口頭でよい】【3)患者がDNARを希望する場合には、キーパーソンに同意書を記入していただく】【4)主治医がDNAR指示を出す】。
 【B 患者の意思決定が可能でない場合】。【1)キーパーソンへ説明する。この際、主治医と看護士同席にて説明を行う】【2)キーパーソンと十分に話し合った上で、患者の推定意思を確認する】【3)推定意思がDNARを希望するものであれば、キーパーソンに同意書を記入していただく】【4)主治医がDNAR指示を出す】。
 で、「同意書を記入していただく」という内容になっておりますが、今までは同意書のモデルを提示していませんでしたので、イメージが湧かないだろうと思いましたので、今回、当日資料でお配りした案を作ってきました。こちらは全く新しく起草した文書ですので、読ましていただきます。
 【「心肺蘇生法を実施しないこと」(DNAR)に関する説明書(案)】【心肺停止した人を発見した場合、医療従事者は心肺蘇生法を実施します。しかし、死が差し迫っており、かつ心肺蘇生法を開始してもその効果がほとんどないと考えられる方が心肺停止した場合には、心肺蘇生法を実施しないことがあります。この「心肺蘇生法を実施しないこと」を医療現場ではDNAR(Do Not Attempt Resuscitation)と言います】。【患者様は、今後遠くない時期に心肺停止に至る可能性が高いと判断しております。そのため、心肺停止時に心肺蘇生法を実施するかどうか、ご意向を確認しておくべきだと考えております】。【以下に、心肺蘇生法とDNARに関してご説明いたしますが、それを踏まえて心肺蘇生に関する患者様のご意向をお示しいただければ幸いに存じます】。
 【1 患者様の病状と、推測される今後の経過について】。【患者様は以下の病状にあり、近いうちに心肺停止状態に陥る可能性があります】。ここに患者さんの病状を書き、そして説明します。
 ここから一般的な話ですが、【2 心肺蘇生法について】。【心肺停止した場合、当院では原則として心肺蘇生法を実施します】。【○手技 心臓マッサージや人工呼吸などを行います】。【○効果 心臓と呼吸の動きが再開する可能性があります。一旦は再開する可能性は40%あると言われています】。【○副作用 肋骨や胸骨の骨折が生じる可能性が約30%だと言われております。また肝臓や脾臓の破裂が起こることもあります】。
 【3 DNARについて】。【死が差し迫っており、かつ心肺蘇生法を開始してもその効果がほとんどないと考えられる場合には、心肺蘇生法を実施しないことがあります。この「心肺蘇生法を実施しないこと」を医療現場ではDNAR(Do Not Attempt Resuscitation)と言います】。
 【4 DNAR指示を出すために必要な条件】。【当院では、以下の三つの条件がそろった場合にのみ、DNARの指示を出すことにしております】。【○以下にあげる「DNARの指示を出すことができる医学的基準」を患者が満たしていると、複数の医師が判断している。○最善の治療にもかかわらず、病気の進行によって死が差し迫った状態にある。○心肺停止した場合、仮に心肺蘇生しても短時間で死を迎えると推測される】。【○看護師を含む、複数の当院スタッフによって指示の妥当性が確認されている】。【○患者様から、「心肺蘇生法の実施は不要」との意向が示されている】。
 【5 DNAR指示が出された後の対応】。【DNAR指示が出されていれば、その後に病気が進行して心肺停止に至った場合には、心肺蘇生法は実施しないことになります】。【しかし、それ以外の理由による心肺停止時(例えば急に食べ物をノドに詰めてしまったために生じる突発的な心肺停止など)には、心肺蘇生法を実施実施します】。
 【6 DNAR指示の取り消しについて】。【「心肺蘇生法の実施は不要」と意向を示された後でも、ご希望が変化すれば、いつでもスタッフにお伝えください。その時点でDNAR指示は取り消されます】。
 【7 必要な治療やケアは続けられます】。【DNAR指示は、あくまでも心肺停止時の対応に関する指示です。例えDNAR指示が出されたとしても、生命維持と症状緩和に必要な治療やケアを減らしたり、中止することはありません】。
 最後の1枚が「説明確認書」と「意向表明書」を1枚にまとめたものになっています。
 【心肺蘇生法を実施しないこと(DNAR)に関する説明確認書(案)】。【医師の確認】。【○患者様が現在、心肺蘇生法を開始しない指示(DNAR指示)を出すことができる状態にあることを    医師と    医師が確認しました】。【○看護師を含む複数のスタッフが、患者様にDNAR指示を出すことが妥当だと確認しました】。【○「心肺蘇生法に関する説明書」に添った説明を行いました】。【○DNAR指示を出した後も、通常の医療やケアは今まで通り続けることを説明しました】。【DNAR指示が出されていても、状況によっては心肺蘇生を行うことがあることを説明しました】。【医師氏名 署名 】。【看護師の確認】。【○医師が行った説明内容を、患者様、あるいは代理人様が理解されたことを確認しました】。【看護師氏名 署名 】。
 【患者の意向表明書(案)】。【□医師から心肺蘇生法とDNAR指示について説明を受け、理解しました】。【患者が今後、現在の病気の進行の結果、心肺停止状態になった場合には】、【□心肺蘇生法を実施してください】【□心肺蘇生法を実施しないでください】【□以下のように対応してください(ご希望をお書きください)】と、チェック欄を設けてあります。そして【日付】と【患者氏名】【家族あるいは代理人氏名】【続柄】を加えています。
 以上が案ですが、取りあえず作ったので、文章表現などはまだまだ詰めるところがあると思います。このような同意書を取ることが賢明ではないかと考えています。以上が前回から今回の修正点と、追加資料の説明です。

 小原 では、A、B以下のP5~P6は変更がないということですね。

 北村 倫理委員の名前が若干、交代で換わっているだけで、それ以外は変更ありません。

 小原 では、だいたい前回からの変更点、そして新しく作られました説明書案のご説明がありましたので、どうぞ自由にご質問、ご議論をいただきたいと思います。説明書案については、だいたい本編を踏まえた表現になっていますので、連続性は良く理解できると思うのですけど、多少、表現が違うところもあると思いますので、よくご確認いただきたいと思います。これが実際には出ていくことになりますので。本編で「キーパーソン」と書かれているものが、説明書の中ではほぼ「代理人」と言い換えられていると考えて良いのですかね。

 北村 はい、そういうことになります。

 小原 「患者様、あるいは代理人様が理解した」とありますが、「代理人とはいったい誰なのか」というような議論は起きないと良いですか。

 北村 いや、起きるとは思いますが、一般に同意書ではわりとこういう表現になっていて、そこをあまり問われずに使われている現状があるので、そこにあえて逆らわずに、取りあえずこれで出してみただけです。

 吉中 本編P5の「患者の意思決定が可能な場合」の2)で「この確認は口頭でよい」としていますが、入院のしおりでお願いすることになる一般的な意味での意向表明の中身と、今回に出された意向表明書は具体的な時期になった場合のという意味だとは思いますけど、この中身との両者の関係をどのように扱うかということで、既に意向表明をしていても、これにもう一度書いてもらうというような趣旨ですか。

 北村 はい。入院時の意向表明の時点では、まだ患者さんは自分の病気がどのように進行していくかという具体的なイメージをお持ちでない、あるいは実際に体験しておられない段階ですので、あくまでも参考資料という位置付けになるかと思うのです。最終段階では改めてご本人に確認を取るということがどうしても必要なので、別のこういうものを用意したということになります。で、「患者さんに確認はするが口頭で良い」ということですが、サインすることを排除しているわけではありませんので、一応、患者氏名とか患者を確認できる欄も入っているわけです。ただ、差し迫った段階で説明してサインをしてもらうということは、心情的に良いのかどうかという問題があるかと思いまして、ここは「口頭で良い」としてあります。

 吉中 その運用としては、口頭でも良いし、これに書いていただいても良いというように、弾力的にしているということですね。

 北村 そういうことです。ただ、どなたかの文書の確認があった方が、より安全性・確実性が高まるので、同意書を書いていただくとすれば、本人でなければ家族や代理人しかないのかなということで、家族の名前で書いてもらおうとしたのです。

 原 この最後の文書は家族の名前で書くという意味ですか。

 北村 正確に言えば、患者が同意したことを家族が確認して、患者氏名とそれを確認したということを、家族の欄に書くようにしてあります。

 原 説明書自体は患者および家族向けで、書面はどっちかと言うと家族に書いてもらうということですか。

 小原 患者氏名もあるので、患者も書くということですね。

 岩橋 表題が「患者の意向表明書」となっているので、実際としては患者が署名しないといけませんね。

 勝村 本編P5のAの3)とBの3)、つまり、患者の意思決定が可能な場合も、可能でない場合も、どっちも「キーパーソンが同意書に書く」と書いてありますから、これは代理人が書くための文書になっていますね。

 北村 基本は代理人が書くための文書です。患者の意向というのは、Aの患者本人が言う場合と、Bの患者の推測意向の場合の2つがあって、2つの同意書に分けると実際の運用上に混乱が生じる怖れがあるので、1つに揃えたいということで、患者の意向表明書には患者の推測意向も含んでいるということです。

 小原 弾力的な運用という趣旨は分かるのですが、運用する側からすれば、口頭でするのか、文書でするのかの判断は、どういうふうにするのでしょうか。あるいは、どちらを優先すべきだと考えているのでしょうか。例えば「原則は書面で残して欲しいのだけども、それが困難な場合は口頭で良い」ということですか。

 北村 私が書いた段階では「文書に書いていただく必要はなく、口頭で良いだろう」という意味でした。患者さんが死に瀕した状態でそういうものを書いてもらうのは、心情上やはり問題があるのではないかと思いましたので、そこまでは文章表現をしていませんが、そういう思いで書いています。

 小原 「口頭で良い」というのが原則なら、確認書はどういう場合に求めるのですかね。例えば、患者が自分の心肺停止時の意思確認も非常に明確になさっている時に、「じゃぁどうぞ」という形で差し出すものですか。

 北村 よほどご本人がそのことを医学的に考えたいという意向があって、その判断能力もあって、そのことを周りも同意しているような状況であれば、患者さんご本人に出していただいても良いと思うのです。

 原 今おっしゃった「むしろ口頭で良いだろう」というお考えの理由はもう少しないですか。

 北村 これは本人に確認すべきだと分かってはいるけれども、実際に「これをやりますよ」と現場で医師や看護師が用紙を示してサインしてもらうということは、現実的に可能なのかと言えば難しいのではないかと思うのです。そうであれば、こういうのを定めたとしても、実際に運用されない率は高いだろうと思うし、そういうことで「口頭で良い」としたのです。

 小原 これも長い議論がありましたが、最初の方では同意書にサインをしてもらうというところからスタートしたと思うのですよ。それで、他の病院のDNARの同意書なども資料として出してもらったので、実際にそういうところはあるのですね。ただ、議論していく中で「そういうのを前提に進めるのは、患者の心的負担になるからやめておこう」ということで落ち着いたと思うのですね。だから、ここは議論の結果として「口頭で良い」ということで良いと思うのですけど、それにこの意向表明書を付け加えれば、結論に辿り着きながら逆戻りしているような印象も否めないので、運用する側が迷わないようにするため、どのように使ったら良いかということを明確にしておいたと思うのですね。

 勝村 本編のAの3)とBの3)では、「DNARを希望する場合には書く」とあるでしょ。ところが同意書の方ではチェックを入れて選べるようになっているので、もっとフィットする形にした方が良く、説明して本人もDNARを希望したということを医師も患者も家族も確認しているという用紙で良いわけです。

 東 本編も、この場合は「同意書」ではなく「意向表明書」という言葉にしないといけないということと、記入していただくタイミングが、3)ではなく2)の段階ではないかと思うのですね。意向をまず確認して、その中で「もしDNARを希望される場合は、主治医がDNAR指示を出す」というところへつながるということで、それからDNARの実際のことが進行していくということだと思いますね。

 北村 そうすると2)と3)の手順を分けるかどうかは検討の余地があるとは思いますが、分けたままで言うと、2)は「十分に話し合った上で、患者の意向を確認する。この確認は口頭で良い」で、3)は「何らかの意向を表明された場合は、キーパーソンに意向表明書を記入していただく」、4)は「実施しないことを希望される場合はDNAR指示を出す」という手順で良いということになりますね。

 岩橋 これまでの議論を事前に読んだ時の意味合いで、あくまでも患者さんの意向を尊重した形でやるということなら、患者さんへの確認は口頭で良いとしても、「患者の意向はこうでした」ということを家族の方に確認してもらうというものではないですか。それでもなおかつキーパーソンから、患者さんの意向表明の確認の署名以外に、同意書を取ることを予定されているということでよろしいのですか。

 北村 それはまだ議論の余地があることだと思います。同意書を取るべきかどうかは今までハッキリしていなかったと思いますが、イメージが湧かないといけないと思って、今回は試みに出して、同意書を取ることがそもそも良いのか悪いのかということもご議論いただければと思うのです。

 原 本編の記述はさっきおっしゃったように、確認そのものは口頭で良く、もちろん、本人が「書きたい」と言ったら書いてもらったらよいわけで、例えば逆に「生き返る可能性が高い場合はやってくれ」というような場合は書きたいかも知れませんので、可能であれば患者に書いてもらったら良いのです。意向表明書というのは、前に作った入院のしおりに入れるやつと書き方は違いましたか。基本的な考え方自体は同じようなことでしたか。

 小原 これは再確認ということですから、大きくずれると具合悪いですね。

 東 この議論がこのように出ましたからストップがかかっていて、入院のしおりにはまだ入れていません。

 北村 入院のしおりに入れる「私の考え」は、当院の現場で議論した時に、「そもそも当院のガイドラインができていないのに、あれだけを出すと全体的な整合性は取れないのではないか」ということで、まずガイドラインを作ろうということになり、こちらが決まれば、その立場からあちらを見直すという流れになっています。

 勝村 原案はここに出されていましたよね。

 小原 「私の考え」はあれで確定したのです。

 吉中 実際に配布の準備に入って、充分な説明を職員が得られていないということだったと思います。

 橋本 はい。結局、会議でも揉めました。

 勝村 確定した原案はどこかにありませんか。

 内田 「私の考え」ですか。ちょっと探してみましょう。

 小原 それでは、「私の考え」という以前に作った意向表明書と、今の文面とはまた後で比較できると思いますが、その他の部分で何か考えるべき点があれば、出しておきたいと思います。これもかなり引きずって今日まで至っておりますので、できればそろそろ決着をつけたいなと思います。

 原 できれば今日でもう終わりましょうよ。

 小原 新しい文案そのものは、だいぶ整っていると思いますから、今、ちょっと問題になっている確認書の部分を、本編とどう整合させていくかが議論のいちばんのポイントだと思います。

 東 もう一度だけ確認しますけど、本編の「同意書」の意味と、この意向表明書は同じことなんですか。

 北村 本編に書いた「同意書」は「意向表明書」と書き直します。

 原 「意向表明書」に換えて、「希望する」「希望しない」ではなくて、「その意向を…」、

 吉中 「その意向に応える」ということですかね。

 原 説明書と表明書は1枚ものというイメージですか。

 北村 最初の2Pが説明書で、最後は1枚ものです。

 岩橋 本編の3)は、患者の意向の確認の意味で署名をキーパーソンにしていただくということになるのですね。

 北村 そうです。キーパーソンの意向の表明ではなく、「患者の意向を確認した」という署名をしていただくという意味合いです。ただ、そもそも意向表明書を取るのが良いのかどうかというところは、良いのでしょうか。

 小原 そこは根本的な話になりますので、まず、そこに決着をつけてから細かい議論に入りたいと思います。本編では一応「口頭で良い」となっているのですが、「念のために」ということで、こういう意向表明書もあった方が良いのか、あるいは、そもそも不要と考えるのか、いかがでしょうか。

 北村 特に現場の先生や看護師さんの意見が欲しいのですが。

 井上 今までは患者の意向の全例を確認されていない可能性も結構ありますね。で、家族が希望しているということをもってDNARらしきものが進んでいるのが今の現状で、「DNARがあるのか、ないのか」ということでも混乱をきたすことがあるということです。ですから、意向表明書を取る形では、現場は多少の手間はありますし、2人の医師が必要ですので、例えば当直帯なんかでしたら、他科の医師を呼んでくるというような、いろいろな手間はかかるとは思いますが、スタッフ等も含めた統一性が取れるということでは良いのではないかと思います。患者さんに対しての確認は口頭で良いというのも、現実に即しているのではないかと考えています。

 田中 私の印象としては、まず患者さんに確認をして欲しい場面でも、やっぱりご家族に確認をして、書面が一人歩きしないかなというのが、ちょっと危惧としてあるのです。ちゃんと患者さんに説明して、ご家族にも説明して、その結果として「こうなりました」ということを複数の医師で確認することは必要だと思うのですけど、今、実際には夜勤帯や当直の時間帯は1人でしかできないので、医師1人の判断で行われていることも多いと思いますし、看護師もバタバタしているとそこに立ち会えずに、医師と家族の間だけでそういう取り決めが交わされていることが多くあるのですね。一応ここに看護師のサインも入ることになっているので、あれば確実に3人のスタッフは関わるのかなと思いますけど。

 原 しかし、これは現実に止まった時の局面ではないですから、バタバタとやるわけではないでしょ。

 吉中 1ヵ月前までが一応の目安です。

 東 というか、バタバタした状況では確かにこんなことはやっていられないから、もう少し手前の、こうなる可能性が高い時にやろうということで、バタバタした時は取りあえず蘇生をやらないといけないですね。

 岩橋 証明できないといけませんね。

 田中 患者さんにちゃんと確かめたことが、この書面を使うことで確認できるなら、その方が良いと思います。

 小原 「一人歩きしないか」という心配は、患者の意思を無視する形で、周りだけで決めてしまわないかということですね。

 東 形式的ということやね。

 田中 そうですね。形が先にできてしまうというか、書面があるからということで、患者さん抜きに話が進まないようにということだけは、ちょっと注意しなければいけないのかなと思います。

 吉中 でも今は、説明してカルテに書いているだけなので、今よりは進みますね。そういう意味では、意向表明書をご家族にも確認していただくというステップは重要だとは思います。電子カルテを打ち出してサインしてもらったものをまた残すというのは、入院診療計画書でもなかなか上手くいかないので、現実味はどうだという疑問が少しあるね。入院診療計画書も基本的にはサインしてもらうのだけど、現場で別個に綴じなくてはいけないので、結構、抜けてしまうことがあるのね。

 北村 例えば手術の同意書とかも、プリントアウトして同意してもらって、スキャナー取り込みは?

 東 多分、スキャナー取り込みはしないでしょ。

 田中 手術はだいたいその場でサインをもらいますので…。

 北村 これも、その場でもらうと思いますね。

 吉中 これは「後日、持ってきてください」というパターンになる話で、そうなると回収が難しいね。

 田中 でもその場合は、「DNARではない」というふうに載るということですかね。
 私はなかなか実際にターミナルでこういう確認を取ることになる病棟ではないのですけど、今ちょうど傍聴している長谷川さんのいる病棟がそういう患者さんが多いのではないかと思うのですね。その長谷川さんは「医師が家族に確認してDNARが決定されているという現状があって、本人の意思も確認されないことも生じていて、看護師である私たちも話し合う場がないままに、そういう重大なことが決められているというのが問題だと思っています。以前に倫理委員会で作っていただいたセデーションのガイドラインでは、チームスタッフで議論した上で、さらに患者と家族の同意と確認の書面を取ってはじめて開始されますが、実際に運用して、患者本位の基本原則に立ってスタッフが話し合う機会を持つことと、その議論の上で患者さんから同意の書面をいただくことが、現場ではいちばん大事だなことと感じました。DNARでも一緒だと思います」とおっしゃっていました。

 北村 本編の【手順2 多職種の同意】のところで、医師・看護士を含む合議でその妥当性が確認されないと、先には進めないことになっていますので、今おっしゃったことは、これが実施されれば実現できると思います。

 勝村 署名してもらう方のことですが、意向表明書や同意書という名前ではなく、確認書的な方が良いと思うのですね。本編ではこれが3)で、4)ではDNARの指示を出すことになってるのだから、3)のDNARの指示を出すための家族の同意を得るというのは、1)の「しっかりと説明がされた」ということと、2)の「患者が間違いなくDNARの意向を持っているか、それとも推測される」ということの両方を、家族に確認して欲しいのだと思うのですね。意向表明書では「医師からきちんと説明を受けて理解した」という欄にチェックすることになっていますが、「手順がちゃんとされたのか」ということと、「患者本人が確かにDNARを希望しているのか」または「希望していると推測されるのか」という2つに、チェックを入れてもらうという確認書の形である方が、シンプルではないでしょうか。

 吉中 意向表明書を確認書にして、その2つを確認するという形にして、それ以外は基本的に蘇生処置をするということなので、選択ではないですね。

 勝村 そうですね。1つめのチェックは「医師から心肺蘇生とDNAR指示について説明を受け、理解しました」のままで良いですね。2つめは、患者が意思決定可能な場合は「患者の意向はDNARです。心肺蘇生を実施しないでください」ということで、両方にチェックを1つずつ入れるようにして、両方にチェックが入ってはじめて4)の指示ができるということです。で、「患者の意向はDNARであります」という文面をしっかりと書いてしまって、そこにチェックを入れてもらう形にして、「(なお、本人に意思決定が不可能な場合はそう推測される)」ということをハッキリと書いてしまった方が良いかも知れない。

 小原 今のご意見を具体的に言うと、文面の最後の方を書き換えるということですか。

 勝村 そうですね。例えば「患者の意向表明書」という表題は「確認書」みたいなもので良いと思うので…。

 小原 「患者の意向確認書」?

 勝村 いや、1つめのチェックは「意向」ではないでしょ。1番目と2番目の両方を確認して欲しいからこの書面を作っているわけでしょ。で、1番目は「家族側から見ても、ちゃんと説明を受けたことを確認してください」で、2番目は「もう一度確認するけど、これが患者の意向ですよね。または推測の意向ですよね」ということにチェックを入れてもらえば良いのでしょ。

 小原 では、チェックの項目はこれで良いということですか。

 勝村 いや、2つめのチェックを、1行目はこのままで、2~5行目をやめてしまって、1行にしてしまう。

 小原 「心肺蘇生法を実施しないでください」というのだけを入れるのですか。

 勝村 いや、「『心肺蘇生法を実施しないでください』というのが患者の意向です」と書いてしまうのです。

 小原 選択肢ではなくて、そこにチェックをするということですね。

 勝村 はい。チェックが入らなかったら、4)の指示はしないのだから。

 原 「私の考え」との使い分けみたいなことをするのかということもあって、少しややこしい感じですね。

 広瀬 なんか元に戻ってきていて、医師が強要するような状態に入ってきてしまっているのではないかな。「私の考え」では「意思をどうするか」ということであって、それを確認するためにこれを取るのなら良いのだけども。まして、医師が担当医でなかった場合に…。これは1ヵ月ほど前に取るのですか。

 吉中 心肺蘇生法不開始が許容される要件は1ヵ月以内ということを想定していますから、それぐらいの時点で落ち着いた時に、こういう説明して話をするということです。それはそれで良いのですけど、「私の考え」では、「救命困難であっても、ご希望があれば心肺蘇生を続ける場合もありますよ」ということを入れていましたね。DNARだけにしてしまうと、そこの一項が抜け落ちるということが生じます。

 小原 この両者の関係をどう位置付けるかということを確認しておかないと、文案も確定できないと思うのですよ。ですから、最初の入院時にもらう「私の考え」を基本的に踏襲して、最終確認とするのか、あるいは、これがDNARの確認書であって、そこだけを確認させるのか、その性格付けをハッキリさせておいた方が良いですね。今、前に決まった文書がお手元に届いたと思うのですが、多少、表現が違うのですよ。

 原 似たような2バージョンがあるのはややこしい感じがしますね。基本的には元の「私の考え」というものをベースにした形でいって、「私の考え」を入院時に書いてもらっていた良いのだけど、書いてもらっていない人の場合は改めて書いてもらい、もしくは気持ちが変わったり、現実的になってきたら気持ちが変わるから再確認をするということでしょう。

 勝村 ガイドライン本編のどこかに、「私の考え」のことについて触れておかなければダメだよね。

 北村 触れてあります。P5の【B 患者の意思決定が可能でない場合】の2)注1)に【その際、患者の過去の言動や、過去の意見表明(当院で全入院患者に配布する「私の考え」)などを考慮に入れて確認しなければならない】とあります。

 原 どこまで現実的に想定して「私の考え」を書くかという問題はあろうかとは思うのですけど、「私の考え」が出されてあれば「参考資料ではなく、これはこれで有効」と見なしておけば良いのではないでしょうか。

 吉中 でも、日付が1ヵ月以内であればということになる。

 原 で、「それで変わりないですか」といった作業をした方が良いのかな。

 小原 別バージョンを作らないで、これを一貫して使うということですか。

 原 これで運用するか、これを本人が書けないような状態になっている時にはサインはできないので、本人が喋れるなら、家族と皆でそれを確認するか、本人の意識が曖昧なら、家族にそこを再確認するのかということで良いような気がするのですけどね。

 北村 これは全入院患者に配られるわけですよね。で、言わば差し迫った状況でない場合であれば、わりと気軽にあまり考えずにお書きになることもあろうかと思います。それをかなりの力を持つものとして扱われると、ちょっと危険な気がします。普通、なんとなく「最期はそんなのはしてもらわなくても良いわ」とか、「寝たきりになってまで生かしてもらわなくても良いわ」とか一般的に皆さんはおっしゃいますね。そういう思いで書かれたものが最後まで残って、実際に寝たきりとなった時に、本人は翻意されたにも拘わらず通ってしまったら、具合が悪かいと思います。安全性を高めるという点では、最後の一線で再確認した方が良いかなと思います。

 原 あえて言いますと、助かる人を助けるのをやめますといった話ではなく、救命困難な時の助からない人に会えるように、心肺蘇生をやりますかという話だから、そもそもそんなに重大な話ではないのではないかな。

 勝村 質問ですが、「DNARの指示を出そうかな」という時は、意思決定が可能でない場合がほとんどですか。

 井上 いろいろあると思いますね。癌の末期の方などはそれなりにどんどん下り坂になっていくということで、比較的に時間があると思いますが、僕らのいるICUなんかでは意識がもうろうとした悪い状態で入ってきて、これ以上の治療は難しいなという時にDNARをしようとしても、本人さんはほとんど意識のない状態ですね。

 勝村 入院時に「私の考え」で「差し控えてください」とチェックしても、カルテにはDNARとは書かないでしょ。だから、DNARと書かなければいけないなと思うタイミングというのは、「ぼちぼち意思決定ができなくなるかも知れないから、今、聞いてDNARと書こう」という感じでやるのか、もう危なくなって、意思決定が不可能な雰囲気になってから書くのか、どちらが多いですか。半々ぐらいですか。

 井上 僕がいるところはほとんど後者ですが、悪性疾患に関してはそれなりに予想されますし、良性疾患に関してはいろんな経過を取ります。

 勝村 悪性疾患の場合なんかは、現実にカルテへDNARと書くのはどんな時なんですか。

 井上 悪性疾患の場合は比較的に早いと思います。それ以外の場合は治療に全力を尽くしますので、いよいよ意識がもうろうで、もうダメであるという時に初めて出すことが多いですね。

 小原 その件数は多くないということですね。

 井上 いや、良性疾患も結構あります。癌で亡くなられる患者さんは3割ぐらいですから、大まかな統計でいうと7:3ぐらいの感じかなと思いますが、働く場所によっていろいろで、先ほどの長谷川さんがいらっしゃるようなところでは比較的に時間があって、みんなでカンファレンスをしてということもできやすい環境だと思いますが、僕は意思決定のできない方が多い現場なので、そういうことが難しい環境にあります。

 勝村 本編の原案では、「私の考え」はDNAR指示を出す段階で意思決定が可能だったら要らないということで、意思決定が不可能な時にこれを使おうということですね。

 北村 推測意思を推測する材料として「私の考え」を使おうということです。「私の考え」はあくまでも入院時にもらうものですので、これで全てが決まっていくものではなくて、本当にDNARを考える時にもう一度、確認作業が必要で、この時に本人が判断できない状態なら、これを重要な参考資料として使うということです。

 吉中 DNARを具体的に発動する時間の設定がややファジーなので、ちょっと難しいのですね。【手順1】では「1ヵ月以内に満たされる可能性が高いと推測される状態にある」となっているので、1ヵ月が有効期限だということでいかないといけないかなと思うのですね。

 小原 そういう意味では、署名してもらってもそれが1ヵ月以上前のものだったら、手順に乗らないということですよね。それでは「私の考え」とは別にあった方が良いですね。

 岩橋 私もそういう意味だと思います。完全に読み込めていないので完全なお答えはできないですが、心肺蘇生をやめるかどうかということは、要するにどの程度延命させるかということなので、それ自身をやらないことをかなり積極的に「良いです」という意思が表明されていないと、「どの程度に死期が迫っているのか」に微妙な判断があるところでは、やっぱりその問題と併せて明確なものがないと、医療機関側の問題として言えばかなり微妙なことがあるように思います。だから、患者さんの意向を尊重するという手続きであれば、いくら面倒でもやる必要もあると思いますし、入院時のもののままで、1ヵ月ぐらい前に迫った時に「あれのままで良いですか」みたいなぐらいでは、やっぱり拙いだろうという気がします。

 勝村 Aの場合は新たな手順でやっても良いのだけど、Bの場合では2)の注1)で「考慮に入れて」とあるが、「これに従わなければいけない」ぐらいではないのかと思うのですね。つまり、入院時に「こうしてください」と書いてあって、いざ指示を出さなければいけない段階で、本人の推測意思が決定できないのなら、くつがえす根拠がないので、逆にこの注1)では「尊重」とか「従わなくてはいけない」ぐらいでないと、最初に書いてもらっている意味がないです。それなら、入院時に書かせることの意味をもう一回、問い直さざるを得なくなります。

 北村 「最大限尊重して」ということではどうでしょうか。

 原 元々、これを入院時にという話にしたのは、「実際にやばいぞという局面になって、わざわざこの話を切りだして書いてもらうのは、辛どいのではないか」という話の流れから、「入院時から、可能な人はやっておきましょう」という話だったと思います。だから、ここで書かれたものはやっぱり有効だろうと思いますが、ただ状況が違うから、「それで良いのですか」という確認作業は、本人が意識決定をできる場合は本人に確認する。できない場合は、「患者の意思はこうでしたよ」ということを踏まえて、「むしろ家族には納得してもらう」みたいなのが近いのでしょうか。

 北村 「これが有効だよ」と確認するだけでは、手順の中で看護師などとの合議などが省かれてしまう怖れがあるので、これとは別立てのものも設けた方が良いのではないかと思いますね。別立てのところには看護師の確認とか、合議したとチェックする欄がありまして、そこの漏れがないようにしていますので。

 勝村 例えば患者の意思決定が可能でない場合で、その患者が入院時に「できるだけ心肺蘇生を行ってください」にチェックが入っていたら、DNAR指示の手順そのものにも入れない感じがしますよね。

 小原 聞くこと自体ができないということですね。

 北村 それをくつがえしても有効なDNAR指示を出すべきと医師が判断すれば、入っていけるとは思います。

 勝村 そうすると「入院時に書かせていることの意味がどれほどあるのか」という話になってくるのではないかなと思う。

 岩橋 ただ、それは「入院の時にどのくらいの説明をしているか」とかにも関わるのではないですか。

 勝村 その人が指示を出す段階で意識があれば聞くべきだとは思うけど、意識がなくなっているのに違う意見が出得るというのは、本人からすれば書いた意味がなくなっているような感じがしますね。

 広瀬 他所では色の着いた絵本みたいなパンフレットで、心肺蘇生のいろんな種類とかが漫画チックに書いてあって、「あなたは希望しますか」というように軽く入ってきて、「そんな骨の折れるようなことはして欲しくないわ」と軽い感じで答えそうなものがありましたが、それとこっちとは全然、思いが違うなと思いましたね。最初の頃は「もっと患者さんに分かりやすく、絵とかを入れて欲しい」と私は言っていたのですけど、さっきからこれを見ていると、とても息苦しくなってきて、でもこれぐらい大変な思いがいる医療かなと思うし、あまりにも他所の色の着いたのと違い過ぎて頭が混乱しているのですけど。

 勝村 今日で決めてしまうとして、僕の意見を具体的に言うならば、確認書の方は先ほど言った通りですが、本編の方では、Bの2)の注1)で入院時の意向がある場合、最低でも「最大限尊重しなければならない」と書くべきで、「従わなくてはいけない」でも良いと思う。

 小原 「最大限尊重」にはそういうニュアンスがあると思うのですよ。ということは、確認書はこれを生かす形で、入院時のものとは独立して作るべきだということで、ただ、後半部分は3択ではなく「DNARを確認しました」というところだけにチェックを付ければ良いようにするということですね。この確認書は、有効なDNAR指示を出すための手順に従って出すのですから、他の選択肢は特に書く必要はないと言えばないのですね。

 清水 最後の選択肢は「実施しないでください」ということなる可能性が高いとは思うのですが、実際にはグレーゾーンがあるので、最後の選択肢を病院が設けることに意味があると思います。

 小原 ただ、もしそれを入れるのであれば、入院時のものと選択項目を同じにしておかなければいけないと思うのですよ。これもかなり考えた末に作った3つの項目ですし、前に書いたものと新しいものとの内容が違うとなったら、ちょっと混乱が生じる可能性もありますよね。そこを決めたいと思いますが、DNARだけでチェックさせるのか、入院時の「私の考え」と同じ項目を入れて選ばせる、つまり再確認するか、どちらかでしようね。

 原 再確認の方が良いのではないでしょうか。DNARだけでは押し付け的なものになるというのもありますし、医療側は「もう助からないものだよ」という説明はしたと、しかし、「やってくれ」と言ったとしても、それはそれで記録としても意味はあるのでしょうから、むしろ同じような選択肢にした方が良いと思いますけど。

 勝村 本人でない人が推測し直せるのだから、僕は再確認の方が怖いと思いますね。「本人の意思がDNARですよ」ということを確認することの方が大事だと思いますね。

 小原 今、心配しているのは例えば、入院時に本人がどこかにチェックして、本人の意識がなくなった時に他の人が違うところを選択するということですか。

 勝村 それも怖いし、これは家族が確認するので、本人を飛ばしちゃっていないかということをチェックすることに徹するべきではないかと思うのです。本人を無視して周りで勝手に選べるという危惧、先ほど言われた「書面が一人歩きしないか」ということを止めるためには、こっちに限定した方が良いと思ったのです。

 小原 例えば、患者が入院時に「救命困難でもできる限り心肺蘇生を行ってください」をチェックしていれば、それが最後まで一貫して受けあるべきであるということで…、

 勝村 Bの場合はそうだし、Aの場合でも、1)2)がちゃんとやれたかを3)でチェックすることに徹した方が良いと思うのです。

 小原 その確認が必要であって、改めて希望の選択肢を提示するべきではないということですね。両方の言い分も良く分かると言いますか、悩みますけど。

 東 ただ、入院時の「私の考え」は実際に家族も確認しますし、かなりハードルが高く、よほど拘っている人がかなりの思いで書くものですから、これを書く人は非常に少ないと思いますね。それで実際に有効になるのは今日に出された意向表明書の方だから、ここで完璧にやっておかないといけないと思う。だけど、「私の考え」を出された人はかなり意思の高い人だと思うので、これは有用なものとして最大限に尊重しなければいけない。

 小原 ということは、実際にDNARへの意思として、今日に出た案が多く使われるとするのなら、そこには3択があった方がよろしいということですね。

 東 僕は要ると思います。「私の考え」を前提にしてではなく、そこで初めてそういう話が出てくる人がいっぱいいると思いますよ。実際に「私の考え」を運用しようと思うとかなり大変なので、少数だと思いますね。

 小原 勝村先生の意見もポイントは分かるのですけども、確かに、実際に「私の考え」を前提にできないとするなら、最後のところで3択は示しておいた方が良いかなと思いますけども。

 原 ですから、ここを家族が書くのか、患者本人の意思なのかがあやふやだからややこしいので、この時に初めてだったら…、

 勝村 そう考えるのなら、これが3番目にくるのはおかしいと思う。それだったら、これが1)でしょう。

 東 これは医学的要件を尊重するという立場で順序を組んでいるわけですね。まず「医学的にこうですよ」ということを説明して…、

 勝村 でも、意向表明がないのだったら、そんなことを知る必要はないでしょ。

 田中 2)で患者さんの意向がDNARと確認した時だけ3)に行くので、選択肢があるとややこしいから、選択肢はなくても良いかなと、私も思うのですけどね。

 東 ただ、要するに「これはDNARの対象」ということを医療側として判断して、そういう形で説明していくプロセスの中で、ご本人の意向と一致すればそれが成り立つけど、一致しなければそこで止まるわけです。だから、我々はDNARを前提に進めるわけだけど、途中で拒絶される場合があるから、選択肢で最終まで行くか行かないかということがあり得ると思います。

 田中 だったら3)に行かないから、2)の時点で「患者さんはDNARの意向ではなかった」ということで、サインは書かなくても良い。

 東 だから、指示が出せない場合はそこで終わっちゃうわけですね。指示を出す…、

 勝村 最初におっしゃったみたいにね、最低でも2)で書くべきなんですよね。

 東 僕が言ったのは「2)のところで分かれ道ができる」という話です。

 勝村 2)で「意向を確認する」とあるから、その時に「意向はこうだ」と書くのなら、まだ分かるのですよ。そういう趣旨にすれば3)の項目は要らないしね。

 小原 そういうふうに理解し直しても良いと思うのですよ。意向を確認する確認書がまさにこれですから。

 勝村 3)を独立させたままなら、1)2)の確認を担保するツールにした方が良いし、2)に入れるのなら、1)の確認と2)の作業のためのツールにできるから、コンセプトの違いで、どっちかにまとめれば良いのだろうけど。

 小原 やっぱり最終的には、患者の意向を明確な形で確認できるものの方が良いと思うのです。ですから、「DNARでOKです」というところにチェックが付いているかどうかだけではなく、最終段階で「家族が来るまで続けてください」と考えているのか、「どんな場合でも心肺蘇生を続けてください」と表明されているのか、そこが記録として残っていると、現場ではやりやすいのではないですかね。

 勝村 それだったら、僕が言った「確認書」ではなく、「意向の表明書」であって、2)のところで使うツールであって、それはそれで良いのですけどね。だから3)にあると、この議論に参加した人には良く分かっても、この議論に参加していない人は本編と署名用紙を見た時に、どう使うのかが分かりにくくなると思うのです。

 岩橋 それは多分「口頭で確認しなければ拙いのではないか」という考え方を前提にしているから、どうしてもそうなってしまって、口頭で確認したことを誰かが確認しなければいけないというので、「本人は口だけで良いが、そのように言ったことを家族が確認しました」ということにしたいために、この段階を踏んでしまっているのですね。だから、そもそも本人さんに書かせたもので良いということになれば、こんなややこしい手順は踏まなくても良いはずなんですね。ですから、そこをどうスッキリさせるかということで、割り切るしかないのです。あくまでも口頭で良いと判断しても、本人が口で言う力のない場合は結果的には書いてもらうしかないと思いますし、本来は自らが書いてまでも意思を表明したということは、口で言う以上に明確な意思表示だと思うのですよ。ですから、患者の意思を尊重するということをいちばん重視すれば、本来は「原則として本人さんに書いていただく」とした上で、口頭でしか確認ができないような場合については、家族にそういう状況だということを確認すれば良い話なので、そこのところをもう少しスッキリさせた方が良いと思います。

 勝村 そうね、分かりました。僕が落ち着ければまとまるかも知れない。それで、2)の「この確認は口頭で良い」というところを取って「患者の意向を確認し、意向表明書の記載をしてもらう」というふうにして、すると3)は全く意味不明になるので、3)は削除ですね。それならコンセンサスが得られると思う。

 小原 そうですね。3)は確かにない方がスッキリします。

 岩橋 「この確認は口頭で良い」という部分で一文にしようと思えば、「この場合についてはキーパーソンにご確認書を記載していただく」とか、そういうことだと思います。

 小原 時間がだいぶ過ぎていますので、これ以上は続けないで次回への宿題としましょう。

 勝村 もう決めましょうよ。

 小原 この段階では決められないですね。やはり文章をきちんとしてから、確認した方が良いですね。

 岩橋 付け加えると、念のために本人さんの署名をいただく時は、キーパーソンの人に確認をしてもらった方が良いと思います。というのは、「これは本人の自署ではない」と言われる危険性もあります。一緒に確認してもらうか、改めてやる場合も本人の意思を示して「確認されますか」ということでやってもらう方が良いですね。

 勝村 先送りするなら、もう一つのパターンも示しますが、3)の前半部分をAもBも取れば良いのですよ。「患者がDNARを希望する場合は」とあるから確認書と矛盾するので、それを取れば良いのかなとも思ったのです。

 小原 結局、この説明書に何を書くかによって、ここの文章は全て変わってくるのですよ。そして、今日の一つの結論としては、「やっぱりここには選択肢を残しておいた方が良いだろう」という合意がありましたね。ですから、文章としては「入院のしおり」に書いてある3)選択肢を、そのままここに引き写し、その上で、それに整合する形で文章を直してもらうということでよろしいですか。

 勝村 それで良いと思います。それでまとめましょう。

 小原 かなりゴールに近づいていますが、今のような案で北村先生に最終稿を準備していただきましょう。

 原 やっぱり、患者本人が書く場合を含む本人の意思確認と、家族の意向を分けないといけません。推定する場合でもそうです。性質を明確にしないと分かりづらいから、場合分けに即したものを作らないといけない。

 勝村 僕が気になるのは、患者の意思決定は可能なのに、患者が軽視されることをなくすためのマニュアルにしなければいけないというのが1つで、2つめはBの場合の3)の注1)のところで、意思決定が可能でない場合に入院時に書いたものがあれば、それは最大限に尊重されるのだということで、その2点だけです。

 小原 それはできると思います。それを目指して次回、ゴールしましょう。

 勝村 次回になったらまた忘れるので、今、まとめてしまった方が良いんじゃない。

 小原 もうゴールは見えていますので…。では、次の議題の「(4)その他」のところをお願いします。

 

議事(4)「治験審査委員会報告・その他」

 吉中 「治験審査委員会の報告」は、事前資料のBに載っています。「4月8日の委員会では、現在進行中の3件とも特別なことは生じていませんので、引き続き続行を承認した」ということを報告しておきます。

 内田 「激励会の案内」ですが、村井先生と立岩先生がお辞めになり、小原先生が1年間だけお休みになられるので、激励会を開きたいと思います。6月26日までに私の方に連絡をいただきたい。で、立岩先生と村井先生には別に連絡させていただき、「出席は可能」ということですので、ぜひとも、よろしくお願いします。

 小原 ありがとうございました。では、次回日程の調整をお願いいたします。

 内田 第1木曜日は8月6日か9月3日ですが、どちらも都合の悪い方がおられます。あまり月日が開くと、先ほどのお話の経過があって、冷めるので何らかのアクションをやっておかないと、また話が元に戻りそうですね。

 勝村 2ヵ月も3ヵ月も一緒やと思うけど、思い出すのが大変。

 東 DNARの件は、まとめてもらって回覧ではダメですか。もうほとんど決まっていますでしょ。

 小原 確かに1ヵ月以上経つと全部、忘れていますから、そっちの方が良いかなという気はするのですけど。

 内田 北村先生にもう一度、案を作っていただいて、回させていただくのが最善かも知れませんね。

 小原 そうですね。今、かなりゴールまで近づいていますのでね。

 原 そういう形にするかですね。

 小原 北村先生、ちょっと申し訳ないですけど、最終案をなるべく早く作っていただいて、この熱を保ちながら「OK!」というのがいちばん良いと思うのです。

 北村 分かりました。

 小原 では、今回の件に関しては、そういう落ち着け方でよろしいですか。

 内田 次回日程は7月の第5木曜日の30日でいかがですか。では、次回は7月30日でよろしくお願いします。

 小原 これで全ての議事が終わりました。どうも今日はありがとうございました。

 


(入力者注)
※ 文章は全体を通して、話し言葉を書き言葉に改めたり、意味の通じにくい言葉を言い換えたり、同じ発言の繰り返しを省くなどの推敲を行い、かなり要約した形になっていますが、発言者の意図を正確に伝えることを最優先にしています。また、患者名を特定される可能性のある情報など、秘密保持義務に触れる怖れのある発言は曖昧な表現に変えたり、伏せ字にしています。

 

 

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